S級ヒーロー:黒猫剣士   作:ちいさな魔女

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超能力と変わる者

阿修羅カブトが暴走形態に以降し、時間とともに減っていく残った僅かな理性の中で、阿修羅カブトはサイタマに説明を行う。

 

阿修羅カブト「こうなったらもう、一週間は理性が飛んで、暴走が静まる事は無い!!今はまだ保てているが、理性が無くなっちまった俺はお前を殺し、来週の土曜まで大量殺戮が止まらねぇぜ!強いヒーローだったら俺を止め―――――」

 

サイタマ「スーパーの特売日じゃねぇかぁぁぁー!!!!」

 

説明しつつ阿修羅カブトは暴れ出し、サイタマへ攻撃を繰り出す。拳の連打を浴びせていく内に、阿修羅カブトの理性が飛んでいく。しかし、サイタマは阿修羅カブトの言い放った『来週の土曜』と言う言葉で、今日が土曜日である事。そして今日がスーパーの特売日である事を思い出し、そのショックで叫ぶと同時に阿修羅カブトをアッパー一発で粉砕した。阿修羅カブトは上半身が吹き飛び、緑の血と紫色の血肉で壁や床を染め上げていく。

 

ジーナス「な、何だと………なんだこの男は!?」

 

ジーナスは呆然とした。阿修羅カブトが、たった一発の拳で粉砕されてしまったのだ。粉砕されて阿修羅カブトを見ていたマジカルアントは哀しそうな顔を浮かべていたが、フランの元を見て先程の狂気的な笑みを浮かべた。

 

ジーナス(だが、此方にはまだマジカルアントが居る!精神が不安定だが、色んな意味で阿修羅カブトより危険だ!さあ、どうでる?フラン!)

 

ジーナスは気持ちを切り替えた。まだマジカルアントは倒されていないのだから。隣でスーパーの特売日に間に合わない事を嘆くサイタマと、サイタマにまだ間に合うと励ますジェノスを余所に。

 

マジカルアント「さて、私も戦おうかなぁ。阿修羅カブトが居なくなって退屈だけど………貴方達なら私も楽しめるかな?」

 

その瞬間、阿修羅カブト対策の分厚い施設の壁が崩壊した。天井も砕けて、マジカルアントの周囲に浮く瓦礫群に混ざる。かと思えば、瓦礫は全て一瞬にして形を変えて丸ノコのようになる。百個もの丸ノコとなった破片は、回転しながらフランに迫って行く。

 

フランは師匠を振って丸ノコを全て粉砕する。たった数振りで全ての瓦礫を粉微塵にした。その上周辺に吹き飛ばして自身と師匠に飛び掛からないようにするフラン。

 

マジカルアントは目を光らせる。すると、フランは体中に何かが包み込んでくるような感覚が走るのを感じた。

 

マジカルアント「っ!!ヌオオオオオッ!!」

 

マジカルアントは念力を更に強め、フランを拘束しようとした。しかし、フランは何事も無さそうだ。

 

マジカルアント(止まってない!?なら、師匠と呼ぶあの剣さえ離せば!)

 

マジカルアントはフランの手元に力を集中させると、師匠をフランの手元から弾き飛ばした。

 

フラン「あっ」

 

更に牽制するかのように、何処から持って来たのか、空から天を覆い尽くさん程の大きな山が降り注ぐ。進化の家がアリに見える程の大きさの山がフランに迫る。しかし、フランは両腕を天に翳した。天に翳した瞬間、フランの全身から青白いエネルギーが溢れ出し、そのまま降ってくる山に向かって熱線として放たれた。遠くから見れば、山と比べるとポッキーのような太さにしか見えない。しかし、その熱線は山に直撃した瞬間、山を一瞬にして包み込み、軈て山が小さな瓦礫となる程の大爆発を起こした。大爆発により、砂状の瓦礫となった山は進化の家の周囲に降り注ぐ。

 

マジカルアント「今だ!」

 

山を破壊されてもマジカルアントはめげず、フランの前に瞬間移動をして、フランの体に触れる。そして、このままフランの肉体に流れる血液の流れに干渉し、その上エネルギーを暴走させようとした。

 

しかし、マジカルアントにとって予想外の事が起きる。

 

マジカルアントは血反吐を吐き出し、その場に崩れ落ちた。目からも血の涙を流し、鼻血も垂れ流している。

 

マジカルアント「な、何……故………」

 

ジーナス「ば、馬鹿な!?あのマジカルアントが!?」

 

マジカルアントは、阿修羅カブト以上の最終兵器だ。精神が不安定でコントロール出来ないと言っても、マジカルアントは阿修羅カブトと違って知性的で理性的だ。そして超能力を発現した初めての実験体で、その力は先程のように天さえも覆い尽くす山をも持ち上げる程で、正に天変地異そのものと呼べる超能力の使い手だ。しかし、阿修羅カブトと同じく残忍である事には変わりなく、ジーナスのクローンを躊躇いもなく殺した。失敗作な理由としては、殺しを行う事に躊躇いが無く、生み出した新人類さえも殺してしまいかねないからだ。

 

だからマジカルアントの力を封じ込める為、彼女の機嫌を損ねないよう務めてきた。ある意味、阿修羅カブトより力を入れて。

 

そんなマジカルアントが、顔中から血を噴き出している。

 

対してフランは、何も感じてないように頬を人差し指で掻くだけだ。

 

フラン「もしかして、超能力で私に何かしようと?」

 

その上、超能力を掛けられた事に気付いたのは今この瞬間だ。

 

師匠『俺を弾き飛ばせばフランを倒せると考えたのか。賢明だが、勘違いするなよ。俺を手放したとしても………』

 

その瞬間、マジカルアントは悟る。バリアを張るタイミングを見失った。

 

師匠『フランは、強い』

 

そして、マジカルアントが意識を失う最後に見たのは、首から上が無い自身の体と、真横に翳した片手に緑色の体液を付着させたフランの姿であった。

 

マジカルアントは予想外の敗北に驚きながらも、敗北した事実を受け入れつつあった。

 

そして、倒れたマジカルアントの頭を見下ろしていたフラン。少しだけだが、寂し気な目を浮かべていた。

 

フラン「……此奴、別に嫌いじゃなかったけど、生かしてもきっと色んな人達を殺しに行くよね……」

 

師匠『下手な同情は止めておけ。どっちみち殺すしか方法は無いさ。彼奴等は生かしたら、沢山の人間が犠牲になってたしな』

 

フラン「ん、そうだね」

 

そして、フランは空中に浮いたままの師匠の柄を手に取り、マジカルアントの頭部を突き刺した。

 

師匠『能力吸収!』

 

そして師匠は、マジカルアントの能力を吸い上げていく。マジカルアントの持つ超能力が流れ込んで来る。その上身体能力もアリである以上パワーもあり、10階建てビルを持ち上げられる力があった。

 

師匠『よし、帰ったらカレーにするか!二人を追い掛ければ、俺達も特売に間に合うぞ!』

 

フラン「おおおっ!!カレー!!カレー♪カレー♪」

 

そして、カレーを食べたがるフランはウキウキ気分で、先程出ていったサイタマやジェノスの開けた穴から外へ出ようとする。マジカルアントが崩壊させたにも関わらず、なぜかその穴だけは残っていた。

 

フラン「………ジーナス。貴男に言いたい事は色々あるけど、また今度ね。バイバイ」

 

そして、フランは師匠を背中に背負ってその場からダッシュで去っていった。

 

ジーナス「………もう止めよう、こんな研究は。変わるべきは私なんだ………………」

 

阿修羅カブトとマジカルアントの遺体を見ながら、ジーナスはそう呟くのだった。その顔は、何処か憑き物が落ちたように穏やかとなっていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その頃、とある街の森林公園の中。其処で猫や犬、蛇等の様々なスーツを身に着けた女性達が、とある者達と合流していた。

 

???「まさかお前達と手を組む事になるとはな。桃源団」

 

『B級賞金首:アニマルメシアのリーダー・キャッツアイ』

 

???「我々の目的こそ違うが、その過程において襲撃する場所は同じだ!なら、此処はいがみ合わずに手を組むべきだ!」

 

『B級賞金首:桃源団リーダー・ハンマーヘッド』

 

キャッツアイ「私達は、全てのペット達が虐待され、捨てられる社会を変える為!」

 

ハンマーヘッド「働かない者にも衣食住が提供される社会にする為!」

 

キャッツアイ&ハンマーヘッド「「いざ、行くぞおおおおおおおおおお!!」」

 

 

アニマルメシア&桃源団『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』』』

 

危険なテロリスト達が、徒党を組み、動き出そうとしていた。

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