ようこそ間違わなかった教室へ   作:あもう

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動き出せ

学校に入学してから2日目、早くも大半の生徒が授業を真面目に受けていなかった。まだ2日目だぞテメェら嘘だろ?

 

「と、言うわけでネアンダール人は.......」

 

ちなみに今授業をしているのは担任の茶柱先生なのだが、須藤とかは爆睡、高円寺は髪型のセット、池と山内とかが駄弁っててその他はスマホ弄りと言った所か…斜め前ではR18指定の漫画を読んでいるやつが居るし早くも世紀末だった。このままではクラスのポイントが大幅に激減してしまう.......仕方無い。これが5時間目だしこの授業が終わったら動くしかねぇか。

 

本音としてはクラスのリーダー格の誰かしらを味方に付けてからが望ましがったが平田も櫛田も軽井沢も他の人間に囲まれてそれ所では無かった。一応本来のDクラスのリーダーになる堀北に頼んでみるだけみるか。俺は授業が終わり次第堀北に話し掛ける。

 

「堀北、ちょっと手伝って欲しい事があるんだが.......」

 

「嫌よ。そもそも話かけないで頂戴、気持ち悪い。」

 

ザンネンながら一蹴されてしまった。こいつは絶対クラスリーダーにしてやんねぇ!べー!

 

「何を頼むつもりだったか知らないが、堀北に頼むだけ無駄だと思うぞ。」

 

心の奥底で堀北に悪態を吐いていると、隣から初対面綾小路に話しかけられた。

 

「お前は確か.......綾小路だったか。どういう事だ?」

 

綾小路は名前を覚えていて貰った事が嬉しかったのか口が少しニマニマしている気がする。ニマニマピーポーだ。こいつ本当にポーカーフェイスなのか?

 

「堀北は誰とも関わろうとしないんだ、オレも苦労している。」

 

「.......そうか。綾小路、連絡先を交換しないか?」

 

綾小路の連絡先は何処かで持っておきたかったところだし僥倖だ。ちゃんと位置探知等のやべぇシステムは全部オフにしてあるしなんの問題もないだろう。

 

「いいぞ。えーと.......確か自己紹介で失敗した.......」

 

「天野だ、その覚え方は本当に辞めてくれ。」

 

綾小路にその覚え方をされてるなら既にクラスで大ピンチじゃね?まぁ当たって砕けろ、やるだけやってみる価値はあるか。俺は綾小路と連絡先を交換した後、教室の教壇に立った。クラスメイトは大半教室にいるので問題は無いだろう。不幸にも皆の平田は不在だが。

 

「皆、授業を真面目に受けてくれないか!!」

 

時間も無いので俺は単刀直入に話を切り出した。まぁきっといい感じに櫛田がフォロー.......あ、櫛田が何処か行った。これ終わったんじゃね.......?

 

「なんでお前の言う事なんか聞かなきゃ行けないんだよ!」

 

案の定須藤が噛み付いてきたか。まぁ想定通りだ。

 

「いいか須藤、俺達はこのままでは.......」

 

「うるさいわよ!黙りなさい!」

 

篠原.......最後まで喋らしてくれ。話を聞けばきっと理解して貰えるはずだ。俺がクラスのヒーローになる為にも。

 

「だいたいさ、昨日も思ったんだけどあんまり出しゃばらないでくれない?あんたみたいな友達も居ない陰キャがしゃしゃり出て来ないで欲しいんだけど。」

 

軽井沢が俺にトドメの一言を放つ。俺は.......俺は.......嫌われてなんか.......

 

「お、俺は.......。」

 

「まだ分かんないの?アンタクラス中から嫌われてるの。分かったら黙って席戻ったら?」

 

軽井沢.......お前.......。俺は必死に虚勢を張って傷付いていない振りをしながら話を続ける。このままクラスポイントを減らすわけには行かないんだ。俺は最後のなけなしの度胸を振り絞り再三、皆に話すべく会話を始める。

 

 

「嫌われててもいいから取り敢えず話だけでも聞いてくれ。授業を真面目に受けないとこのままでは.......」

 

嘘です。嫌われてるなんて無茶苦茶悲しいです。どうして高円寺や須藤、山内もいる中俺がクラス中から嫌われてるなんておかしいだろ絶対。

 

「皆さん授業の用意をしてください。授業を始めますよ。天野君、今から授業ですので話す事があるのでしたら授業後に話してください。」

 

残念ながら俺のなけなしの度胸は坂上先生に阻まれてしまった。げせぬ。

 

「もう話さなくていいから、分かったでしょ、もう。あんたの話なんか誰も興味無いから。」

 

篠原と軽井沢の連携プレーによって俺のメンタルはズタボロだった。悲しみも大きいが、それ以上にストレスのが大きい。

 

俺は軽井沢虐めを決行する準備をする事を心の奥底で誓って席に戻る。

 

「さっきの、どういう意味だ?」

 

俺が席に戻ると、三宅が話しかけて来た。大半の人間は俺の事をキチガイだと思ってるらしい。高円寺と同じ枠組みに入れるのは勘弁願いたい所だ。博士もこちらに来たところを見ると内容は同じらしい。

 

「うーん、今この場で話すのもなぁ.......放課後空けといてくれ。そこで話そう。」

 

「了解でござる。店の用意は任せるでござるよ!」

 

「わかった。.......お前のやる事だ、意味の無い事だとは思わないが.......。あ、あと安い店で頼む。」

 

俺を信じてくれる人がいるのは大変嬉しい.......が、だからこそコイツらにも被害が及ぶ前に有害物質は取り除かなきゃ行けないな。準備しておくか。

 

「その集まり、オレも行ってもいいか?」

 

そんな事を考えていると、綾小路が来た。何を考えているのか分からないが、ここで俺が断ると暗に警戒していると言ってるようなものだ。とはいえ警戒するのは自然だろう。

 

「俺は綾小路ならば構わないが.......山内とか池は御免だぞ。」

 

「拙者は誰が来ても構わないでござる。」

 

2人とも賛成のようだ。こうなると反対する理由が無いな、仕方ない、連れていくか。懐柔出来るとは思えないができるならそれに超したことは無いし。

 

俺たちはそのまま解散して放課後に時間を決めて落ち合う事にした。

 

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「ここは.....いやまぁ確かに安いのか?」

 

放課後、俺は博士に頼んだ店の場所を見て頼む相手を間違えたことを酷く後悔した。なんで博士に頼んだんだ俺は。

 

「ここは.....どういう店なんだ?」

 

綾小路は知らないらしい。まぁホワイトルームでこんな事教えていたらそれこそドン引きものだが。というか三宅はキレそうだな。俺これを綾小路に説明するのは凄く嫌なのだが.....外村は今度グーパンだな。

 

「ここはだな.....まず名前をメイド喫茶と言う。ある一点を除けば喫茶店と対して変わらない。」

 

そのある一点が問題なのだが。これを考えたヤツは天才.....じゃなかったただの神.....あ、アホなんだうん。俺は危うく本能に洗脳されそうになるのを必死に堪えて説明を続ける。

 

「ある一点?」

 

「メイドがいるんだが.....まぁ習うより慣れろだな。というか三宅はブチギレるんじゃねぇか?これ。」

 

不思議そうに首を傾げる綾小路を連れて俺は店の扉を開ける。もう既に三宅と外村は入っているらしいがどっからどう見ても修羅場になる未来しか見えない。

 

俺は覚悟して扉を開ける。普段メイド喫茶に来るような欲望に忠実な奴はそう多くは無いらしい、今日は他に誰もいないようだ。

 

「お帰りなさいませご主人様!!」

 

三宅は.....怒ってない.....のか?思ったよりも落ち着いているな。博士はパーリーピーポーしてやがる。絞めるかコイツ。

 

「これは.....成程、知識としては知っていたが.....。」

 

後ろで綾小路はブツブツ呟き出した。これなんてカオスワールド?現実世界にキング・クリムゾンが無いことを俺は悲しみながら席に着く。

 

それにしてもこの店、天井に監視カメラはあるようだが俺らの席の位置は範囲外っぽいな。好都合だ。ある意味良い店の紹介とも言える.....か?

 

俺たちは博士の目の前の席に腰掛ける。博士はうんまぁ.....お察しの通りデレデレだった。三宅も.....コイツ思ってたより満更でも無さそうだな。

 

「これがメイド喫茶というものか.....。」

 

隣でメイド喫茶についてブツブツ考察を始めた綾小路を他所に、俺は先輩をボコった事を盾に対策を話し始める。

 

「さて、お前らを今日ここに呼んだのは他でも無い。このまま行くとうちのクラスはどん底に落ちるからだ。」

 

「ドン底?どういう事でござるか?」

 

こいつの足りない頭での理解.....は無理だな。とはいえおいおい強化していくべきではあるのだろうが。

 

「そうだなぁ.....俺の推測と、上級生から聞いた情報だけだから確定って訳では無いんだが.....お前らこの学校に来て変だなと思ったことは無かったか?」

 

「ダメだ.....オレには分からない。」

 

演技かもしれないが綾小路の場合そもそも普通の高校を知らない可能性があるのであんまり突っ込めない。常識無き者は最強である。

 

「拙者にも分からないでござる。三宅殿はどうでござるか?」

 

「毎月10万プライベートポイント貰えるのに無料の品があちこちに置いてある、というのは少し変じゃないか?」

 

流石は三宅、説明のしやすさが段違いである。賢いっていいな。他のDクラスの面々もそれぐらい優秀ならいいんだけどな。

 

「そうだな、さてここで茶柱先生が言ってた事を思い出してみようか。『毎月初めにプライベートポイントが貰える。』そして『入学した俺達には10万の価値がある。』だ。」

 

「.....なるほどな、貰えるプライベートポイントの量が変動するって言う事か。だが個人でプライベートポイントが変動する可能性もあるんじゃないか?」

 

綾小路の言う通りだろう。割と想定通りの質問だ。

 

「そうだな。まぁここに関してはクラスだと上級生に既に確認を取った、さて次の問題だ、そのポイントの変動はどうやって決まると思う?」

 

「.....そういえば至る所に監視カメラがあるな.....日頃の行いって事か。」

 

三宅君大正解!彼は何故Dクラスにいるのか一切合切わからん。原作でも深堀してたわけじゃないしこれに関しては情報も出てこなかったんだよなぁ.....。

 

「恐らくね。そして俺は初日にあのクラスの赤い髪のヤンキー、須藤に対してDクラスを揶揄する発言を上級生がしていたのを目撃している。まぁ上級生の情報もソイツらから聞いたんだけどな。」

 

「なるほど.....大方天野の予測通りだろう。だが呼び掛けに失敗したがどうするつもりだ?」

 

こちらも想定通りの質問だ。この頃の綾小路はまだ日常的な生活を送りたいから敵視もクソも無いんだっけか。

 

「まぁそこは俺に一計ありだ。.....所でなんで俺の所にだけメイドさんは居ないんだ?ここメイド喫茶だよな?」

 

「嫌われてるんじゃないんでござるか?」

 

こいつ.....腹の贅肉を筋肉に変えてやろうか.....。

 

「俺は嫌われていない。」

 

何故か俺の横にだけメイドが居ないのは何故だ.....商売だよな?これ。悲しすぎて某有名なあのセリフを口走ってしまったじゃないか。

 

「お前がまだ何も頼んでいないからじゃないか?.....それにしてもいいなコレは。」

 

メイド喫茶に楽しみを持ち出した綾小路は少し見たくなかったが、まぁ何はともあれ本来の目的は終わりだな。後はメイドさんを堪能するとしよう。

 

「じゃあ俺はこの『愛の共同作業カレー』にしようかな。」

 

綾小路はさっさとこっち側に抱き込んでしまうのが吉なのかもしれないな。と思いつつ俺はメイドさんを楽しむ事を選んだ。

 

「愛の共同作業カレーですね!わかりましたご主人様!」

 

内心メイドさんに嫌われていないかヒヤヒヤしたが何とかなってそうで良かった良かった。

 

「そういえばメイドさんって何プライベートポイントで買えるんですか?」

 

そう言えばプライベートポイントで買えると言っていたが人身売買は流石に無理か?まぁダメ元って奴だが.....なんで皆そんなに引いてるんだ?こんなの大企業の裏側じゃあ良くある事じゃんよ.....。

 

「えぇと.....私は売り物じゃありませんよ.....?」

 

「流石に国営の学校が人身売買の斡旋は不味いか.....じゃあ連絡先ぐらいなら買えるのかな?」

 

だからなんでそんな引いた目で見てくるんだよ、普通だろ?

 

「えーと.....プライベートポイントってそう言うものじゃないですよ?」

 

なんだろう.....金で買えるような安い女だと思わないでくださいって顔に書いてある気がする。気の所為かな。

 

「さっきから何を言っているんだ天野.....。」

 

「いやぁ.....プライベートポイントでなんでも買えるって言うからには売り物だけじゃなくて情報やらも買えると思うんだけど.....個人的私有物は個人間での取引だけっぽいねこれは。」

 

だからなんでそんな引いた目線なんだよお前ら.....。

 

「お待たせしましたご主人様!愛の共同作業カレーです!こちらレシート置いておきますね。」

 

そう言ってメイドさんはレシートの裏に何やらを書いて俺に渡してくれた。裏を見てみると11ケタの番号がある。これ連絡先じゃね?というかデジタルなのにレシートはあるんだな。

 

「内緒ですよ.....?」

 

耳元でボソボソ囁かれて不覚にもドキってしてしまった.....これが世界の理の扉か.....。ジョジョ.....俺は人間をやめるぞ。

 

「何だこのカレー美味しすぎる.....。」

 

二つ星のカレー屋より上手いんじゃないか?これ。思い出補正って最高の調味料だな。

 

「あぁ.....こんな世界があったなんてな.....次から集合場所はここにしよう。」

 

綾小路がブンブンと首を縦に振っている。誰だこいつ.....。

 

「そうでござろうそうでござろう!次からの集合場所はここで決定でござろう!」

 

こうして次からの集合場所はここになった。満腹になった俺たちはそのまま会計を終えて店を出た。そのまま俺達は店前で解散して、俺は1人ショッピングモールで軽井沢虐め用の道具を買って家に帰った。

 

 

 

この後、レシートを店に置いてったせいで次にメイド喫茶に行った時に担当してくれたメイドさんにブチギレられるのだがこの時の俺には縁もゆかりも無い話であった。

 

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