S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

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いよいよ暗黒盗賊団ダークマターの章に入ります。

それと、ミリムのヒーローネームを変更しました。


第三章
予言者の死と道場勧誘


シババワ。彼女は高齢の女性ではあるが、この世界でも数少ない魔法使いであり、その中でも『占術』に特化した予言者だ。その予言の的中率はなんと100%で、様々な災害の到来、怪人の出現、怪獣の襲来、そして悩める人々の未来を予言し的中させてきた。とはいえ、シババワ無しでも解決出来た事案は数多くある。それでもシババワの護衛を、ヒーロー協会は欠かさず行ってきた。

 

ヒーロー協会のシババワの警護は、政府からの要望でもあった。その予言を利用しようという輩が現れて悪用されれば、どんな事が起きるのか想像出来ない。況してや、世界各国の首脳や国王、そして権力者や裏社会の住人からすれば、喉から手が出る程に欲しい人材だ。

 

なので、ヒーロー協会はヒーロー達にも負けない黒服の護衛達と、A級以上のヒーローで、G市にある彼女の仕事場でシババワの警護に当たっているのだ。

 

訪れる客にも念を入れて、怪しい人物ではないのかチェックを受けている。

 

先ずはボディチェック。怪し気な武器、危険な薬物等の持ち込みが無いかの確認である。主に女性のスタッフが行う。

 

次に魔法、超能力による最終確認だ。超能力者や魔法使いのスタッフかヒーローによって、隠している物が無いかチェックする。

 

そんなシババワの今日の仕事は、今回は半年後の未来を占ってほしいという占いだ。今日の依頼主は、二人一組の男女。このカップル、半年後に結婚を控えているのだが、幸せな結婚式を迎えられるか、未来を見て欲しい為に、シババワの元を訪れたのだ。

 

サヤ「『レベリオ』。よし、大丈夫ですよ」

 

今回警護に当たっているヒーローは、A級の『炭の魔女』であるサヤだ。今唱えたのは、『レベリオ』。暴露呪文と呼ばれ、隠された物体やメッセージ、目に見えない物体、通路などあらゆる秘密のメッセージや隠れた印を暴き出す魔法である。練習すれば簡単に出来る上に捜し物にはピッタリの為、魔法薬や錬金の素材探しをする魔法使いや錬金術師、探偵業や警察に所属する魔法使いに良く好まれる呪文だ。

 

カップルの持ち物を確認したが、凶器になる物は検出されなかった。

 

サヤ「シババワ様、お客様です」

 

シババワ「うむ。お疲れ様」

 

サヤがカップルを通す。

 

黒服「炭の魔女、お疲れ」

 

サヤ「はい。じゃ、僕は此れで」

 

黒服「ああっ」

 

サヤは入り口に戻る。再び警護に当たる為に。

 

カップル男「シババワ様。半年後に僕等は結婚出来るでしょうか?」

 

カップル女「お願いします」

 

シババワ「分かった。どれ………見てやろう」

 

シババワは半年後の2人を占った。初めは何時も通りの雰囲気を見せ、二人の待ち受ける未来を見ようとした。良いことも悪いことも、関係なく伝えるつもりだ。

 

しかし、数十秒も水晶を見つめ続けたシババワであったが、すぐに険しい表情を浮かべ始めた。

 

黒服「し、シババワ様!?どうかされましたか!?」

 

カップル「「えっ?ええっ?」」

 

黒服が駆け寄り、カップルは困惑するばかり。

 

シババワ「なんという事じゃ………嘗てない危機が迫っている!“地球が……ヤバい”!」

 

その場に居る誰もが困惑する中、シババワはその一言だけを発した。

 

シババワ「何としても皆に伝えなくては!()に気付かれてしまった!ヒーロー協会に、特にイレイナに伝えなくては……うぐっ!?」

 

シババワは胸を片手で抑え始める。心臓の位置を抑えているのだ。

 

シババワ「おのれぇ……!早くも気付きおったか!じゃが、お前の思い通りにさせんぞ!」

 

その時、シババワは懐からペンを取り出し、近くの紙に何かを書き始めた。

 

サヤ「あの、どうかしましたか?」

 

シババワの慌ただしい声を聞いたサヤは入り口を開けて、何事かと尋ねた。その時、シババワがテーブルにメモを残し、心臓の位置を片手で抑えながら床に倒れる様子を見てしまった。

 

黒服「す、炭の魔女よ!頼む!シババワ様が突然倒れられて!早く治療を!」

 

サヤ「は、はい!『トータルヒーリング』!」

 

サヤは回復呪文を唱える。怪我や病気も治す万能の回復呪文だ。しかし、シババワは起き上がらない。肉体に見えた皮膚炎や内出血は治っているが、人形のように起き上がらない。

 

そうなれば、死んだのだろう。だとすれば、蘇生呪文はもう無意味だ。

 

サヤ「………すみませんが、ザオリクは魂を呼び戻して瀕死や仮死状態を治す魔法で、本当に死んだ人を生き返らせる事は出来ません」

 

黒服「そうか………ん?」

 

大予言者シババワ、死亡。しかし、彼女はメモを残していた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、フランと師匠はサイタマ達と共に、ある道場へやって来ていた。其処は、シルバーファングことバングの道場で、長い階段と高い山岳の天辺に建っていた。流水岩砕拳を伝授させる道場で、バングはサイタマ達を呼んで自身の拳法を教えようとしたのだ。

 

流水のように滑らかで、尚且つ無駄のない動き。流水のように攻撃を受け流して相手に返す。攻防共に隙のない闘い方。正に技の極地と言うべきだ。

 

因みに今回のフランは、懐かしの白いドレス風の軽装備を身に着けている。

 

バング「とまあ、こんなものかのう。どうじゃ?興味は無いか?」

 

フラン「おおっ!凄い!」

 

フランは目を輝かせていた。

 

バング「おおっ、そうか。それで、お主等はどうじゃ?流水岩砕拳、やってみんか?」

 

バングは、フラン以外のメンバーに尋ねる。

 

サイタマ「いや、街で偶然会って面白いモンみせてくれるって言うから来てみれば、俺は別にやらねぇ。ジェノスは?」

 

ジェノス「いえ、結構です。俺はこんなサイボーグですし、何より俺が求めるのは強い火力と破壊力ですから」

 

師匠『フランは興味津津だな。習ってみるか?』

 

フラン「別にいい」

 

すると、オレンジ色のチャラそうな男が飛び出して来た。

 

???「貴様等!流水岩砕拳を愚弄する気か!一番弟子チャランコ、参る!」

 

『バングの門下生:チャランコ』

 

しかし、フランはチャランコの拳を四つん這いになって避けると、右手でチャランコの足を払って転ばせる。そして、転ばせた後に額へ拳を当てる。猫パンチを放つ時、フランは猫のように座っていた。

 

チャランコ「ギャッ!参った!」

 

サイタマ「猫パンチかよ」

 

フランは頭の両耳を2回も揺らした。

 

フラン「弱い」

 

バング「まあ………すまんのう。お主は四足獣拳法の使い手じゃったな」

 

ジェノス「バング。お前の道場は実力者揃いと聞いたが?」

 

バング「少し前まではそうだったんじゃ。じゃが……皆辞めて行ったよ」

 

サイタマ「何でだ?」

 

バング「一番弟子がおったんじゃが、そいつが暴走してのう。実力のある弟子達を皆再起不能にしてしまい、それを見た皆が逃げ出したんじゃ」

 

フラン「一番弟子?」

 

バング「名前は“ガロウ”。戻って来た後、儂が奴をボコボコにして破門にした。それで、今はチャランコだけが門下生なんじゃよ」

 

師匠『成る程なぁ。その一番弟子、とても大切な存在なんだな』

 

バング「まあのぅ」

 

その後、ヒーロー協会の黒服のスタッフがやって来た。息が荒く汗も全身から流している。階段を登ってやって来たのだろう。

 

黒服「シルバーファング様!ヒーロー協会の者です!この度、S級ヒーロー全員に緊急招集が掛けられました!急ぎ、協会本部までご同行願います!」

 

バング「緊急招集?」

 

黒服「ん?ああっ!ジェノス様もいらっしゃいましたか!!S級全員出席せよとのお達しなので、是非来て頂きたいのですが!」

 

ジェノス「レベル竜が出たのか?分かった」

 

いきなり過ぎる出来事だが、ジェノスはすぐに承諾した。

 

師匠『早いな。前のお前なら吟味してただろ?』

 

ジェノス「彼の雰囲気からして、尋常ではない事が伺えた。恐らく竜以上の何かが来るかもしれない」

 

バング「そうかのう?」

 

すると、黒服がバングの疑問を晴らす事になる。

 

黒服「い、いえ!灰の魔女様も出席されるとの事です!帰って来た彼女の真剣な顔は初めて見ました!高原の魔女様にふくろう便?を介して経緯を話した所、二つ返事でOKしたとの事です!」

 

バング「イレイナちゃんが?そうなるとただ事ではないようじゃのう」

 

ジェノス「そうらしいな。先生やフランも行きますか?」

 

サイタマ「良いぜ。暇だから」

 

フラン「ん」

 

黒服「勿論です!そちらのお二方も将来有望な方々!お越しいただけるのはありがたい事です!」

 

こうしてフラン達は、ヒーロー協会本部へ向かう事になる。

 

――――――――――――――――――――――――

 

遡る事数分前。とある外国にて、イレイナはある怪人を相手にしていた。肌が黒い人達が多く、ヤシの木も生えてる平和な南国の島だ。しかし、怪人発生率があまりにも低いとはいえ、出ない訳でない。本国と違って、ヒーロー協会のような組織や強いヒーローに強い一般人が居る訳では無いのだ。

 

???『ブヒイイィィィッ!!』

 

『災害レベル虎:スケル豚(すけるとん)

 

豚の骨が組み合わさって出来たような怪人だ。トンファーのような武器を振り下ろし、イレイナを潰そうとする。

 

イレイナ「当たりませんよ!」

 

イレイナは突然全身を光らせたかと思えば、球状になってその場を転がり始めた。スケル豚のボーン豚ファーを避けた。

 

そして、口の中へ杖を突っ込むと、そのまま魔法を唱えた。

 

イレイナ「『ボンバーダ』!」

 

その瞬間、スケル豚の体内で爆発が起きた。肉体は周囲に血肉をばら撒いて吹き飛び、骨は焦げ跡を付けたままバラバラに砕け散った。

 

イレイナ「まあこんなものですね」

 

人々『『『灰の魔女様ー!』』』

 

人々『『『綺麗ー!』』』

 

人々『『『ありがとう!』』』

 

周囲の人々から称賛を受けるイレイナ。その骨を回収し始める。

 

イレイナ「豚の骨はいい出汁が取れそうですね。フランちゃんのお土産にしましょうか」

 

イレイナはそう言いながら骨を回収していると、その場にふくろうが姿を現した。ふくろうは手紙を口に咥えており、イレイナの浮いてる箒に止まる。

 

イレイナ「ん?」

 

イレイナは素材回収を止めると、ふくろうが持って来た手紙を受け取り、中身を見た。

 

アズサ『イレイナ。ヒーロー協会がS級全員に緊急招集を掛けたんだよ』

 

イレイナ「緊急招集?すみませんがお断りさせて―」

 

アズサ『()()()()が亡くなったって』

 

イレイナ「…………はっ?」

 

イレイナはふくろう便を地面に落とした。イレイナの顔が驚愕に染まっていた。

 

アズサ『昔、イレイナもシババワにお世話になったよね?シババワが最後に貴女の為にって、メッセージを残したんだけど。この手紙を見たら、すぐに来てね。私、待ってるから』

 

イレイナ「シババワさんが…………分かりました。すぐに向かいます!」

 

イレイナの顔がいつにもまして真剣になる。地面に落ちたふくろう便を鞄に仕舞うと、箒をその場から消した。

 

イレイナ「警察さん。不法入国の件は不問でお願いします」

 

警察「あ、ああ………」

 

イレイナは警官に挨拶した後、その場から体を螺旋状に変えて姿を消した。『姿くらまし』と呼ばれる瞬間移動系の魔法だ。詠唱が必要な移動呪文と比べて、詠唱の必要無く何処にでも行ける便利な杖魔法だ。

 

警察「………あの女、素行が悪いのに人々を救ったりもするから逮捕しにくいんだよな」

 

警察官は文句を言いつつも、内心彼女に感謝していた。




《オリジナル怪人》

名前:スケル豚(すけるとん)
元ネタ:オリジナル
災害レベル:虎
概要
豚の骨が組み合わってできた外観の怪人。食われてきた豚たちの怨念が集結して誕生した。トンファー型の武器「ボーン豚ファー」を使用する。いい出汁が取れるとか取れないとか。

名前:ふくろう便
元ネタ:ハリー・ポッターシリーズ
災害レベル:狼以下
概要
魔法の国が生み出したふくろう。魔法使い達の通信手段。手紙をふくろうに運ばせる。魔法の国のふくろうは特殊な能力を持っており、どこにいても相手の居場所を見つけてくる。
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