中将「強いぞ」副官「嘘ですよ」   作:偽馬鹿

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男が夢を語る時はちょっと熱くなるものですよね。
ルシフ中将もそういう男です。
多分。


中将「師匠だ」副官「敵ですよ」

○月□日晴れ

今日は師匠に会う日だ。

師匠と言っても、一月ほど一緒に暮らしただけの相手だが、俺にとっては師匠なのだ。

神の話を聞いたのもそのころだ。

 

しかし。

師匠は探さなければ見つからないのに、探したらあっさり見つかった。

どういうことだったのだろうか。

だが、見つかったはいいものの、会う時に条件を付けられてしまった。

俺と1対1で話がしたいのだという。

 

追記

師匠の名を聞いて、副官ちゃんが倒れた。

 

 

 

○月○日雨

どうやら師匠に会う日は決まって雨らしい。

不思議なものだ。

 

しかし懐かしい。

変わらず強そうで、中々男前だ。

それに何やら軍を率いているというではないか。

なるほど、俺と一緒か。

そう言ったら違うと言われてしまった。

何が違うというのだろうか。

 

追記

本当に違った。

 

 

○月▼日雨

今日は俺の能力の訓練の初日だ。

能力者は想像力で強くなるような存在だとかなんとか。

いや、自身の能力が悪魔の実に到達した時に覚醒する、だったか?

あまり難しい話は覚えていない。

 

だが、なんとなく分かった。

悪魔の実は……いや、俺はまだまだ強くなれそうだ。

神を越えて、創造主にでもなれるのではないだろうか。

 

追記

神と創造主は大抵一緒の扱いであり、俺の姿は天使に近かったらしい。

 

 

◇月○日雨

今日で訓練も終わりだ。

今日からいつも通り、海賊を狩ったり反乱因子をつぶしたりしなければならない。

師匠も捕まえなくてはならない存在だったらしい。

 

何せ、反乱因子の親玉だ。

捕まえなければ、海兵ではないとも言われた。

 

師匠の名はドラゴン。

反乱軍のトップ、ドラゴンであった。

 

追記

反乱軍に誘われたが断った。

 

 

■月▼日曇り

副官ちゃんに殴られたが、帰ってきた。

一週間ほど留守にしたのがいけなかったのだろうか。

お土産に最新のスイーツを手渡したらちょっとだけ機嫌がよくなった気がするが。

 

それはともかく。

俺は新しく様々な知識を得た。

というか神の存在を知った。

 

神は本当にいたのだ。

しかし、その神の子孫は腐ってしまっているらしい。

よくわからないが。

 

天竜人とは何かと尋ねれば、決まって口を閉ざす。

副官ちゃんもそのひとりだった。

 

だが俺は知った。

奴らは神の子孫なのだ。

だから偉いと勘違いしている。

 

神は凄い存在だが、偉い存在ではない。

俺はそう思っている。

 

 

追記

俺の為に買ったチョコレートがない。

 

 

▽月□日晴れ

何だか知らないが海軍本部に来いと言われた。

呼ばれたので行ってみたら、大将が3人そろっていた。

びっくりした。

副官ちゃんが怖がっている様子だった。

 

3人が言うには、大将の座についてほしい、ということだった。

何故俺なのだろうか。

いやまあ俺は強いのだが。

恐らく大将よりも強いのだが。

それでも疑問だった。

 

俺は海軍にとって割と面倒臭い存在だ。

その自覚はある。

だからこそ、俺は東の海にいた。

 

だが、今更大将だ。

中将でも偉いし、強いらしいが、大将は格が違うらしい。

でも何故だろうか。

俺が地位に拘っている男に見えたのだろうか。

だとしたら心外である。

 

 

追記

副官ちゃんが泣いていた。

 

 

□月○日晴れ

割と首になる覚悟で言ったのだが、海軍は俺を中将のままでいさせた。

何故だろうか。

よくわからないが、まあラッキーということにしておこう。

部下もいるしな。

 

部下も中々強くなっていた。

アラバスタで別れてから本気で訓練したらしい。

いやまあ、それまで手を抜いていたわけでもなく。

ただ単に学ぶ相手が増えたことが大きいのだろう。

 

俺は最高の神になる。

そのためにはまず人が必要だ。

 

 

▽月☆日晴れ

バスターコールに呼ばれた。

なんか凄い集まっていた。

強そうな連中だ。

まあ俺の方が強いが。

 

しかし、狙う相手は海賊の一味だけであり、その一味の中のひとりに至っては生け捕りにしろという。

バスターコールは難しいことを言う。

いや、バスターコールが言ったわけではないのだが。

 

しかし、ふたを開けてみれば驚いた。

なんと、バスターコールの矛先は麦わらの一味だったのだ。

海軍の戦力をぶち込む相手だと認識されているのだ。

俺も天竜人を越えた神になると宣言したら追われることになるのだろうか。

まあ、その方法が未だに掴めていないのだが。

 

 

追記

麦わらの一味とタイマンした。

俺が勝った。

 

 

更に追記

ガープ中将に全力で殴られた。

 

 

☆月○日晴れ

ガープ中将と麦わらのルフィは家族だったらしい。

驚いた。

そしてドラゴンが麦わらのルフィの父親だという。

さらに驚いた。

 

驚かされてばかりだから俺も驚かせようとしたら、みんなが必死になって止めたのでやめた。

何故だろうか。

俺は最高の神になると言うつもりだっただけなのに。

 

 

追記

おやつがない。

 

 

☆月□日晴れ

麦わらの一味を追えと言われたので追うことにした。

しかし途中で見失ったので、仕方なくログが示すであろうシャボンディ諸島に先回りした。

 

あそこには天竜人が歩き回っているらしい。

不思議な感覚だ。

神の子孫である彼らがどれほど腐っているのか、この目で見る必要があるかもしれない。

俺は聞いただけだ。

見たことはない。

百聞は一見に如かずとよく言う。

 

だから一度だけ会いたいと言ったのだが、副官ちゃんに泣いて止められてしまった。

仕方ない。

諦めて遠くから見物するだけにしよう。

 

 

☆月□日曇り

副官ちゃんがいない。

これはまずい。

副官ちゃんは悪魔の実の能力者であるが、未だに覇気は使えないしそこそこ程度しか強くない。

何かが起これば負ける可能性もある。

 

急がなくてはならない。

計画を早めよう。

 

追記

先1月分のおやつがなかった。

 

 

☆月○日雨

俺は新世界の神になり、世界を救うことにした。

 

 

○月▽日曇り

麦わらの一味が消えた。

誰かの指金である可能性があると副官ちゃんが言う。

副官ちゃんが言うのだ、その通りなのだろう。

 

しかし困った。

俺は新世界の神になるために強い奴らと戦いたいのに、海軍であることが邪魔するようになってしまった。

だが、やめるわけにはいかない。

 

海賊になる?

駄目だ。

それでは神にはなれない。

 

革命軍になる?

それも駄目だ。

神を殺したいわけではない、なりたいのだ。

 

ならばどうする。

 

 

□月○日晴れ

国を作ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルシフ中将の師匠という人間には候補があった。

当然ではあるが数多くの海兵を育て上げたゼファー。

破天荒ではあるが英雄と名高いガープ。

今の地位で可能性が低いがあり得るのはセンゴク。

 

……その中でも、ルシフ中将の知識のちぐはぐさを考えると、ガープが師匠である可能性が高いと踏んでいた。

 

「師匠には俺一人で会うことになった」

 

しかし、この状況は予想していなかった。

何故だろう。

海軍が海軍に会うだけならば、サシで会う必要はない。

何か相手方に大きな障害があるのだ。

 

そして、私は次の台詞に死ぬほど驚かされた。

 

 

 

「俺の師匠はドラゴンという」

 

 

 

……???

 

 

 

目が覚めたらルシフ中将がいなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、私たちはガープ中将の元を訪れた。

理由はただ一つだ。

強くなりたい。

ルシフ中将の足手まといになりたくなかったからだ。

 

私たちは弱い。

ルシフ中将がどれだけ強くても、私たちが弱かったらそこを崩される。

私たちが傷つけば、あの人はきっと悲しむだろうから。

 

「強くなりたいか……あの小僧の為に?」

「はい」

「いいよ」

 

軽かった。

だが訓練は過酷だった。

 

何度も挫けそうになった。

しかし、私はルシフ中将の副官だという気持ちだけでやりぬいた。

あの人の副官になるために死に物狂いで頑張った時と同じだ。

それを繰り返しただけなのだ。

 

 

 

そして、ルシフ中将の部下である海兵たちも、その訓練を乗り越えた。

脱落者はいない。

全員が全員、気合で乗り切った。

あの人のために強くなるのだと、励まし合いながら強くなったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今帰った」

「……!」

「む……」

 

 

殴った。

しかし、ルシフ中将に堪えた様子はない。

私たちよりもさらに強くなっていた。

悔しいが、これは才能なのだろう。

 

しかし、それと同時に安心した。

ルシフ中将は帰ってきてくれた。

海軍をやめないでいてくれた。

私たちを選んでくれたのだ。

 

 

 

ルシフ中将は神になると言った。

それは今のところ私と麦わらの一味だけが知っていることだ。

しかしそれは、天竜人に弓引く行為に他ならない。

そんなことをすれば無事で済むわけがないのだ。

 

それを行うならば、革命軍に入ることが手っ取り早い。

それこそドラゴンに会っているというのだ。

直談判もできるだろう。

そして海軍をやめることもできたはずだ。

 

それなのに、私たちの元に帰ってきてくれた。

嬉しい。

とても嬉しい。

 

 

 

だがそれだけだ。

私たちは未だに足手まとい。

弱い。

弱すぎる。

 

ならば言うしかないだろう。

置いて行ってくれと。

私たちはギブアップすると。

 

確かに、今までの私たちよりはかなり強くなった。

下手な将校になら負けない自信がある。

 

しかし、それだけなのだ。

新世界に旅立つにはあまりにも弱い。

自覚してしまった。

諦めてしまった。

 

 

 

「行くぞお前たち」

「え……?」

 

 

 

それは、私たちに向けた言葉だった。

嬉しい。

この上なく幸せな一言。

 

だがそれでも。

頷くわけにはいかなかった。

 

 

 

「……私たちは弱いです!」

「……」

「わかっています! あなたの足手まといだと!」

「……」

「だから私たち……船を降ります!」

 

それが一番正しい。

そうすれば海軍の本部も彼のために優秀な部下をそろえるだろう。

東の海から来た中将でも、今は貴重な戦力だ。

遊ばせておくはずがない。

 

「そうか……」

「……!」

 

そうだ。

失望してくれていい。

私たちはあなたのために身を引く。

邪魔にならないようにする。

 

だから……あなたはあなたの道を―――――

 

 

 

 

「―――――俺は、最高の神になると誓った」

 

 

 

 

―――――そして私たちは、新世界の神の降臨に立ち会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界に神はいる」

 

羽が生える。

あの時と同じ12枚羽だ。

 

「何故ならば、その証拠がある」

 

だがそれだけではなかった。

ルシフ中将の肉体が、黒く、黒く染まっていく。

 

あれはなんだ。

ツヨツヨの実の能力なのか。

あの実は強くなるだけではなかったのか。

 

「ならば、俺が新しく神になってもおかしくない」

 

完全に黒く染まったルシフ中将は、腰に携えていたサーベルを引き抜いた。

そのサーベルは、ルシフ中将の身体と同じように黒く染まる。

一瞬だった。

そして。

 

「俺は誓った。かつての友に」

 

そして言う。

 

「俺は誓った。お前たちの為に」

 

そして言う。

 

「俺は誓った。未だ見ぬ俺の信者たちに」

 

そして言うのだ。

 

 

 

「―――――俺は、最高の神になる!」

 

 

 

身体が震えた。

恐怖ではない。

様々な感情が入り混じっていたが、それはとても心地のいいものだった。

 

 

 

「神は愛する! その信者たちを!」

 

 

「神は愛する! 全ての民を!」

 

 

「神は愛する! 例え愛されなかった者たちでさえも!」

 

言う。

言う。

言う。

 

それは、私が欲しかった言葉だった。

しかし、ちょっとだけ違う言葉だった。

 

愛している。

それはとても素敵な言葉だ。

 

何故ならそこからさまざまなものが生まれるからだ。

夢、絆、命。

本当に色々なものだ。

 

 

 

「だが神にはやはり信者が必要だ」

「祈りをくれる誰かが必要だ」

「その最初の信者には……お前たちになって欲しい」

 

 

 

ああそれは。

とても心地のいい言葉で。

泣いてしまうほど嬉しい言葉で。

 

 

 

「そこまで言うのなら……し、仕方ありません! もう降りるなんて言いません!」

「そうか」

 

くしゃりと、頭に手を乗せるルシフ中将。

ああ、あんな姿になってもその手のぬくもりは変わっていない。

ルシフ中将はルシフ中将のまま、神になるのだ。

 

 

 

―――――いや、私たちがそこまで押し上げるのだ!

 

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