S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

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灰の魔女と避難所

J市の海岸沿いの道路。其処へ1人の魔女が空から箒に乗って降りてきた。S級ヒーローのイレイナだ。彼女は道路に倒れているある2人の元へ歩み寄り、手に持った杖で魔法を唱える。

 

イレイナ「……『傷よ、癒えよ(ヴァルネラ・サネントゥール)』」

 

イレイナは回復魔法を唱えた。すると、イレイナが回復させた2人の体に出来た傷が治り始めた。その相手は、血反吐を口から吐き出しながらうつ伏せで気絶するサヤと、何本も歯が折れているアムネシアだ。2人の怪我も折れた歯も、時間が巻き戻るように治っていく。

 

イレイナ「『ベホマズン』」

 

更に、地面に倒れているイナズマックスやスティンガーの元に近付いた後、倒れている2人に向かって回復魔法を再び唱えた。すると、イナズマックスやスティンガーの体の傷も瞬く間に治っていく。

 

サヤ「ん………あっ………い、イレイナさん!?イイイレエエエイナサアアアアン!!」

 

サヤはイレイナの姿を見るとすぐに起き上がり、自分を治してくれたのがイレイナであると知り、驚きつつもイレイナに抱き着こうと飛び掛かる。イレイナはサヤの下顎を掴んで止めた。

 

イレイナ「お元気で何よりでぇす!アムネシアさんもどうですか?」

 

アムネシアは起き上がった後にイレイナの姿を見かけると、イレイナに即座に抱き着いた。

 

アムネシア「イレイナさん!来てくれたんだ!ありがとう!」

 

そして、サヤはイレイナの手を退けた後にイレイナを抱き締めた。2人に抱き締められたイレイナは、2人の頭を撫でる。

 

イレイナ「はいはい。今はそんな事をしてる暇はありません。何があったんですか?」

 

イレイナが尋ねると、スティンガーとイナズマックスが左右に揺れながら起き上がり、何が起きたか説明した。

 

スティンガー「俺達は地球連合軍とかいう連中を足止めしてたんだ。雑兵を全員倒したから避難所へ向かおうとしたら、不意打ちに遭ったんだ」

 

イナズマックス「全部で3人だ。1人は天狗みたいな空飛ぶ怪人で、2人目は半魚人みたいな怪人だ」

 

スティンガー「そして最後の1人が樹木みたいな奴だ。恐らく奴等が地球連合軍のボス共だ」

 

サヤ「スティンガーさんとイナズマックスさんの言う通りです。彼奴等は他の雑兵と違って小柄でしたが、強さは本物です」

 

アムネシア「うん。不意打ちとはいえ、私達は何も出来なかった」

 

イレイナ「………そうですか。恐らくですが、そいつ等は避難所に向かいましたね?」

 

イレイナが問う。4人はイレイナから怒りのオーラを感じた。それが黒いオーラの形となって出て来ているのを、4人はその目で見た。

 

スティンガー「………あ、ああっ。そうかもな」

 

イレイナ「………皆さんの体はもう治ってきた筈です。私は避難所に向かいますので、ついて来てください」

 

イレイナはその場に箒を召喚した後、横向きに乗って空を飛び始めた。その際にイレイナは、無数の翼竜達と戦うフランと師匠の姿を目撃した。

 

イレイナ(そちらはお任せします。避難所は任せてください)

 

イレイナは高速で飛んだ。

 

イナズマックス「俺達も行くぞ!イレイナちゃんに負けてられねぇ!」

 

スティンガー「おう!皆を護る奴は1人でも多い方が良いな!」

 

サヤ「はい!アムネシアさんも行きましょう!」

 

アムネシア「うん!」

 

4人もイレイナを追い掛け始める。サヤの箒にアムネシアも乗り、サヤは箒に乗ってイレイナを追い掛ける形で空を飛び始める。スティンガーとイナズマックスも、ビル群の屋上を伝いながら走り続けた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、避難所には大勢の避難民が集まっていた。護衛として3名のヒーローが市民を護っていた。

 

デスガドリング、スネック、そしてヒナタの3名だ。

 

デスガドリング「奴等は恐らく、避難用シェルターに集まって来る。穴を1つでも開ければ其処から俺が全弾放って蜂の巣にしてやる」

 

スネック「もし空から来ようが、俺とヒナタで対応する。ヒナタ、お前音響攻撃が出来たよな?」

 

ヒナタ「ええっ。サイレンヘッドから奪った能力ね」

 

スネック「今は市民が近くに居るんだ。それは使わないでくれよ」

 

ヒナタ「分かってるわよ」

 

すると、避難所の壁が破壊される。そして、其処から深海王が姿を現した。

 

深海王「見ぃつけたぁ!!」

 

人々がパニックになる。

 

ヒナタ「成る程。深海王が此処で来るのね」

 

ヒナタが深海王の前に出る。

 

深海王「あら?貴女は誰かしら?」

 

ヒナタ「名乗る名は無いわ。此処を襲うつもりなら、死んでもらうわ」

 

デスガドリング「そうか。なら俺は上を警戒しよう。スネック。お前も周囲を警戒してくれ」

 

スネック「分かった」

 

正直深海王程度ならヒナタでも倒せる。しかし、決して油断してはいない。

 

何故なら今回は、深海王だけではないと予想してるからだ。避難所に攻めてくる王は、他に3体も居る。

 

そして、天井が突然崩れ落ちて来た。天井の瓦礫が落ちてきた。

 

デスガドリング「ちぃ!」

 

デスガドリングが左腕のガドリング砲から無数の砲弾を放ち続けて、瓦礫を全て破壊する。

 

しかし、瓦礫の中に紛れている、高速移動で無数の砲弾を回避し続ける影。そして、デスガドリングの懐に入り込み、その腹に鋭い爪を突き刺した。

 

デスガドリング「ごはぁ!?」

 

入り込まれたデスガドリングは回避が出来ず、その場に崩れ落ちてしまう。

 

スネック「デスガドリング!があっ!?」

 

スネックの左肩を鋭い枝が貫いた。スネックは貫かれた肩諸共空中へ上げられてしまう。それは床を突き破って姿を現し、軈て異形の姿を曝け出した。スネックを床へ叩き付けるように放り出した。

 

森林王「ふん。弱い」

 

天空王「フハハハハッ!人間共!降参するなら今の内だぞ!今頃ヒーロー共は、外で暴れている我がペット達の相手で忙しいだろうからな!」

 

天井と壁が壊された事で、避難所の中でも暴風と豪雨が吹き荒れたり降り掛かったりと、人間側の動きが制限される事態が起きる。

 

人々は逃げようとするが、更なる絶望が人々を襲う。

 

古代王『チビ共が。逃げられるとでも、思っていたのか?』

 

古代王が開いた天井から見下ろしてきた。

 

ヒナタ「だから何?私がアンタ達程度で―――」

 

しかし、ヒナタは予想出来なかった事態に遭遇してしまう。

 

アンチ男「うわああああっ!!助けてくれえええ!!」

 

突然小太りの、ヒーローをアンチしていた男が、床を突き破って現れた地底人の1人に捕らえられてしまう。

 

更に床を突き破って地底人達が次々と現れて、市民達に襲い掛かる。

 

ヒナタ「なっ!?くっ!」

 

ヒナタは高速で移動し、アンチ男を捕まえていた地底人の頭を一突きで貫いた。

 

更に市民達に襲い掛かる地底人達を、ヒナタは次々と斬り付けていく。

 

しかし、その隙を見逃す王達ではない。

 

天空王「見事よ!だがワシ等の!」

 

森林王「数多の攻撃を!」

 

古代王『防ぎ切れるか?』

 

深海王「さあ、殺戮の始まりよ―」

 

その瞬間、深海王の全身が爆炎に包まれる。爆炎はすぐに晴れるが、雨のお陰で全身が治り、更に異形の怪物となった深海王の姿が現れる。

 

深海王「何よ此れから面白いというのに。誰かしら?」

 

それは、深海王が開けた穴から現れた2人の男女。先程の爆炎は青年から放たれており、もう1人の女性は杖から無数の氷の矢を放った。狙いは地底人達であり、地底人達を次々と刺し貫いていく。

 

ジェノス「お前が地球連合軍のボスの1人か」

 

イレイナ「みたいですね。あの半魚人はお任せします。私は市民を守りつつ、3体の王を蹴散らしましょう」

 

イレイナは魔女とは思えない程の跳躍で、避難所の中心へと跳ぶ。ジェノスは掌を深海王に向けて告げる。

 

ジェノス「先ずは貴様からだ。排除する」

 

ジェノスはそう告げた後、深海王に向かって跳んだ。

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