S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

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S級ヒーローと邂逅

S級ヒーロー達が駆け出した。最初に攻撃を仕掛けたのは閃光のフラッシュだ。フラッシュは他の四人よりも速く動き、ネロンガの全身を斬りつけていく。ただ斬るのではない。ネロンガの関節や目、四肢の付け根を狙って攻撃しており、ネロンガの動きを封じようとした。しかし、ネロンガの関節も皮膚も、想像以上に硬く、また分厚さもあって剣が通らない。目に攻撃しようとすれば、ネロンガは本能で危機を察して顔を反らす。狙いが外れて目に当たらず、フラッシュは舌打ちをする。

 

しかし、遅れて到達した6人のS級ヒーローによる、ネロンガへの一斉攻撃が始まった。

 

金属バット「テメェに妹との大事な時間取られてんだ!!とっととくたばれオラァ!!」

 

アトミック侍「デケェ癖に割と動くが、まだおせぇ」

 

金属バットが手にする銀製のバットをネロンガの右前脚の前に向かって、怒りに任せて振り下ろした。更にアトミック侍も加わり、目にも止まらぬ剣技でネロンガの左前脚を20回も斬った。バットで殴られて凹むネロンガの右前脚、アトミック侍に斬られて多数の切り傷を負うネロンガの左前脚。ネロンガは悲鳴を上げて、角を光らせたかと思えば触覚も合わせて、電気を周囲に放出した。

 

シルバーファングは跳んで避けて、クロビカリは全身の筋肉を膨張させて自身に当たった電撃に耐える。しかし、クロビカリも全身から激痛が走り、流石にヤバいと直感する。

 

アトミック侍やフラッシュも電撃を避ける。金属製の鎧と剣を身に着けているフラッシュや、刀を持つアトミック侍には電気を寄せ付けやすいが、二人は難無く避けた。静電気程度の僅かな電気が来て痺れるだけだ。

 

童帝は自身の切り札であるロボット『ブレイブジャイアント』に乗り、ネロンガをメタルナイトと共に迎え撃つ。乗り込んだ後にブレイブジャイアントやメタルナイトにも電気が当たり、ボディから火花が散る。

 

童帝『ぐっ!?凄い電気だ!』

 

メタルナイト『推定50万キロワットの電気。直撃すれば並の人間では即死だ。頭部にある角状の発電器官を狙うべきだろう』

 

タキ『それでお願いします!そうすれば、ネロンガは電気を扱う事が出来なくなります!』

 

カミナガ『放射性物質含めた有害物質ともに体内から確認されません。飽和攻撃も問題無いかと』

 

タキ『後、これもどうでしょう?漏電性の高い物質をネロンガの体内に撃ち込んでみては?或いは水を掛けてショートさせるというのは?』

 

メタルナイト『無論解析済みだ。奴の皮膚は絶縁性が高く、外から水を掛けても意味はない。狙うならば、俺がこの機体を乗り込ませ奴の体内に漏電性の素材を撃ち込むまでだ』

 

タムラ『すまない。頼むぞ!』

 

こうして、メタルナイトは再び飛ぶが、ネロンガが危機を察したのか、メタルナイトに向けて電撃を放った。メタルナイトに電撃が当たり、性能がより大きく下がり始めた。

 

メタルナイト『ちぃ!機体の損傷が激しい!』

 

このままでは作戦に支障が出てしまう。

 

童帝『くそっ!攻防隙がない!』

 

シルバーファング「じゃが放射性物質が無いならこちらのモンじゃ!」

 

シルバーファングはネロンガの振り下ろした両前脚の爪を受け流し、ネロンガの脚に受け流した分のパワーを乗せた突っ張りを放つ。ネロンガは前脚にダメージを負い、そのまま横向きに転倒。

 

更にクロビカリが光り輝く筋肉の腕を膨張させて、ネロンガの頭部にある角に拳を食らわせた。ネロンガの頭部の角は折れなかったが、ネロンガは仰け反った。

 

しかし、ネロンガは起き上がり、暴れ始めた。尻尾がクロビカリに迫るが、クロビカリは両腕で掴む。しかし、勢いを殺す事は出来ず、両足が宙に浮いてしまう。フラッシュは背中に乗り上がり、金属バットは頭部の角にバットのラッシュを浴びせ、シルバーファングは跳んでネロンガの攻撃を避ける。

 

アトミック侍「やろぅ。タフな奴だぜ」

 

童帝『先程メタルナイトさんの機体がやられたせいで漏電性の材料を撃ち込む作戦は難しい。こうなれば………』

 

童帝はブレイブジャイアントのジェットでネロンガの背中に回り込み、レーザーソードで斬る。しかし、ネロンガの体表が焦げるだけで中々ダメージが通らない。

 

S級ヒーロー7名でも中々攻撃が通らないが、ネロンガもS級ヒーロー達を倒せない。

 

しかし、此処で童帝に対してタムラ班長から連絡が入る。

 

タムラ『ムナカタ室長から連絡が来たが、不味い事になった。ネロンガの駆除がこのまま進まなければ、与党幹事長が防災大臣を通して核兵器使用に言及し始めた。あまり時間は無い』

 

童帝「なっ!?奴を短時間で駆除ですか!?なんて無茶振りを言うんです!?」

 

ネロンガには確かにダメージを与えている。しかし、それでも駆除に成功するにはかなり時間が掛かる。

 

タムラ『気持ちは分かる。この国の政治家が国際社会から怪人の被害と駆除責任を押し付けられるという政治的圧力に勝てない故に、国際社会から勧められた核使用を安易に受け入れてしまったせいによる弊害だな。我々も有効な対策を考える』

 

童帝『………分かりました。高原の魔女さんや灰の魔女さん、オールマイトさん達が援軍に来るなら、ネロンガの駆除も簡単な筈。それまで持ち堪えて見せます!』

 

童帝がブレイブジャイアントを操り、他のS級ヒーローと共にネロンガへ攻撃を続けようとした。

 

と、その時だった。

 

カミナガ『班長。ネロンガに迫る2名の女性が居ます。いや………もう一人、男が居ます!』

 

タムラ『何っ?』

 

カミナガが報告を始めた後、童帝は3つの強い生命エネルギーをレーダーで探知する。

 

童帝(嘘!?何この強い生体反応!?)

 

メタルナイトも同じだ。

 

メタルナイト(な、何だこの生体反応は!?此処までのエネルギー値は、アズサやオールマイト………いや、もしかしたら彼等以上かもしれぬ!?)

 

――――――――――――――――――――――――

 

そして、ネロンガは跳んできた一人の少女によって下顎から蹴り飛ばされた。

 

無数のビル群を吹き飛ばし、自分より遥かに大きいネロンガを蹴り飛ばしたのだ。少女は空中で包まって後ろに5回転もした後、地面に着地した。

 

フラン「よし」

 

師匠『周りの集落にはヒーローを除いて、人が居ないのは確認済みだ。思いっ切り行くぞ!』

 

そして、ヒナタも遅れて到着する。

 

ヒナタ「結構大きいじゃない。あら?」

 

ヒナタは、遅れてやって来たサイタマと出会う。

 

ヒナタ「何アンタ、桃源団の仲間?」

 

サイタマ「いや違う。桃源団が俺と同じハゲだから、ぶっ潰しに来たんだ。で、ハンマーヘッドなら全裸になって逃げた。その後に………関節のパニックに因縁付けられた」

 

ヒナタ「………関節のって………ソニックの事かしら?その人って、細くて速かった?」

 

サイタマ「速いか分かんねえけど、そうだな」

 

ヒナタ(速いか分からないって………まあ良いわ。ソニックを倒すなんてやるわね。知ってたとはいえ、彼がサイタマ……見た目じゃ分からないけど、確かに強いわね)

 

ヒナタは、サイタマが自分やフラン、師匠より強い事を見抜いた。この世界の事をある程度知るヒナタだからこそ、サイタマを目の当たりにして改めて彼の強さを自覚する。

 

そして、ネロンガは自身を蹴り飛ばした相手を見た。ヒナタもネロンガを見る。

 

ヒナタ(でも彼奴、ウルトラマンのネロンガよね?ウルトラ怪獣といいライダー怪人といい、他の作品の怪物共がなんでこの世界に?)

 

それと同時に、S級ヒーロー達も集まり始めた。ネロンガを軽々と蹴り飛ばした少女と、その周りに集まる二人の男女に注目する。

 

特にフランは、以前からヒーロー協会に目を付けられてた事もあってか、ヒーローだけでなく本部も注目し始める。

 

カミナガ『班長。例の少女の存在を確認。自分が保護に向かいます』

 

タムラ『いや待て。まだネロンガが近くに居る。彼女の保護はS級ヒーロー達に任せよう』

 

タムラはS級ヒーローに、フランの保護をS級ヒーローに頼もうとした。

 

しかし、ネロンガが先に動き出した。ネロンガは先程の蹴りで理解する。フランはこれまでの奴等と格が違う。そしてヒナタとサイタマからも、恐ろしい何かを感じる。

 

ネロンガは角と触覚を合わせて、電撃をフランに向けて放つ。フランは防ごうとするが、前に出てきたサイタマに電撃が命中。サイタマの全身に電撃が走るが、サイタマは平然としている。

 

サイタマ「あー、何だこりゃ?電気マッサージか?いや、俺全然気持ちよくねぇしマッサージじゃねえのかも」

 

サイタマはマッサージにすらならない。遠くで見ていた童帝やメタルナイトは、電気が直撃しているサイタマを見て唖然としていた。作戦本部のタキを含めた怪特対も驚いている。

 

童帝『ちょっ!?ええっ!?推定50万キロワットの電気ですよ!?』

 

メタルナイト『し、信じられん!?クロビカリや童帝、俺のロボット以外であの電撃に耐えられるヒーロー等!?』

 

フナベリ『しかもあの人、平然と立ってるようですが……』

 

彼等の動揺なんて露知らずなフランは、サイタマに願う。

 

フラン「あの能力欲しいかも。でも今回はサイタマにあげる。でも、頭は残して」

 

サイタマ「おう」

 

サイタマは拳を握り締める。

 

すると、放電を止めたネロンガは咆哮を上げた。しかしその咆哮は悲鳴のように聴こえる。軈てネロンガはサイタマの元を向きながら透明になり、後退りして逃げようとする。

 

メタルナイト『透明に戻った?危機を察したのか?それにあの男は………』

 

そして、サイタマは拳を強く握り締める。軈て後ろに向けた拳を大きく振りかぶって、ネロンガの居る方向に向かって突き出した。拳から放たれた衝撃波がネロンガに迫る。熱工学攻撃ではない、物理的な衝撃波により、ネロンガの全身が頭部を残してバラバラに砕け散った。青色の体液が周囲に飛び散り、肉片がビルに降り掛かってプラネタリウムを描く。パンチの先にある建物は全て粉々になり、地面には真っ直ぐの道出来て、瓦礫も殆ど蒸発した。

 

サイタマが突き出した方向にはS級ヒーローは居らず、作戦本部も反対側にある。しかし、その作戦本部にもパンチによる振動による地震が起きて、机や椅子も大きく揺れた。

 

タムラ「何が起きた!?」

 

タキ「衝撃波のようです!!震度4.9、衝撃波が通った空間も原子爆弾並の高熱を纏っています!一体、どれ程のパンチを繰り出せばこんな威力を出せるんだ!?」

 

フナベリ「ネロンガは、倒されてるけど………頭部だけ残してる………」

 

カミナガ「恐ろしい奴だ………怪人ではないのに、何者だ?」

 

場面は変わり、サイタマ達はネロンガの頭部にやって来た。フランは師匠をネロンガの千切れた首の断面に突き刺し、師匠に能力を吸収させる。

 

師匠『能力吸収!此れでネロンガの力は俺達の物だ!光線や熱線に対してほぼ無敵になったぞ!』

 

フラン「おおおっ!」

 

師匠『とはいえ、俺達ヒーロー達の前で目立っちまったな。どうする?』

 

ヒナタ「私、何もしてないのだけれど?」

 

サイタマ「………あっ!?そういや今日バーゲンセールだ!!急がねぇと間に合わねえ!!」

 

フラン「あっ。お肉………お魚………師匠!サイタマ!ヒナタ!急ごう!」

 

師匠『はいはい』

 

サイタマの背中に飛び乗って掴まるフラン。師匠はフランの背中に止まる。

 

ヒナタ「私は………いや、アタシも傍に居たから事情聴取されるじゃない!?此処まで来たら乗りかかった船よ!連れて行きなさい!」

 

ヒナタはフランの手を握る。そのせいで後悔する事になるとは知らずに。

 

サイタマ「よし、行くか」

 

ヒナタ「えっ?ちょっま、い、いやぁぁぁぁぁ―――」

 

ヒナタは手を離そうとしたが、時既に遅し。サイタマが走ってしまい、もう手を振り解く事が出来なくなった。下手に振りほどけば、勢いよく何処かに叩き付けられる。それは避けたいヒナタ。

 

フナベリ『走って……は、速っ!?』

 

タムラ『レーダーサイトに通達!逃すな!追え!ヒーロー達も追うんだ!』

 

タムラが指示を出す。しかし、ヒーロー達が追い始めたが、追って行けたのはフラッシュのみだ。空を飛べるメタルナイトやブレイブジャイアントは、損傷が酷い為に上手く空を飛べない。

 

フラッシュ「待て。お前達に聞きたい事がある」

 

サイタマ「うるせぇ!!今からバーゲンセールがあんだよ!!邪魔すんじゃねえよ!!」

 

すると、地面から怪人が出現した。ピクルスが巨大化して人の体を持つ怪人だ。

 

ピクルス集合体「俺様はピクルス集合体!食わずに捨てられたピクルスが集まって生まれたピクルス怪人だ!人間よ覚悟し――」

 

サイタマ「うるせぇ!」

 

サイタマは走りながらパンチして、怪人を瞬殺。フラッシュはサイタマの攻撃力の高さに感心を持つ。

 

フラン「師匠」

 

師匠『いや、此奴は要らないだろ。ただデカいだけの奴だ』

 

師匠からも要らない宣言。哀れなり。

 

フラッシュ(何という攻撃力!?こんな奴がヒーローではないというのが不思議だ………それに、剣が喋っただと!?)

 

ヒナタ「ちょっ………まっ……うぷっ………とまっでぇ」

 

結局、サイタマはスーパーマーケットまで止まることはなく、フラッシュはスーパーマーケットで注目される事になる。サイタマはフラッシュの隣で買い物を始めた。

 

ヒナタはベンチで横になり、酔いが覚めるのを待つのだった。

 

フラッシュ「……で、話がある」

 

サイタマ「なら、家で話そうぜ。買い物済ませたし、夕食奢るぜ」

 

フラッシュ「………良いだろう」

 

フラッシュはサイタマ達に同行した。ヒナタもフラつきながらフランと手を繋ぎ、フラン達に付いて行くのだった。




名前:ネロンガ
元ネタ:シン・ウルトラマン
災害レベル:竜
シン・ウルトラマンのネロンガそのもの。透明化による熱工学攻撃及び光線の無力化は勿論の事、角からの電撃攻撃も可能。また、電気が大好物で、お腹いっぱいになると姿を現す。また、攻撃する際にも姿を現す。

名前:ピクルス集合体
元ネタ:オリジナル
災害レベル:虎
概要
食わずに捨てられたピクルスが集まって生まれたピクルス怪人。巨大なピクルスなので転がり踏み潰す程度の攻撃力しかない。
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