【概説】ゴールデンバウム朝銀河帝国史:第2巻「拡大期~強堅帝ジギスムント1世」   作:旧王朝史編纂所教授

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第7節 帝国軍人ケッテラー兄弟①~その為人と軍歴

 このヴィンクラーを補佐、シリウス・共同体方面軍所属の地上軍を統括したのが、初代の地上軍総監を務めた故ケッテラー上級大将の長子イザークと、次子フェルディナンドの兄弟である。

 

 父親を深く尊敬する両名は、長じると当然の如く帝国軍人を志望、それも父親と同様、地上軍勤務を望んだ。

 任官当時、先帝ルドルフが遂行した平定戦役の最中で、周囲は地上中央軍への勤務を勧めたが、無辜の臣民を害する共和主義勢力の撲滅こそ、帝国軍人の責務だと考える2人は、周囲の反対を押し切って、敢えて最前線に赴任。父親ハンス・ゲオルグは「息子ではあるが、成人した以上、本人の意志に委ねる」として、一切の口出しをしなかった、と云う。

 

 父親譲りの才幹の持ち主で、献身的な戦いぶり、上官や同僚への礼儀正しさ、部下や兵士達への労りなど、数多くの美点に恵まれ、忽ちの内に頭角を現した。負傷した兵士を助けるため、再び死地に飛び込むなど、その慈悲深さから「仁将」とも称された。反面、共和主義勢力への仮借無さも父親と同様で、共和主義者と見なせば、女子供や老人を処刑する事も辞さなかった。

 

 帝国暦34年、父親ハンス・ゲオルグが死去すると、兄イザークが爵位を継承。同時に、シュタウフェン派の幹部、また地上軍を基盤とするケッテラー派の領袖ともなり、中央地上軍の要職を歴任。弟フェルディナンドは兄の補佐役を一貫して務めると共に、派閥領袖のノイエ・シュタウフェン公の斡旋で、特に子爵位を与えられ、分家(ケッテラー子爵家)の当主となった。

 爵位持ち貴族の家に生まれた兄弟は、後継者の地位を巡って骨肉の争いを展開する事も珍しくなかったが、イザークとフェルディナンドの2人は、幼少期から死去するまで、強い兄弟愛と信頼関係で結ばれていた。後世、兄弟仲が良い事を例えて「ケッテラー兄弟の様だ」との言葉さえ生まれている。

 

 ルドルフ崩御時に起こった、皇女カタリナを首謀者とするクーデター未遂事件「二月事件」では、帝国宰相ノイエ・シュタウフェン公の片腕として、クーデター派の逮捕と粛清に尽力したと見られる。その功績で、兄イザークは、クーデター派の一員だったアイレンブルグ少将に代わり、帝都防衛司令官に就任。弟フェルディナンドは、兄の後釜として、地上中央軍・第3軍団長に着任している。

 ルドルフ崩御直後という時期、クーデター未遂事件の余燼が未だ漂う中、帝都に駐屯する大兵力の指揮権を委ねられた事からして、ケッテラー兄弟に対するノイエ・シュタウフェン公の信頼ぶりが窺えるだろう。

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