ウマ娘 名古屋地方競馬場   作:いつか帰るところ

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第7話

ウマ娘 レディパイロ

 名古屋地方競馬 7

 

 昼一の第3レース、ウマ娘レディパイロは10番ゲートからのスタート。因みに10頭立てなので最外、大外。

『ガッチョン!』

 小気味良い音を響かせてゲートが開きウマ娘達が一斉にダートコースを掛け始める。軽い地響き。

 

 うわぁ・・・みんないきなりトップスビードじゃん?!

 

 レディパイロはスタートこそ遅れなかったものの自分より内側を駆けるウマ娘達を視界に入れ、少し離れた後方外から後を追う形になる。皆深めの前傾姿勢でスピードをグングンと上げていく。

 レディパイロは先行を得意として勝ち星を重ねていたが、別段得意な枠が有るわけでは無かった。

 まあ内側ならありがたいけどね、という程度。

 にしても、にしてもだ。大外って何なのよ。流石に最外からウチラチに向かうには馬群が集まりすぎてるし、しかも800メートルの超短距離スプリントだし。

 これはトレーナーのくじ運のせいだ、アタシハナニモワルクナイ。

 間もなくカーブが始まる。

 向こう正面中程からスタートしてコーナーを回るともう最終スタンド前ストレートだ。

 いや、ホントどうすんのこれ?

 

 レディパイロはコーナーを回り始めながら考える。脚を回して頭も回す。

 今のポジションは大外後方、馬群はほぼ一塊、今から内ラチなんかに割り込む隙は無し。下手に割り込むと完全に進路妨害、接触転倒、降着、再試験。それは勘弁して。

 

 と、なるとだ。

 

 大外ブン回しの最終直線ごぼう抜きパターンしか無いけど、超短距離でみんな余力バッチリそうだし、いけるか?あたしにそんな差し脚あったっけ?

 コーナーに入ってみんなのスピードは少し落ちてはいたが、大外からいつもの卑怯くさいコーナリングで順位を押し上げてリードを稼ぐ事は流石に無理。

 最内に斬り込むゴルシワープ?大外から最内まで移動するとなるとロスが過ぎる。それにあたしのスピードが出過ぎている。

 

 と、なるとだ。

 

 最終コーナー。

 皆のコーナリングコースとは異なる更なる大外のコース取り。

 それで最終カーブを通過しつつスピードに乗って最終直線へ。

 そこから少しずつ進路を修正しながら最短直線ラインでゴール板を目指す!

 つまりは、

 

 「最終コーナーから観客席に向かって突っ走れーっっっ!!!だっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レディ「・・・チップとポテトってどんだけ外れ馬券食べさせられてきたんだろう・・・」

 

トレ「いきなり遠い目で悲しいこと言うなよ、いや、外れ馬券は食べさせないで下さいって注意書があるから」

 

 ※因みにチップとポテトは名古屋地方競馬場の片隅に飼われているヤギさんだぞ。外れ馬券は食べさせちゃ駄目だぞ!

 

レディ「当たり馬券なら良いのね」

 

トレ「どんな狂人なんだよ、お札食わせてるのと一緒だぞ?」

 

レディ「あたしもチップやポテトみたいに外れ馬券食べてるのがお似合いよ・・・うう・・・普通のゴハンが食べたかったなぁ」

 

トレ「いやそんなに落ち込まんでも・・・大外からの巻き返し、4着なら上等だよ?掲示板じゃん、普通にごはん食べようよ」

 

レディ「今日はいつもにも増してお客さんが応援してくれてたのになぁ・・・申し訳ないなぁ」

 

トレ「ああ、お前2番人気まで上がってたからなぁ」

 

レディ「?」

 

トレ「利率の良い単勝狙い、固めの馬連から馬単、三連単に三連複、倍率は低めだけど厚く掛けれるなら複勝狙いも有りか、何にせよお前は外しにくいよなぁ・・・」

 

レディ「それでか!・・・あたしの小気味良いレースっぷりにファンが増えたと思ってた」

 

トレ「・・・・・・」

 

レディ「そう言えば4着でゴール過ぎた辺りでメチャクチャ罵詈雑言叫ばれてたなぁ・・・きっついファンだなぁ、どんだけあたしのこと好きなのよって勘違いしちゃってた、失敗失敗」

 

トレ「僕、久しぶりにゴール付近で馬券吹雪が舞うのを見たよ・・・いくら買ってたんだろ?」

 

レディ「いくら買ったんだろうね?欲をかくと祿な事にはならないのにねぇ、きひひひ」

 

トレ「頼むから客の前でそんなこと口にするなよ?」

 

レディ「大丈夫、ハズレ馬券をモシャモシャ食べるチップとポテトみたいな不景気な顔しておくわ!」

 

トレ「いや、だからチップとポテトは馬券は食べないの!」

 

レディ「そうだった」

 

トレ「朝一売店で数量限定のチップとポテトのエサが売ってるからそれを買ってあげて」

 

レディ「あこぎな商売を・・・」

 

トレ「さて、反省会はこの辺にしてだな」

 

レディ「・・・反省会・・・だったの?」

 

トレ「そろそろURAが控え室に入ってくるんじゃないか」

 

レディ「本日メイン、交流レース名古屋グランプリ・・・ね」

 

トレ「今回やってくるURAウマ娘の実力は別として、僕達のホームグラウンドでURAウマ娘がどんな風に走るのか見れるのは勉強になると思うよ」

 

レディ「うん、URAウマ娘勢でガチガチに固めてもやっすい配当だから2、3着何処かに地方ウマ娘も入れて夢を見たいよね!でも厚目にURAで固めるのも有りか?うーん迷うわね! 」

 

トレ「馬券買っちゃ駄目だからね?」

 

レディ「それって、押すなよ!絶対に押すなよ!的な?」

 

トレ「いやマジで駄目だから」

 

レディ「・・・からのー?」

 

トレ「本当にやめて」

 

 

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