今回は華音がやってくれやがりました
ニヤニヤせずにはいられない
「殺す」
えっ、えっ、なんでお前がここに・・・
アーーーーーーーッ!!!
-------龍明-------
「なあ、龍明、お前はなんでヴァンデモン軍の方に居たんだ?」
太一さんがこちらを振り向き後ろ向きで歩きながら俺に話しかけてくる
やはり、同じ選ばれし子供が敵側に居た理由が気になるのだろう
「すいません、まだ完全に信用に足りると分かった訳じゃない、まだ、言うわけにはいきません」
俺は太一さんから目を逸らし質問への返答を断る
しかし、まだ完全に信用したわけでは無いのは事実だった
もし、簡単に全てを教えて、ヴァンデモンに寝返られたりした時にはたまったものじゃない
そのリスクを考えるとどうしても話すわけにはいかなかった
「そうか、まあでも信用に足りたら教えてくれよ。」
そう言って太一さんは再び前を向き歩き出す
すると一番前を歩いていた華音が立ち止まりゲートの出口を開く
「太一さん達はここでゲートを出て、ここで出れば君たちがここへ来るときに居た場所に戻れるはずだから」
そう言って華音はゲートに手をかざしたまま全員が通れるように道を開ける
「やった、帰れる、帰れるんだ!」
将来ハゲそうなメガネが今にもほろりと涙が溢れそうな嬉しそうな顔でゲートに入ろうとする
すると今度は袖捲り金髪長ズボンがハゲメガネの肩を掴んで半ば無理やり引き止める
「待てよ、丈!こいつは俺たちを殺そうとしたやつだぞ!?簡単に信じるなよ!」
「ヤマト・・・で、でも帰れるかもしれないんだぞ!」
ハゲメガネは丈、金髪長ズボンはヤマトというらしい
二人は今にも怒鳴りあいそうな気配を出しながらまだ静かに言い合う
さすがに選ばれし子供達がいくつかに分かれてしまえばヴァンデモンに勝てなくなる
「あの時点で、君達を殺す気はありませんでしたもしあの時、恐怖を与えてしまったのなら謝ります、すいませんでした」
俺は2人の喧嘩の仲裁をしながら、謝罪をする
「そんなこと言ったって信じられるかよ!お前みたいな強いやつが死ぬかもしれないっていう恐怖なんかわからないだろ!」
俺はその言葉を聞き逃すわけにはいかなかった
まるで自分だけが死の恐怖を知っているかのような言い方だった
「俺のことが気に入らないならさっさと1人で闘って死ね、周りの奴らを巻き込むな
第一に俺だって死ぬ寸前まで行ったことがある
お前だけが死の恐怖を知っているような口を利くな
俺のことが許せないなら殴ったって構わない
その代わりに信用してもらう
こんなところで言い争ってる時間がもったいない」
俺は目元に力を入れヤマトさんを睨みつける
そして、ヤマトさんに静かに忠告のように話す
するとヤマトさんは突然俺の首元を掴んで頬を殴ってくる
さすがにいきなりだったため倒れてしまう
「ああ、じゃあ殴らせてもらうよ!」
そう言って俺に馬乗りになりもう一発頬を殴ってくる
だが正直にいうと人間のパンチなんか痛くもない
子供なら尚更だ、どこを殴られようが痣すら残らない
「くそっ!!くそぉっ!!!」
未だに顔を殴ってくる
次第に少しずつ、少しずつヤマトさんの目に涙が浮かんでくる
「これで、気は済みましたか?
気が済んだのなら早くゲートを通って現実世界へ行ってください。そして、次の日に太一さんの家に集まってください。その時に話をします」
俺はそう言い無理やりヤマトさんを押しのけ立つ
ヤマトさんはすぐに立ち上がり涙を拭いゲートを通る
みんなハッとしたような表情でその後すぐに丈さんがゲートに入り次に青いヘルメット(?)を被った女の子とお嬢様風の女の子が二人で同時にゲートを通る
次にパソコンを持った子がゲートを通る
パートナーデジモンたちもパートナーと一緒に入っていく
「悪いな、龍明、ヤマトも悪い奴じゃないんだ」
太一さんは俺に向けて軽く会釈しヤマトさんの代わりに謝る
「いいえ、どうせダメージはありません、それよりも一つ気になるんですが・・・」
俺は頬を触りながら太一さんに呟く
そして、太一さんに疑問を尋ねる
「太一さんは、なんで俺たちの事を簡単に信じるんですか?」
俺は頬から手を下ろし太一さんの顔を指差す
「正直言って、あなたが一番疑わしいんですよ」
俺は太一さんを細目で睨み鞘に入れた刀を突きつける
すると太一さんは鼻で笑い面白いものを見たと言った表情で肩を竦める
「そうだな、強いて言うならお前と何度か遊んだ事があるから、かな?」
太一さんはニッと爽やかな笑顔を浮かべ俺の肩を叩く
俺はそれを見てから太一さんに突きつけた刀を下げる
「なるほど、いい理由ですね」
俺は薄く笑みを浮かべそう言う
それを見届け太一さんは会釈だけしてゲートに入る
それと一緒に太一さんのパートナー、アグモンもこちらを見て手を振りゲートを通っていく
「なあ、華音」
俺は現実世界へのゲートを閉じた華音に話しかける
すぐに華音はこちらを向き何?といった表情でこちらを見てくる
「俺がこれから起こす行動は・・・一体なんのためなんだろうな?」
俺は両手を胸の前で開き、手の平を見つめる
自分の手はもう汚れきってしまっているのだろうかと不安になってしまう
もう、最初にこの作戦を実行するために覚悟は決めたはずなのに・・・
急に手が震え始める
手の震えが止まらない
すると俺の手の上に華音の手が乗せられる
そして顔を上げると華音は優しい、とても優しい笑みを浮かべていた
そして、こう言った
「自分のことは自分で決めるもの、龍明がしたことは私にとっては正しい事だった。他の誰かがなんて言っても、私は龍明の事を正しいと信じ続けるよ」
そう言って華音は顔を下ろし回れ右をしてまたゲートを歩き始める
「・・・・・・そうだな」
不思議ともう手の震えは止まり、代わりに心が何かで満たされた
やっと、解放されたような気がした
華音の言葉で心に絡み付いていた不安ががすべて消え去った
「さあ、龍明、帰ろう!私達の家に!」
華音は初めて見るような笑顔で俺の手を掴み引っ張ってくる
俺は華音に手をひかれるままにゲートを通る
ゲートを通り抜けると目の前には長らく見ていなかった自分の部屋があった
部屋の中は明るく久しく見た光が目に滲みる
「帰ってこれたか・・・」
俺は久しぶりの現実世界の空気を思いっきり吸い込む
とても気持ち良かった
軽くなった心が澄み渡る
「とりあえず、今日はゆっくり休もう、明日太一さん達と話すんでしょ?」
華音は大きく伸びをして大欠伸をしながら俺に提案してくる
もちろん最初からそのつもりだが
「あ、そうだ、じゃああのペア無料の券持って遊園地行ってくるか」
俺はふとあの時華音に渡されたチケットの存在を思い出し、案として出してみる
すると華音は突然火が出そうなほど赤面する
「え?い、嫌だったか?」
俺は華音の突然の急な変化に驚き少しこの案を実行することを躊躇う
しかし華音は言葉を出さずに首を左右に振る
んー・・・よくわからないな・・・
「女心はね、複雑なのよ、龍明?とりあえず早く遊園地に一緒に行ってあげなさい」
俺は母さんの言葉にそれもそうだなと納得す・・・!?
「・・・え?いつからいた?」
俺は母さんを凝視し質問を投げかける
正直言って確実に俺は今アホみたいな顔をしているだろう
しかし、さすがにいきなり現れた母さんには驚きを隠せない
「えーと・・・遊園地に行こうっていう下りからかな?」
良かった・・・もう少し早かったら危なかった・・・
俺は母さんに秘密を知られなかったことに胸を撫で下ろす
もし俺たちがデジタルワールドに行っていると知られたら確実に母さんは止めるだろう
危険だと言って
「じゃあー・・・行くか?華音」
まあとりあえずという感じで考えるのはやめて華音に行くかどうかを尋ねる
「え!?あ、うん!」
かなり慌てた様子で華音は返事をする
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「あ!龍明、今度はあれ乗ろうよ!ジェットコースター!」
華音はすっかりいつも通りの調子を取り戻しジェットコースターを指差しながら俺の腕を引っ張る
華音はこのためだけに服を着替えたらしくいつもなら絶対に着ない服装になっている
白いレースのようなスカートに青のチェックのシャツ、その上からジャケットを羽織っている
言うなれば女の子らしいと言うのだろうか?
俺に関してはそれに合わせて着替えさせられVネックの無地の長袖シャツ、少しきつめのジーンズをベルトで締め、シャツの上から二の腕までの袖のジャケットを重ね着させられた
「俺、こういう服苦手なんだけど・・・」
俺はシャツの首元をつまみ苦笑いしながら呟く
すると華音がおもいっきり近づいてくる
「いいじゃん!とりあえず、早くジェットコースター乗ろうよ!」
そう言って華音はまた俺の腕を引っ張りジェットコースターのほうへと引っ張る
しかし、俺はジェットコースターに乗るのを少し躊躇ってしまう
実は龍明、こう言った、俗に言う絶叫マシンの類が大の苦手なのである
「はーやーくー!」
華音はさらに力を強めて引っ張る
もう俺はなす術もなく無理やりジェットコースター乗り場へと連れて行かれそして無理やり乗せられる
あとはもうわかるだろう
俺はジェットコースターに耐えられず半分放心状態になった
そして華音は苦笑いをしながら少し休もうと言った
その話が出たため俺たちは休もうとしてベンチに座った
「じゃあ俺は飲み物でも買ってくるか、ちょっと待っててくれ、何が飲みたい?」
俺は華音に飲み物を尋ねる
「うん、じゃあ適当に選んできてよ」
華音からの飲み物のリクエストを聞いてから俺は華音に休むように言ってふらつく足で近くの自販機に飲み物を買いに行く
-------華音-------
「うーん・・・無茶させすぎちゃったかなぁ・・・」
私は龍明にしてしまったことを少し反省する
しかし、やってしまった以上どうにもならない
そんな感じで少しこの後のことを考えていると突然話しかけられる
「君、どうしたの?迷子にでもなったの?」
突然中年くらいだろうか男性が声を掛けてくる
私は少し迷い正直に話す
「えーと、ちょっと人を待ってるんです」
すると突然男性は私の手を掴む
すると軽く私の腕を引っ張りこう言った
「まあ、さすがにここで待ってるのも暑いでしょ?僕の車の中で待ってれば?」
突然よくあるような誘い方をしてくる
なんなのだろうかこの人は?
俗に言う変態というやつだろうか?
それとも誘拐犯なのだろうか?
「すいません、人を待ってるんで」
私は男性の手を振り解き少し距離を取る
すると男性は少しずつ近づいてくる
こいつやばい人かな?
男は近づき手を伸ばしてくる
そして私の手が掴まれる
その瞬間龍明が間に割り込み男性の手を掴む
そして龍明は不敵に笑う
「ずいぶんと、犯罪慣れした手つきじゃないか?」
-------龍明-------
「ずいぶんと、犯罪慣れした手つきじゃないか?」
俺は男の手を掴み男を睨みつける
男は少しイラついたような表情を浮かべ俺にパンチを入れてくる
しかしデジモンたちの速さではない
簡単に防ぐ
しかし突然蹴りが腹に入る
「ぐっ!?」
男が俺の腹に蹴りを入れたのだ
そして後頭部を思いっきり殴られる
「・・・・・・いってーな」
仕返しと言わんばかりに腹に思いっきりパンチを入れる
すると男は腹を押さえて蹲る
その隙に華音を近くの木の陰に隠れさせる
「お前、邪魔するなよ!」
そう言って男は思いっきり襲いかかってくる
男は右手を握り拳を振り抜いてくる
再びパンチを見切り避けるしかし次の攻撃は左手の攻撃だった
しかしただのパンチではなかった
左手にはナイフが握られていた
「くそっ!」
避けられない
そう悟り先に男を殴る考えに変え行動に移す
先に攻撃に成功したほうが勝つ
「喰らえ!」
俺の攻撃が一手早い
そう思い油断してしまったのがいけなかった
予想していなかった男がこっちの攻撃を避けるという事が発生したのだ
避けられてしまえばもうどうしようもない
体は向こうのナイフへと飛び込んでしまう
諦めて目を瞑る
次の瞬間にはナイフの刺さる感触が腹に広がる
そう思っていた
しかし、その感触はいつまで経っても襲ってこない
俺は恐る恐る目を開ける
「子供相手にずいぶんと物騒なものを持っているじゃないか」
目の前にはコートを羽織った俺の父親、鉄 迅が男の手を掴んで止めていた
「じゃ、邪魔するな・・・」
次の瞬間には男の顔に強烈な蹴りが入り男の顔が凹み地面に体を擦りながら転がる
そして男は気を失ったのか動かなくなる
「龍明、随分と男らしくなったじゃないか」
父さんは優しい笑顔でこっちを見て、そう言った
「さて、俺はもう帰るかな、じゃ、6時までには帰れよーそれから、あとの時間は楽しく過ごせよ!」
父さんはそう言って海軍なんかがする敬礼のポーズをして遊園地の出口に向かって歩いていく
「・・・まさか父さんが来るとは・・・」
俺は華音を最初に休ませておいたベンチに華音と並んで座っていた
俺は母さんにしか話していなかったためまさか父さんが来るとは予想していなかったのだ
少し驚いた
華音は未だに口を閉じたまま、あまり喋ろうとしない
こいつがそんな感情を持つとは思えないが怖かったのだろうか?
「華音、大丈夫か?」
俺は華音の体調を案じて声をかける
「うん、龍明、ちょっといい?」
華音はこっちを見ずに俺に頼み・・・だろうか?を話し始める
「ちょっと・・・目を閉じてて?」
華音は変な注文をしてくる
そして俺は華音の言われるままに目を閉じ少し黙る
すると頰に柔らかい感触が走る
「龍明、今日は・・・ありがとう」
華音は赤面をしながら俺に感謝の言葉を述べる
「お、おう?」
俺は何をされたのか分からず動揺しながら答える
すこし曖昧な答えになってしまった気がした
ん?まてよ、こいつまさか次にするイタズラのために・・・?
突如背中に寒気が走る
原因はわからなかった
華音のするかもしれないイタズラに恐怖を感じたのか、それともイタズラをする手助けをしてしまったことによって起こるその後のことに不安を感じたのか
未だに俺には全くわからなかった
その後俺たちはベンチから立ち上がり帰路に着いた
-------華音-------
・・・まあ、いいよね?
こんな形だったけど・・・きっと気付いてくれるよね?
エテモンにもあとでちゃんとお礼を言っておかなきゃなぁ・・・
私はようやく普通の女の子のようになれた気がした
龍明と会うまではずっと男の子と同じような生活だったから
龍明の家族になれて、本当に良かった
さっき言ったありがとうにはその意味も込められていた
砂肝は消滅しました