【鬼滅×葛葉ライドウ】デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 鬼殺隊岩柱 悲鳴嶼行冥 作:木下望太郎
聞いたゴウトが声を荒げた。
「『日の
ライドウは静かに首を横に振る。
「いや。手はある、それにわずかな時間でいい。あの仲魔、彼に『真の姿』を取り戻させることが出来れば――」
ゴウトが目を見開く。
「! そうか、マレビト事変以降に仲魔にした『あの者』か!」
そう話すうちに。三体の蛇頭がその舌を見せ、ライドウへと上から襲いかかる。
が。その三体をまとめて括るように、鎖鉄球が巻きついた。
「葛葉。無事か」
悲鳴嶼がその剛腕で鎖を引き、身をよじらせる三体を強引に引き止めていた。
そこへアタバクが多腕の武器を振るう。
「【外敵粉砕】!」
その巻き起こす衝撃波が鱗を、肉を弾き飛ばし。無理矢理に蛇頭を切断した。
「もらったァ!」
音を立てて地に落ちたそれにすかさず玄弥が取りつき、滅多やたらと小太刀を突き立てる。
「剣は……腰で振るプロセス!」
凪もそこへ縦横に小太刀を振るう。そうして、どうにか一体の蛇頭を灰へと滅した。
横でヨシツネが声を上げた。
「ちいっ! こっちも早く頼むぜ!」
アルラウネが荊を伸ばして動きを封じ、塞がろうとする傷口にヨシツネが斬りつけ続け。どうにかその再生を防いでいた。
その一体に玄弥と凪が向かい、刃を突き立てる。
再生しかけたもう一体に、悲鳴嶼は大きく孤を描いて鎖斧を打ち込み。
追いかけるように跳び込んだライドウの刀が、続けて蛇頭を切断。その体を灰へと変えた。
マントを振るい、漂う灰を払いのけて。ライドウは言った。
「助かりました。感謝します、後輩と仲魔を守っていただいて」
表情を変えず悲鳴嶼は言う。
「なに、慣れている。それより何やら、先程の話。手はある、と聞こえたが」
ライドウはうなずいた。
「『日の
悲鳴嶼はうなずいた。
「心得た。ならばその間、我々で君を護ろう」
ゴウトが口を開く。
「だが。力を集中させねばならん、今召喚している仲魔は管に戻す必要があるが……それでも、耐え切れるか」
表情を変えず悲鳴嶼はうなずき。そして、鎖斧を無造作に放った。それがライドウへ近づいていた、一体の蛇頭を切断する。
「他に手はないのだろう。ならば、やってみせる」
ライドウはうなずく。
「頼みました」
アタバクとアルラウネがその身を緑の光に変え、管に戻る。
ライドウは合掌した手に――ただし指先だけを互いに組み合わせた形――一本の管を
「オン・アスラ・ガラ・ラヤン・ソワカ。
「どっしゃああ!」
ヨシツネが両脇に玄弥と凪を抱え――歯を食いしばり脂汗を垂らしながら――、悲鳴嶼に斬り落とされていた蛇頭へと必死に跳ぶ。
着地と同時、二人は小太刀を振り上げたが。
悲鳴嶼の声が飛ぶ。
「いかん、深追いし過ぎだ!」
その言葉のとおり。それを餌とし、狙っていたかのように。複数の蛇頭が三人を囲み、鎌首をもたげていた。
ライドウはなおも詠唱する。
「――神々の帝に弓引く者よ、それらの王よ。その義決して揺らがせず、正しき義貫く者よ――」
悲鳴嶼が蛇頭に向け鎖を放つ。が、それが蛇頭をまとめて薙ぎ倒す前に。
一体の蛇頭がすでに、玄弥と凪へ向けて、牙を剥いていた。
詠唱は続いている。
「――されど知れ、汝らの義揺るがずとも。世の全て常に揺らぐもの、諸行、常に移ろうもの。汝らもまたその内にて揺らぐ、汝らが望まずとも――」
「きゃああ!?」
「ぐ……!」
凪が目をつむり、玄弥が抱きかかえるようにかばおうとした、瞬間。
「おらああああ!」
跳びかかるヨシツネが二人を突き倒し、間一髪で牙から逃がした。
「すまねえ、助かっ――」
玄弥はそこで口を止めた。
ヨシツネの背が赤く染まっていた。その肉が鎧ごと――骨すらのぞくほどに――こそぎ取られていた。
玄弥の表情が固まる。
「――た、って……おま、お前――」
凪が震えながら、両手で口を覆う。悲鳴を塞ぎ止めようとするかのように。
口の端から血を流し、ヨシツネはほほ笑み。
その間にも蛇頭は再び牙を剥き出し。
悲鳴嶼が鎖を振るい上げるが、間に合うかどうか。
ライドウは声を上げた。
「――さらば聴け、この
轟くような音がした。揺れた、畳が、床が。否――大地が。
ライドウが
丘陵のごときクラリオンの背丈すら越えて。先の見えぬ闇に覆われた天井、それに頭を
「な、に……!」
クラリオンが――それが模した星命の上半身が、全ての蛇頭が――動きを止め、天を、その悪魔を見上げる。
三面
「ぬぅん!」
アスラ王は地を揺るがして片膝をつき、合掌したまま四本の腕を振るう。それが凪たちに迫る蛇頭を軽々と薙ぎ倒し、勢い余ってちぎり飛ばす。
宙へと舞った蛇頭の先端は、重い音を立てて落下し。畳を突き破って、それでも
アスラ王は重く響く声を上げた。
「修羅道の主たる我が力を求めるとは……ライドウよ、
ライドウは声を上げる。
「そのとおりだ。だが、今必要なのは――」
その続きを言うより先に、クラリオンが声を上げた。
「なるほど……確かに強大な悪魔だ、だが。今の我を滅することなど出来ぬ……何者にも!」
無数の蛇頭がアスラ王の、脚に腹に胸に巻きつき。一斉に牙をその身に立てる。
だが、意に介した様子もなく。アスラ王はその六本の腕を大きく開き、伸ばし。そして身をかがめ、合掌するように合わせた。蛇頭を、その首を、そしてクラリオン本体を。打ち潰すように、その巨大な掌で。
「合掌……【万物
声も無く。クラリオンはその手の内で潰され、湿った音を響かせ。辺りに紫色の体液を散らす。
阿修羅の王はなおも容赦せず、その手を開き。
「おぉぉああああああああああっっ!!」
六本腕での掌打を無数に、潰れ果てた肉塊へと浴びせかける。それが当たるその度に床が柱が、建物が大地が揺らぎ。クラリオンの体が潰れ、体液をまき散らす。
玄弥が口を開く。
「すっ……げ……」
苦しげな息の下からヨシツネが言う。
「やったぜ、こいつぁ……!」
だが。
飛び散っていた体液が泥のように潰れた肉片が、時を戻したように寄り集り。再び、クラリオンの姿を取る。
紫の血を流すそれが星命の上半身を模した姿で笑った。
「ふっ……ふ、ははははは! 何だそれは、何だそれは!
無数の蛇頭が再びアスラ王に取りつく。
クラリオンはその、異様に澄んだ目でアスラ王を見上げる。
「さあ、その力。我がものとしてくれる、全てを喰らって!」
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