S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

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和解と透明怪獣

キャッツアイはヒナタの突き攻撃をひたすらに避けていくが、徐々に速くなる為に両肩に突きが2回ずつ命中して地面に胸を打つ形で倒れ込み、地面を2回も転がった。

 

ヒナタ「避けたのは驚いたけど、少し速くしたらこんなものね」

 

キャッツアイ「お、おのれぇ……!崇高な思想の元で闘う私達が………」

 

ヒナタ「………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。なら、まだ引き返せるかもしれない。でも関係無いわ。仕事は仕事。始末させてもらうわよ」

 

ヒナタはレイピアをキャッツアイの眼前に突き出す。剣先が光を反射して光り、キャッツアイを睨み付けるように照らされる。

 

ヒナタ「さよなら。ハンマーヘッドは後で追い掛けるとして、アンタは―――」

 

 

フラン「あっ、居た」

 

 

ヒナタは声のした方向を向いた。キャッツアイもだ。其処で二人は、猫耳を生やす少女が背中に布で覆った剣を背負っているのを見つける。

 

ヒナタ(誰……って、えっ!?ちょっと待って!?此奴確か、転剣のフランよね!?もしかして、背中に背負ってるのが『師匠』なら………()()()()()()()!?って、そうだとしても、今は仕事中!切り替え切り替え!)

 

キャッツアイ「……誰だお前は?」

 

ヒナタが首を横に振る間に、キャッツアイが問い掛ける。

キャッツアイ「……まさか、お前もアニマルメシアに入りたいのか?」

 

フラン「違う。ある事情で潰しに来た」

 

ヒナタ「……そう」

 

ヒナタはレイピアによる突きを、取り敢えずフランに向けて放つ。が、フランは目先にレイピアの剣先が迫った直前で刀身を掴む。

 

ヒナタ「っ!?」

 

ヒナタは驚いた。試しに行った攻撃だが、決して手加減してない。彼女がアニマルメシアのメンバーかもしれないという考えもあるが、目の前の相手が怪人であり尚且つ雇い主のゼニールに危険を及ぼすなら仕事として始末しなくてはならない。

 

しかし、フランは防いだ。

 

キャッツアイ(くそっ!今のうちに逃げ――)

 

師匠(逃さねぇよ!)

 

キャッツアイは猫の身体能力で近くの岩の上に跳び乗ろうとしたが、空中で留まってしまう。

 

フラン「よし。キャッツアイ捕まえた」

 

ヒナタ「……ありがとう、捕まえてくれて。今すぐ始末してやるわ」

 

フラン「いや、警察に連れてく」

 

ヒナタ「いや、此奴始末しないとゼニール給料払ってくれないのよ」

 

フラン「なら、私とヒーローになる?」

 

ヒナタ「ヒーロー?私は別に良いわよ。そんなのになるつもりはないわ。それに私は、テロリストとはいえ人を殺したのよ。そんな資格はないわ」

 

フラン「そう。なら―――」

 

その時だった。3人は遠くから大きな地震の揺れを足元から感じ、遅れてやって来た衝撃音を聴いた。そして、崩れた金のウンコビルが何かに押されたように崩れ落ちて行った。その何かから発せられた電気が雷となって上空へ飛んでいくが、発生源は透明かつ大きく揺れている。

 

ヒナタ「………もう此奴を殺す理由が無いわね。ゼニールが居なくなったなら給料は貰えないわ」

 

フラン「……早く行こう!」

 

ヒナタ「ソイツは?」

 

ヒナタは師匠が超能力で浮かせたキャッツアイを指差す。キャッツアイは未だにフラン達を睨み付けており、まだ諦めてない事が一目で分かる。目には怒りが宿っているのが、素人目にも理解出来る。

 

フラン「もうどうでも良い!」

 

ヒナタ「そう。で、何で私まで?」

 

フラン「一緒に行こう!やることないなら、私と行こう!」

 

ヒナタ「わ、分かったわよ」

 

フランはヒナタと共に走り出す。

 

師匠(もう悪さはやめろよ)

 

キャッツアイ「えっ?きゃあ!?」

 

キャッツアイは師匠の念話を頭の中で聴いた後、岩の上に降ろされた。キャッツアイは背中の痛みに悶えながら起き上がり、走り去って行く二人を見た。

 

キャッツアイ「………あの2人は一体………」

 

すると、キャッツアイは後ろから声を聴いた。

 

???『スーツを提供されておきながら敗北するとはな』

 

キャッツアイ「えっ?」

 

???『まあ実戦データは得られたから良しとしよう。そしてお前はもう、不要だ』

 

その瞬間、キャッツアイの頭部は光線によって撃ち抜かれた。撃ち抜いた相手は手の甲から光線を放つ、大きな体格を持つ巨大なロボットだった。それが、キャッツアイが最期に見た相手であった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、街ではある一体の怪人が暴れ回っていた。その怪人は出現と同時にゼニールの家を破壊し、当の本人さえも家もろとも殺害。そして侵攻を開始した巨大生物だ。

 

ヒーロー協会は作戦本部を設置して、S級ヒーローの『童帝』が作戦に参加。更にヒーロー協会に所属する怪人による災害への対策をメインとする『怪特対(かとくたい)』も配備。速やかな対策の解決を求められる。その上、勝手に動くメタルナイトも動き出しているとの事であった。

 

怪特対が居なくとも解決出来る事案や怪人は数多いが、中にはS級だけではどうしようもない存在も居る。その対策を練る為の怪特対なのだ。

 

怪特対メンバーは室長の『ムナカタ』、専従班班長の『タムラ』、作戦立案担当官の『カミナガ』、非粒子物理学者の『タキ』、汎用生物学者の『フナベリ』の5名のメンバーだ。近い内に新しく優秀な新入りが入るとの報告もあるが、今は新たに出現した怪人の分析と討伐、そして市民の避難が優先だ。ムナカタは室長の為に現場に出る事は滅多に無いが、政府や海外、その上ヒーロー協会幹部を相手にする中間管理職の存在。そして怪人対策の指示も出している。怪特対が思い切った行動及び現場へ趣けるのも、彼のお陰とも言えるだろう。その為か彼が専従班に顔を出すのは滅多に無い。

 

現在彼等は、S級ヒーロー童帝と共に、出現した怪人の弱点分析に取り掛かっていた。

 

タムラ「目標は透明だが周囲の粉塵と足跡で大方の位置は検討が付くな」

 

フナベリ「おまけに赤外線画像だと形状もバッチリね」

 

タキ「なんだよ透明の意味無いじゃん………」

 

???『レーザー照射が効いてない。恐らくレーザーブレードも無意味かもしれないね。透過率はほぼ100%で、吸収率及び反射率0%の体表組織を形成出来るんだね。熱工学兵器には有効だね。今現場に近いS級ヒーローは僕とメタルナイト以外で誰?』

 

『S級ヒーロー第10位:童帝/イサム』

 

十歳もの少年こと童帝は螺旋を描いた円状のキャンディーを舐めながら、怪人の弱点を探っている。怪獣の近くで背負ったランドセルから出した蜘蛛のような脚を使って巧みに移動しながら、透明な怪獣を追跡していた。

 

カミナガ「現在動ける上に近くに居るのはシルバーファングにアトミック侍、超合金クロビカリ、金属バット、閃光のフラッシュの5名だ。彼等はすぐに到着する。キングにも連絡したが、彼は何かと闘ってるとの事で拒否。番犬マンはQ市から動かない。タンクトップマスターと豚神、ゾンビマンは距離が遠く、援軍として到着するのに1時間は掛かる。駆動騎士やタツマキ、ブラストやぷりぷりプリズナーは未だに連絡が付かない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()等は他に出現した多数の怪人達の討伐に時間が掛かり、後20分で到着するそうだ。他はまだ連絡中だ」

 

童帝『なら、僕等でなんとかしましょう。アトミック侍さん、シルバーファングさんにクロビカリさん、バットさんにフラッシュさんが来るまで、此奴を足止めしてみます』

 

タムラ「すまない。天才ヒーローとはいえ、君のような少年に任せる事になるとは、我々が情けない限りだ」

 

童帝『大丈夫だよ。僕も、S級ヒーローだから』

 

そして、童帝の場面に移る。童帝は通信を開けたまま怪獣を追跡して行く。すると童帝は、怪獣がとある場所で動きを止めるのを見た。

 

童帝「怪特対へ。奴は変電所で止まったよ」

 

タムラ『何?何故変電所で止まる?』

 

そして、童帝は見た。そして怪特対やヒーロー協会スタッフは見た。変電所の電気が異常な程に活発化し、一箇所に集まり始めている事を。そしてその集合している場所が、丁度怪獣の目の前である事。そして、透明な怪獣の元へ電気が吸い寄せられていき、口らしき場所で電気が消えていくのを。彼等は見た。

 

そして、怪獣は咆哮を上げて姿を現した。口の中にある無数の牙の間に電気が走る。

 

『災害レベル・竜:ネロンガ』

 

童帝「……そうか。電気を食べてお腹一杯になったから姿を現したんだ」

 

タキ『ますます透明の意味無いじゃん!』

 

カミナガ『エネルギーを蓄え万事整うと姿を現し周囲を威嚇する。理に適ってるよ』

 

童帝「そうだね。サーモで見るより怖い見た目してるよ」

 

童帝も内心驚いていた。

 

タムラ『電気を喰うなら、供給を止めて――』

 

童帝「いや、それは止めた方が良い。下手に止めれば此奴は電力設備を壊しちゃうよ。それに、もう攻撃なら始めてる人が居る」

 

童帝がそう言った後、上空にとある機体が飛んできた。背中に4つの砲塔を備えた、ゴッツい体を持つ金属のロボットだ。

 

メタルナイト『攻撃に入る!』

 

メタルナイトの遠隔操作による戦闘ロボットが、砲塔からミサイルを放つ。しかし、此処で怪獣から思わぬ反撃を受ける。

 

怪獣の頭部にある2つの触覚と一本の角を合わせて、メタルナイトの放つミサイルに向かって電撃を放った。ミサイルは全て迎撃され、更にメタルナイトの操るメインロボットにも電撃が直撃する。幸いにもロボットには電撃及び電磁パルス攻撃対策を施している為、飛行は難無く行える。とはいえ、ダメージはかなり大きい。姿勢制御が乱れ、時折バランスを崩して思うように飛べなくなる。

 

メタルナイト『攻撃を感知して迎撃とは、厄介な!』

 

そして、怪獣は角と触覚から放った電撃を周囲に放つ。怪特対の対策基地や童帝の装置にも影響が訪れ、パソコンや装置が点滅する。落雷音が遅れてやって来た。

 

タキ『どうやら怒らせただけらしいですね』

 

そして、今度はカミナガがとある結果を報告する。

 

カミナガ『班長、童帝君。行動シミュレーションの結果が出ました。奴をこのまま放置した場合、国中の電力全てを吸収された挙げ句、国全体に放電される可能性があります』

 

タムラ『面倒だな!此奴は経産省と官邸がビビるぞ!』

 

童帝「けど下手に攻撃すれば撃墜される。でも、駆除は簡単に終わりそうだよ。僕も今からブレイブジャイアントを起動する。それに………頼もしい援軍」

 

童帝がそう言う。何故なら、怪獣の目の前には、5人のS級ヒーローが到着したのだから。

 

???「デッケぇなこの野郎!妹のピアノコンテスト抜け出さなきゃならなくなった恨み、八つ当たりで晴らしてやるぜ!」

 

『S級ヒーロー第21位:金属バット』

 

???「おいおい今回はかなりデケェ怪獣かよ。まっ、動きも遅いから良い的だぜ」

 

『S級ヒーロー第7位:アトミック侍』

 

???「アズサちゃんかミリムが此処に居れば もっと楽なんじゃがのう。そうは言ってられんわい」

 

『S級ヒーロー第6位:シルバーファング』

 

???(今回の相手はかなり頑丈と聞く。しかし、動きは遅いな)

 

『S級ヒーロー第18位:閃光のフラッシュ』

 

???「奴がどんな電気を撃とうが、鍛えた筋肉の前には無力!」

 

『S級ヒーロー第16位:超合金クロビカリ』

 

そして、其処へメタルナイトや童帝も加わる。S級ヒーローが多数揃い、怪獣討伐に動き出すのだった。

 

因みに、電気を喰う透明怪獣は、『透明怪獣ネロンガ』と命名された。




シン・ウルトラマンの禍特対は『怪特対』、即ち『怪人特設対策室専従班』へと名前を変更しています。読み方は同じで結構です。それと、怪特対メンバーもワンパンマンに合わせてカタカナにして、苗字の方を名前にしてます。

それと、童帝ことイサム(だっけ?)を含めたS級ヒーローの順位が変更されている理由は、後々判明します。まあ、載せた情報だけで大体察せたと思いますが。
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