日常を日常として感じるには、日常を“当たり前”だと思わないといけない。
非日常を日常的に感じていたら、その非日常は“日常”になる。
さぁ、存分に『日常』を謳歌してほしい。
今日も今日とで、喫茶リコリコは元気に営業中です。
まぁ、私は今いないんだけど。
そうしていると前から緩い声が掛かる。
「ねぇおねえちゃん!みんなとおにごっこしよ!」
「いいよ~。鬼さんはじゃんけんで決めようか!」
はい、そうです。
私はいま保育園で保育士さんのお手伝いをしています。ちなみに千束とたきなは塾の方へチューターに行ってます。
歩いて行ける距離なので終わったらこっちに来ると言ってますが…まぁ教職のお手伝いも大変ですからね、あまり期待しないでおきましょう。
それはともかく…目の前にいる園児たちの笑顔が可愛くて眩しくてつい顔が緩んでしまいます。
「「「「「いいよ~!」」」」」
「「「「「「さ~いしょはグー…じゃんけん、ぽん!」」」」」」
タイミングを同じく手を出した結果、私だけがパーでみんなチョキだった。
「「「「「にげろ~!」」」」」
そう言いながらにわかに騒ぎながら素早く走っていく。
そうして5カウントを実質8秒くらいかけてゆっくり数えながら周りを見回すと、遊具に登ったり距離を開けて様子を伺ったりしている。
「ゼロ!捕まえちゃうよ~!」
「「「「「おにさん、おにさん、ここまでおいで!!」」」」」
がお~と可愛い脅しに園児らしい快活で甲高い反応をしながら逃げる後ろを追いかける。
追いつかない程度に時間をかけてじっくりと追いながら、かといって大人げなく直線で一気に捕まえるようなことはせずに曲がり角の近くでちょっとずつ速くなって肩を優しくタッチする。
「捕まえた!交代だよ!」
「もうちょっとだったのに~!」
ちょっと顔を膨らませながらも元気に5カウントを数える姿は正直言って可愛い。
可愛いさが余ったので少し頭を撫でながら応援の一言を言った後、5人の輪から静かにフェードアウトする。
子供と遊ぶときは遊ぶきっかけを作って、あとは本人同士で楽しめるようにお膳立てすれば大体上手くいく…らしい。
まぁこの言葉はこの道10年のベテラン保育士さんからの受け売りなのだが。
園庭と園室との間にあるコンクリ製の渡り廊下に座り込みながら園児たちが笑顔で追いかけっこしている様子を見る。
私がこうして園児たちを見守っているなかで、本職の皆さんは休憩したりご飯を食べたり机仕事をしたり0~2歳児の子供たちの面倒を見たりと、園長さん含めてそれぞれの仕事をローテしながらなんとか頑張っているみたいです。
ちなみに休んだ保育士さんは有休で博多に行ってるそうで、訊くところでは『お土産をしっかり用意するように』と再三にわたって言い含めているらしい。
…ほのかに暗い部分が見え隠れしているような気もしますが、そのための
依頼された手前、しっかり見守っていきましょう。
そうして賑やかに楽しく体を動かした園児たちはその後部屋に戻るとしっかり夢の世界へと旅立っていった。
園児の一人二人が時折寝言を呟くところもまた可愛らしい。
寝顔も素敵な園児たちよ、そのまま健やかに育ってほしいな。
そうして時間は過ぎていって園児の親御さんがチラホラとお迎えに来る頃になった。
「おねえちゃんまたね~!」
「またね~」
一人、また一人と園児とその家族が手を繋いで門を出て行く。
前を向くまで手を振り続けていると後ろから声が掛かる。
「めぐみさんお疲れさま~」
保育士さんの一人が手を振りながら寄ってくる。
「先生、お疲れ様です」
「気軽に名前で呼んでくれてもいいのに」
「まぁ…性分ということでごまかせます?」
「仕方ないので誤魔化されてあげます。それで本題なんだけれど、時間も時間だし子供たちの数もこちらで見守れるくらいの数になったからそろそろあがってもいいよ」
「いいんですか?」
「いいのよ、こっちこそ急に依頼しても答えてくれた事には感謝してるし、未成年をこれ以上拘束するのもね」
「なるほど、分かりました」
そういって軽く頭を下げた後にロッカールームでいつものリコリスの制服に着替えて職員室の扉を開けて、
「お疲れさまでした」
おつかれさま~、という職員の皆さんから労いの言葉を聞いた後に閉じた後に門を通って外に出る。
ビル街を歩いている間に今日一日の朝から夕方まで保育園の中でしっかり楽しく労働に勤しんだ時間を思い起こした時に、ふと思った。
「二人とも来てなかったなぁ…」
そう思い出すと次第に気になってきたので
さすがは千束、すぐに返ってきた。
書いている内容によると、どうやら今日はいわゆるテスト日だったようで、チューターのはずが試験監督と採点係に変更になったために拘束時間が伸びたようだ。
「それは仕方ないか…よく知らないけど大変みたい」
依頼時の内容と実際の内容との違いといった理由から
端的ながら恐ろしく追加される吹き出しを読みながら下へとスクロールしていって、
“手伝いに行けなくてごめん!( TДT)”
最後の締めの言葉がこれなのだから、まぁ心の余裕はあるけど大変な感じのようだ。
応援のスタンプ送信することで歩きスマホを終了して周りを見ると、陽光よりも街灯の明かりの方が強まっているように感じたとき、ふと思った。
(…あれ?私、また働き続けてない?)
ほのかにブラックな予感が漂ってきたな…また反旗を翻す時が来たか?と別段その気もないのにどうしてやろうかと妄想を起こしていく。
…いつか絶対有給取ってやる。
軽く握った握りこぶしと共に自分でもどうでもいい決意をしながら足を進める。
そうして喫茶リコリコの扉を開ける。
「ただいまです」
「「「おかえり
そう言いながら微塵たりとも疲れを顔に見せずに笑顔でいる3人がめぐみを迎える。
「お疲れめぐみ。ちょっと手伝ってくれる~?」
「いいですよ~」
そう言って奥に入って着物に着替える前に浴室に入って軽く汗を流す。
体に残る水分を拭き取ってドライヤーで髪を乾かした後に、今となってはもう慣れた手つきで自分に充てられた紫紺の着物を着付ける。
最後に腰に届くまで長い紫髪を後ろで団子にしたものをトリコロールのシュシュで留めて表に出る。
「お待たせしました」
「待ってたわよ!とりあえずおはぎセット3皿分頼める!?」
「了解です!」
そうしてカウンター前に出した体を再びドアを
そうしてキッチン担当として腕を振るって数時間が経つ。
お店はすでに閉まっていて現在はクルミ製のボードゲームを常連の皆さんと一緒にやいのやいのと楽しんでいた頃であった。
「ただいま…」
「…只今帰りました」
まるで指笛の隙間から音が鳴ることなく通ってきた空気のような二つの声が店内にいる人の耳にスッと入る。
見れば大分消耗したのだろう二人の姿があった。
背筋の垂直性に一定の評価のあるたきなですら5度ほど前に曲がっているのだから相当である。
「おかえりなさい」
「おかえり二人とも。風呂でゆっくり疲れを取ってくるといい」
数時間前のスマホの返信内容からはおよそ察し得ない疲労感を漂わせて、ミカに気のない返事をしながら二人はとぼとぼと奥の方に入っていく。
その様子をみんなで見守っていた中、常連の一人が呟く。
「二人ともお疲れのようだな…」
「めぐみちゃんは何か知ってる?」
「二人とも塾のお手伝に行ってたみたいですけど…」
「こりゃあ誘うのはよした方がいいかもね」
「戻ってきてから本人に訊けばいいさ。続きをしようじゃないか」
クルミの一言に「それもそうか」と各々が納得したことでゲームが再開された。
そうして再開したゲームで怒涛の三連続負けを喫した刑事の白みだした顔にそれはそれは見事なにんまり顔の漫画家が大人げなく煽りまくるという、あまりにもあんまりなおかしさに残りの常連と一緒になって大爆笑したり、自作のボードゲームのはずなのになぜか負けてしまった時のクルミの飛び出そうなくらいに見開いた目と半開きの口を痙攣させている様子にみんな揃って馬鹿笑いしたりしていたところで、奥の方からいの一番に千束が戻ってきた。
「おっまたせ~!ボードゲームやってるの?」
「お、千束ちゃんもやるかい?」
「やるやる~!」
そう言って靴を脱いだ足で空いてる二つの座布団の片方に勢いよく座ってクルミからルールを聴く。
「おかえり千束ちゃん、今日はまたずいぶん遅かったわね?」
「そうそう!今日はほんとに疲れた!」
「何してたんだ?」
「めぐみにも言ってたんだけど、今日はテストの日だったみたいでさ?こっちはチューターと思ってたのにいきなり試験監督させられたんだよね~」
つぎ私の番~と言いながら自分の駒を進める。
その一手で三名が顔を青くするのを余所に次の番であるクルミが進めながら訊く。
「ミカにはその連絡は入ってたのか?」
「あぁ、勘定関係の修正も内容的には不利な感じはなかったので受け入れたよ」
「実際どうだったのよ?」
「監督は問題ないんだけど、問題はその後の採点だよ!」
「あれはひどかったですね」
そう言ったのは所々乾ききっていない髪を緩く束ねながら近づくたきなであった。
数人の頭に
「何がひどかったの?」
「そうですね…テスト自体も難しい上に記述式の解答が多いので解答一つ一つを吟味しながら採点しないといけませんでしたね。ですがなによりも…」
「…何よりも?」
もう我慢ならないと言わんばかりに内に溜まったものを吐き出すように千束が高速で
「量だよ!生徒は生徒で5教科7科目全部の解答用紙が説いていくし、それを講師の人が『一日で全員分を採点するので手伝ってください』って言って全部答え合わせしないといけないし、それが担当してた科目でも百人単位で答案用紙がやってくるからとにかく休む暇がなかったの!!!」
それを聞いた各々が脳内でその状況に自分を当てはめて小さく唸りながら同情の雰囲気を醸し出す。
むしゃくしゃしたのか千束はいつの間にかそばに置いてあったアイスコーヒーのたっぷり入ったガラスコップを勢いそのままに煽って喉を潤す。
「それに関してはすまなかったな千束、再三確認したつもりだったのだが」
「…いいよ先生。もう終わったことだし」
「ちなみに二人はどこの塾に行ってたの?」
「…鋼禄会*1でしたね」
たきなからの言葉に全員があぁ~…と納得の声を上げる。
「お疲れさまだったな。さぁ続きをやろう」
『さんせい!!』
その言葉を引き金にさっきまでの疲労感の漂う空間が一気に陽気に変わり、全員で時間の限りゲームを楽しみ、その後は常連やリコリコの各メンバーが帰宅したことで、今日という一日は穏やかに終わった。
そうして日付が過ぎていったある日の閉店後。
持ち場の片づけが済んだミカは店内に程よく響く声でリコリスの三人を呼ぶ。
三者三様の接近方法でミカの周りに集まっていく。
「どしたの先生?」
「依頼ですか?」
「何するんですか?」
「今回は依頼じゃない。三人とも
「「「…あ」」」
「それに千束。また定期健診をサボったこと、知ってるからな」
「ギクッ」
露骨に嫌そうな顔を何もない方向に逸らす千束を横目にたきなが訊く。
「健診は千束だけですか?」
「いや、今回は3人とも受けてもらう。健康的で文化的な最低限度の生活を営んでいると俺は勝手に信じているが…実際どうなのかは別だからな」
ミカの視線が黄金色を刺すと本人の体の微振動が再び発生する。
今度はめぐみが口を開く。
「一応訊きたいのですが…司令から何か言ってましたか?」
「…向こうからは特に言及されはしなかったが…向こうで何もないことはないと思う」
「そう…ですか」
一瞬言い淀んだ口から出る言葉を聞いためぐみは撒いた地雷を自ら踏んだような顔をチラつかせるがすぐに元の表情に戻っていた。
「念のために言うが…千束、行ってきなさい」
終始無言を貫く千束を見てたきなが、
「最悪私が引っ張っていきます」
「頼んだぞ」
半ば縋るような目でそう言ったのだった。
二人が目線で握手してから数日後、微妙に曇天な今日に私たちは電車とバスからの送迎に来た黒塗りの車に揺れている。
黒髪二人に挟まれる形で座っている千束の微振動が徐々に増加しているのがいい加減無視できなくなっためぐみが話を切り出す。
「それで、千束さんはどうして行きたくないんですか?」
「…え!?っと…」
「千束は注射が嫌いなんです」
「あ、そうなんだ」
唐突な問い掛けに千束の眼に振動が伝わったかのように揺れ動いている所にたきなの容赦ない一言によって顔があえなく撃沈。
「別に怖くないしただちょっとだけ細いのが苦手なだけだし尖った穴っていうのがちょっと受け付けないだけだし刺さった時のチクチク感が嫌いなだけだしっていうか先生は健診を受けに行けって言ってるだけだから別に注射があるとまでは言ってないしそもそもただの健康診断で注射をするなんてことがあるわけじゃないんだしそれさえなければ別に病院に行くってこと自体が怖いわけじゃないし私は今を時めく健康優良児にしてファーストリコリスの錦木千束なんだから注射される理由も云われも原因もあるわけじゃないしブツブツ…」
蹲りながら小言を羅列している隣でめぐみが言葉を続ける。
「二人はさ」
「「な
「ライセンス更新って面倒臭くないですか?」
「「…別に?」」
「あ、そう」
一瞬にしてめぐみの脳内が拒否されたことで軽くショックを受けているところで千束から言葉を返される。
「そういうめぐみはどう思ってるのさ?」
「面倒だと思います」
「理由は?」
「純粋に面倒だと思います」
「答えになってないと思うのですが?」
「いや、これが答えなんだけど」
「「…そうなん
キャッチともドッジとも取れないような他愛もない雑談を挟みながら微振動を感じること数十分後、エントランス前に止まった車から降りて自動ドアを潜った後に荷物検査や本人確認を済ませた3人はロッカーへと向かっていた。
「いや~久しぶりに来たけど、ここは変わんないね」
「帰る理由もないですからね」
そうして用意されていたインナーとホットパンツの上から健診衣に着替える。
一人は、二人のある一部を穴を開けんとするほどにじ~っと見つめていた。
「…めぐみ、その目は何ですか?」
「なぜ、そこまで大きくなるんです?」
「知りませんよ」
「なんですって…?」
「それならまずあっちに言ってください」
そうして指差す先には何の違和感もなく健診衣を着こなす千束の姿。そしてその
しかし指差す本人も哀しいかな、
めぐみは心の中で叫ぶ…“お前が言うな”と。
「…どったの二人して」
「「いえ、別に」」
「…変なの」
「意外ですね、袖を通す手が止まらないなんて」
「べつに?ただちょっとあきらめてるだけだから~」
妙に猫なで声で答えるが、端々で震えを隠せていないのが現状である。
「じゃあさきにいってるね~」
と千束は足早にロッカールームから出て行く。
「…相当イヤなんですね」
「…困ったものですよ」
そうして3人は身体計測、血圧、肺、心臓などの一般的な健康診査を滞りなく済ませていく…ことは(主に約一名が
予定よりおよそ40分ほど過ぎて、今は3人とも健診衣を脱いでトレーニングウェアの装いでルームランナーの上を走っていた。
「最近は元気があり余ってる感じがするんだよね~」
「さっきまで蒼褪めていた人とは思えない発言ですね」
「そうっ…なんだ…!さすが、だねぇ…!」
「ありがとね~。そう言うたきなもさ、
「いえ、別にそういうことはないですね。2日に1回は運動してますから」
「あ、そうなんだ~めぐみはどうなの?」
「この…!すがたをっ…!みてっ、どうおもうっ…!?」
「あ~…ごめんね」
申し訳なさそうな顔には一切汗が肌を
走りながら改めてめぐみの様子を見て、
「そこはいつまで経っても変わってないんですね。安心しました」
「私の…ハァ!イメージは…ハァこれなのかっ…ハァ!」
そうしていると千束の乗っているマシンから終了の通知音が鳴る。
「二人とも、先に行って待ってるね~」
降りてから軽く一服した後にそう言って、千束は軽い足取りでドアの外に出て行った。
部屋に二人っきりになって数秒が経って、たきなが口を開く。
「…久々ですね」
「ハァ…なにがっ…!?」
「こうして二人で走るのがですよ」
「ハァハァ…あの時はっ…ハァ…私がいつもっ…ハァ…あし、ひっぱって、たもんねっ…ハァ…!」
「まったくですよ。何回居残りさせられたと思ってるんですか?」
「その、せつはぁ…!ハァハァ…もうしわけなくおもってます!!!」
「今更遅いですよ。まぁ…おかげで体力だけはいつも一位でしたからね、私」
「たきなの…ハァ…たいりょくは、わたしがそだてた…?」
「
終了の通知音が鳴った後にそう言って降りながらタオルで汗を拭う。
「先、行ってますね」
そう言って部屋を出て行く。
「
そうして終了の機械音が鳴るのはだいたい13分くらい後のことだった。
「…ふぅ」
のどを潤すために傾けたペットボトルのキャップを閉めながらゆっくり歩くたきな。
「あ…あのリコリスもしかして…」「そうそう…!かっこいいわ…!」「凛々しい感じがまた素敵よね…!」
その姿を見た周りがと俄かに話し出す姿に小さく肩を落としてしまう。
(…慣れませんね、まったく)
周りのヒソヒソ声をなるべく聞かないようにさっきまでの部屋に戻って服を着替え、前に約束した待ち合わせ場所に向かっていたところ、足の向く先には案の定千束がいた。
のだが…
「さっさと戻ってきたらどうだ?さすがの千束様の腕も鈍ってきたんじゃねぇのか?」
「鈍る腕ならこんな服を着てないってこと解ってないんでちゅねぇ~」
「赤ちゃん言葉になるくらい疲れてるんだな天下の千束もこの程度ならご愁傷さまだなぁ?」
「そういうアンタもあの頃からまだお山の大将のままなんて努力不足なんじゃないのぉ?」
寸暇の静寂。
嵐の前の静けさ。
「「んだとこらやんのかおぉ!?」」
噴火は早かった。
互いの目線と額を鍔迫り合いの如く押し付け合いながら威嚇を繰り返す赤服が
軽く息を吐く。
決してため息などではない、たまたまたまった息を吐き出したくなっただけである。
今の行動に対して己に言い聞かせながら三人に近づいて一言。
「千束、待たせている間に何してるんですか?」
「おぉ~たきな!待ってたよ~、さぁやっておしまい!」
鍔迫り合いを止めたかと言ったら唐突にとってつけたようなお嬢様言葉と共に指差す。
静かに千束の指指す腕を下ろさせながら前に出て口を開く。
「お久しぶりです。フキさん、サクラさん」
「そうか、で?また訓練でも「久しぶりっスね~最近顔出せてなくてつまらなかったんスよ~。あ、新作とか出てるっスか?」なにゆるく割り込んでんだお前は!!!」
そう言って案の定脳天に拳骨を食らって視界に花火が咲いたであろうサクラは蹲る。
相変わらずの様子を横目に見ながら視線をフキに戻して訊く。
「今日は任務は無かったんですか?」
「…たまたまな。さっきまで射撃場でマガジン1本分使ってきた後に
親指で刺されながら妙に強調されたので隣を見ると目線が余所の方向に向かっていながら、
「まぁ?服着替えて暇だったから久々に回ってみよっかな~って感じだったんだよね~」
この女は…気付かないと思っているのか。
大方どこかのタイミングでフキを見つけて粗探しの一つや二つでもしてたのでしょう。
いつものことすぎて逆に普通の感じなので軽く流す。
「そうなんですね。ちなみに新作は鋭意検討中です」
「だそうですよセンパイ!いいでしょ~?」
「ダメだっつってんだろうが!!!」
「たまに寄ってもバチは当たりませんってぇ!!」
「ダメなもんはダメだって言ってんだろうが!!」
すり寄ってきた後輩の頭蓋骨を再び拳骨が低く鳴らす。
もはや声も出ないようである。
何か言いたそうにしている隣の肩に力を入れて牽制するなかでフキが言う。
「で?そういうお前らは何しに来たんだ?」
「喫茶リコリコ所属の三人でライセンスの更新と健康診断です」
「そうか…あと一人は誰だよ」
そのまま名前を口に出そうとするが、脳を駆け抜けた
話すことも躊躇うような、そんな景色を振り払って口を開ける。
「……め「そうか分かったもう言うなその続き言ったらぶん殴る」」
フキの言う通りに言葉を止めた。
改めて見れば目の前の少女も同じなのだろう…他人には見えないように作った握り拳に力を入れて震えないように必死に耐えている。
「…分かりました」
「二人とも、どうしたの?」
「センパイ、何かあったんスか?」
「なんもねぇよ。で?やんのかタコナス」
「いきなり暴言とか頭どうかしたの?」
「うるせぇ訓練の的にでもなれってんだよ!!」
「おうおうその言葉そっくり返してやんよこんにゃろう!!」
そう言って
「「やるぞ二人で!!」」
喧嘩友達とはこんなことを言うのだろうな、と
そうして半ば意気揚々と二人揃って司令に直談判していつかのような実践訓練が開かれることとなった。
『現在から30分後、16時15分に錦木・井上ペアと春川・乙女ペアによる実践訓練が開始する。館内にいる全リコリスは当該訓練の観戦を許可するとともに自分の糧にするよう努力せよ』
司令自らの声による館内放送が響くと、すぐさまざわめき立って近くにいたリコリスと話しながら足早に目的地へと進む。
その中でポツンとただ一人、放送の内容を聞いて噴水の前で立ち尽くしていた。
「…はぇ?」
待ち合わせ場所にいなかったかと思えば唐突に放送が流れて二人が
「…二人とも、なにしでかしたのかな?」
めぐみの脳内には口喧嘩の文字は一つとして存在せず、司令に文句かルール違反でもしたのかと勘ぐっていた。
いまだ謎な部分も多いが、とにかく二人の居場所が分かったのでとりあえずその場所に向かうために足を進めたのだった。
読了ありがとうございます!
日間ランキングについに載りました!
皆様のおかげでここまで来れました!!
これからも引き続き書いていくつもりですので、幾久しくよろしくお願いいたします!(1カ月休んですみませんでした。就活の加減なんで許して…)
雑学程度の知識しか得られないけど意外にショート動画も使えるんだなぁと思った(小並感)
オリ主は前世で何歳の誕生日で死んだと思う?
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A歳:トラックに轢かれて
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1B歳:いじめの末に
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2C歳:就活失敗による絶望の末に
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3D歳:仕事の過労によって
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お前の勝手にせぇ!(ノブ風味)