【鬼滅×葛葉ライドウ】デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 鬼殺隊岩柱 悲鳴嶼行冥 作:木下望太郎
背筋を伸ばしたままライドウは言う。
「おそらく誤解がある、まずはこちらの立場を説明させて欲しい。……自分は『悪魔』と呼ばれる存在を使役し、人に害なす悪魔を討つ
しばらくの沈黙の後、鉄球の男は口を開いた。
「……その話だけを聞けば、こちらと事情は似通っているが。……私は鬼殺隊士、人を喰らう『鬼』を狩る者。この屋敷で多くの者が行方知れずとなっていると聞き、鬼の存在が疑われたため来たが――」
じゃり、と鎖の音を立て、その手の斧を握り直す。
「――行方知れずになった者の中には。先に派遣された隊士も複数いる……先頃貴様が斬り殺した、揃いの服を着た者らだ」
同じく鎖の音を立て、鉄球を肩に担いだ。
男の歯が、ぎり、と音を立てる。
「その者らを殺しておいて。誤解がある、とは何のことだ」
宙を漂う星命が、そこで急に口を挟む。
「はあああぁっ!? 見て分かんないのオジサン、目ぇ悪いんじゃないの!? ったくいい眼鏡作りなよ……僕みたいに」
くいっ、と眼鏡を押し上げてみせる。
ライドウは言う。
「いや、おそらく彼は目が……」
星命は、かくり、と口を開ける。
「そうなの!? それであんな動きできるの!? すごっ……いや、それはいいんだ」
再び眼鏡を押し上げ。表情を正して男へと声をかける。
「さっきライドウくんが斬り殺したもの。あれが人間だと……あなたはそう言うのかな」
「……どういうことだ」
「確かに揃いの服は着てる、あなたの言うとおりにね。けれどその中身は、決してあなたの知る者たちじゃない」
星命は指差す、ライドウが斬り倒したものを。
それは身に着けた隊士服ごと、体を両断されてはいたが。その体から、こぼれ出るはずの内臓はなかった。体を支えていたはずの骨も。
今もひくひくとわずかに
「一目瞭然――とはいかないか、あなたの目では。クラリオン――この屋敷に巣食う悪魔――が、喰らったものを外側だけ真似て再現した悪魔。気づかなかったのかも知れないが、あなたを襲い、喰らおうとした、クラリオンの微小な分身。それがあれだよ」
ため息をついて星命は続けた。
「かつての力には程遠いとはいえ、奴も妙なことをし出したものだね。……、待てよ」
そこで何かに気づいたように、目を瞬かせた。考え込むように指をあごに当てる。
「むしろそれが奴の、この世界で得た新たな力……? 喰らったものを模すことが? だとしたら、それで何をしようと――」
星命がつぶやく間にも、鉄球の男は死体へと歩み寄り。鼻をうごめかせ、あるいは手にした鎖をかき鳴らす。おそらくその音の反響で、死体を探っているのだろう。
うつむき、そちらへ数珠をかけた手を合わせた後。ライドウへと向き直った。
「……私は鬼殺隊士、
ライドウはうなずき、口を開こうとした。
が。それよりも早く、悲鳴のような声が上がった。屋敷の奥から。
「助けて! 助けて下さいヒメジマさん!」
そこには。息も絶え絶えによろめき歩く少年がいた。ライドウが斬ったものたちと揃いの服を着た者。
「騙されないで下さい! そいつが……そいつが隊士をみんな殺したんです! 僕の仲間を!」
「な……」
言葉を失う悲鳴嶼に、それはさらに言葉を重ねた。
「殺された、殺されたんですみんな、そいつの能力でそんな風に溶かされて! あいつも……シナズガワ ゲンヤも!」
「なん……だと」
悲鳴嶼の手が拳に握られ、かけていた数珠が音を立ててひび割れる。
そして、先頃からの声の主は、ライドウと星命へと振り返り。んべぇ、と舌を出してみせた。
かつて星命の中にいた、もう一人の安倍星命。
――クラリオン。