ウマ娘 名古屋地方競馬場   作:いつか帰るところ

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第6話

ウマ娘 レディパイロ

 名古屋地方競馬場6

 

 

トレ「レディパイロ!僕をぶん殴ってくれっ!」

 

レディ「うしっ!歯ぁ食い縛れこの野郎っ!!」

 

トレ「あー嘘、嘘、嘘でーす、そんな気持ちってだけ、気持ちを言葉にしただけでしたー」

 

レディ「いっくぞーっっ!!」

 

トレ「やめてやめてっ!マジでやめて!死んじゃうから!僕簡単に死んじゃうから、リアルヘッドショットだから!胸ぐらを掴まないで!その握り締めた拳を開いて!」

 

レディ「馬鹿野郎!ウン十万円様を溶かしやがって!」

 

トレ「いやいや、いやいやいやっ!あの最終レースの時お前もノリノリだったじゃねぇか!?」

 

レディ「当たり前でしょ?!ウン十万円様が帯(百万円)神様になって返ってくるのよ?!それも何柱にもなって!全突っぱでしょ!」

 

トレ「お前も一緒の気持ちだったよね?!僕から言い出したことではあるけど、取り敢えず離してっ、胸ぐら掴まないでぇ」

 

レディ「取り敢えず1発殴らせて?話はそれからにしよ?」

 

トレ「お前1円も損してないよね?大損したの僕だよね?」

 

レディ「少しは気が晴れるかと」

 

トレ「何でタコ負けした上に担当にぶん殴られるんだよーっ!」

 

レディ「・・・にしてもあのウマ娘・・・何なのあのパドックでの仕上がり具合は」

 

トレ「・・・な、アイツだけ別レベルのウマ娘に見えたもんなぁ・・・」

 

レディ「トレーナーなんて、息を飲んで目を輝かせてたもんね、単勝7倍だとか言っちゃって、嬉しそうにしてねぇ」

 

トレ「おお、お前なんか震える声で、見て見てトレーナーとか言っちゃってたもんな、凄い脚だわとかも言ってたっけ?4着だったけどな」

 

レディ「・・・ほう、あたしが悪いと?」

 

トレ「いえいえ、大した目をお持ちでと言っただけですよ?」

 

レディ「は?」

 

トレ「あ?」

 

カ○ザー「あの・・・お二人ともケンカはやめて下さい・・・次こそはご期待に沿えるような結果を出して見せますから、ね」

 

トレ「・・・」

 

レディ「・・・」

 

トレ&レディ「|ゝ_¨゜;!‐|〇〈]〔「【〕]》「〈『[●☆△£△▽&□★▽#*】!!!〔『》●£|☆★#&〔》★|】£[〔★〕!!!!!」

※注 笠松や名古屋で全財産を溶かして怒り狂った錬金術師達が叫ぶ罵詈雑言の類、とても表記出来ない言葉の羅列、心を持った人間の口からは一生出ないであろう言霊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レディパイロはホームグラウンドの名古屋地方競馬場のダートコースを駆ける。今日は追い風なのかスピードの乗りが良い。スピードトレーニングの結果?だとしたら嬉しいけど。

 レディパイロはいつもの様に先頭集団後方に位置し、前を駆けるウマ娘が跳ね上げる砂を浴び続ける。何であたし砂を浴びても平気なんだろう?最終コーナーに向かってレディパイロは姿勢を低くしながら前のウマ娘との距離を縮めながら考える。

 

 

 「見ろよあの娘、右回りのトレーニングばっかしてるから左右の脚のバランスが取れてないだろ?右にインを突くなら良いけど左アウトに膨らむ時に踏ん張りきれずに膨らみ過ぎるぜ?」

 あのウン十万円を一瞬で溶かしたアホトレーナーの言葉がレディパイロの脳裏に浮かぶ。

 そのバランスの悪いウマ娘が第3コーナーに入り前を行くウマ娘を外から追い抜こうとコースを左寄りに膨らんでいく。

 うんうん、アホトレーナーの言う通り、あの子左に膨らみ過ぎて隙間が出来てんじゃん。

 チャーンス。

 

 最終第4コーナーを回り終えて直線コースに入る頃、ウマ娘の間から抜け出してくるコーナー巧者レディパイロに追い付くウマ娘は居なかった。

 奥歯を食い縛るとダート砂がジャリジャリと音を立てたが気にもならなかった。

 今更ながら、こんな時に、トレーナーと一緒に行ったチャンピオンズカップは楽しかったなぁと思い出し、レディパイロに力がみなぎる。

 

レディ「ぬおーっ!これがっ!レディパイロの卑怯くさいコーナリングじゃーいっ!刮目しろぉっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレ「・・・で、最終コーナーで何か得意気に叫んで直線を駆けていく、と」

 

レディ「・・・言わないで」

 

トレ「そして大外から差してきたウマ娘に気付いて焦ってパニくってフォームがしっちゃかめっちゃかになる、と」

 

レディ「・・・もう、言わないでぇ」

 

トレ「んで、ご存知レディパイロの必殺半泣きダッシュで何とか、ギリギリ、ハナ差だけ残しきって勝つと・・・おめでとう」

 

レディ「・・・勝ったもん」

 

トレ「いや、気付くよな?後ろから差しが迫ってきてたら、最終コーナーからジワジワ近付いて来てたぜ?」

 

レディ「いやぁ、これが全然気付け無かったのよねぇ・・・」

 

トレ「それにしてもパニくる必要はねーだろ、普通に走ってればちゃんと勝てるペースとリード差だったよ?フォーム乱して自分からピンチになってたぜ」

 

レディ「そこがあたしの可愛いところ?」

 

トレ「・・・まぁ、ウマ娘が焦って泣き叫びながらゴールまで駆けてりゃウケてたけどな、笠松に続いて名古屋でも観客の爆笑と生暖かい拍手が沸いてたよ・・・」

 

レディ「・・・これを何かのトレーニングのヒントに出来ない?」

 

トレ「出来ねーよ」

 

 

 

 

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