名前は天野 聖、普通と対極の人生を送ってきた、謎多き男子高校生だ。実家はでかい保険代理店会社、身長は180cm、体脂肪率は6%のチー牛だ。他にも実績を上げだしたらキリが無いのだが、まぁ色々出来る。決して厨二病や変人の類では無い。
俺は今バスにゆらゆらと揺れて国立の高校である東京都高度育成高等学校へと向かっている。バスの揺れでこのままでは着く停車駅を寝過ごしてしまいそうなので少しだけでいいので俺に付き合って欲しい。
問 この世で最も強い力は何か
突然だがこの問に着いて考えて見てほしい。この答えは人によってきっと変わってくるだろう。例えば良家の性格の悪いお嬢様ならきっと自分が何かをしでかした時に他人に罪を擦り付けられる『権力』と言うだろうし、そんなお嬢様に冤罪を擦り付けられて賠償金をたんまり貰った奴ならば『財力』と言うだろう。
他にも某ジャンヌ・ダルクのような絵に書いたような聖女ならば『団結力』と言うだろうし自分しか信じれない暴力的な暴君の独裁者ならば『暴力』と言うだろう。生まれ持っての天才はきっと『才能』と言うし、逆に努力で邁進してきた凡人、ないしは落ちこぼれは『努力』と言うだろう。他にも偽善の笑顔を作り続けてきたクラスのマドンナは『嘘』と『真実』と言うだろうし、皆の為のヒーローのような男は『協調性』だと言うだろう。
何が言いたいかと言うとこの世で最も強い力というのは人によって当然の如く変わってくるという事だ。生まれた家柄、才能、幼少期にやって来た事や遺伝している部分も然り、自分の周りにある様々な現象、事柄において変化する。
さて、この話を聞いて誰もが……とまでは言わないが一部の人はきっと気になっただろう。もし気にならなかった場合は俺の心に5ダメージだ。
問2 であるならば俺は何を最も強い力と考えているか。
この答えを先に行ってしまうならば『情報力』である。とはいえこれは前にも言ったように俺の自論でしかない。
唐突なカミングアウトへとなるが、俺は3年前、クラスメイトに虐められている子を庇いバットで頭を殴られて、前世の知識を取り戻した。そしてここが『ようこそ実力至上主義の教室へ』の世界だと気づくことが出来た。
元々社長の息子だったので英才教育は積んでいた。英才教育……と言っても内容は地獄そのものだ。勉強やスポーツは勿論、コンピュータ技術や契約書の書き方、俗世間の人が好きな話題作りや保険のシステムなど、自分の会社を継ぐために必要になるかもしれないことはほぼ全て学ばされた。という訳でスペックはそこそこにあるはずだ。数学オリンピックに出させられたり、将棋でプロと戦わされたり絶対要らねぇだろそれというのもあったが口答えする気力も無かった。まぁ自力は着いたと思う。もう思い出しくは無いが。
とするとあと必要なのは情報である。ここまでの話を聞いている人は最も強い力はどう見ても権力だろうと、そう思っている事だろう。だが権力はどうしても場所を選ぶ、それはこれから行く事になるであろう東京都高度育成高等学校もそうだ。
取り敢えず情報が欲しかったので、父親はホワイトルームの話を振った瞬間に急に父親は饒舌になって「俺の英才教育はホワイトルームを元にしているんだ!お前も連れて今度行くか!」と言い出して連れて行かれた。俺は断りたかったのだが残念ながら断る権利は無かった。強制連行である。
東京都高度育成高等学校についてもそうだ。原作の時から裏口入学とかどう頑張ってもアウトだしヤバい学校だと思っていたが、どうせ元々この学校は推薦した人物がいなければ入れないシステムになっているので多分大丈夫だろうとタカをくくっていたが全然そんなことはなかった。クソフラグだった。
おそらくここまでの話をお聞きの皆さんは分かる事だろう。父親が東京都高度育成高等学校に入れると言い出したのだ。俺は無論駄々をこねまくったが。『入りさえすれば何をしてもいい、その代わり最低1年はいる事。』と父親にある程度の妥協をしてもらうまでには至ったが、ついぞや東京都高度育成高等学校に行かされてしまった。父親曰く『入ったら止められなくなるから!止まらなくなるから!』だそう。完全に麻薬中毒者のそれである。或いは某心理教徒なのか。解せぬ...。
父親曰く「綾小路先輩も坂柳君も知り合いだからな。こんぐらいどうとでもなるさ!」と言っていたが、何とかなるものではどう頑張っても無いと思うし、何とかならないで欲しかった。というかこの時点で最も強い力が『父親』な気がしてきたが、真面目な場で父親ですなんて言った日にはその日からファザコン呼ばわりされるのは間違えないだろうのし除外である。その父親も『情報力の勝利』だなんて言ってた訳だし。ここは1つ見逃して欲しいものだ。
画して2年間、昼は鍛錬を重ねつつ、夜は顧客情報や監視カメラの映像なんかを漁りながら、原作キャラの情報を出来る限り把握する事に務めた。ここまでの話を聞いていると完全にストーカーで牢屋送りになりそうだが、バレなきゃセーフだと思ってるしセーフだろう。
コンピューター関連は特に良く父親にぶち込まれたし、データ系の統計学やらなんやらの才能が俺にはあったらしい。父親はその部分には特に力を注がされた。そのせいか情報主義な思考が多少植え付けられてしまったのだ。父親曰く『俺の血を継いでるな。』との事だが継ぎたく無かった。
まぁ画して、俺は今日、この東京都高度育成高等学校に入学する訳だ。ここまでの毎日は地獄に悪魔を混ぜたような毎日だった。ホワイトルームを参考にしてると言うだけあってとてつもなくゴミみたいな日々だったが、残念ながら俺にはバリバリに感情がある。まぁ父親はお構い無しだったので我慢するしか無かったのだが、東京都高度育成高等学校に父親は入れないし来れない、感情の赴くままに暴れてやる事にしよう。なんでかって?
父親から開放される毎日は最高だ。とは言えこの高校をいつ出ても後は前よりは自由が保証されている……はずだ。わざわざ退学したくは無いが他の生徒よりは退学したくないとも思っていないのである。Aクラスへの意欲も大体そんな感じである。
『バスが止まります、お乗りの方は乗車券をご提示ください。』
どうやらバスが来たらしい。俺はそのままバスに乗りこみ、後ろの方の座席を確保する。僥倖だな......。
さて、バスの中で出来れば原作キャラの一人ぐらいとは仲良くなっておきたいものだ。個人的には芸能人と会える様な感覚だと思う。流石に握手やサインは貰わないけども......。
原作キャラを探す所か、隣に原作キャラはいた。ドストエフスキーの『罪と罰』を読んでいる様だ。隣にいる少女の名前は堀北鈴音、原作では落ちこぼれのDクラスを率いて、Aクラスを目指す、そして兄に認められる為に奮闘していたような気がする。そしてなんか最後に兄と和解して居たはずだ。
「さっきからじっと見てきて何かしら?不快だわ。」
「......ん?あぁ、ごめんごめん。」
確かにジロジロ見られるのは嫌な人もいるな。俺は視線を戻し、窓の外を見る。
「窓の反射を利用して私の方をジロジロ見ようとするのはやめてくれるかしら。下賎ね。」
「……ん?あぁ、ごめんごめん…?」
「なぜ疑問形なのかしら。」
「いや別に…。」
これは……俺が悪いのか?なんか何処ぞのTwitterにいるフェミニストみたいな事を言われた気がするんだけど、気の所為かな?
「今何か失礼な事を考えなかったかしら。」
「いや、気の所為だろ。」
確かに少し失礼だったかもしれない。俺は左も右も見れなくなったので第三の選択、つまりは目を閉じる事にした。元々眠かったのでスリーピングである。このまま某夢の国のネズミに……。
「ぴぎゃっ!?」
なんか今右の首辺りに針が刺さったような感覚がしたぞ。気の所為だよな?気の所為であってくれ。ちなみに隣にはコンパスを何故か閉まっている堀北が居た。え?嘘だよな?嘘だって誰か言ってくれよ……行動がクレイジー過ぎるだろ。
「私は何もしていないわ。」
「え、でも今コンパスしまって……。」
「私がコンパスを閉まっているからと言って私が刺したという証拠は無いわ。バスの揺れに生じて私の肩に頭を乗っけようとしたから天罰が下ったのよ。」
指した理由は分かった。いや欠片も理解したくないけどまぁ100歩譲って理解した事にしよう。したくないけど……。なぜ首に刺した……一歩間違えたら死ぬぞ、マジで。
「バスの揺れのせいで神様の狙いがブレたのかもしれないわね。」
バスの揺れのせいで狙いがブレたのか……おのれバス…おのれ神様……次会った時は許さんぞ…ってねぇよ。
「いや、お前何したか分かってんのかよ……。」
「私は何もしていないわ、言い掛かりはよして欲しいわね。」
よし、こいつはもう許しちゃダメだ。初対面の人の首元にコンパス刺して謝りもしないとか頭おかし過ぎるだろ。というか何故コンパスを既に持ち歩いているんだこいつは……。いつか絶対に復讐してやるコイツ。
「だ〜か〜ら〜!!お年寄りに席を譲るのは社会の常識なの!分かる?」
うるせぇな誰か知らねぇけど……このバスはキチガイしか乗ってねぇのか?
「フッフッフ……私の辞書にそんな言葉は乗っていなぁいのでねぇ……それに私は座っていた方が美しいのだよ。ガール。」
このバスのキチガイムードを加速させた彼の名前は高円寺六助。高円寺コンツェルンという中々に有名な会社の御曹司にして、文武両道才色兼備天上天下唯我独尊自由人という文字羅列を並べただけで軽く頭がゲシュタルト崩壊しそうなやべぇ金髪だ。あいつは日本人では無く絶対にアメリカ人だと思う。そして何故喋り方がロズワールっぽいのか……。ツッコミどころしか無いなコイツ。
「それにお年寄りに席を譲らなければ行けないなんて法律など無い、勝手な価値判断である事を自覚するべきじゃなぁいのかね?」
「私はもういいから……」
「師範、大丈夫です。貴方ねぇ……それが目上の人に対する態度?」
師範……?あのお婆さんは一体何者なのだろうか…恐らくはこれから出会う事も無いと思われるが。剣道でもやってるのか?
ちなみにさっきうるさかったOLだが多少声のボリュームは落ちた。まぁだからなんだと言う話だが。
「目上ねぇ……ただ歳を取っただけの人間の事を目上とは言わなぁいのだよ。目上とは立場が上の人間を指す言葉……そう、私のようなものに対して使うのだよ。」
なぜ毎度ロズワール形式の喋り方で話すんだこいつ。リゼロを見る高円寺とか想像がつかないのだが……。
「貴方高校生でしょ…正しい根拠を言いなさいよ!」
「もういいから……ね?」
OLはムキムキウッキーと猿のような表情で顔を真っ赤にしているがお爺さんが窘めている。立場としてそれはどうなんだと思うが……。
「あの……お婆さん、さっきからずっと辛そうにしているみたいなの。席を譲って貰えないかな…社会貢献活動になると思うんだ?」
そう言ってOLの用語に回ったのは櫛田桔梗。この隣のサイコパス堀北と同じマンモス中学校の出身であり、クラス一つの人間関係をぶっ壊して機能停止に追い込んだ八方美人系少女だ。これだけ聞くとこっちのがサイコパスに聞こえるが、地雷女なだけでサイコパスではない。ただのどこにでも居るメンヘラだ。
「悪いけど興味が無ぁいのだよ。それともう一つ、席を譲るだけならば他のものたちは放っておいていいのかね?」
高円寺はこちらに矢印を飛ばしてきた。何処かの学園都市1位では無いのでこのベクトルを動かす事は当然出来ない。
「皆さん、どうかこのお婆さんに席を譲って貰えませんか?お願いします!!」
チャンスだ。この隣にいるサイコパスから離れられるチャンスだ。他の奴に取られる前にさっさと逃げよう。そうしよう。そして堀北(妹)、お前は絶対許さねぇからな。
「こちらへどうぞ。」
俺はそう言い席から退こうとする……が、忘れてはならない。バスの通り道と俺の席の間にはこの自己中サイコパスが居ることを。
「あの……通して下さい。」
「なんで貴方のエゴの為に私が無駄な労力を割かなくては行けないのかしら?」
この会話が1番無駄な労力じゃないですか?流石に人の目のあるここでそんな発言は出来ない。俺はアイツらと違って至ってここら辺は常識人だからな。
「では貴方は私にずっと隣の席にいて欲しいですか?そう思うならそのままで結構ですよ。」
と、言うわけで神経を逆撫でさせてここから退避することにした。これならば無問題であろう。
「はぁ……つくづく性格が悪いわね貴方。池の奥底に溜まっている泥の様ね。」
なんか口では色々言いながらもどいてくれた。ちなみに周りはドン引きしている。勿論俺ではなく堀北にだ。まぁ当然だろう。高円寺2号だと皆思っているはずだ。ちなみにお婆さんはちょっと座りたくなさそうにしている。悪いがガン無視で座ってもらおう。あんな地獄は嫌だ。
「さ、どうぞどうぞおばあさん。」
「あ、……あぁ、ありがとねぇ……。」
お婆さんはなんとも言い難そうな顔でそのまま座って言った。俺はそのまま道を進み出入口に1番近い位置を陣取る。どうせあと少しで着く事だろう。ちなみにバスの中はあんな事があったので空気が凍り付いていた。当然である。
『東京都高度育成高等学校前、東京都高度育成高等学校前です。』
バスのドアが空いた瞬間に俺はなるはやで学校へと向かった。理由?お前さっきのあれ見て高円寺や堀北と関わりたいか?つまりはそういう事だ。そしてこの学校での立ち回りを考え中の俺は一先ず櫛田桔梗と接触するのも後回しだ。歴代の先輩転生者さん達も過信と軽率でぶっ殺されている。まぁ俺は転生してた訳では無いんだけどね。
春の訪れを表す桜の花びらが散り、感慨深く学校へと向かう生徒もいる中で俺は競歩のオリンピック選手並の速度で歩いてクラス掲示板の元へと行く。
「うーん、まぁやっぱりDクラスか。しゃーないしゃーない。」
俺がDクラスなのは父親も言っていた気がする。曰く「空いている枠がそこしかない」とか何とか。やっぱり俺を捩じ込んだのはギリギリだったんだろうとわかる発言だった。それならもうねじ込まなくて良かったんだけどな。
こうして、俺の学園生活が始まった。
オリ主心の声
→堀北……自己中サイコパス
→高円寺……文武両道・才色兼備・天上天下・唯我独尊・自由人
→櫛田……メンヘラ保身地雷女
こう見てみると第一印象は散々ですね。