才能『野比のび太』なオリ主inリコリコ   作:明暗キレイ

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リコリコ後追い勢ですが、つい書きたくなりました。

誰もが一度は思いつくような考えを垂れ流したものです。


異動…左遷なの?
「最弱の赤服」左遷される


東京某所。

とある高層ビルの屋上、普段なら誰もいないような場所に、女子高制服風の赤い服を着た一人の少女がいた。

「…指令、指示を乞う」

耳についているインカムに手を添える。

そこから静かに女性の声が答える。

『…方位そのまま。15秒後に標的が現れる。任務を遂行しろ』

「了解」

静かに通信を終わらせると、背負っている鞄から取り出す。

手に持っているのは拳銃。

少々青みのある黒髪を一つにまとめて眼鏡を掛けている…文学少女然とした姿からはあまりにもかけ離れた代物を、慣れた手付きで確認する。

風が髪を優しく靡かせるなか、瞳を瞑る。

一度深く深呼吸。

「…早く、終わらせよう」

つぶやいて、眼を開ける。

ベルトに通しているポーチからからマガジンを取り出して、差し込む。

2度拳銃を握り直した後にゆっくりと構え、ただ一点を見つめて…その時を待つ。

「3…2…1…」

パァン!!!

一発の重い銃声が響く。

一つの銀灰色が東京のビルの間を駆け抜ける。

弧を描くようでありながら、ビルの角に向かって直進する。

その場にはまだ、誰もいない。

地面に当たるその数瞬前に、影が通る。

射線上の地面に銃創はなく、ただ赤色の池が出来上がっていた。

…数秒後、インカムに手を添える。

「任務完了、これより帰還する」

『了解』

その一言をもって通信は切られた。

大きく溜息を吐きながら、ズレた眼鏡を指で戻す。

「…また使っちゃった」

そう言って拳銃からマガジンを取り出す。

隙間を見て数を数える。

「残り8発かぁ…言うことはちゃんと聞いてるし、お願いすれば大丈夫だよね」

少し冷や汗を流しながら、いそいそと銃に抜いたマガジンを差して鞄に入れる。

その抜いたマガジンをポーチに戻す。

「さて、帰ろ」

そう言って扉のほうに足を運ぶ。

が、思った方向に行くことなく進む足が軸足に引っかかる。

「おぉっとぉ!?」

重心が揺らぎ、おおよそ元に戻せなくなるまで体が倒れていく。

手で支えることも体の位置を変えることもできずに、

「いでっ…」

さも芸術のように転んだ。

「ぅう〜…」

少し涙目の彼女は立ち上がって、ひりひりとする肘を摩りつつ、ズレた眼鏡のままビルを後にした。

「もうやだぁ…」

ちょっとした小言を残して。

 

 

「了解」

そう言ってインカムの通信を切ったのはDAの司令官の楠木だった。

「あの馬鹿、面倒なことを…」

そう言いいながら椅子に腰を下ろすと、目を瞑って

「…?」

司令官補佐は、任務を達成した彼女に対する第一声がまさかの小言であることが解らなかった。

「…なぜです?リコリス、それもファーストリコリスの中でもあれだけの距離を拳銃で一発で任務を達成したことは称賛に値するはずですが?」

「…それでタングステンの銃弾を使われてたらたまったものではないね」

タングステン。

軍事関係ではよく使用されることで有名な金属の一つ。その比重の重さから特に貫通力や長距離射撃に向いており、ライフル弾や砲弾の徹甲弾等の材質として使用されることが多い。

そこでようやく補佐官は気付いた。

「あの馬鹿は事後処理ってのを何も考えてないだけだ。いくらクリーナーがいるとはいえ、コンクリートに銃創が残る可能性があるようなことをされたら困るんだよ」

そういいながら不貞腐れるように頭を振る。

「…それでも、評価するに値します」

一拍置いて、

「約700フィート先から拳銃一発で即死させている事実を…無視できないと思います」

「まったく、手間のかかる娘だよ」

つぶやく姿の中に、少し穏やかな目になるところを見てしまった。

「とにかく、クリーナーを現地に向かわせろ。『きれいに掃除しろ』と再三言っておけ」

「…承知いたしました。そのように」

「…もう一つ」

「はい?」

「彼女に辞令を出す」

「…え」

その内容に一瞬の動揺と共に実行した後は、新たに現れる目標(ターゲット)の対処に追われるのであった。

 

 

 

 

時間は経って夜。

喫茶リコリコは閉店後に行われる常連さんとのゲームパーティーも終わって、そろそろ各自が帰宅の時間になる頃である。

仕事着からいつもの紺色に身を包みなおした井上たきなはカウンター席にて、ガラスコップ片手に一息ついていた。

「…元気にしてるかな」

横には年齢不詳にして幼女体型の天才ハッカーことクルミが足をばたつかせながら頬杖をしている。

「急にどうした?哀愁でも漂うようなことがあったのか?」

「いえ、そうではないのですが…少し思い出すことがありまして」

「なになに!たきなが思い出話!?」

そう言ってたきなの目の前で鼻息を少し荒くしているのは、現役最強リコリスと名高い錦木千束である。

「聞きたいなぁ~ねぇ教えてよ~」

ねぇねぇ~、と言いながら顔をそむけるたきなの目を見ようと大げさに顔を振り回す。

「もしかしなくても、そういうことなんじゃないの?あの場所なら日常茶飯事だし」

「一升瓶を振り回しながら言うもんじゃないと思うぞミズキ」

「いえ、その…別に死んだわけではないんです」

「じゃあなんだってそんなに言いにくそうにしてるのさ?」

「…あまりいい思い出がなくて」

「DAでいい思い出があるほうが少ないと思うんですけど~」

お猪口になみなみ注いで煽りながらごねる。

「ミズキ、酔っぱらいすぎだ」

「お前たち、遅くなるからそろそろ帰りなさい」

「「「はぁ~い」」」

奥からのバリトンボイスな店主の声に3人は生返事で答える。

「…で、どうなの?」

千束はイキイキとしている。

「その…」

「「「その?」」」

髪をいじるたきなににじり寄る三人。

「その人は…私と同い年でファーストリコリスになった人なんです」

「へぇ~結構優秀じゃん!」

「まさかあんた、その娘にバイオレンスでセンシティブなあれこれを!?」

「だから酔いすぎだ。ミカ、ぶっかける水をくれ」

「あとで自分から掃除するならいいぞ」

いよいよ体が左右に揺れ始めるミズキの姿を、苦虫を噛み潰した顔で見ながら水の件がうやむやになる。

そんな様子を気にすることもなく千束はさらに詰め寄る。

「で、実際はどうなの?その娘の顔は?身長は?あ、全体の印象は?得意なことは?苦手なことは?何か癖とかあった?他に何か特徴とかあった?」

たきなは俯いたまま両手で掴んでいるコップをゆらゆらと揺らす。

数秒の沈黙の後、静かに口に出す。

「彼女は…無能でした」

『……は?』

「まず身体能力は皆無でした。脚力がない。腕力がない。反射神経もない。集団行動もできない。注意力がない。座学もひどいものでした。そもそも全教科において基礎すらまともにできないなかで、字が読めない。読解力がない。計算ができない。記憶力もない。忘れ物はしやすいし、ズボラで、怠け者で、いい加減で、ルールを守れない人でした」

一呼吸置いて、

「だから…同期のリコリス候補や教官全員から『無能』といわれた人…です」

全員が呆気にとられた。

なんせ、あのたきなからしっかり『無能』と、人を蔑む言葉を発するのを聞くことが今までなかったから。

「……何をどう考えてもファーストリコリスなんてなれなさそうな人物像なんだけど?」

酔いが覚めかけているミズキが訊く。

「同感だ。常識が欠如しやすい環境にいるとはいえ、そこまで無能なら『処分』すら考えそうなものだと思うが?」

「…クルミ」

赤い顔のミズキが合わない焦点でクルミを睨む。

「可能性として、なくはないと思うが…どうせ違うんだろ?」

「そうそう、さっきファーストリコリスって言ってたじゃん。どうして?」

コップの縁をなぞるたきなに崩れない笑顔のまま訊く。

「…三つ、得意なものがあったんです」

パキッ

台所から小さく割れる音と共にミカがつぶやく。

「…しまった」

「なにぃ?さっきのおと~?」

「つい皿を割ってしまった。」

「ちょっと先生だいじょうぶ~?」

台所で握りこみすぎてひび割れた皿の破片が落ちないように両手で支えているミカに千束が近づく。

「…あぁ、問題ない。手を離せないからビニール袋を持ってきてくれるか?」

「おっけ~。さてビニールビニール…」

ビニールは何処へ~、と変にメロディを加えた奇妙な鼻歌と共に千束は奥へ戻った。

「…陶器が握って割れるのは初めて見たな」

「それで、その三つは?」

「一つはあやとり。二つ目は昼寝です」

「あやとりはともかく…昼寝が得意ってなんなんだ?」

「さぁ?何分自己申告なので」

「おいおい」

たきなの何の気なしに応える様子に呆れた表情をするクルミ。

「それで、肝心の三つめは?」

「銃の扱い、です」

パキィ!!!

握りこまれたことでさらに粉々になった皿の破片は舞うように床に散らばる。

「先生~!?どうしたの!?」

「…すまない。つい力が」

「夜に掃除機はいけないんだけどなぁ~…」

「…やるしかないな」

パタパタと、にわかに慌ただしくなった台所からの情報にアタリを付けるクルミはさらに、

「…リコリスとしてはいいことじゃないか」

「…それだけで済めば良かったんですが…」

そういいながらミズキに目線を送る。

「なぁによぉ?あたしは何も知らないわよ~?」

「そう、ですか」

「具体的に何がすごかったんだ?」

「そうですね、どんな銃でも射撃精度は変わらないことでしょうか」

「ふぃ~やっと片付いた~。で、話はどうなってる?」

「ちょうどいいタイミングです」

「ほえ?」

「この際なので千束に訊きたいことがあります」

「なに~?」

「600m先の目標(ターゲット)を一発でヘッドショットできますか?」

笑顔が急に鳴りを潜め、冷えた表情が浮かび始める。

「種類は?」

「ショットガンです」

「…弾は?」

「スラッグ弾、サボです」

一瞬の逡巡の後、

「…一度でも撃ったことのある銃なら、できなくはないかもね」

「ミカさんなら?」

「先生でも無理じゃないと思うけどな~…多分」

「そうですか…」

そういうと、ため息をついて伸びていた背筋を丸める。

聞きたくなかったかのように。

コップの底を見つめながら口を開く。

「あの人は、できたんですよ。一寸の狂いもなく」

「それも、2人同時に」

「射線が頭と心臓の両方が重なるタイミングになるように」

ミズキと千束の瞳孔が開く。

「他にもありますよ。奪ったリボルバーで15人を無力化、花火玉で軍用ヘリを撃墜、1000m先から未改造のアサルトで命中、クロスボウで銃口を塞ぐなど…とにかくいろいろやっていました」

淡々と告げられる逸話に、一同は若干引いていた。

「にわかには…信じられないな。理論上不可能なレベルの所業だぞ、それ」

「そんな子がいたんだ~知らなかったなぁ~。それマジ?」

「マジです」

「ん~……?」

一瞬、千束の脳内でぼんやりと何か引っかかるものがあった。

なんか全体的に暗くて、猫背で、よそよそしいやつがいたなという感覚。

そこから思い出が溢れるように蘇ってきた。

「あれぇ…!?あの子なんていうやつだっけ?」

「知ってるんですか!?」

「その活躍は知らないけどなんか引っかかるの!」

「何だったけな…。誕生日は確か8月7日で…眼鏡掛けてて…たきなの言う通りバカでズボラで怠けてて…いつも本ばっかり読んでて…そいつに私肩撃たれちゃって…」

こめかみに人差し指でぐりぐりしながら必死にベイカーベイカーパラドックスから抜け出そうとする。

「ちょっと待て千束」

「何さ~…」

「千束が撃たれたのか?」

「そうそう!ペンキ弾なんだけどね!あんにゃろう…銃は常に持っとけって教わったでしょうに!!」

「…あの人そんなに凄かったんですね」

「千束、たきな。そろそろ帰りなさい」

「ねぇ先生!」

「なんだ?」

「アタシに当てたヤツの名前覚えてる!?」

千束の言葉にミカは黙って、顔が翳る。

「…先生?」

「あぁ、覚えてるとも」

 

コンコン

 

ノック音が入口から響く。

全員が一斉に沈黙する。

全員が一瞬の目配せによる意思疎通でたきなが席を立って、いつの間にか両手で拳銃を持ってゆっくりとドアに近づく。

ドアの向こうからぼそぼそとつぶやく。

「あの…」

くぐもってはいるが、女性特有の高い声が届く。

耳打ちで千束から訊かれる。

「…何か連絡あった?」

「本部からは何も」

「じゃあアレはなんだっていうの?」

「…直接聞くしかないですね」

「おいおい…」

クルミが窘めようとするが時既に遅し。

「何用ですか?」

「えぇっと…多分、ここに用があるはずなんですが…ご存じでないですか?」

「…何のことですか?」

「そんなぁ~…」

「ほんとうに、何も知りませんか…?」

「…合言葉は?」

千束の眼が煌めく。

スパイモノの映画でよくあるシーンの言葉を生再現した瞬間に立ち会えたようで気分高揚中である。もちろんそんなものはない。口から出たただの出まかせである。

(反応次第では…)

サイレンサーを取り付けながら反応を待つ。

「えぇ!?えぇっと…何のことぉ…?」

そういいながらガチャガチャと硬いものがぶつかり合う音が鳴りだす。

「司令?あの…着いたはずなんですけど…ため息をつかれましても…ちょ、司令ちょっと!?」

「…切られた」

相手は司令を知っている?

リコリスか…?

「司令は何にも言ってこなかったし…そもそも何も教えてくれないし…」

影があからさまに項垂れながらさっきよりもより暗い声で、

「あの~…合言葉知らないんですけど…ここがリコリスの支部ってことで、合ってますか?」

一瞬で部屋く空気が重苦しくなっていく。千束ですらきれいな三日月の微笑みを消して、ドアの向こうの存在に注視している。

ゆっくりと、たきなは問う。

「元所属は?」

「…今日の16時まで東京本部でした…」

リコリスではありそうである。

情報の漏洩さえなければ、だが。

たきなは視線をミカに合わせると、小さく頷く姿が目に入る。

拳銃をしまい、錠を解いて扉を開ける。

「…失礼しました」

頭を下げる。

「いやいや、お気遣いなく…ん?」

「もしかして、たきなちゃん?」

訊かれた声に、懐かしさがあった。

「…ぇ」

勢い良く頭を上げる。

赤みがかった黒のロングを一つにまとめて、レンズの大きい眼鏡を掛けた姿。

左肩にはゴルフバッグ、右肩にはボストンバッグ、キャンピングバッグを背負ってキャリーケースを引っ張っている少女の姿。

「やっぱりたきなちゃんだ!久しぶり!元気にしてた?」

変わらない優しい笑顔を向ける彼女こそ、今となっては懐かしい同期であり、世話のかかる妹分であり、思い出したくもない異常者であり…

私の初めてのコンビ相手である。

名を、

「小田原めぐみです!本日付でここにお世話になることになりました!」

 




ちなみに転生した人格は消えていますのでご安心ください。
後々にその描写も書きます






以下、プロフィール

氏名:小田原めぐみ
年齢:16歳
誕生日:8月7日
才能:野比のび太
内容…身体能力D+
   勉強E-
   サバイバル力C+++
   あやとりS
   射撃S(速射性S+,正確性A++,リロードA,万能性A+)

容姿:髪…赤みがかった黒のロングを一つにまとめている(所々跳ねている)
   目…黒、クソデカレンズ眼鏡
  身長…たきなよリかは大きい
  体重…結構軽い
   胸…絶壁
   脚…そこそこ長い
  趣味…サブカル関連


オリ主は前世で何歳の誕生日で死んだと思う?

  • A歳:トラックに轢かれて
  • 1B歳:いじめの末に
  • 2C歳:就活失敗による絶望の末に
  • 3D歳:仕事の過労によって
  • お前の勝手にせぇ!(ノブ風味)
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