S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

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切り札と天空王の最期

深海王「貴男も中々やるわね!天空王から地上人を嘗めるなと言われたけど正にその通りだわ!」

 

ジェノス「もう再生したのか!?」

 

深海王とジェノスは、いつの間にか避難所から離れていた。深海王とジェノスが交戦を繰り返す内に、いつの間にか外へ飛び出していたのだ。道路の真ん中で激闘を繰り広げる間に、ジェノスの体は内部の機械が見えたり、左腕が潰れてしまう程の損傷を受けた。対して深海王は所々に裂傷や傷穴が開いたりしているが、すぐに治ってしまう。

 

雨が降ってるせいで深海王の体は何度でも再生する。ジェノスが叩き込んだ焼却砲も暴風豪雨のせいで上手く威力が出ない。その為、深海王に致命打を与える事が出来ない。先程の集中攻撃では深海王を後少しまで追い詰めたが、深海王が溶解液を吐き出したせいで避けるしかなかった。しかしそのせいで深海王の再生を許してしまい、深海王は体が治ってしまう。其処まで再生を繰り返したならば、体力の消耗も激しい筈だ。恐らく雨によって体力も回復し続けているのだろう。

 

深海王「随分叩き込んでくれたようね。でも、貴男が私へ叩き込んでくれたどの一撃も、もう完治してしまったわ。その代わり、貴男の体はもうボロボロよ?殴った時に分かったけど、貴男は普通の人間じゃないわね?」

 

ジェノス「俺はサイボーグだ。パーツさえあれば何度でも直せる」

 

深海王「へぇ面白いわね」

 

ジェノス「だが此処にやって来るのは俺と灰の魔女だけではない。ヒナタも居る。そして最強のヒーローは遅れてやって来る。貴様等ごときが決して敵わない、無敵のヒーローが」

 

深海王「へぇ。それは楽しみだわ。でも、切り札を持ってるのは貴方達だけじゃないの。まあ、切り札を使う暇なんて無いでしょうけど」

 

ジェノス「?」

 

すると、避難所から悲鳴が聴こえてきた。

 

市民達『『『キャアアアアアアッ!!』』』

 

ジェノス「っ!?何をした!」

 

深海王「ペット達に暴れて貰えば注意を反らせるけど、それでも何人かは強いヒーローが避難所に来るでしょ?それが分からない程私達も馬鹿じゃないわ。だから私達は、切り札を此処で使う事にしたのよ。空からは凶獣・姑獲鳥が攻めて、ソリチュラが市民達へ攻撃し始めた頃ね。アカミィは……いえ、まだ早いわね。さあ、護り切れるかしらぁ?1人の魔法使いが避難させてたみたいだけど、まだ全員避難しきれてないのは今の悲鳴で分かったし、私達が優勢なのは確かね」

 

深海王はお腹を撫でる。切り札は自身の体内に居る。手懐けたとはいえ、油断は出来ない。深海王はジェノスを相手にしながらも、お腹の中に居る切り札を吐き出す為の体力は温存していた。

 

出て来ようとする此奴を押さえる為に。

 

ジェノス「ぐっ!」

 

ジェノスは深海王を無視して避難所へ戻ろうとした。その際にジェノスは見た。避難所に乗り上げる女性のような体を持つ全身銀色の巨大な人型怪獣の姿を。そして、避難所に咲く巨大な白い花の姿も。

 

深海王「行かせるとでも思った?」

 

ジェノス「ぐはっ!」

 

ジェノスは深海王に蹴り飛ばされた。

 

ジェノスは地面を転がった後に立ち上がる。避難所からは爆発と何かが凍る音、燃え盛る音、そして雷が発生する音が響く。恐らく灰の魔女とヒナタが戦っているのだ。そして、集まってきたヒーロー達も闘っているのだろう。

 

ジェノス「そっちは頼むぞ!」

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃避難所内では市民達の避難が続いているが、それでも残った市民達に怪人達が襲い掛かる。

 

ヒナタ「ぐっ!」

 

イレイナ「ヒナタさん!」

 

ヒナタは襲い掛かる怪人達を次々と斬り裂いていくが、市民達が混じってるせいで思うように斬れない。

 

更に地底から姿を現したミミズのような生物達が飛び出し、市民達に向かって飛び掛かる。

 

『災害レベル鬼:グラボイズ』

 

イレイナ「ッ!!」

 

イレイナは隙かさず氷の矢を放ち、グラボイズを貫いた。しかし、他にも地底から次々と怪物が現れ始める。グラボイズの頭部に脚が生えた姿をした怪物と、その怪物が更にスリムになり、背中と両腹にヒレのよう物がある姿をした怪物が現れた。

 

『災害レベル狼:シュリーカー』

 

『災害レベル虎:アスブラスター』

 

アスブラスターは尻から可燃性ガスを放ち、その爆発を利用して空を飛び始める。

 

サヤ「イレイナさん!」

 

其処へ避難所に間に合ったサヤが駆け付けて、アスブラスターに向けて冷気を放つ。アスブラスターはサヤによって全身丸ごと凍らされていく。

 

地上を走るシュリーカーも、アムネシアのサーベルによって真っ二つに切断される。

 

アムネシア「イレイナさん!」

 

アムネシアはシュリーカーを討伐して、イレイナの元に向かう。

 

更にその間に、スティンガーとイナズマックスも到着し、シュリーカー達を次々と蹴散らして行く。

 

イレイナ「アムネシアさん、サヤさん。間に合ってくれてありがとうございます。スティンガーさんとイナズマックスさんも、間に合ってくれてありがとうございます!」

 

スティンガー&イナズマックス「「おう!」」

 

そして、最後の3人がイレイナの異空間へ避難した。イレイナは出入口を閉じる。

 

イレイナ「『縛れ(インカーセラス)』」

 

イレイナが呪文を唱えて、杖からロープを放つ。ロープは地底人達を縛っていき、拘束する。

 

地底人1「なんだと!?」

 

地底人2「小癪な!」

 

地底人達が周囲から襲い掛かる。

 

イレイナ&サヤ「「『護れ(プロテゴ)』」」

 

イレイナとサヤがそう唱えた途端、イレイナ、サヤの周囲にバリアが張られた。地底人達はバリアに攻撃し続けるが、全く破れず苛つき始める。

 

イレイナ「『スクルト』『ピオリム』『バイキルト』」

 

サヤ「おおっ!唱えるの速いですね!」

 

イレイナは周囲のヒーロー達に強化魔法を掛ける。更にサヤは杖を振り回すと、何処からともなく現れたタル爆弾が空中から現れ、地底を進むグラボイズを上から爆撃する。グラボイズは音で地上に飛び出したが、サヤの放つタル爆弾の爆撃によって撃破されていく。

 

アムネシア「力が溢れてくる!ありがとうイレイナさん!」

 

アムネシアは力が増したのを体感で感じて、走って地底人達を斬り裂いていく。

 

しかし、地底人だけでなく森林族、海人族、更には天空族が空、地底、更には避難所の壁を開けて恐竜達も次々と現れる。

 

ヒナタ「さて、先ずはアンタからよ!」

 

天空王「舐めるなぁ!!」

 

天空王が暴風を起こすが、ヒナタはサーベルで風を斬る。口から出した火炎弾も斬り裂かれ、天空王は再び天空へ逃げ出した。ヒナタは接近戦が主な戦法の為、上空へ逃げられると面倒だ。飛行魔法は持ってない為、跳べない訳では無いが空中では動きづらい。

 

天空王「仕方あるまい………姑獲鳥!ワシと共に闘え!」

 

天空王がそう叫ぶ。しかし、姑獲鳥から返事が無い。既に解き放った筈の切り札だが、動きが見られない。

 

天空王「姑獲鳥!?何をしている!?」

 

天空王が何事かと思い、上を見上げた。すると、有り得ない光景が目に映った。

 

ホーク「お、親父………すまねぇ」

 

イーグル「強過ぎる………地上人共を嘗めてた………」

 

空から落ちてくる、二人の息子達。そして、天空王が見たのは………………1人の少女が姑獲鳥を頭から持って支える姿だった。

 

『災害レベル竜:凶獣・姑獲鳥』

 

フラン「師匠!能力ゲットした!」

 

師匠『ああっ!また俺達は強くなれたぞ!』

 

それは、フランと師匠だ。師匠の刀身は姑獲鳥の額に突き刺さっており、フランが片手で倒れそうになる姑獲鳥を支えていた。

 

天空王「馬鹿な!?」

 

ヒナタ「止まってるなんて間抜け過ぎないかしら?」

 

その瞬間、天空王はヒナタのサーベルによって背中から胸を貫かれた。心臓を丸ごと貫かれてしまう。

 

天空王「ま、まさか………この天空王が…………」

 

その時、天空王は死ぬ間際に、ある事を思い出した。

 

それは、襲撃を仕掛ける前に姑獲鳥から自らの死を予言された事。

 

そして、ある1人の男に唆された事を。

 

――――――――――――――――――――――――

 

天空族の住まう雲の楽園。

 

その王宮の玉座。其処に座る天空王の前に、1人の男が現れた。見た目は人間の男だが、何処か怪しい雰囲気を纏っていた。

 

天空王『何者だ?』

 

???『アポもなく訪れた事を謝罪致します。私の名はメフィラスです。皆様に地上をいち早く制圧出来る方法を教えに来ました』

 

天空王『地上を?確かに地上をいずれ制圧するつもりであったが、何を考えている?』

 

メフィラス『私はこの美しい星が欲しい。ですがその前に、地球の皆さんの実力を確かめる為のデモンストレーションを行いたいのです』

 

天空王『我等にモルモットとなれと言うのか?お断りだ。それに、星だと?貴様はこの星の人間ではないのか?』

 

メフィラス『その話に関してはまた後程。それに、もし皆様が勝利した暁には…………このベーターボックスを授与して差し上げましょう。天空族、恐竜族、海人族、森林族、地底族の皆様にもお配りしましょう』

 

その後、ベーターボックスの性能を見せてもらった所、部下がこれまでとは桁違いの力を得ただけでなく、巨大化し空の怪獣達を蹂躙した。

 

天空王はその話に乗ってしまった。同盟を組む提案も彼から教わった物だ。偵察の件も、切り札の件も、何もかもメフィラスという男の入れ知恵だ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

天空王(今だから解る…………我等が負ける事を奴は知っていたな!この天空王が………この様な策略に!くそぉ!)

 

天空王は絶命する寸前に、空の彼方へ手を伸ばしながら恨み言を告げる。

 

天空王「巫山戯るなぁ!!メフィラスゥゥゥゥッ!!」

 

ヒナタ「っ!?」

 

そして、天空王は仰向けに倒れてしまい、そのまま息を引き取った。

 

ヒナタ(今……何か叫ばなかったかしら?)

 

ヒナタはそんな疑問を抱きながらも、襲い来る怪人達を次々と斬り伏せていく。

 

森林王「馬鹿な!?あの最速を誇る天空王が!?」

 

古代王『有り得ぬ!?こんな馬鹿な事が!!』

 

深海王「何ですって!?ちょっとレイキュバスはどうしたのよ!?グエバッサーは!?ライバッサーは!?ロックイーター共は!?ギャオス共は!?いくらなんでも遅すぎるわよ!!」

 

王達は動揺する。更に彼等に追い討ちを掛ける出来事が起きた。

 

サイタマ「それこいつ等じゃね?」

 

オールマイト「SMAAAAASHUUUUUUUU!」

 

その場に現れたサイタマが、数多の怪獣達の頭部をその場に放り投げる。古代王と深海王の足元に、グエバッサーとライバッサー、ロックイーターにレイキュバスの頭部が放り投げられた。

 

更に、古代王の背後に居た怪獣達がオールマイトの突進によって貫かれた。

 

サイタマ「フランと師匠の土産にと思って持って来たんだけど」

 

オールマイト「まさか私が走って数秒で片を付けるとは思わなかったが、イレイナ君達が頑張ってくれたお陰だ!此れで我々も思い切り闘える!!」

 

そして、死体を見た古代王、深海王、森林王は動揺する。

 

古代王『貴様等………まさか貴様等が我等の部下やペット達を!?』

 

深海王「ふ、ふざけんじゃないわよ!!こんな、こんな巫山戯た人間共に!!」

 

森林王「おのれ!!おのれおのれおのれえええええええええええ!!!」

 

森林王が蔦を伸ばして来たが、フランが口に咥えた師匠が刀身から放つ糸と針によって、森林王は床に縫い付けられてしまう。

 

森林王「ば、馬鹿な!?」

 

フラン「んむっ」

 

師匠『植物の怪人か。此奴も今から頂くか』

 

更に、ジェノスに思わぬ援軍が駆け付ける。

 

ぷりぷりプリズナー「先程は手酷くヤラれたが、今度はそうは行かないぞ!!」

 

それは、深海王に打ちのめされたS級ヒーロー、ぷりぷりプリズナーであった。ジェノスは援軍が来た事に歓喜し、ぷりぷりプリズナーと共に深海王を迎え撃つ。

 

そして、古代王の前にサイタマとオールマイトが立つ。

 

ヒーロー対地球連合軍の戦いは、間もなく終わろうとしていた。

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