レッドデータブック   作:FETE6363

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オーキド研究所 オーキドプライベートエリア



side story オーキド1

朝起きて、顔を洗って

テーブルにつけばいつもの通り

美味しい朝食、紅茶、ビスケット

これが毎朝のルーティーン

じゃが、たまにふと立ち止まってしまうことがある

漠然とした、答えのない疑問がよぎることがある

 

今のこの日々を望んでいたのじゃろうか・・・?

ワシはいったい何をしたかったたんじゃろうか・・・?

本当に図鑑を完成させたかったのじゃろうか・・・?

確かにポケモンは好きじゃった

確かにバトルは好きじゃった

ポケモンは夢と可能性でしかなかった

 

図鑑は壮大な、それこそ見果てぬ夢物語で

誰もが笑顔でいいねと言ってくれた

そして、誰もが頭の片隅では疑っていた

それはワシとて同じじゃ

全てのポケモンを目にしたいと思った

ポケモンの全てを知りたいと思った

トレーナーの憧れであり

人類の積み重ねであり

しかし、これまでも、これからも

果たされぬはずの夢物語だったはずじゃった

 

ワシもそんな人類の通過点のはずで

そんな夢物語にワクワクする、バカな人間の1人で

便利な図鑑というツールを作って、後世のたしになれば

あわよくば歴史にワシという傷あと残せれば・・・

そのはずだったのじゃ

世界の果てを見に行くという

叶わない夢物語のはずじゃった

 

なぁ、レッドよ

 

 

・・・

・・・ ・・・

「はやく おとなになり たいんだ」

「はやく おとなになり たいの」

「でもね しごとも ちょっとするよ」

 

 

見ヨ、この美しい数字を

見ヨ、この偉大なる151を

 

子供の頃のワシよ、さぞ羨ましかろう

若い頃のワシよ、さぞ満足しているじゃろう

金も、地位も、名誉も手に入れた

何ひとつ不自由しない

 

喜べオーキド

偉業じゃ

これは偉業なのじゃ

世界の最果てに届いたのじゃ

人類が延々と追い続けてきた到達点に

たった、ワンシーズンで

たった、チャンピョンリーグのワンシーズンで

 

なぁ、レッドよ

 

 

・・・

・・・ ・・・

「もいちど こどもに もどってみたい」

「もいちど こどもに もどってみたの」

「いちにち だけでも なれないかな」

 

なぜ博士になろうと思った

なぜポケモン図鑑を作ろうと思った

あのままトレーナーという道もあったじゃろうに

みろ、キクコはいまも楽しそうじゃないか

ワシもそれでよかったじゃないか

 

とわいえ、ワシのことじゃ

どうせ中身もない理由だったのじゃろう

思うに、冒険に憧れ、冒険に夢を見て

そうじゃのぅ、恋に恋をしているようなものだったのかもしれん

まぁ、忘れてしまった

その程度のきっかけじゃ

 

その程度のことが

まさかここまで話が大きくなるとは

思ってもみなかったがのぅ

まぁ、所詮わしもちっぽけな人間よ

わしの想像力なんてたかが知れておるわい

 

なぁ、レッドよ

 

 

・・・

・・・ ・・・

「むかし わたしが まだこどもだったころ」

「ポケットに たくさんいれていた たからもの」

 

サイクリングロードの坂道を

ケンタロスに力いっぱい走らせた

振り落とされないように

力いっぱい背にしがみ付いた

怖いながらに爽快じゃった

 

喉が渇けば

ナッシーに頼んで果実を分けてもらった

表面がもじゃもじゃしていて堅かったのぅ

ナッシーに割るのを手伝ってもらった

白い果汁の自然な甘みが子供ながらに好きじゃった

 

河原に行けばコイキングを出して

ぴちぴち遊ばせたりもしていたのぉ

エサをやると間抜けな顔で

パクパク、バシャバシャ

見ていて楽しくてのぅ

 

あの頃は毎日がワクワクしておった

あのワクワクはどこにしまったかのぅ

忘れてしまった

忘れてしまった

思い出せないのじゃ

 

 

・・・

・・・ ・・・

「テーブルの上にはビスケットがひとつ」

「ビスケットをかじると 笑顔がいっぱい」

「もいちど かじると 元気がいっぱい」

「まるごと たべたら 幸せがいっぱい」

 

わしは毎日何を食べておるんじゃ

何を食べさせられておるんじゃ

これはいったい何なのじゃ

見よこの肌、この髪、この体

この湧き上がる力を

まるで全盛期のようじゃ

 

何年もそうだった

そしてこれからもそうじゃろう

ワシはまだ人間なのじゃろうか

 

なぁ、レッドよ

 

 

・・・

・・・ ・・・

「男の子でも女の子でも」

「ポケットの中身はだれだって」

 

まぁ、このビスケットも

ひとつのファンタジーでは、あるかのう

分かっておる

食べれば悩みなんて吹き飛ぶ

どんどん力がみなぎってくる

全知全能の心地がする

食べればいいだけなんじゃ

それだけなんじゃ

 

ぅ……

っ…、っ……、ぅあ……

(絞るような嗚咽)

 

レッドよ・・・

 

サクッ、サクッ、サクッ

 

 

 

 

 




レッドさんは、ミューツーに
「博士を頼む」と伝えました

ミューツーはジョウイさんにお願いをして
博士の身の回りの世話をしてもらっています

ミューツーは博士のために
美味しいビスケットマシーンを作りました

その味は甘くて、遺伝子も大喜び
こんな素晴らしいビスケットをもらえる博士はきっと
自分は特別な存在なのだと実感してもらえるだろうと
自信満々な様子なのでした


※楽曲  :ポケットにファンタジー
※YOUTUBE:https://www.youtube.com/watch?v=gNod5q2FGag

この小説に期待することは?

  • ディストピア
  • NPCのSAN値崩壊
  • レッドさんの影響考察
  • レッドさんTUEEEEEE
  • 後書、感想での資料設定的な何か
  • 記者さんの幸せ
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