偽ポチタ「助けてやるから、女のおっぱいを揉め」士道「ふぁっ!?」   作:鳩胸な鴨

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新年一発目からこれでごめん。

美九編前の幕間です。


クソ童貞、卒業

「……俺、未成年なわけですよ。

こういうとこ、まだ早いんじゃないかなって思うわけで…」

 

目の前に広がる薄暗い空間を前に、全身から一気に水分と熱が抜け落ちていく感覚が襲う。

その隣には、いつものように色気のかけらもない格好をした二亜が微笑んでおり、冷たい雰囲気を纏っていた。

 

「えー?十香ちゃんとは来たんでしょ?」

「入ってません…!」

「知ってるよ」

 

形容できぬ危機感に、必死になって二亜から目を逸らそうとする士道。

だが、悲しきかな。

薄い灯りで照らされたことにより、妖艶な影が生まれた顔から目を離すなど、クソ童貞にはできぬ話であった。

もうお分かりだろう。

士道と二亜は「ドリームパーク」と呼ばれる宿泊施設…俗にいう「ラブホテル」の一室に居るのである。

いくら夏休みとはいえ、初日からコレはマズいのではないか。

そんな思考が浮いては消え、士道は二亜をなんとか止めようと言葉を紡ぐ。

 

「い、いやさ。修学旅行が終わったらとは言ったけどさ…。

終わってすぐにコレだし、心の準備ができてないというか、その…」

「これ以上焦らしてみなよ?

私の子宮爆発するわ」

「ごめんなさい。ホントごめんなさい」

 

反論するも、静かな怒りに叩き潰された。

ポチタも期待しているらしく、バクバクと鼓動の音が激しく主張する。

いよいよ年貢の納め時か。

不安と期待が混じり合う中、士道はふと口を開いた。

 

「こ、こう言う時さ、清潔にしなきゃならない…よな?」

「風呂場行くフリして逃げるのナシね。

あ、なんなら一緒に入っちゃおっか」

 

まずい。逃げ道がない。

ぼたぼたと床に汗が落ちる音すら聞こえそうなほどに、感覚が鋭敏になっていく。

と。布が擦れる音が、士道の鼓膜を揺らした。

 

「いや、あの…。に、二亜…さん?」

「どしたの?風呂、入るんでしょ?

そういうプレイが出来るように、マットも敷いてあるらしいよー」

 

ばっく、ばっく、とポチタが肉を裂いて飛び出そうとするかのように、鼓動が痛みと共に激しくなる。

と。二亜の履いていたであろう、百均で買ったチープなデザインのパンツが、士道の足元に落ちた。

勢いよく席を立とうとする理性を全力で着席させ、士道は絞り出すような声で答える。

 

「…あの、なんていうか、早い気がします」

「えー?…じゃ、本番は上がってからでいいからさ、愛撫でくらいはしてよ。

レクチャーしてあげるしさ」

「……はい?」

 

鎖で理性を抑えつけ、疑問を捻り出す。

「愛撫で」と言う単語がわからないわけでは決してない。

「この自他ともに認めるクソ童貞に、飛ばせるハードルが高すぎないか」という抗議の意味合いで放ったものであった。

 

「実質タダで胸揉ませたんだし、そのくらいはやってもらうよ」

「……はい。わかりました、はい」

 

そんな抗議も虚しく、あっさりと跳ね除けられた。

腹を括るしかあるまい。

士道は二亜の裸体を見ないよう、必死に目を逸らしながら、バスルームへと歩く。

と。洗面台の奥に、ガラス張りになった風呂場が二人を出迎えた。

自宅のものよりも2倍近い大きさを誇るソレに、士道は唾を飲み込む。

今からここに入る。ということは、必然的に服も脱がなければならないわけで。

その結論に達した士道の行動は早かった。

 

「……何してんの?」

「抱いて欲しかったら、脱がせてみろ!」

 

世界一情けない三角座りである。

壁の隅にすっぽりとはまり、完全防御体勢となった士道を前に、二亜はため息を吐く。

 

「実にバカだね、少年は。

私がソレを想定してないと思った?」

 

パチン、と二亜が指を鳴らすと、士道に幾つもの腕が襲いかかる。

幽霊の悪魔:レプリカの能力であろう。

いくつもの爪と剛腕が士道の服を破き、見事にひん剥いてみせた。

 

「きゃあああああっ!?」

 

士道は叫び声を上げ、己の身を抱く。

以前と変わらぬ、生娘のような悲鳴である。

解放されたことにより、起立を抑えつけていたファールカップも床に落ちた。

互いに生まれたままの姿を晒している。

その事実だけで羞恥と興奮が湧き上がり、理性が飛びそうになる。

士道が全力でそれを堪えようとした、次の瞬間だった。

 

「逃がさないからね?」

「ひ、ひっ…、むっ!?」

 

二亜が貪るようなキスをしてきたのは。

縛られた理性が解放され、どこかへと飛んでいく音が聞こえる。

その音を最後に、五河士道は獣へと成り下がった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「うわぁぁあああ…!おにーちゃんの童貞、アラフィフに盗られたぁああ…!!」

「こ、琴里…。その、大丈夫か?」

「わぁああああ…!!」

 

その頃、五河家にて。

胸に泣きついた琴里に、十香はオロオロと困惑を浮かべる。

士道が「二亜との契約を果たさねばならない」と残し、明日には帰ると家を出たのだ。

ソレが何を意味するかわからないほど、琴里はバカではない。

既に確約済みだったが、改めて最愛の兄の初めてを奪われた悔しさが湧き上がり、今に至る…というわけである。

 

「…童貞…、って、な、なんです…、か?」

『大事なものなんじゃないの?

それこそ、結婚指輪みたいな』

「………ふぇ、ふぇええ…!」

「よ、四糸乃まで…」

 

よしのんの言葉にトドメを刺され、さめざめと泣き始める四糸乃。

混沌と化した場に、十香がどうしたものか、と頭を悩ませていると。

冷蔵庫を物色しに行こうと、台所に向かっていた耶倶矢と夕弦が、その光景に足を止めた。

 

「なに、これ?なんで泣いてんの?」

「愕然。黒いリボンの琴里さんがこうも泣いているとは、なにがあったのですか?」

「シドーのドーテイ?とやらが、二亜に取られたのが…」

「ストップ。言わないで。

ソレ、私らにもダメージあるから」

「悲嘆…。出会うのが遅かったことを悔しく思います…」

 

わずか数秒で撃沈した。

揃って床に倒れ込み、うつ伏せになる二人。

止まることを知らない混沌を前に、十香はひたすらに頭を悩ませた。

 

「……そういえば、モ○カーの時間だな」

 

結果。全てが手遅れだと結論づけた十香は、テレビのリモコンを手に取り、阿鼻叫喚の中で幼児向け番組を見始めた。

彼女が初めて現実逃避を覚えた瞬間である。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「……足りない」

 

その頃、陸自の駐屯地にて。

滴る汗を拭い、空になった肺を満たすために息を吸い込む折紙。

その顔には不満が滲み出ており、握る拳からは肌が軋む音が漏れる。

未来の悪魔:レプリカとの契約によって、数秒先の未来を見る能力を得たのはいい。

問題は、それを使う折紙本人の能力が、能力に見合わぬほどに低いことにあった。

例え未来が見えても、ソレに対応し切れるかは本人次第なのだ。

 

────未来は『見えるだけ』。対応できるかは保証外だよ。

 

それは先日のバンダースナッチと呼ばれる人形の襲撃で、嫌というほど思い知った。

未来の悪魔:レプリカの嘲笑と共に吐き捨てられた言葉が、耳にこびりついて離れない。

自身に待ち受けるという、最悪の結末。

ソレに抗うためにも、折紙は更なる力を渇望していた。

と。その肩に、冷たい感触が襲う。

ぴくっ、と肩を振るわせ、そちらを向くと、ロングコートを羽織った真那がいた。

 

「や。久しぶりですね、鳶一一曹」

「崇宮真那…!」

 

DEM、及びに陸自に辞表を突きつけ、失踪したはずの少女がそこに居る。

折紙は驚愕に目を剥くも、侵入者に応対すべく、肩に置かれた真那の手を握ろうとした。

が。折紙の手に真那の手が収まることはなく、真那はふざけた調子で距離を取る。

 

「っとと…。別に、元の職場とドンパチしに来たわけじゃねーですよ。

鳶一一曹に警告しに来ただけです」

「警告…?」

「ええ。今頃、ラブホで兄様の童貞を美味しくいただいてる二亜さんに頼まれて」

「………っ」

 

ギリっ、と折紙の歯が鳴った。

と。余計なことを言ってしまった、とばかりに表情を変え、真那は深いため息を吐く。

 

「あー…。すまねーです。

心臓が変わったせいか、性格が悪化しましてね」

「…それは、どういう意味?」

「私の前の心臓ね、DEMに好き勝手されたせいでダメになっちまったんです。

それも、生きてるのが不思議なくらいに。

だから、一回心臓が無くなった兄様にあやかって、『刀の悪魔:レプリカ』の心臓を移植してもらったんですよ」

 

知った時は、本当に肝が冷えた。

手の施しようがないと告げられた時は、天地がひっくり返ったような気すらした。

思い出したくもない絶望を想起し、真那は折紙に詰め寄る。

 

「ねぇ、分かってます?

あのクソ野郎に目ェつけられたアンタにとっても、他人事じゃねーんですよ」

「…力が手に入るなら、どんな地獄だって選ぶつもり」

「……言うと思いました。

想定通り、無駄に終わりましたか」

 

折紙の返答に肩をすくめ、踵を返す真那。

真那は訝しげに眉を顰める折紙に、視線だけを向け、笑みを浮かべる。

 

「アンタみたいなタイプは、よっぽどのことがねーと折れませんからね。

最低限の仕事はこなしたんで帰ります」

「…逃すと思う?」

「逃げる算段くらいは立ててますって」

 

真那は言うと、軽装とは言え、顕現装置を展開する折紙に笑みを浮かべる。

瞬間。真那の姿を、壁から突き出た『何か』が喰らった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「………あの、ごめんなさい」

「…むり……。立てない…」

 

二亜の卒業式は惨憺たる有様であった。

服を着ることすら叶わぬ疲労感に負け、二亜はベッドに体を沈める。

無意識とはいえ、無茶をさせてしまった士道が平謝りしていると、上機嫌のポチタが声を張り上げた。

 

『よし!次はトーカだな!』

「お前節操なしにも程があるわ!!」

 

そんな叫びが、欲望に満ちた部屋に響いた。




五河士道/精霊の悪魔…卒業おめでとう。しかし、染みついたクソ童貞根性が治るわけもなく、未だに童貞のフリをする。これぞまさに「偽童貞モンスター」。卒業したくせに童貞を名乗るクソ野郎である。

偽ポチタ…ようやく貞操を捨てられたので大歓喜。これで他の女にも手を出せるぜ、とか思ってるクソ野郎。それはそれとして、二亜との夜に大満足。

本条二亜…「士道の童貞を奪った女」という称号にご満悦。と同時に、気絶するレベルで激しく愛されたので、暫く起き上がれなかった。また、三日くらいは腰を労ってひょこひょこと歩く羽目になったという。敗因は万年物のクソ童貞が抑えてきた性欲を甘く見過ぎたこと。

十香を除く精霊たち…暫くの間は大号泣。士道が帰宅して数日は、熱烈な「抱いて」というアプローチを送るようになった。

夜刀神十香…性知識が全くないため、皆がなぜ泣いてるのかわからず、匙を全力で放り投げた。好きな番組は「モ○カー」。

R-18版は気が向いたら書こうかな。書いたことねーし、需要あるか知らんけど。ここの二亜さん、姫野先輩みたいな激重クソデカ感情を抱いているから、その感情の爆発で文字数食いそうな気がする。エロ小説とは言えん何かになりそう。
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