○月○日晴れ
神なので島を作ることにした。
無人島を開拓するのもいいが、それだと神様っぽさがない。
なので神様らしく創造することにした。
無理だって言われた。
怒ったので本気を出してみた。
ツヨツヨの実の能力を試すチャンスでもある。
とりあえず海底火山に使ってみたら凄い勢いで爆発して島ができた。
代わりに海流が変わって大変なことになった。
追記
おやつが2倍減ってた。
○月▽日晴れ
そういえば女の子を拾ったのだった。
名前はリーア。
堕天海賊団の船長だったらしい。
らしい、というのは本人が語らずに副官ちゃんが言っていたからだ。
元の海賊団に戻すことは不可能だろう。
それほどのことをしたからだ。
しかも原因が俺なのだ。
保護するし守るし戦おう。
○月×日晴れ
火拳のエースの公開処刑があった。
大事件らしいが、それよりもバギーという名前が頭に残って仕方がなかった。
あいつは大物になるな。
しかしだ。
麦わらの一味は根性がある。
あの状況下から船長が処刑場に突貫するとは。
俺も負けていられないな。
追記
何か怒られた。
○月☆日晴れ
海賊が現れたのでここに暮らしてみないかと聞いてみた。
するとあっさり暮らすことを選んだ。
何か理由があったのだろうか。
もしかしてリーアの率いていた海賊団だったのか。
その辺りは分からないので副官ちゃんに投げる。
俺は新しい国民にあげるご飯について悩まなければならない。
追記
ツヨツヨの実は植物にも効いた。
□月○日晴れ
食事には困らなくなったので、次は何をするべきか。
水に関しては時間がかかりそうだ。
今のところ買い出しに行く連中に人員を割いている状態だ。
水は重要なのだ。
追記
雲にも効いた。
□月□日雨
そろそろツヨツヨの実に関しての話を書いておくべきかもしれないと思って筆を執った。
何せ、何でも強くする実だ。
その応用方法はいくらでもある。
欠点は、生み出すという行為はこなせないということだ。
簡単に言えば植物を強化できるが、植物そのものを生み出すことはできない。
この辺りは覚えておく必要があるだろう。
武装色の覇気との併用で、戦闘力は格段に上がる。
見聞色の覇気も併用できる。
覇王色の覇気は鍛えることが難しいらしく、俺は未だに習得できていない。
あと肌艶が良くなる。
追記
副官ちゃんとリーアから詰め寄られた。
何故だろうか。
□月▽日晴れ
ドラゴンがこの国に元奴隷を匿ってほしいと言ってきた。
当然了承した。
別に師匠だからとかではなく、見捨てるのが後味悪いからである。
労働力として働かされていた人間に、観賞用やらなにやらで使われていた人間や、そもそも人間じゃない何かもいた。
口々に元の島に帰りたいというのだが、それだけは暫く待って欲しいと言った。
何せ奴隷だったのだ。
そんな人間やら何やらが一気に押し寄せたとしたら、疑いの目を向けられるのは当人たちである。
ほとぼりが冷めるのを待って欲しい、ということだ。
少女が一人、強くなりたいと言ってきた。
ドラゴン様の役に立ちたいのだという。
何かをしたいという人間を無下に扱うわけにもいかない。
その少女を鍛えてあげることにした。
追記
最近副官ちゃんの視線が痛い。
□月☆日晴れ
成長期なのか、少女はメキメキと強くなっていく。
名前はフィロート・D・ベルだとか。
Dとは何かと聞いても、誰も知らないと言う。
不思議な文字だ。
▽月○日晴れ
ベルが旅立ってしまった。
書き置きもあったが、どこに向かうとかも書いていない。
見つけに行くか?
しかしこの島を離れていいものだろうか。
相手はベル一人だ。
それに人員を割くのもおかしいだろう。
しかし他の人に聞いたところ、問題はないとのこと。
何かあれば連絡するとも言っていた。
俺の超強化電伝虫があれば遠くまで電波が届く。
つまりは問題はないということだ。
ならばお言葉に甘えて探しに行こう。
なあに、作物の強化は暫く続くし、水もかなり溜まっている。
大丈夫だろう。
追記
ベルが速攻で賞金首になっていた。
▽月□日
麦わらの一味が出たらしい。
2組ほど。
面倒臭いので規模の大きい方を爆破した。
弱かった。
よく見たらベルが麦わらの一味と一緒にいた。
仲間にしたらしい。
ベルも嫌々ではないようなので、送り出すことにした。
「島を作る」
「は?」
自分の洗濯物を洗っているときに、ルシフさんがそう言った。
島を作ると申したか。
島を開拓するではなく、作ると。
あたしことリーアはルシフさんと出会ってあまり時間が経っていない。
もしかして、そういう能力を持っているのだろうか。
振り返ってご主人様の方を見ると、首を横に振った。
ないっぽい。
だったらどうして急にそんなことを言い始めたんだろうか。
「……島を作るには何が必要だと思いますか?」
「大地だ」
「……………では、大地ができるには何が必要ですか?」
「噴火だ」
「……………………無理ですね」
ルシフさんとご主人様が話している。
ご主人様、頭抱えてる。
それはそうだ。
だって無理だもん。
火山が噴火すれば島ができると言ったけれど、まず火山がある時点で島として成立している。
海底火山を噴火させて島を作ろうとしているとすれば、それまでに何百年かかることか。
そりゃあ頭も抱える。
「しかしだ」
「無理です」
「ツヨツヨの実の力で」
「無謀です」
「火山を強化して」
「あきらめましょう」
いや無理でしょ。
あたしでも分かる。
文脈からして海底火山を強化して噴火を引き起こそうとしているのだろう。
そもそもが海底。
悪魔の実の力が届きにくい。
そんなこと分かるだろうに。
しかし、ルシフさんは不服なようだ。
むすっとした表情で座り込んだ。
……いや、いつも無表情で分かりにくいけど、多分むすっとしてる。
暫く航海を続けていると、都合がいいのか悪いのか、海底火山が近くで噴火したらしい。
海面が泡立っている。
熱くなっているのだろうか。
その周囲に魚が浮かんでいるから、多分そうだ。
「……よし」
すると、ルシフさんは何かを決心したかのように立ち上がり、宙を舞った。
羽を生やして本気モードだ。
本気モードの存在はご主人様に教えてもらった。
……いやまさか。
本気でやるつもりなのだろうか。
実は馬鹿だったとか?
ありえそうで怖い。
「え、まさか本気ですか?」
羽が光ってる。
あれは本気っぽい。
「一応船の方は離しておきますか?」
「そうしましょうか」
とはいえ、本当に島を創造されてはたまらない。
失敗に終わるだろうそれの為にわざわざ船を動かすのもどうかと思ったけど。
しかし……なんか嫌な予感はする。
バチバチと紫電を奔らせて両手を広げるルシフさん。
全身が黒く染まり、強力なエネルギーが集まっている……ような気がする。
覇気って見えないですからね。
武装色ならともかく。
「
あ、海に向かって何か撃った。
そして海中で爆発。
ズゴゴゴゴゴ、と凄い音がしてる。
……まさか。
「全員! 全力で退避します!!」
「了解!」
と言っても、船はそんなに早く動かせない。
そうなれば……火山の噴火に巻き込まれるのは必然。
そう考えた瞬間、海底火山が爆発した。
「馬鹿! 馬鹿なんですかあの人!?」
「半分くらい否定できません!」
「全部否定できないんだ!?」
火山が噴火している。
あの時のトラウマが再発しそうになったがそれどころでもなかった。
何せ恩人がぶっ放した一撃だ。
最早訳が分からない。
「あの人はどうなってるの!?」
「無傷ですね!」
「ずるい! 頭おかしい!」
面舵取舵全力でぶん回して、溶岩の塊を回避する。
当たれば火災、そして轟沈だ。
それだけは避けたい。
というより避けないと駄目だ。
折角生き残れたのにこんなことで死ぬなんて御免だ。
「あああああもう!
使うまいと思っていた、あたしの悪魔を呼び起こす。
小さな手帳。
それに記された手順をこなすと、悪魔が力を貸してくれる。
悪魔の実の力……じゃない。
もしかしたらこの手帳そのものが悪魔の実を食べたのかもしれないけど。
とにかく、この手帳には不思議な力があるのだ。
「守護の悪魔よその力を!
ガシャンガシャンと音が鳴り、海面から壁が生えてくる。
それによって、降り注ぐした火球を受け止める。
代償は、ご飯を3杯おかわりする。
……お腹周りが心配だ。
それはともかく。
どうにかこうにか火球の山を凌ぎ切ったあたしたち。
そして、海中から現れたそれなりに大きな大地。
本当に島作っちゃったよあの人、
ルシフさんはその様子を見て満足そうに頷いている。
ため息しか出ない。
ふと横を見ると、何故かチョコレートを食べているご主人様。
あ、そのチョコレート高級ブランドの奴。
一度も食べたことないんだよねー。
そう思っていたら、包みを一つ渡してくれた。
食べていいの?
頷くご主人様に感謝しつつ、あたしはそのチョコレートを口にする。
……美味しい。
そして、ぐらりと船が揺れる。
もしかして船底に火球が当たったのだろうか。
そう思って辺りを確認したら、海流が変化した結果大変なことになったらしいことが分かった。
そりゃそうだ。
あれだけ大きな島が出来上がったのだ。
変化が起きないはずがない。
「この馬鹿ー!!!」
大揺れする船をどうにか操りつつ、あたしはルシフさんに恨み節をぶつけるのだった。