魔法科高校の四葉家次期当主   作:鮏乃切身

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入学編VI

入学編VI

 

 実技棟に到着すると既に達也と深雪さんは到着していたようで達也はCAD、シルバーホーンの準備をしていた。…相変わらずシルバーホーンはカッコイイな。記録によれば2000年代以前から男子はこういった機械や銃火器に心惹かれるらしい。などと100年前の同士達に思いを馳せながら達也たちのほうに歩み寄る。二人は扉を開けた時点でこちらに気づいてたようで歩み寄る自分を見ている。

 

「早いな二人とも」

 

「先輩方は?」

 

「書類を書いてから来るらしい。それはそうと達也」

 

 達也の方に一歩近寄り達也を見上げると心当たりがあるのか少し気まずそうな顔をしている。自分はそれを無視する。そして達也の背中まで歩くと思いっきり背中を引っぱたく。

 

「これで許してやるよ」

 

「助かる」

 

 というちょっとしたやり取りをしたら先輩方が到着した。

 

「すまない、待たせたな」

 

「いえ、自分も今来たところです」

 

 そうか、と渡辺先輩が返すと服部先輩に準備をするように促す。どうやら渡辺先輩が今回の審判をするようだ。

 達也と服部先輩の準備が整うのを確認すると

 

「はじめっ!」

 

 の渡辺風紀委員長の掛け声で模擬戦が始まる。結論から言うと達也の圧勝だった。一瞬で服部先輩を気絶させ試合終了となり深雪さんは誇らしそうに、自分は相変わらず速いなーと思う。他の人は皆驚いて固まっている。固まっている渡辺先輩に自分と達也がチラリと目をやるとハッと気も取り戻す

 

「勝者、司波達也!」

 

 それに合わせ達也は礼をする。達也はそのままCADを片付けようとジュラルミンケースに向かうが渡辺先輩に呼び止めれる。もちろん試合内容についてだ。 その内容というのが試合開始の合図と共に達也が服部先輩の後ろに回りこんだと思ったら服部先輩が倒れた、というものだ。渡辺先輩は達也が予め事故加速術式を展開していたかを聞いた。これに対し達也は

 

「いえ、正真正銘、身体的な技術ですよ。」

 

 とだけ言い残りは深雪さんが継ぐ

 

「兄は忍術使い九重八雲先生の教えを受けてるんですよ」

 

 と、嬉しそうに誇らしそうに説明する。それを聞き真由美さんを以外の渡辺先輩、市原先輩、中条先輩は驚いていた。真由美さんは自分が過去に自分も九重先生に教えを受けたのを知っているため、こちらを跳ねるように顔を向けた。自分はそれに対し顔を振って誤魔化す。

 

「では服部を倒したのも忍術か?サイオンのを放出したようにしか見えなかったが?」

 

「違います。服部先輩は酔ったたんです。」

 

補足するように市原先輩が

 

「波の合成ですね。複数のサイオン波を服部君の座標で合成させた...」

 

 自分はそこまで聞くと自分はもう何が起こったのかわかっているので服部先輩の様子を一応見ることにする。…ふむ、問題なさそうだな。そういえば元々呼ばれた理由ってなんだろうか、自分はもう既に風紀委員の内定が決定されていたのでここに来なくても良かったと思うのだが……

 と考えていると服部先輩が目を覚ました。

 

「服部くん大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ大丈夫だ中条、ありがとう。」

 

 中条先輩が心配して声を掛け服部先輩はよろめきながら立ち上がり大丈夫だと返答する。佇まいを正し服部先輩は深雪さんに向き直る

 

「司波さん身贔屓などと失礼なことを申し上げました、目が曇っていたのは私のようです。申し訳ありませんでした。」

 

 と服部先輩が謝罪を口にする自分が知らない事なので自分が生徒会に行く前に話していた内容だろう。それだけ言うと服部先輩は立ち去ってしまった。

 

「さて、それじゃあ私たちは予定通り風紀委員室に向かおうか」

 

 なるほど元々の予定はこれだったのか

 

「「分かりました」」

 

 そう言った後にポケットの中に入っていた物の存在を思い出す。

 

「すいません、その前に少し」

 

 自分以外が疑問に思う中、自分は真由美さんの方に歩み寄る。真由美さんは不思議そうに頭を傾けている。あざとかわいいな。そしてポケットからカード状のものを取り出す。

 

「これは?」

 

「鍵です。自分の家の。」

 

 あ、固まった。なんなら女性陣皆固まっている。

 

「いざという時あった方がいいと思いまして。知っていると思いますけど自分は基本家にいるのでいつでも来てください。」

 

 それではまた後ほど、と言い実技棟を出る。少し遅れてきた渡辺先輩を含める女性陣は皆少し顔を赤らめていた。確かに合鍵を渡すのいうのは2090年代の男女の距離感としては許嫁というのを加味してもいささか大胆である。ま、自分にとってはあまり気にすることでも無い。真由美さんは気にするだろうけど。

 

「どうしました?渡辺先輩行かないんですか?」

 

「あ、ああ今行く」

 

 そういう渡辺先輩も少し顔が赤くなっていた。

 

 ――――――――――――――――――――――――――

 

「さて、ここが風紀委員室だよ、少し散らかっているがまあ、好きなところに掛けてくれ」

 

 部屋はかなり散らかっていた。特にCAD系の機材が多かった。達也がこれを見て思わず

 

「先輩、ここ片付けてもいいですか?」

 

 不思議そうな顔をする渡辺先輩に達也は続けて言う

 

「魔工技師志望の自分としてはこの状況は耐えられないんですよ」

 

 さっそく取り掛かる達也に渡辺先輩は先程の模擬戦が頭をよぎったのだろう。疑問を口にした

 

「あれほどの腕前を持ちながら魔工技師志望?魔法師ライセンスは取らないのか?」

 

 達也は机の上にあるCADを検分しながらその疑問に答える。

 

「自分の腕ではせいぜいC級ライセンスが限度ですよ。」

 

 これには自分も同意する。実戦の腕ならまず達也は負けない。しかし、この国の魔法師ライセンスにおいて求められる技能が達也と合っていないのもまた事実。故に、という訳では無いが達也は魔工技師を目指している。とはいえトーラスシルバーの名前では現時点でも凄まじい名声を得ている。

 自分は黙ってそれを聞きながら手を進めていると渡辺先輩に話を振られる。

 

「四葉もそう思わないか?」

 

「…そうですね、自分も魔法師としてはいい線行くと思いますけど達也の場合は体術あってこその戦闘能力みたいなので純粋な魔法戦闘力だけなら微妙だと思います。」

 

「ほうたったあれだけの立ち合いでそこまで分かるんだな?」

 

 と少し挑発するように渡辺先輩が言ってくる。

 

「自分は人を見る目だけはありますので、今回の達也の場合は模擬戦が決まってかずっと自信に満ち溢れていましたので。どうやって習得したかはまあ、自分の魔法に関わることですので」

 

 渡辺先輩は自信云々の所は聞きに徹するだけだったが自分の魔法云々の所は興味深そうに笑みを浮かべていた。それはそうだまだ自分の魔法は『不和』のことしか知らないのだ。なんならその対となる魔法もまだ見せていない。まあこれは風紀委員の活動を行っていく内に真っ先に使う事になるだろうけど。

 

「そんな事より早く片付けてしまいましょう。」

 

 と達也が言い自分もそれに賛成する。渡辺先輩は渋々といった感じだったがいざ手をつけたら黙々と片付けをしていた。始めるのが遅いタイプなのだろう。

 

 ――――――――――――――――――――――――――

 

 片付けも終盤に入った頃渡辺先輩が口を開いた。

 

「達也君を風紀委員に勧誘した理由は…そういえばほとんど言ってしまったな」

 

「確か二科生との溝を埋めるためと仰っていましたね。」

 

「そうだ。一科と二科の間には感情的な溝がある。一科が二科を、取り締まれるのに対しその逆がないというのは溝を深めるばかりだった。」

 

「それは自分には逆効果だと思います。二科生の上級生は今まで同じ立場のだったはずの下級生の生徒に急に取り締まられることになれば面白くないと感じる生徒が今後出てくるでしょう。」

 

「二科生の同級生は歓迎すると思うが?」

 

「二科生はそうかもしれませんが一科生はそうじゃないと思いますよ。森崎達が突っかかってきましたしまた今後似たような機会があるでしょう。」

 

「森崎達か、そういえば森崎は今年度から枠が増えた教職員推薦枠の2人目だ。」

 

「え」

 

「君も動揺するんだな」

 

「それはそうですよ。」

 

 と、徐々に話が逸れていきだんだん他愛ない雑談が始まると扉が開けられる。扉から2人の男性が入って来る。どうやら風紀委員のようだ。互いに自己紹介し、3年の辰巳先輩と2年の沢木先輩というらしい。先輩方は達也の制服を見て二科生であることに気づき風紀委員に入ることに対して懐疑的であったが達也が服部先輩に模擬戦で勝利した事を聞くと驚嘆し達也の風紀委員入りを歓迎した。ちなみに自分が四葉と聞いた時はそれ以上に驚き歓迎してくれた。

 

「とろこで自分達はいつから活動が始まるのですか?」

 

「いい質問だ。来週から部活動勧誘週間があるのは知っているな?つまるところ来週が初仕事になるな。それ以降はシフト制になる。」

 

 なるほど来週からか、自分たち風紀委員が全員集まるところを見ると相当治安がわるくなるのだろう。さっそく高校生としてイベントがある事に少しテンションがあがり楽しみになってくる。

 風紀委員室の片付けが終わるとこの日は解散となった。それぞれ帰路に着く。携帯端末を見ると真由美さんから連絡が入っていた。どうやら真由美さんも生徒会の仕事が終わったらしい。カフェで待っているとのことだ。

 

「四葉なにか嬉しそうだな?」

 

「顔に出ていましたか?」

 

「それはもう」

 

 と渡辺風紀委員長はニヤニヤしながらこちらを見てくる。

 

「真由美さんがカフェで待っているみたいなので今から迎えに行くだけですよ。」

 

 そう返すと渡辺風紀委員長はゲンナリした様子でこちらを見てくる。これを自分は無視すると

 

「それではお先に失礼します」

 

 とだけ言い風紀委員室を後にし真由美さんを迎えにカフェへと向かう。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 カフェに到着すると真由美さんの他にあと一人長い黒髪の女性も同席していた。おそらく深雪さんだろう。自分は2人に近づきくと声をかける

 

「お待たせしました。」

 

「ううん大丈夫よ。それに深雪さんが話し相手になってくれたし」

 

 「いえ、こちらこそありがとうございました。」

 

 と、真由美さんに微笑むとこちらを向いてくる

 

「ところで、お兄様は…」

 

 と言うとタイミング良く背後から足音がするそちらを向くと達也が立っていた。

 

「お待たせ、深雪」

 

「い、いえ今来たところです」

 

 と数年ぶりに愛する相手に会えたかのような笑みを浮かべる。これを見ると自分と真由美さんの会話は大したものでは無いのではと思ってしまう。真由美さんもそれを感じたのかこちらを見て苦笑いを浮かべる。苦笑いもかわいいなぁって思っていると真由美さんがアッと何事かを思い出すと立ち上がりこちらに詰め寄ってくる。なんだなんだと思っていると例のカードキーを取り出す。

 

「これ!どういうこと!?」

 

「さっき言いませんでしたか?」

 

「言ったけど!言ったけれど!」

 

 と興奮と困惑が織りまぜになった顔をしながらこちらを見上げてくる。うーんかわいい。

 

「なにもあんな場面で渡さなくてもいいんじゃない!?」

 

 あ、そっちね。とはいえその通り過ぎることを言われてしまった。何故かと聞かれればその理由は実にしょうもない男としてのプライドみたいな物である。

 

「いや、まあそれはそうなんですが」

 

「何、言えない理由なの?」

 

 ムスーッとした顔で見てくる。この人表情変わりすぎじゃありませんかね。

 

「いえそんなことはないんですけど。あーまあなんというただの独占欲みたいな物ですよ。」

 

 というと徐々に顔を赤らめてバッと逸らす。

 

「ふ、ふ〜ん」

 

 と声にもならない声を返す。すると「ほあ〜」と少し間抜けな声が聞こえそちらを向くと深雪さんが顔を赤くし両手で口元を抑えている。達也は相変わらず真顔だ。

 

「真由美さん、暗くなってきましたしそろそろ帰りましょう。」

 

「そ、そうね…」

 

 今日は自分と真由美さんだけでなく司波兄弟も居るが構わずいつも通りに真由美さんと手を繋ぐ。それを見て深雪さんは少し羨ましそうにこちらを見ている。達也はそれを察したのか深雪さんと手を繋ぐ。すると深雪さんは満足したらしく満面の笑みである。

 雑談をしながら帰り道を歩き途中で司波兄弟と別れ真由美さんを家まで送り届ける。

 

「それじゃあ、また明日。真由美さん。いつでも来てくださいね。」

 

「もう!からかわないでよ!ま、まあ近いうちに行くわ。」

 

 と、またまた少し顔を赤らめながら返事してくれる。その時を楽しみにしながら自分は家に帰る。今日は色々あったな。

 

 




最後の方の帰りくだりは深夜4時くらいに書きました。

入学編9の最後のようにリアルの話題を落とし込むのはどう思いますか?自分は延長線上にある感じがして好きです。

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