偽ポチタ「助けてやるから、女のおっぱいを揉め」士道「ふぁっ!?」   作:鳩胸な鴨

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なんか書きたくなったから書いた。「こんなことしてるから未完シリーズ増えんだよオラ。次のコンクール作品も一切書けてねぇくせにこんなことしてる場合じゃねぇだろボケナス」って自分でも思ってる。思えば思うほど別作品が生まれる。不思議。

最初の展開と最後のセリフを書きたかっただけ。


クソ童貞、地獄を語る

「……で。結局バレちゃったわけだ。

ひとつもーらいっ」

「ちょっとは待て」

 

焼きたてのベーコンに手を伸ばそうとする女性の手を叩き、士道はため息を吐く。

昨日は目まぐるしい1日だった。

世界中に壊滅的な被害を出してきた空間震の真実。こことは違う、別の世界からやってきた災害「精霊」。世界を殺す彼女らを殺すための組織「AST」。ASTとは違う方向で精霊への対処を試みる「ラタトスク」。

五年前に一度関わっているのだ。それらの事実はまだ受け止めることが出来た。

受け止めることが出来なかったのは、妹の猛烈な反抗期くらいなものだ。

 

『…あの女、助けてやったのに抱くどころか胸も触らせなかった』

「お前、昨日から同じことばっか言うなよ。壊れたラジカセかよ」

 

五年前から自分の中に居座っている心臓…ポチタに向けて、士道は呆れたため息を吐く。

思考回路が根こそぎ下半身に集中しているのだろうか。

そんなことを思いつつ、士道は焦げ目のついた厚切りのベーコンを皿に乗せた。

 

『シドー。目玉焼きは半熟で頼む』

「はいはい。どっちもパンに乗せるか?」

『乗せるんだったらソースも作れ。

ベースはウスターだ』

「お前、贅沢だよな」

 

献立に悩まなくなったのは利点か。

そんなことを思いつつ、士道はインスタントコーヒーを淹れる。

トレイに乗せて運んでいくと、いつの間にやら椅子に腰掛けていた二亜がへらへらと笑みを浮かべた。

 

「疲れが残ってるとこ悪いねー、少年」

「俺は別にいいけど…。

琴里には悪いことしちゃったな」

「朝食は作って置いてきたんでしょ?なら、別にいいんじゃない?中学生で秘密組織の要職に就いてんだしさ。

それに、士道くんにも整理する時間は必要だと思うけどねー」

 

言うと、二亜は軽く手を合わせ、「いただきまーす」とトーストに目玉焼き、ベーコン、ソースを乗せていく。

士道は二亜の言葉に眉を顰め、首を傾げた。

 

「ポチタと二亜のせいで大概のファンタジーに耐性ついたし、別に必要ないんだが…」

「そっちじゃなくてさ。

琴里ちゃんの猛烈な反抗期の接し方がわからなくて、戸惑ってるんじゃないかなって。

こっちに逃げてきたってことは、そーゆーことっしょ?」

「うぐっ…」

「少年のヘタレ具合は身をもって知ってるからねー」

 

効果は抜群の上に急所に当たった。

男として浅からぬ傷を負った士道は、顔をシワシワにしながら項垂れる。

 

「ガッツくポチタの方が珍しいんだよ…」

『何を言う。お前が男として奥手が過ぎるのは事実だろう。

お前の学友であるトノマチとかいうヤツは、既に貞操を捨てているぞ』

「はっ!?」

 

殿町宏人。女に縁がなさそうな悪友の名が衝撃の事実と共に飛び出たことにより、士道は思わず声を上げる。

愕然と口を開けた士道に、ポチタは容赦なく畳み掛けた。

 

『お前の目がある場所では画面の奥の女に夢中だが、現実の女もいるみたいだぞ。

あんなちゃらんぽらんでも女を愛す度量があると言うのに、お前ときたら…』

「ちょ、ちょっ…と、待て。え?嘘だろ?」

『嘘だと思うなら聞いてみろ。お前が愕然とするような惚気話が聞けるだろうな』

「……」

 

負けた。絵に描いたように「同性からしか好かれない男」に大敗を喫した。

表情筋がぴっしりと固まった気がする。

士道は無表情のまま、黙々とトーストを齧った。

 

「ポチタがなんか言ったの?」

「……殿町に負けた」

「…………ん?どゆこと?」

「先越された…」

「…君にも都合のいい女がここにいるんだし、ヤろうと思えばデキるっしょ?」

 

虚無に満ちた表情を浮かべる士道に、二亜が笑みを浮かべ、シャツの胸元を引っ張る。

が。士道は凄まじい速度で目を逸らし、迫る二亜を拒んだ。

 

「卑怯な気がして嫌だ」

「…あのね、私は君に惚れてんの。

じゃなきゃ封印できてないっしょ?

そんなんだからポチタどころか、妹ちゃんにも『ヘタレ』って言われんでしょうが」

「やめてくれ。その言葉は俺に効く」

 

自覚はある。据え膳食わぬは男の恥とは言うが、恥を被ってでも女を抱かぬ理由がある。

士道には確信があった。

迸るリビドーを解放するために理性のタガを外せばどうなるか。

自分はとにかく、女性は確実に無事では済まないだろう。

何せ、クソ童貞が万年溜め込んだ性欲が、まんま士道の体に反映されてるのだ。

その凄まじさは身をもって体感した。己を慰めるだけで夜を明かしたことだってある。

そんな不安を、ただでさえ契約の履行で面倒をかけている二亜に背負わせたくない。

自分は本能のままに生きるクソ童貞とは違うのだ。

 

『…初めてだから上手くできんのが怖いだけだろ』

「うぐっ」

『いくら建前を並べても無駄だ。

お前は「私の体」なんだぞ?

私からすれば、お前の建前はただ「女を抱くのが怖い」と言ってるようにしか聞こえん』

 

…理由の4割はポチタの言った通りである。

士道は「悪かったな」とこぼし、トーストの最後の一口を放った。

 

「その顔、どうせ『初めてだから上手くできないのが怖いんじゃないか』って言われたんでしょ?」

「……俺をいじめて楽しいか、お前ら…」

「揶揄い甲斐はあるね!」

『いつまで経っても女を抱かんのが悪い。

あのトノマチも貞操を捨てたと言うのに、お前はいつになったら…』

「あー!あぁー!!あぁああーーッ!!

なぁんにも聞こえませぇええーーーん!!」

 

必死になって情報をシャットアウトする士道だが、悲しきかな。

耳を塞いでも内部から響く声に抗う術などあるはずもない。

その様子を見ていた二亜は、呆れを込めたため息を吐いた。

 

「あーもう、落ち着きなって。

今日の分、契約更新してあげるからさ」

「……脱がなくていいからな?」

「の割には、期待してる目じゃん」

「………」

 

二亜の指摘に、何とも言えない表情を浮かべる士道。

「じゃ、ご期待に応えよっかなー」と、二亜は着潰してヨレヨレになったシャツに手をかけた。

布が擦れる音と、呼吸音だけが響く。

これは仕方のないことなのだ。

士道は暴れ出そうとする本能を必死に抑え、震えながらもその果実に手を伸ばした。

 

五河士道とポチタの契約が五年も続いているのは、二亜の献身があってこそであった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「ふんぬっ!!」

「ぐほぉっ!?」

 

時は進み、昼休み。

呼び出された士道の脇腹に、妹…琴里の一撃が突き刺さった。

その場に崩れ落ちる士道の尻をげしげしと蹴りながら、琴里は怒気を放つ。

 

「…士道。今朝、私をほっぽって女の乳揉んでたらしいじゃない」

「こ、これには深いワケが…」

「問答無用!!」

「うぐぉっ!?」

 

ばしぃん、と肌から乾いた音が響き、臀部に痛みが迸る。

坐骨が砕けそうだ。

ヒリヒリと痛む尻をさすりながら、士道はゆっくりと起き上がる。

 

「だから、仕方ない理由があるんだって…」

「朝っぱらから女の家に行って飯作って胸を揉むことのどこに『仕方ない』で済ませられる理由があんのよ!?」

 

怒りが収まらないのか、はたまた発散した怒りが再燃したのか、士道に詰め寄る琴里。

士道はため息を吐くと、胸元へ視線を向けた。

 

「…ポチタ、お前が説明しろ」

『…私については話してなかったのか?』

「琴里が知ってるのは『俺がチェンソーマンだ』ってことくらいだ」

『……はぁ。わかった』

 

ポチタがため息を吐くと、士道の意識が薄れていく。

薄れいく、と言う表現は違う。自分という体の奥に引っ込むような感覚である。

まるで夢の世界に来たかのように、士道の認識している景色にモヤがかかった。

 

「私との契約だからな。

破れば、シドーに代償が課せられる」

「し、士道…?」

「違う。私はお前たちが《チェンソーマン》と呼んでいるモノだ」

 

琴里と奥に座る女性…村雨令音の表情が険しいものへと変わる。

しかし、士道と入れ替わったポチタは品のない笑みを浮かべ、琴里に迫った。

 

「コトリ、お前は覚えてるんじゃないか?

『ポチタ』という犬のことを」

「ポチタ…って、士道が昔拾ってきて、すぐに死んじゃった…」

「そう。ソレが私だ。

この紐に見覚えはあるだろう?」

 

言って、ポチタは胸元をはだけさせ、心臓から伸びた紐…スターターをこれ見よがしに見せる。

琴里は信じられないのか、目を丸くしてスターターを見つめた。

 

「そもそもの話、五河士道という人間は、五年前に既に死んでいる」

 

ひゅっ、と、琴里の喉から空気を飲む音が聞こえた。

そんな馬鹿な、と言いたげな2人に、ポチタはあの日の出来事を語りはじめた。

5年前、散歩の途中で二亜が襲われた現場に居合わせ、口封じに心臓を貫かれ、殺されたこと。

ポチタと契約を交わすことで、ポチタが士道の心臓として彼を生かしていること。

それによって、士道がチェンソーマンの力を得たこと。

全てを聴き終えた琴里は放心しているのか、呆然とした表情を浮かべていた。

一方で令音はあくまで冷静に、ポチタに問いかけた。

 

「……つまり、シンは君と『女の胸を毎日揉む、ムラムラしたら自慰をする、いつかは女を抱く』という契約を交わして、生き永らえているわけかい?」

「お前の言う『シン』とやらがシドーを指しているのなら、そうだ」

「……サイッテーな契約ね」

 

クソ童貞の願望ハッピーセットな契約内容に、琴里が顔を顰め、苦言を呈する。

と。ポチタはソレに対し、深いため息をついた。

 

「これでも破格の条件にしてやったんだ。

本来なら、シドーの人格を消して漸くトントンなんだぞ」

「…じゃ、ペナルティ外しなさいよ」

「ソレは無理だな。

契約違反の代償は私の意志ではなく、『ルール』だ。

下手をすれば、死を遥かに凌駕する辛苦を味わうことになる。

無論、それは私も例外ではない」

 

見下げ果てたクソ童貞とはいえ、ポチタは本来、誰とも契約を結ぶつもりはなかった。

士道が死にかけたのも偶然だし、あの場で見捨てる判断をしても、罪悪感など湧かない程度には悪魔に染まりきっていた。

しかし、気に入った人間がくだらないことで死ぬのは、気に入らなかった。

無論、女を抱きたいと言う気持ちもあった。

だが、ソレを抜きにしても士道を気に入ったからこそ、ポチタは破格とも呼べる条件で契約を交わしたのだ。

…ヘタレである士道にとって、ハードルが高すぎる契約ではあったが。

 

「……チェンソーマン…、いや、ポチタ。

そもそもの話、君は何者なんだ?

精霊とは違う種族なのか?」

「違う。私は地獄から追い出された悪魔だ」

「悪魔ぁ?」

 

令音の問いに対して飛び出た胡散臭い文字列に、琴里が眉を顰める。

ポチタはソレを気にせず、言葉を続けた。

 

「お前たち人間の恐れが『悪魔』という存在となって生まれる世界が『地獄』だ。

その事象への恐れが強ければ強いほど、生まれる悪魔は強大になる。

そして、その恐れがなくならない限り、悪魔は復活し続ける」

「…どんなのが居るんだ?」

「私が殺したので言うと、噴火、刀、銃、核兵器…。

…あとは忘れた。いちいち覚えてない」

 

約1名、忘れたい悪魔も居るが。

あの面倒なのに絡まれなくなったのもこちらにきた利点か、としみじみ思っていると、琴里が首を傾げた。

 

「…サタンとか、ルシファーとか、そういうのじゃないのね?」

「『悪魔』は便宜上の名称だ。お前らの言う、神話とやらとは違う。

…まぁ、あらゆる悪魔は、事象や物体に対する恐れを元に地獄で生まれ続けるからな。そう言うのも居るかもしれん。

今頃は魔術師の悪魔、空間震の悪魔、精霊の悪魔あたりでも生まれてるんじゃないか?」

 

前者二つは興味がないが、最後の悪魔はきっと淡麗な顔、揉み応えのある乳、安産型の尻をした女の姿をしていることだろう。

それを見ることが叶わないのは口惜しいが、そのために地獄に戻るかと問われれば、否であった。

 

「そんな場所だからな。秩序もなければ娯楽もない。娯楽といえば、同族同士で殺し合うことくらいだ。

私は殺しすぎて、悪魔のほぼ全員に結託されて追い出されるまでに至ったが」

 

吐き捨てると、ポチタは息を吸い込んだ。

 

「何より!抱く女がいない!!

居る女は精々、変な講釈を垂れて迫ってくるイカれポンチくらい!!

よしんば抱くまで至ったとしても、股にチ○ポもなければマ○コもない!!ないものを弄れないからオ○ニーも出来ない!!

そんな場所でどうやって性欲を発散しろと言うんだ死ねッ!!」

『俺の体で何言ってんだ!?』

「士道の体で何叫んでんのよ!?」

 

とんでもないことを叫んだポチタの脳天に、琴里のスリッパが突き刺さった。




殿町宏人…原作でちゃんと彼女がいたことが終盤で明かされたので、序盤から付き合ってることにした。実は作者である私にこの話を書くことを決意させたMVP。先越されてショックを受ける士道が見たかった。おめでとう、脱童貞。画面の奥だけじゃなく、軸のある彼女も大事にしろよ。

イカれポンチ…MVPその2。さーて、どこのチェンソーマン厄介オタクでしょうか?

最後のセリフ、伏せ字だからゆるちて…。
おまけもあるからゆるちて…。


おまけ…書きそうな展開
1.・狂三の初戦で夢バトル。散々言われた偽ポチタがブチギレて「じゃあ夢バトルしようぜ夢バトル!負けたらお前の夢、童貞捨てること以下な!!」で、十香の一途さも、折紙の復讐も、狂三の覚悟も、全部まとめて同レベルに落とすのが見えるのは私だけではないはず。チェンソーマンとクロスするってことはそういうことだ。

2・???との会話で士道が「お前の作る世界に、童貞の妄想みたいななろう系クソアニメはあるか?」と問いかける。士道は懐が半端なく広いから、なんやかんやで偽ポチタと仲良くなってくと思う。その過程で偽ポチタのことを知っていって吐いてほしいセリフ。

3・十香が無知すぎて、抱っこすることで抱いたって屁理屈で乗り越えようとする士道。直前に新たな契約で「明日中に抱け」とか言われたけど、口先八丁で乗り越えようとするヘタレっぷり。結局通らなくて覚悟を決め、保健体育の授業を始める。

4・DEM代表取締役を被害者にした最強の大会。あの優男風鬼畜野郎がダラダラ冷や汗流して「ヤァアアアアア」とか叫び散らかすのを見てみたいのは多分私だけじゃない。参加者は士道と???で。

書かないけど思いついた企画
1・偽ポチタチェンソーマンを追ってマキマさん登場。やめてくれ。絶対にメインキャラが死ぬ。士道がめちゃくちゃ病む。

2・殿町サムライソード。味方なので士道の心労はかなり減る。この場合、彼を被害者にした最強の大会が開かれることはない。社長を被害者にした最強の大会に参加者が増える。

3・弱ってた真那が銃の魔人になる。DEMにヤバいくらい損害出すし、ラタトスクもただでは済まない。もちろんピンポン連打もする。この場合も士道のメンタルは死ぬ。

4・R-18版。だいたい女の子が気絶するレベルの激しいヤツ。愛はあるけど欲が強すぎる。1人目十香、2人目二亜は確定。
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