中将「強いぞ」副官「嘘ですよ」   作:偽馬鹿

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多分これ以上視点が増えることはないかと思います。


ルシフ「できたぞ」ツルギ「不思議ですね」

拝啓、わたしを売り飛ばしやがったお父さんとお母さん。

いかがお過ごしでしょうか。

幸せに暮らしてたら殺しに行きます☆

 

まあそんなどうでもいいことはともかく。

わたしは今、ルシフという名の神様がいる島でお世話になっている。

なんと、この神様は島を作ったり新しい植物を作ったりと、中々神様っぽいことをしているらしい。

 

だったらどうしてわたしを助けてくれなかったのと詰め寄ると、まだ神様になって間もなく、人類を掌握できていないのだと言った。

本気で返事しなくていいのに。

 

 

 

ゴッドルシフが善良な神だとわかったわたしは、これまで行えなかった訓練というものをすることにした。

ここなら追手も気にすることはないし、何より善人が多い。

わたしが適当に訓練しているだけで、的確な剣の振り方や戦い方を教えてくれる人までいる。

恵まれている。

これまでが恵まれていなかったともいえるけど。

 

 

 

とにかく、わたしは強くなりたかった。

理由は一つ……麦わらの一味に入りたいから!

だってそうでしょ。

ONE PIECEの世界に生まれて、これがやりたくない人間がいるだろうか。

 

 

 

……いるかもしれない(神様を見ながら)。

 

 

 

とにかくだ。

わたしは一年という時間をかけて鍛錬に励み、覇気を扱えるようにまで成長した。

 

……一年で覇気を覚えるなんて異常?

いや異常だ。

ルフィだって一年半かかったのに、この速度はヤバい。

何か理由でもあるのかな……?

 

 

 

……まあいいや。

原作知識について相談できる仲間も増えたことだし、わたしは今最高の環境にいる……!

 

 

 

とはいったものの。

わたしは救われた身であり、この島に恩返しをしなくちゃいけない。

何かできることはないかなーと探している最中だ。

 

あの神様が言うには「勝手に救われろ」という話らしいけれど、それはこっちの知ったことではなく。

救われたと思ってしまったから、もうあの人はわたしにとって救世主なのだった。

いや、わたしたちにとっては、だった。

 

とにかく。

わたしはわたしなりの恩返しをしなくちゃいけないのだ。

わたしは剣に覇気を纏わせて振る鍛錬を終わらせて、思考も中断する。

そろそろご飯の時間である。

いやはや本当にお世話になりっぱなしだ。

 

そんなお世話になっている人たちを放っておいて旅に出るのは、果たしてどうなんだろうかと。

その辺りをご飯を食べながら悶々と考えていたのでした。

 

 

 

「行けばいいのではないですか?」

 

相談していたのは、わたしと同じように原作知識を持っているツルギさん。

相談した結果、このような台詞を返されたのだった。

心なしか馬鹿にされている気もする。

 

「でも、やっぱり恩返ししないのは駄目だと思うの」

「あの人はそういうの求めてないと思いますが」

 

神様のことは私が一番知っています風に喋るツルギさん。

いやまあ、一番長く一緒にいるのは分かるんだけど。

それが一番相手を知っていることになるかは分からないよね。

……口には出さないけど。

 

「じゃあ何を求めてるの?」

「信仰ですね」

「信仰……?」

 

妙な話だ。

信仰を求めるというのはどういうことなんだろう。

もしかして、本当の神様になる気なのかな……?

 

「もしかしてあの人の食べた悪魔の実にそういう効果が?」

「ないですね」

「ないんだ!?」

 

衝撃の真実だった。

効果がないのにそれを求めるというのはどういうことなんだろう。

まさか趣味……?

 

……ありえそう。

 

「というかあの人の食べた悪魔の実って……?」

「ツヨツヨの実です」

「ツヨツヨ?」

「ツヨツヨです」

 

ツヨツヨなんだ……。

 

 

 

悪魔の実……。

食べれば凄い能力と引き換えに泳げなくなるという実。

なんか凄い逸話とか何とかがあった気がするけど忘れちゃった。

 

流石にこんな島にあるわけがないので、わたしも諦めているけれど。

もし手に入ったら食べようと思ってる。

わたしじゃあ他の人達みたいな能力を持っていない人みたいな考え方とかできないし。

 

とにかく強くなりたい!

そうじゃないとついて行けないもんね……。

 

 

 

「……もしですよ」

「はい?」

 

ぐぬぬ、と考えていると、ツルギさんが小さく囁いてきた。

この人の声癖になるんだよなあ。

可愛いのに無機質というか。

 

それはともかく。

なにやら相談事があるらしいツルギさん。

何々ーと耳を寄せると、とんでもないことを口にした。

 

 

 

「あの畑に悪魔の実が生えているとしたら、どうします?」

「……はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にあった……」

 

その日の夜。

わたしは畑の中の言われた場所に立っていた。

そこには、ぐるぐる模様のいかにもまずそうな実が生えていたのだった。

 

……地面から直に。

 

「なんで……?」

 

この畑はツヨツヨの実の影響を受けたせいで変な物が生えてくるようになったらしい。

作物だけならともかく、牛やら馬やら木の実やら。

究極的にはこの悪魔の実なのか。

これは隠しておきたいなって思いました。

 

『あの人、下手すると食べそうなので……』

 

なんてことも言っていたけれど。

もしそうならさっさと食べるか売るかしておきたい。

 

「だからってわたしに食べさせるかな、普通……?」

 

とはいえわたしにとっては嬉しい話。

ありがたくいただいておこう。

 

 

 

……しかし。

この悪魔の実はどんな実なのか。

割と怖い。

 

どんな能力を手に入れるにしても、弱くなることはないらしいけれど。

それはそれとしてどんな能力か事前に知っておくことが出来ればいくらか心の準備ができるのに。

それができないのだ。

まるでガチャを引く気分だ。

 

だけど。

できれば綺麗だったりした方が嬉しいなって。

わたしだって乙女だ。

綺麗なものに憧れたりする。

処女じゃないけど。

 

 

 

「ともかく。いただきまーす……」

 

直に一口。

まずい。

ゲロまずだった。

この世のものとは思えないまずさだった。

 

だけどこれで、わたしも強くなった……のかなあ?

ちょっと実感できない。

それにどんな身体になったのかもわからないし。

 

 

 

というわけで悪魔の実は海に流して……と。

もったいない?

あれを全部食べるのはごめんだ。

まずいにもほどがある。

 

それでは布団に入ってお休みだ。

このまま外に出て変なところで暴走、なんてなったらたまったもんじゃない。

今日は休んで、明日からどんな能力なのか確かめるんだ。

 

 

 

「というわけで、結果が出ました」

「はい」

「おおー!」

 

パチパチ、と無表情で拍手をしてくれるツルギさん。

周りのみんなは大声でいいぞー! とか言ってくれてる。

みんな知ってたんだね、この悪魔の実のこと。

 

とにかく、朝起きてから色々と試してみた結果が出た。

なんともいやはや、嬉しい話。

思っていたよりもわたし好みの悪魔の実でした。

 

 

 

「―――――風見方向(エアリード・エア)!」

 

変形、そして叫ぶ。

すると、わたしの身体を通り抜ける風がわたしの場所を知らせてくれる。

いやまあこの島のど真ん中なんだけどここ。

 

 

 

トリトリの実、モデル風見鶏。

それがわたしの食べた悪魔の実だった。

 

鳥じゃないじゃん!

と最初は思ったけれど、なんだかんだ悪魔の実。

すぐに活用方法もわかった。

 

何せ風向きを把握できる。

それも正確な速度、向き、そして規模もだ。

こんなの、航海をするには最適の能力じゃないか。

 

 

 

ただ問題はあった。

つまるところは戦闘能力だ。

風見鶏というからにはただ風向きを知るための装置だ。

それをどうやって戦いに応用するのか。

 

これに関しては、ツルギさんの『粉を撒きましょう』という台詞でなんとかなった。

なったのかな……?

まあいいや。

多分なった。

 

人型、獣型、獣人型。

このみっつのフォルムを使い分けるのが、動物系の悪魔の実の基本……だと思う。

とにかく変身だ。

わたしにはそれしかない。

 

 

 

ちなみにだが。

人型がこのわたしそのままの恰好。

獣型が風見鶏そのまま。

獣人型は機械の翼が生えて空を飛べたらいいな……って言う感じ。

 

翼は生える。

だけど今のわたしではカタカタ動かすことしかできない。

役に立つんだろうか、これ。

 

 

 

とにかく。

わたしは無事、悪魔の実デビューを果たしたのであった。

問題は山積みだけど。

 

 

 

「となると、ベルちゃんはここを出るのか?」

「はい。まあ、ドラゴン様の役にも立ちたいので」

 

祝勝会的なものを上げてくれたお兄さんが聞いてきたのでちょっと考えて返事をした。

そうだ、ドラゴン様に恩返しするのもわたしのしたいことだ。

だけどそれよりも麦わらの一味に入りたいという思いもある。

というかそっちの方が強い!

ファンなんだもの。

 

 

 

というわけで。

わたしは旅に出るのです。

 

「さらさらさらーっと」

 

書き置きをひとつ。

我ながら達筆だ。

行ってきますとだけ書かれたそれを、わたしは神様の寝床に一番近いテーブルに置いた。

 

 

 

「さてと……行ってきます」

 

夜遅く。

わたしは誰にも知られないように飛び立った。

 

そう、飛べたのだ。

なんか頑張ったら飛べた。

獣人モードで。

 

 

 

……獣モードでは翼は欠片も動かなかったけど。

 

 

 

というわけで飛び出した。

いざゆかん、冒険の海へ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで、どこに向かって飛べばいいのかな?」

 

 

 

 

 

 

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