初夢を見ました
硝煙の立ち昇る戦場に送り込まれる夢を・・・
-------龍明-------
七色の光が晴れると暗い島のような場所にいた
全員が一体ここはどこなのだろうと辺りを見回してみる
そして俺はすぐに気付いた
「ここはファイル島だ」
気付けた原因はムゲンマウンテンだった
あの山は俺が切り崩したため側にひっくり返った山が突き刺さっていたはずなのだ
「この黒い森がファイル島の一部だと・・・」
「!?」
太一さんが何か言っている途中で突然地面が崩れる
落ちながらアグモンとガブモンはワープ進化をしてウォーグレイモンとメタルガルルモンへと進化する
そしてすぐにヤツの声が聞こえる
「フフハハハハハ!」
あいも変わらずイラつきを誘う笑いをあげ背中の剣で斬りかかってくる
「デクス!翼を頼む!」
俺は体内に居るデジモンの名前を呼び赤い翼を生やし、ピエモンの剣を腰に下げた刀を抜き受け止める
硬質な音が鳴り響きガチガチと刃同士がぶつかり合い火花を散らす
「よお、久し振りだなァ!」
俺はピエモンに怒鳴りピエモンの腹部に蹴りを入れ右手の刀を逆手に持ち替えピエモンの肩に突き刺す
しかし、ピエモンは不気味な笑みを浮かべたまま怯みすらしない
「!?」
「ヒャハハハハハ!」
ピエモンの蹴りが俺の脇腹を抉るかのように捻りこまれる
そして突然ピエモンが消える
すると真っ暗闇の部屋の中へと落ちる
「なんだったの?龍明君は何も来てないのにいきなり刀を振り回すし」
ミミさんが何事もなかったかのように立ち上がる
しかしミミさんの言葉に疑問を持った
幻術にでも掛けられたのだろうか?
そんなことを考えていると背後から聞いたことのない子供の声が聞こえる
「誰だ!」
ヤマトさんが怒鳴りメタルガルルモンが攻撃を仕掛ける
しかし平然とそれを避け地面にひょいと降りる
「はぁー、全くこれだから短気な子は嫌なんだ」
右手にハンマーを持った木の人形のようなデジモンは呆れ顔で左手の手のひらを上に向け首を横に振る
小馬鹿にされているような感じでイラっとする
「早くっ、落ちちゃえよ!」
すぐに人形は地面にハンマーを振り下ろし地面を崩しさらに地下へと落とされる
そして今度は油臭い湿った空気の漂う部屋へと落ちる
「今度は何が出るか・・・」
子供達は全員で一点に集まり背中を合わせて立つ
暗闇の中で背後を取られれば危険と察したのだろう
「集中砲火!」
突然低いトーンの声が響き周りから大量のミサイルが現れこちらに向かって飛んでくる
「伏せろっ!」
メタルガルルモンが叫び全員が反射で伏せる
その瞬間周りでミサイルが全て撃墜されたのだろう
爆風が頬を撫でる
すると再び地面が崩れさらに地下へと落とされる
「ここは・・・コロシアムか!?」
めんどくせーなーと思い寝転がったままでいると太一さんが驚いたような声で叫ぶ
おれが起き上がると同時に奴らは現れた
「やあ、選ばれし子供達諸君」
そう言ってピエモンが紳士ぶった礼をする
それと同時に地面が砕け2匹の龍が現れる
1匹は硬質な金属、恐らくはクロンデジソイドで出来た機械的な装甲を纏っており、背中に付いている巨大な砲身が特徴的だった
もう1匹は全身が金色の装甲こいつも恐らくはクロンデジソイド製の装甲を纏っているのだろうドラゴンだった
鼻に付いている鋭いツノとその真下にある大きな砲台のような鼻の穴が特徴的だった
「うそ、ムゲンドラモンと、メタルシードラモン・・・?」
華音はそう言って驚いたような表情をしながら冷や汗を流す
どうやらこの2体はムゲンドラモンとメタルシードラモンというらしい
「みんな、僕にはなーんにも言わないんだ」
突然頭上近くから声がする
声がしたと思った方向を見てみれば先程の人形が柱の上に座り込んでいた
「僕はピノッキモン」
ピノッキモンが自己紹介をすると同時に太一さんがいきなり口を開く
「嘘をついたら鼻が伸びそうな名前だな、お前のあだ名嘘つきでいいか?」
これを聞くとピノッキモンはすぐに目を吊り上げ口を大きく開いて怒声をあげ始める
「はあ!?ふざけんなよ!なんで僕が嘘つきって呼ばれなくちゃいけないんだよ!僕は生まれてから一度も嘘をついたことはないし嘘をついても鼻は伸びないって僕のばあちゃんが言ってたぞ!」
ピノッキモンがそう怒鳴ると彼の鼻が二回に分けて伸びる
「はははは!嘘つくなよ!伸びるじゃねーか!やっぱりお前のあだ名は嘘つきで決まりだな!」
太一さんが中腰の状態で太ももをバンバン叩き大笑いをしながらピノッキモンを指差し言う
するとピノッキモンはとうとう怒髪天に来たのか喚きながらこちらへ飛びかかってくる
「あんまり挑発に乗るんじゃない、ピノッキモン」
冷静さを欠いているピノッキモンとは対照的な常に冷静なピエモンがピノッキモンの首根っこを掴んでピノッキモンを引き止める
「まあ、お前達にはここで死んでもらうがなぁ」
ピエモンはそう言うと殺気を放ち構えてもいないのに隙が全てなくなる
周りには緊張した空気が走りのんびりとした空気だったのが少しでも動けば殺されるような空気へと変わった
冷や汗が流れる
すると突然空から静寂を切り裂きながら何か黒い物体とボロボロのフード付きマントのフードを被った人が落ちてくる
黒い物体は恐らくランスと思しき形状をしていた
しかし、穂先の形が少し普通の槍とは違い先端に刃が突出していた
「一度だけ、お前たちを助けよう、巻き込まれないうちに逃げるんだな。」
そいつは低いトーンの声で恐らくは男と考えられた
そしてそいつはその見るからに重そうな槍を軽々と持ち上げ槍を肩に担ぐ
「誰だ?お前は」
俺は刀を構えながら男に尋ねる
「俺はエ・・・と、いや、ミカドだ」
何か言葉に詰まったが男は少し思案し自分の名前を名乗った
そしてピエモン達を睨みつける
「・・・よし!逃げるぞ!みんな!飛べるデジモンは進化して飛べないデジモンと俺たちを乗せて逃げるぞ!」
そう言ってすぐに太一さんはウォーグレイモンをアグモンにヤマトさんはメタルガルルモンをガブモンに退化させる
そして空さんはピヨモンをバードラモン、ガルダモンと、光子郎はテントモンをカブテリモン、アトラーカブテリモンと進化させそれぞれ背中に乗せ飛び上がる
「逃がすか!」
ピエモンが3本の剣を投げつけてくる
しかしミカドの槍が3本の剣全てを弾きピエモンへと返す
それと同時に背後の土が盛り上がりピエモンの残りの一本が飛び出す
しかしミカドはそれを読んでいたのかフードを切り裂くまでに抑えた
そして、フードの中からは赤い髪と頭の右側だけに生えた龍のような角が現れた
-------The third person view-------
「ったく、フードダメにすんじゃねーよ」
そう言って槍を構えピエモンに突進する
もちろんピエモンも馬鹿ではない
横に避け剣をミカドの肩目掛けて振り下ろす
ミカドはそれに一瞬で対応し槍で軌道をそらす
「ムゲンキャノン!」
ムゲンドラモンが必殺技であるムゲンキャノンを放つ
しかしそれをミカドは躱しもせず地面に槍を打ち込み気で全てをかき消し吹き飛ばす
そして再び槍を担ぐと高速で移動し姿を消す
「「「「どこだ!」」」」
4体が背中を合わせ同時に叫ぶ
「ここだよ」
彼はそう呟き四人の背中合わせの陣形に出来た隙間、つまりは四人の真ん中へと現れたのだ
「ウゥラァァ!」
彼はとてつもない力で槍を振り回し4体を吹っ飛ばす
「くっ・・・」
「ぐあっ」
「痛っ」
「!?」
4体がそれぞれのリアクションを出しながら四方向に分かれ今度はミカドを取り囲むような形になる
するとミカドは再び槍を担ぎ高速移動をし、姿を消す
「こいつ、機動力と決定力を兼ね備えてやがる・・・」
ピノッキモンは辺りを見回しながら冷静さを徐々に欠きはじめる
それが隙を生んだ
「まずはお前だ」
そう言って突然現れたミカドはピノッキモンに槍の先端を押し付けると柄についているトリガーを引く
そしてピノッキモンの体がビクンと大きく痙攣し動かなくなる
「ピノッキモン!?お前・・・何をした!」
「別に、ウイルス弾撃ち込んだだけだよ」
ミカドはそう言って硝煙を吐き出し続ける槍を肩に担ぐ
「それから、お前らには遅延性のウイルス弾を撃ち込んでおいたから」
ミカドがニヤリと笑う
その瞬間にピエモン、メタルシードラモン、ムゲンドラモンがその体を揺るがせ地面に伏せる
ミカドの撃ち込んだウイルスが体中に回ってきたのだろう
ピエモンは頭を抑えながら嘔吐を始める
「ははは、ダークマスターズなんて羽虫が帝に勝てると思ってるのか?」
ミカドはそう言ってピエモンを見下す
「赤、角、帝・・・お前まさか!」
「それ以上は喋るな」
ミカドは何かを喋ろうとするピエモンの頭を先程よりも強く踏みつける
ピエモンは堪らず呻く
その時のミカドの目は龍のような鋭い眼光を宿していた
-------龍明-------
「・・・逃げ切れたみたいだな」
太一さんは砂漠が切れ、緑地に入ったところで地面に降りるよう合図した
森はそこまで深いようではなかった
川も幅が広く流れが緩やかであまり高い場所ではないらしい
潮の匂いもすることから恐らくは海も近くにあるのだろう
「海が近くにありそうだな。見通しがいいし、海に出るまで進もう」
太一さんはそう言って進み出す
俺もここで別れるのは得策ではないと判断し太一さんの後ろをついていく
するとみんな疲れたような表情を浮かべながらゆっくりとついてくる
やはりみんな疲れが溜まっているのだろうか
だとすれば海に出たら俺が近場の森の地下に拠点を作るべきだろうか
そう考えながら歩いていると視界が開け、海の青が目の前に広がる
「よかった海に出られた・・・」
太一さんはそう言って眩しそうに目を細める
そこで俺はすぐに太一さんに耳打ちする
「拠点を作っておきます。
なので早くみんなを木陰で休ませてやってください」
そう言い残して急いで森に戻り拠点を作りに行く
「・・・まずは気が必要か、一本根元から引っこ抜いてっ」
誰に言う訳でもなくそう呟き木を一本引っこ抜き刀で角材くらいの太さで切る
「次は穴っ!」
腕をデクスの力で変換し鋭い爪で地面を半径7m程、深さ4m程まで地面を一気にくり貫きうえに円の縁の所々に溝を掘りそこに角材を埋め込む
「次はビニールシートを敷いて、上から土を被せて一部を入り口として開けて上に草を植えれば・・・完成だな」
見事に拠点とは分かりづらい拠点が出来た
そして拠点より数十cm外側に杭を離して4本地面の中見えなくなるまで押し込み上から土を被せ結界を張る
「こうすれば恐らくは平気だろう・・・」
そして立ち上がり走ってすぐに太一さんたちの元へと急ぐ
そこまで遠くはないためすぐに着いた
着いてどこにいるのかを調べるため見回してみると全員近くの木陰で木を囲むようにして眠っていた
「仕方がない、運んでやるか」
そう呟いて腕をデクスの腕に変換しと9匹と9人を同時に鷲掴みにして持ち上げ拠点まで運び拠点に着いてからは一人一人、一匹一匹丁寧に起こさないように運び込んだ
そして運び終わり一息をついていると一人の青年のことが思い浮かんだ
「・・・ミカドさんは大丈夫かな」
自分達を助けるためにダークマスターズ4体の前に立ちはだかった青年が気になってしょうがなかった
「ダークマスターズ・・・俺たちじゃあまだ及ばないのか・・・」
悔しさを感じているのだろうか自然と拳に力が入る
生暖かい液体のような物が指を伝って落ちていく
どうやら力を入れて爪を強く立てすぎてしまったらしい
血が流れ出ていた
脳裏に彼の最後の言葉が浮かんだ
自分達を庇って死んだヴァンデモンの言葉が
「分かってる、だけど力が足りてないんだ・・・強く、なるから・・・必ずこのセカイを・・・」
もう日は沈み始め外は夜の帳に包まれ始めていた
「もう夜か・・・とりあえずもう寝ようか。」
疲れている体を休ませるため座ったまま刀をすぐに手に取れる場所に置いたまま眠りにつく
ヴァンデモン、悪いな
必ずお前の願いは達成するから。
あの時の誓いは必ず果たすから。