東方化物脳 Re:make   作:薬売り

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心の隙間の温かみ Ⅲ 『計画』

「…うん、ある程度は話は煮詰まったわね。それじゃあ皆を呼びましょうか。」

「あぁ、呼んでくる。」

 

 俺は戸を開け、焚き火で暖を取る青蛾達に呼び掛けた。青蛾達はそれに気付き、こちらの方へと向かってくる。

 

「終わりましたか?」

「あぁ、中に入ってくれ。」

「お邪魔しまーす。」

 

 建物は思ったより広いので、あと二、三人は入れるぐらいのスペースはある。そうして、俺らは火を灯した蝋燭を円陣で囲むように座った。

 すると、青娥が早速計画の内容を訊いていた。

 

「それで、どういう話になったわけ?」

「まず、私の理想郷を創るためには土地が必要。出来れば山奥が良い。」

「旅をしてきた俺達は土地には詳しい。だから候補を挙げた。」

 

 候補は二つ挙げた。一つは北方領土のどれか。国後島とか良いかもしれない。そして、白馬村の山。信州にある山に囲まれた村だ。それぞれ大きいから半分にしてその理想郷を創ろうという魂胆だ。

 

「妖怪と人間の共存する世界。しかし妖怪がいなきゃ意味がない。だから、全国から妖怪を集める。そして、その理想郷を創るわけだ。」

「その理想郷の名前は『幻想郷』というの。」

「幻想郷…」

 

 美鈴がその名前を聞いて復唱した。

 

「これは膨大な計画だ。治安を守る巫女や神主を幻想郷の主要人物に決めたり、しかしある程度悪さを働く妖怪や人間も必要だ」

「悪さを働く?またどうして。」

 

 案の定の質問が来た。

 

「皆が善人で世界が長続きすると思うか?」

「えぇ、私はそう思うけど…」

「いいか?善人であることは良いことだ。しかしだ、言い方を悪くすれば刺激がない人間だ。」

「刺激がない?」

 

 まだ俺の伝えたいことが伝わっていないようで、もう一度それを聞き返してきた。

 

「優しさに刺激があると思うか?無いな。人間は誰しも刺激を欲する。つまらないからだ。人生を退屈しないためにな。」

 

 皆は「なんとなくは理解した」と言うような顔で頷いた。喜びというのは悲しみがあるから感じられる、表裏一体の存在だ。感情のない世界は、俺は理想郷とは言えない。

 

「これは日本各地を廻って行う計画だ。そうだなぁ…この計画を『東方Project』と呼ぼう。」

「東方ぷろ…何?」

「東方Projectよ。Projectの意味は計画って意味。」

 

 俺の命名に、紫が補足した。青蛾は納得したようなしていないような、そんな微妙なラインでの頷きを見せた。

 すると更に、美鈴からの質問が来た。

 

「何故『東方』なのですか?日本全国なのに。」

「日が昇るのは東からだろう?日本は日が昇る国。つまり、世界の東方に存在する国って訳だ。」

「あぁ、成る程!」

 

 こちらは凄く感心した上で理解したようだ。

 

「取りあえずだ。まずは土地の確保だ。」

「先に北方領土に行きましょうか。」

「そうだな。」

 

 行先が決まった。北方領土にも何度か足を踏み入れており、友人もそこに居たりする。

 美鈴もその目的地を聞くと嬉しそうに頬を緩ませた。

 

「北方領土かぁ、懐かしいですねぇ~。」

「今度こそコロポックルを見るそー。」

「芳香、もう何回か見ただろう?」

 

 いつもの雰囲気で、まるで観光をしに行くように話しをしているが、このプロジェクトはこの人生で最も最難関なものになるだろう。しかし、面白味も詰まっている筈。楽しみで仕方がない。

 俺は薄氷が張った土を踏みながら、蝦夷の風を感じる。

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