【鬼滅×葛葉ライドウ】デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 鬼殺隊岩柱 悲鳴嶼行冥   作:木下望太郎

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第五章  対話す両雄、或る悪意に弄《ろう》される

 

 背筋を伸ばしたままライドウは言う。

「おそらく誤解がある、まずはこちらの立場を説明させて欲しい。……自分は『悪魔』と呼ばれる存在を使役し、人に害なす悪魔を討つ悪魔召喚師(デビルサマナー)。この屋敷に強大な悪魔の存在を感知し、討つために来た」

 

 しばらくの沈黙の後、鉄球の男は口を開いた。

「……その話だけを聞けば、こちらと事情は似通っているが。……私は鬼殺隊士、人を喰らう『鬼』を狩る者。この屋敷で多くの者が行方知れずとなっていると聞き、鬼の存在が疑われたため来たが――」

 

 じゃり、と鎖の音を立て、その手の斧を握り直す。

「――行方知れずになった者の中には。先に派遣された隊士も複数いる……先頃貴様が斬り殺した、揃いの服を着た者らだ」

 同じく鎖の音を立て、鉄球を肩に担いだ。

 男の歯が、ぎり、と音を立てる。

「その者らを殺しておいて。誤解がある、とは何のことだ」

 

 宙を漂う星命が、そこで急に口を挟む。

「はあああぁっ!? 見て分かんないのオジサン、目ぇ悪いんじゃないの!? ったくいい眼鏡作りなよ……僕みたいに」

 くいっ、と眼鏡を押し上げてみせる。

 

 ライドウは言う。

「いや、おそらく彼は目が……」

 

 星命は、かくり、と口を開ける。

「そうなの!? それであんな動きできるの!? すごっ……いや、それはいいんだ」

 再び眼鏡を押し上げ。表情を正して男へと声をかける。

「さっきライドウくんが斬り殺したもの。あれが人間だと……あなたはそう言うのかな」

 

「……どういうことだ」

 

「確かに揃いの服は着てる、あなたの言うとおりにね。けれどその中身は、決してあなたの知る者たちじゃない」

 

 星命は指差す、ライドウが斬り倒したものを。

 それは身に着けた隊士服ごと、体を両断されてはいたが。その体から、こぼれ出るはずの内臓はなかった。体を支えていたはずの骨も。

 今もひくひくとわずかに(うごめ)く、巨大な(ひる)のような――それを無理やり、人の形に押し込めたような――もの。それが隊士服を着たまま、斬られていた。

 

「一目瞭然――とはいかないか、あなたの目では。クラリオン――この屋敷に巣食う悪魔――が、喰らったものを外側だけ真似て再現した悪魔。気づかなかったのかも知れないが、あなたを襲い、喰らおうとした、クラリオンの微小な分身。それがあれだよ」

 ため息をついて星命は続けた。

「かつての力には程遠いとはいえ、奴も妙なことをし出したものだね。……、待てよ」

 

 そこで何かに気づいたように、目を瞬かせた。考え込むように指をあごに当てる。

「むしろそれが奴の、この世界で得た新たな力……? 喰らったものを模すことが?  だとしたら、それで何をしようと――」

 

 星命がつぶやく間にも、鉄球の男は死体へと歩み寄り。鼻をうごめかせ、あるいは手にした鎖をかき鳴らす。おそらくその音の反響で、死体を探っているのだろう。

 

 うつむき、そちらへ数珠をかけた手を合わせた後。ライドウへと向き直った。

「……私は鬼殺隊士、悲鳴嶼(ひめじま)行冥(ぎょうめい)。正直なところ、君の立場に関しては疑念もあるが……どうやら、詳しく話を聞かせてもらう必要があるようだ」

 

 ライドウはうなずき、口を開こうとした。

 

 が。それよりも早く、悲鳴のような声が上がった。屋敷の奥から。

「助けて! 助けて下さいヒメジマさん!」

 

 そこには。息も絶え絶えによろめき歩く少年がいた。ライドウが斬ったものたちと揃いの服を着た者。

「騙されないで下さい! そいつが……そいつが隊士をみんな殺したんです! 僕の仲間を!」

 

「な……」

 

 言葉を失う悲鳴嶼に、それはさらに言葉を重ねた。

「殺された、殺されたんですみんな、そいつの能力でそんな風に溶かされて! あいつも……シナズガワ ゲンヤも!」

 

「なん……だと」

 悲鳴嶼の手が拳に握られ、かけていた数珠が音を立ててひび割れる。

 

 そして、先頃からの声の主は、ライドウと星命へと振り返り。んべぇ、と舌を出してみせた。

 

 (わら)うそれは。隊士服を真似てみせ、星命と同じ顔をした、異様に澄んだ目をしたものは。

 かつて星命の中にいた、もう一人の安倍星命。

 ――クラリオン。

 

 

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