【概説】ゴールデンバウム朝銀河帝国史:第2巻「拡大期~強堅帝ジギスムント1世」   作:旧王朝史編纂所教授

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第4章 皇帝即位~拡大戦役の開始
第1節 旧帝国史上初の戴冠式


 帝国暦42年3月1日、ルドルフ大帝の国葬が挙行された。皇太孫ジギスムントは喪主を務め、翌2日、旧帝国史上初となる戴冠式に臨み、ゴールデンバウム朝銀河帝国・第2代皇帝ジギスムント1世として即位した。

 

 旧帝国史上初の戴冠式と書いたが、初代皇帝ルドルフの先例があるではないかと指摘する向きもあるかもしれない。実は、現在まで伝わっている旧王朝の戴冠式次第は、第2代ジギスムント1世のそれを嚆矢とする、というのが定説となっている。また余談ながら、このジギスムントの事例が先例となり、先帝の国葬で喪主を務めるのは帝位継承者の責任であるとされ、国葬を無事終了させて初めて、戴冠式に臨む事が出来るとされた。

 

 ルドルフの即位式は、公開された新史料によると、連邦の国家元首就任式のそれに準じて、列席者の前で皇帝即位を宣言し、帝国の守護神と定めた大神オーディンに向かい、皇帝として臣民の生存と安寧を保障する事を誓い、その後、議会での施政方針演説に臨む、というものだった。皇帝の表象とされる黄金の冠を被るセレモニーも存在しなかった。

 これは、ルドルフの皇帝即位は国民投票の結果によるものであり、法制度的に見れば、その地位の正当性を保障するものは民意なので、連邦の元首就任式と極端に乖離する式次第を採用すれば、未だ帝国の存在を完全には受け入れていない旧勢力を殊更に刺激する可能性がある、という理由ではないかと推測されるが、詳細は不明。ただ、合理主義者で、虚飾を嫌ったルドルフの意向もあったかもしれないと、個人的には考えている。

 

 しかし、ルドルフから帝位を継承したジギスムントは、国民投票によって皇帝に即位した祖父ルドルフとは異なり、人類社会の統治を家業として継承するゴールデンバウム家の新当主として、それに相応しい戴冠式を挙行する必要があった。この点はルドルフ在位中から意識されていたようで、初代学芸尚書ランケを中心に、同省内で次期皇帝の即位に伴う各種式典の内容が検討されている。

 

 公開された新史料によると、ジギスムントの戴冠式は、以下の流れで挙行されたようだ。

 

① 皇太孫ジギスムントは、文官・武官・領主、各貴族の代表者を随伴して、新無憂宮内に設けられたルドルフ大帝の霊廟(崩御した寝室)に参拝。強化ガラスで封印された霊廟の入口に掲げられた、大帝遺訓を彫刻した黄金の銘板に拝礼し、皇祖ルドルフ大帝の御霊に対して、大帝遺訓を遵守する事、臣民にも順守させる事を誓約して、大帝の血統を継承する自分が帝国皇帝に即位する事を報告した。

 なお、各貴族の代表者は、文官は国務尚書、武官は軍務尚書、領主は枢密院議長が務める事とされた。当時、ノイエ・シュタウフェン公爵が国務尚書と軍務尚書を兼任していたため、随伴者は同公爵と枢密院議長ビューロー伯ディートハルト両名が務めた。後世、権臣が権力を壟断していた場合、式次第を改定させて、資格の無い者が随伴する事例も生じた。

 

② ジギスムントは、重要な国家式典を執り行う「黒真珠の間」に移動。列席した文武百官と枢密院議員を前にして、皇帝の玉座に置かれた黄金の冠(皇帝の表象)を手に取り、自らの頭に被る。そして、双頭の鷲を彫刻した国璽(支配権の表象)を群臣に対して掲げ、ゴールデンバウム家の新当主として、銀河帝国皇帝に即位した事を宣言。列席する群臣が「皇帝万歳!(ジーク・カイザー!)」と三度唱和する事で、その即位を祝福した。

 

 ③ 皇帝に即位したジギスムントは、群臣に向かって即位詔書を朗読。その後、新皇帝としての治世方針を明らかにするため、施政方針演説を行った。この時、ジギスムントが朗読した即位詔書の内容は、その時の政治情勢の影響を受けて、皇帝ごとに多少の異同は生じたが、基本的には末帝カザリン・ケートヘン1世の戴冠式まで継承されている。また、新皇帝として、戴冠式の最後に施政方針演説を行う事も、慣例として受け継がれた。公開された新史料中に、ジギスムントの即位詔書と施政方針演説の原稿が発見されたので、全文を引用する。

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