S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

36 / 45
取り逃がした脅威と最終決戦

天空王が倒された。王達は動揺するが、それでも彼等は闘う。

 

深海王は、ジェノスとぷりぷりプリズナーの2人と闘っていた。ぷりぷりプリズナーは理由は省くが全裸となり、逞しい筋肉が震えている。

 

深海王「また私に負けに来たのかしら!?言っておくけど雑魚が2匹揃った所で私には勝てないわよ!!」

 

深海王がぷりぷりプリズナーの胴体を殴る。しかし、ぷりぷりプリズナーは避けない。寧ろ仁王立ちをして、深海王の拳を受け止めた。

 

ぷりぷりプリズナー「ああっ、俺は確かに貴様に負けた。しかし、俺が負けた原因は強さだけではない!俺が負けたのは、俺が護りたいと願う全ての男子達に対する“愛”が足りなかったからだ!!」

 

ぷりぷりプリズナーの体が膨張する。不思議と彼の背後に天使の翼が浮かぶが、それは増えていた。2対6つといった天使の翼。勿論実際に生えてきた訳では無いが、深海王とジェノスはその光景に目を奪われる。

 

ジェノス「なんてエネルギー!?ただの身体能力だけで此れ程のエネルギーを!!此れがS級か!」

 

深海王「そ、そんな馬鹿な!?有り得ない!!有り得ないわ!!」

 

深海王は、これまで感じた事のない未知の感覚、即ち『恐怖』によって体が震えていた。しかし、それと同じ位に海の王としてのプライドが深海王の中で厚くなる。

 

ぷりぷりプリズナー「ジェノスちゃん。後は俺がやる。貴男はイレイナちゃん達を援護してほしい!頼む!!」

 

ジェノス「分かった!頼むぞ!」

 

ジェノスはその場から走り出し、避難所へ乗り込んだ。

 

ぷりぷりプリズナー「此れから俺がやる事は、全ての男子達への愛と、その男子達を悲しませようとする貴様への怒りを………拳に乗せて放つ一撃だ!!海よりも偉大な愛と怒りの力を、受けるがいい!!!!」

 

ぷりぷりプリズナーの膨張した拳が虹色に光る。本当に膨張し光っているのではなく、周囲の人間にはそう見えるだけだ。無論それは、深海王も例外ではない。

 

深海王「ふ、ふざけないで頂戴!!そんなもので私が!!この深海王がやられると思ってるの!?この、海の王たる私が!!そうよ!!私は深海の王!!海の王!!海は生命の源である母の如き存在!!つまり母なる海の支配者たる私こそが、世界中全生態系ピラミッドの頂点に立つ存在なのよ!!その私に楯突いたという事は――――」

 

ぷりぷりプリズナー「それがどうした!!大いなる愛に比べれば、海なんてただの小さな水溜りだ!!そして俺は“愛”の為に闘うヒーロー!!今の貴様よりも、今の俺が強い!!」

 

深海王「――――――――――――っ!!!!!!!」

 

深海王はキレた。もはやヤケクソだった。深海王は力に任せて拳を振り下ろす。

 

ぷりぷりプリズナー「シン・エンジェルウウウウウウウウウウウウウウウ………スマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッシュッ!!!!!!!」

 

ぷりぷりプリズナーが己の持てる全力と、“愛”を込めた拳を深海王に向けて放つ。深海王の拳とぶつかった。

 

深海王「私は海の王………人間の拳如きがあぁぁっ!!」

 

ぷりぷりプリズナー「大いなる愛は、海よりも大きいのだ!!」

 

ぷりぷりプリズナーの拳が深海王の拳を押し潰し、軈て彼の胸元を貫いた。雨を吹き飛ばし、空が晴れる程の一撃により、深海王の上半身が跡形もなく吹き飛んだ。

 

ぷりぷりプリズナー「………ふー……ハッ……」

 

ぷりぷりプリズナーは息を吐いた。

 

ぷりぷりプリズナー「それにしても………あの男に治して貰ったが、まさか此処までの力を………一体何者なんだ?」

 

ぷりぷりプリズナーは自身の背後を見た。自身は深海王に負けて気絶していたが、ある男に体を治して貰った。その時、体の底から力が湧き上がり、今こうしてリベンジに成功した。

 

治した男は見当たらない。もしかしたら近くに居るかもしれないと感じたからだ。もしまた会えたら、お礼にディープキスをしよう。そう考えたぷりぷりプリズナーは、その場にうつ伏せとなって倒れた。この技を使ったせいで、暫く動けそうになかった。

 

だから、彼は気付けなかった。深海王の体から飛び出した小さな魚が、下水道へ入り込んでしまった所を。そしてその様子をビルの屋上から見つめる、黒スーツを着た胡散臭い男の姿を。

 

――――――――――――――――――――――――

 

サイタマ「何だ此奴?恐竜みてぇだな」

 

オールマイト「ああっ、ボス達の中でも一際大きい!サイタマ君は周りの怪獣達を頼む!」

 

サイタマ「おう」

 

サイタマは自分達に向かってくるロックイーター達を迎え撃つ。その間にオールマイトが古代王の前に立つ。

 

オールマイト「君の相手は私だ!!」

 

古代王『ほう。確かに強い!嘗てこの地球を支配していた恐竜族の長である、この古代王に倒される資格がある!』

 

古代王は脚を上げると、そのまま足を振り下ろしてオールマイトを潰そうとした。

 

しかし、オールマイトは片手だけで古代王の足を受け止めた。そして、そのまま片手を上げて押し返した。後方へ後退る古代王。

 

古代王『ほう!貴様のような実力者が地上に居たとはな!天空王の話は真であったか!だが我等を滅ぼしたければ、隕石を落とす他無い!』

 

オールマイト「そうか!ならば………私も本気で君を倒そうじゃないか!!」

 

オールマイトは右腕に力を込める。オールマイトが放つ圧倒的なパワーが、右腕に込められていく。

 

古代王『おおっ!!おおおおっ!!認めよう!!貴様こそ我が追い求めていた強者だ!!侵略も同盟も最早どうでも良い!!我も全力を持って貴様を討ち果たさせてもらおう!!』

 

古代王はそう叫ぶと、口を大きく開いた。開いた口の奥から大きな火球を生み出し、オールマイトに狙いを定める。

 

古代王『喰らえ!!『ジュラシックバースト』!!』

 

古代王が口から放つ、極太かつ周囲のビルやアスファルトを熱気だけでドロドロに溶かす熱線。自身に向かってくる熱線に対して、オールマイトは拳を振り下ろす。

 

オールマイト「『DETROITOOOOOO………SMAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASHUUUUUUU』!!」

 

オールマイトの全力の一撃が、古代王の放つ熱線とぶつかり合う。

 

オールマイト「ヌオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

オールマイトは拳に更に力を込める。古代王の放ち続ける熱線がオールマイトの拳に当たり続ける。しかし、熱線は一瞬にして押し返され、古代王の熱線はオールマイトの拳によって跳ね返される。その影響により、恰もオールマイトの拳から放たれたかのような炎の拳へと姿を変え、古代王の胸に直撃する。軈て、古代王の胸を貫通し、遥か上空へ吹き飛んでいく。

 

古代王は血を口から吐いた。

 

古代王『見事………死ぬ前に貴様の名を聞きたい……』

 

オールマイト「私はオールマイト!正義の味方だ!」

 

古代王『オールマイト…………貴様は我を破った……最高の戦士よ……………尊敬にあた…………い………………』

 

古代王は最期まで言葉を紡げず、その場にうつ伏せとなって倒れる。倒れて絶命した時の古代王の顔は、何処か安らかな雰囲気であった。

 

オールマイト「………君達のした事は許される事ではない。しかし、どうか安らかに…………」

 

オールマイトは古代王の頬に近付き、撫でる。

 

サイタマ「終わった?」

 

オールマイト「そちらも終わったんだね」

 

サイタマ「ああっ」

 

一方のサイタマも、既に決着が付いた。彼の背後には怪人や怪獣が全て弾け飛んだ死体となっており、道路は血肉のプラネタリウムとなっていた。

 

サイタマ「中はフランが居るんだ。大丈夫だろ」

 

オールマイト「あの猫耳の少女だね?私も見に行ってみよう」

 

二人は避難所へ歩いていく。すると、サイタマは振り返る。しかし、気のせいかと思い、避難所の方を向いた。

 

サイタマが振り向いたのは、先程までぷりぷりプリズナーを見ていた男が居た屋上のあるビルだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

フラン「イレイナ!サヤ!ヒナタ!そして此処に居るヒーロー達!此奴は任せて、皆は周りをお願い!」

 

イレイナ「分かりました。私達は雑魚達を引き受けます」

 

ヒナタ「まあ大丈夫だろうけど、気を付けて」

 

イナズマックス「オラァ!!俺はまだまだやれるぞ!!」

 

スティンガー「俺もだ!!」

 

スネック「次は油断しない!此処がお前達の墓場だ!!」

 

サヤ「アムネシアさん!後ろは任せます!!」

 

アムネシア「サヤさんも気を付けて!」

 

A級ヒーロー、そしてイレイナ達は周りに現れる怪人や怪物の駆除に入る。地底人達や天空族、海人族、森林族、恐竜達は彼等の猛攻を受けて隊列が乱れつつあった。

 

森林王「貴様等人間………いや、貴様は自然に産まれた者ではないな?人間に生み出された出来損ないの命が!!」

 

フラン「……何とでも言えばいい。でも、私は出来損ないなんかじゃない!!」

 

森林王「我は森林の王!!森は生命を地上に育んできた!!しかし森は徐々に失われ始めた!!お前達人間共によって!!よって我等森林族が、貴様等人間共を根絶やしにする!!そして、そんな人間共に味方する貴様もな!!」

 

フラン「………やってみろ」

 

師匠『フランは出来損ないなんかじゃない。お前は決して勝てない』

 

森林王はフランに向かって進む。

 

次回、真の最終決戦。




オリジナル技

『シン・エンジェルスマッシュ』
使用者:ぷりぷりプリズナー
ぷりぷりプリズナーが腕だけでなく、全身の力に加えて自身が抱く“愛”の強さに比例して威力が上がるストレートパンチ。深海王の再生する肉体の殆どを消し飛ばし、天候さえも変えてしまう。代償として暫く動けなくなってしまう。この技は本来ぷりぷりプリズナーの技ではなく、メフィラスがぷりぷりプリズナーを治した際に与えた力によって行使可能となった。以降放つには、ぷりぷりプリズナーが強くならない限り一生放てない。

『ジュラシックバースト』
使用者:古代王
古代王が口から放つ煉獄の熱線。摂氏10万℃の熱線を放ち、一つの山を消し飛ばす威力がある。

次回、森林王との決着に入ります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。