中将「強いぞ」副官「嘘ですよ」   作:偽馬鹿

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猫は割と喋りますね(実体験)。


ルシフ「美味いぞ」ツルギ「んもー」

○月○日晴れ

島に戻ると何やら祭りが起こっていた。

副官ちゃんに聞くと、どうやら海賊を撃退したらしい。

驚きである。

強くなったなお前たち、と褒めてやったら感涙された。

なるほど、褒めれば伸びるタイプか。

今度食料たちにやってみよう。

 

追記

牛の胴体が伸びた。

 

 

○月□日晴れ

猫が来た。

しかも喋る奴。

尻尾が二股なので、なるほどこいつは猫又だと確信した。

今度からキャットフードを準備しておこう。

 

と思ったら副官ちゃんに連れていかれた。

結構前から飼っていたらしい。

教えてくれても良かったのに。

 

追記

猫又ではなかったらしい。

 

 

○月▼日雨

NEO海軍なる団体が上陸した。

何やら海軍とは似て非なる存在らしい。

別に敵対する理由もないので歓迎した。

もはやここには海賊はいない。

いるのは俺の信者だけだ。

 

 

○月☆日晴れ

NEO海軍のゼファーとやらが面会に来た。

海軍の在り方について聞かれた。

あってもいいんじゃない? とだけ答えた。

そうか、とだけ言って帰っていった。

何が言いたかったのだろうか。

 

 

□月○日晴れ

ビッグ・マム海賊団なる団体が押し寄せてきたので撃退した。

ちょっときつかったが、死者は出なかったはずだ。

 

 

□月▽日雨

百獣海賊団に襲撃される。

撃退する。

死者は出ていない。

 

 

□月☆日晴れ

よく知らない海賊団が現れたので撃退した。

 

 

▽月○日晴れ

ビッグ・マムは倒さなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モーーーーーーー」

「……」

 

夜。

私は謎の作物が育つ畑に来ていた。

そう、畑だ。

 

「ンモーーーーーー」

「……」

 

畑、なのだけど……。

 

 

 

今現在、畑には謎の牛らしき生命体が生えていた。

生えているのだ。

地面から。

 

しかもそれの胴体が異様に長い。

8メートルくらいある。

埋まっているのは後ろ足。

 

これはまあ、いい。

よくはないけど。

 

問題は、ベルにあげた悪魔の実の他にも、悪魔の実が生えていたことだ。

しかも食べられた跡がある。

正確には齧られた跡ではあるけれど。

 

心当たりは、ある。

というかこの悪魔の実の形、そして匂いが魚に酷似していた。

ぐるぐる模様はあったけれど。

 

 

 

「サヤ、いますか」

 

自室に戻り、猫――サヤを呼ぶ。

返事はいつも小さい声での「にゃん」であるが、今回はそれがない。

別の部屋に行っているのか、もしくは……。

 

 

 

「やあゴシュジンサマ。お早いお気づきで」

 

 

 

……もしくは、こうやって私を待っているかだ。

 

 

 

「悪魔の実を食べましたね?」

「ですねぇ。チエチエの実です」

 

知恵のつく実ですよ、と笑いながら言うサヤ。

そのままなので分かりやすくて好みではあるけれど。

とはいえ本当にそれが事実なのか調べる必要はある。

 

「デビデビの実モデルベリアルとかではない、と?」

「おやおや、飼い猫を疑っておられる? これは心外」

「急に飼い猫が喋り始めたら疑います」

「それはごもっとも」

 

ぺこりと頭を下げるサヤ。

よく見れば尻尾が二又になっている。

まるで猫又のようだ。

 

 

 

「さて……サヤ、あなたは私たちの味方ですよね?」

「それはもう。ゴシュジンサマの為に身を粉にして働きますよ」

 

胡散臭い。

元々こういう猫だったのかそれとも悪魔の実のせいか。

後者であってほしい。

 

 

先日海賊を撃退したことで褒めてもらったのにこの失態。

とてもきつい。

いやつらい。

 

「問題ないですよ、ゴシュジンサマ」

「何がですか、サヤ」

 

にやりとしか言えない顔でこちらを見るサヤ。

胡散臭い。

どういうことだろうか。

あれだけ可愛かったサヤが、喋り始めるだけでこれだけ胡散臭くなるのか。

 

それはともかくサヤの次の台詞を待つ。

大丈夫とは言うが、それはどういうことなのか。

 

「あの人はどれも同じように大切な信者であると認識しています。故に()()()()()()()()()()()()()()()()()。そんな猫に意識を向けるわけないでしょう?」

「……」

 

それは。

果たして誰に向けての台詞だったのか。

 

理解したくはない。

理解したいとは思わなかったそれ。

それを叩きつけられてしまった。

 

「それは……」

「事実、でしょう? 何せあの人は誰も彼も大切にするが、それは優先順位がないからだ」

 

ぐうの音も出ない。

自分が頂点であることを除けば、ルシフさんは物事を平等に扱うようなそぶりを見せる。

それこそ、私たち部下の名前から出身地、家族構成までもしっかり覚えているくらいだ。

 

「あの人はあなたを愛していない。つまり、言いたいことはそれだけです」

 

そう言って笑顔をやめるサヤ。

ああいや、これは素の表情か。

これが本来のサヤであり、私の飼い猫だ。

 

 

 

「もしかしてサヤ……心配してくれていますか?」

 

思い至ったそれを口にすると、サヤはそっぽを向いた。

なるほど、そういうことか。

 

私があの人に愛されていないことを知って悲しませないように、今のうちにばらしてしまおうと思ったのだろう。

まあこの時点でそれが失敗しているのは明白なのだけど。

だってもう好きだし、あの人が。

 

「安心してください。私はあの人を好きなので、好きなまま死にます」

「それはそれは……まあ、あまり入れ込み過ぎないようにとも言えないねぇ」

 

その通り。

最早この身はあの人が好きで好きで仕方がない。

入れ込むという段階を越えている。

 

当然と言えば当然。

私の生まれた世界はここではなく日本であり、世界を越えて壊れた少女の身体に取りついた亡霊のようなそれであって。

 

それでも私は、あの人の救われて。

あの人は私を救い、その中でこの少女の心を救ったのだ。

多分。

 

 

 

「そこはしっかりと断言して欲しいね」

「何せ確認する方法もありませんので」

 

というわけで私はこんな感じであの人と接することになる。

どうせ私のことを好きにならないだろうけど。

どうせ私のことを適当にあしらうだろうけれど。

それでも私はあの人が好きだから。

 

 

 

「ところでサヤ……あなたはどうしてそんな喋り方を? 女の子ですよね?」

「こちらにも色々と都合がありまして、ね」

 

にやりと笑うサヤ(雌推定三歳数か月)。

理由とは一体何なのか。

 

 

 

「(嘘かもしれないですね)」

「(嘘なんだけどねえ)」

 

 

 

それとは全く関係なく。

私たちは胴の長い牛をしっかりと調理して食べたのだった。

味は普通のそれと変わりませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ここにいましたか」

「おや、ゴシュジンサマ」

 

数日後、ルシフさんの自室に潜り込んでいたサヤを回収しつつ、島のパトロールをすることにした。

何せ海賊団と海兵が合流していて、かなりの大所帯になっているのだ。

不満不平が溜まっているかもしれない。

そういう細かいことはルシフさんは苦手だろう。

 

というわけで私が何とかする必要があるのである。

 

「あ、ご主人様」

 

そう思っていたら、リーアがとことこと歩いてきた。

そうだ、こういう時は手分けをした方がいい。

 

 

 

ということで。

私が海軍側を、リーアが海賊側にアンケートを取りに行くことになった。

何か不満があるかを匿名で書き込んで入れるだけの意見箱だ。

これを各所に設置するだけであるが、知っている人間がいる方が設置もしやすいだろう。

 

「というわけでお願いね」

「了解しましたご主人様!」

 

そういえば、リーアは何時まで私のことをご主人様と呼ぶのだろうか。

気になったけれど、まあ悪い気はしないので放っておくことにした。

 

 

 

「……ゴシュジンサマは鈍感だねぇ」

「?」

 

 

 

暫く後。

意見箱を見回って紙を集めて回ったのだけど。

 

「なるほど……」

 

特に不満不平ということはなさそうだ。

最大の問題が『作物の混沌化が激しいからなんとかしてくれ』くらいだろうか。

私にはどうしようもないことだった。

 

「それでどうしますかご主人様?」

「そうですね……」

 

あとは嗜好品が少ないという問題もあったか。

酒類などがないのは、なるほど盲点であった。

 

 

 

しかしだ。

ルシフさんに頼むと、出てくるのは地面に直に生えたビール樽とかになってしまう。

なんとか外と交易をする必要が出てくるのだが……。

 

ここで問題がいくつかある。

まず第一に私たち海軍は外に出ることが出来ない。

何故なら国際指名手配犯だ。

ルシフさんの部下全員も指名手配されているとしても不思議ではない。

 

それと同時にリーアの海賊団も駄目だろう。

天竜人をぶった斬った女の海賊団だ。

部下の顔を知られていても不思議ではない。

 

 

 

ではどうするか。

 

 

 

「ご主人様!」

 

考えがまとまる前に、リーアが声を上げた。

何事かと思えば、遠くには船。

反転した海軍のマークにドクロを重ねて、それらを上から剣で貫いたロゴマークを掲げていた。

 

 

 

……NEO海軍だ。

 

 

 




ベリアルのような喋り方をした女の子(雌三歳数か月)
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