偽ポチタ「助けてやるから、女のおっぱいを揉め」士道「ふぁっ!?」   作:鳩胸な鴨

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永遠の悪魔:レプリカの活躍をご覧あれ。


悪魔たち、暴れる

「な、なん…っ!?」

「二亜…!?」

 

摩天楼が捲れるように崩れ、見覚えのある異形…銃の悪魔:レプリカが顔を出す。

ポチタの血を与えたことで、本物と遜色のない力を持ったソレが放つ威圧は、全身を射抜くかの如く鋭い。

ただ動くだけで街が崩壊する様を前に、美九が声を張り上げる。

 

「な、なんなんですか、あれ!?」

「二亜が作った悪魔だ!

何がどうなってあんな化け物使ってるんだ、アイツ!?」

『私が許可した。安心しろ。

永遠の悪魔:レプリカがこの場にいる人間共に能力を施してる。痛覚は消せんがな』

「ヤバいのは変わらねぇよ!?」

『知るか。私もコイツらは嫌いなんだ。

いちいち殺すとお前がうるさいから、こんな軽い嫌がらせ程度で済ましたんだろ。

懐の深さを褒めてほしいくらいだ』

「嫌がらせのレベル超えてるだろ!?」

「ちょっと!こっちには『ポチタ』って犬の声は聞こえないんですよ!?

何言ってるかきちんと言ってください!」

「…あの。私、必要だったんですの?

いや、少ない労力で寿命を増やせたのは感謝しますが…」

「う、うるさい…」

 

ギャーギャーと言い合う士道らに辟易の表情を浮かべつつ、浮かぶ瓦礫を伝い、空を舞う鮫の悪魔:レプリカ。

と。その首目掛け、光の軌跡が迫り来る。

いち早くソレを視認した狂三は、手に銃を顕現させ、銃口を向ける。

しかし、その軌跡目掛け、銃の悪魔:レプリカから破壊の一閃が放たれた。

派手に吹き飛んでいくソレ…エレンから、視線を眼前にまで迫った銃の悪魔:レプリカに向けると、その肩に乗った二亜が声を張った。

 

「お、しょうねーん!美九ちゃんの説得はなんとかできたっぽいねー!」

「母様!母様!俺も頑張った!」

「お、いい子だねぇー!

あとでジャーキーあげるー!」

「やったー!!」

 

なんとも気の抜ける会話である。

三人が唖然とそちらを見つめていると、二亜の心臓目掛け、一閃が迫る。

二亜はソレを天使で受け止め、左人差し指でDEMが所有しているであろうビルを指す。

 

「このクソアマどもはこの子で…、いや。

この子と折紙ちゃんで抑えとくから、十香ちゃん助けてきなよ」

「折紙…!?折紙もいるのか!?」

 

予想外の名前に士道が愕然とするのも束の間、突如として顕現した狐の悪魔:レプリカの顎がエレンに襲いかかった。

 

「狐を貸してるの。

昼間の襲撃の後に事情説明したら、ASTが押収した装備持ち出してくれたっぽくてね。

…って、細かい説明は後々!

ちゃっちゃと十香ちゃんを助けよっか!」

「……恩に着る!」

 

士道はそれだけ言うと、胸元のスターターに手を伸ばした。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「ギャハハハハッ!!殺しても死なんとは、シドーの小言が少なくていいな!!」

『俺は納得してないからな!?』

「どうせ『永遠』の能力で生き返るんだ!

今のうちに好きなだけ切り刻んでやる!!」

 

血と臓物に塗れながら、チェンソーを振るい、向かってくるDEMの尖兵を裁断していくチェンソーマン。

「どうせ生き返るから」と言う大義名分を与えたのは失敗だったのでは、と思いつつ、士道は呆れを吐き出す。

その背後には、美九と狂三が顔を顰め、血溜まりを走っていた。

 

「……ホントに悪魔なんですねぇ」

「相変わらず、容赦がないですわ」

 

下品な笑い声を上げ、肉を裂くチェンソーマンの背に、複雑な感情を投げる二人。

と。一度死んでも尚、心が折れていなかったのか、彼女らの背に幾つかの光弾が迫る。

しかし、ソレを看破していたポチタは、チェーンを伸ばし、二人の体を引き寄せた。

 

「お前、いいな。殺し甲斐がある」

 

ヴヴヴ、と激しく刃を唸らせ、光弾をあっさりと切り裂くチェンソーマン。

ソレに恐怖したか、全身を装甲に包んだ男の喉から、情けない悲鳴が飛び出す。

チェンソーマンはチェーンを伸ばして拘束すると、そのまま男を引き寄せ、踏みつけた。

 

「ちょうど良かった。

トーカの居場所を吐くまで殺してやる」

「だ、誰が吐くか…!」

「いい具合に生意気だな!

安心しろ!喉は傷つけんから存分に話してくれて構わんぞ!!」

「ひ、ひ、ひぎっ、ぎゃああああ!?」

 

名実共に悪魔である。

血飛沫に塗れながら尋問とも呼べない暴虐を繰り広げるポチタを前に、美九と狂三はなんとも言えない表情を浮かべた。

 

「……私、相当甘い対応されてたんですね」

「彼、気に入った人間には甘いんですのよ。

逆鱗に触れた私に、その甘さが向けられることはないでしょうが」

 

狂三は言うと、怯えた目でこちらを監視する兵士たちを見やる。

忠誠心はそこまで高くないらしい。

ポチタもそれには気づいているようで、横目で彼らを睨め付けていた。

 

「そこの方々。逃げるならさっさとした方がいいですわよ。

『こう』はなりたくないでしょう?」

 

喉が擦り切れんばかりに絶叫する男を指差し、悪魔のように笑んでみせる狂三。

彼らは狂三への畏怖も合わさって恐怖が限界に達したのか、武器を投げ捨て、よたよたと覚束ない足取りで逃げ始める。

狂三はそれに肩を竦めると、尋問を終えたポチタに目を向けた。

 

「で、わかったんですの?」

「わかりはしたが、やはり下っ端だな。

作戦の詳細は知らんらしい。

ただ、私が相手なのはわかってるみたいだ。敵が何かを仕掛けているのは確実。

…喜べ。お前が見たかったモノが見れるぞ」

 

ポチタは笑うと、心臓に目を向けた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「随意領域は後どれくらい保つ!?」

「5分もないかと…!

『銃の悪魔:レプリカ』があまりにも強すぎます!!」

「まさか、こんな形で協力しろって言ってくるなんてね…!」

 

その頃。フラクシナスにて、気を抜くことが許されない修羅場が広がっていた。

それこそ、琴里の頭を悩ませる変態副艦長…神無月恭平の口から軽口が飛ばない程に。

現在、彼らはフラクシナスに搭載された顕現装置をもって、地下のシェルターを銃の悪魔:レプリカから保護していた。

空間震など比較にならない損害を与えるであろう存在を前に、琴里は唾を飲む。

 

「こんなの、ただの個人が使っていい力じゃない…!!」

 

琴里も顕現装置に霊力を注ぎ込むという荒技でシェルターの防衛に協力しており、身体中を襲う脱力感と格闘していた。

ポチタの血を与えるだけで、チェンソーマンの四肢を飛ばすのが精一杯だった悪魔が、ここまで強くなるのか。

二亜の能力の恐ろしさを前に、琴里は冷や汗が止まらなかった。

 

「こんな力で何をするつもりなの…?」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「待っていたよ、《チェンソーマン》。

それに〈ナイトメア〉…、〈ディーヴァ〉。

お初にお目にかかる。DEMインダストリー業務執行取締役、アイザック・ウェストコットだ」

 

士道らを出迎えたのは、なんとも胡散臭い笑みを浮かべた優男だった。

生物的な嫌悪すら感じさせるその顔を前に、士道は青筋を浮かべ、霊力を噴き出す。

五年前、二亜を殺し、自分が悪魔になるキッカケを作ったクソ野郎が目の前にいる。

その事実だけで、身体中から噴き出しそうな程に怒りが湧き上がってくる。

作り変わろうとする体をなんとか抑え、士道はらしからぬ悪態を吐いた。

 

「ようやっと会えたな、クソ野郎。

キンタマ出せ。蹴り潰してやる」

「おやおや。プリンセスを助けにきたナイトにしては、随分と下品だね」

「お前相手に品なんざ要らねぇよ」

 

士道が一歩前に出ると共に、ウェストコットの顔が怪訝に歪んだ。

舌戦を繰り広げる気満々だった士道もまた、その様子に眉を顰めた。

 

「……君は、何者だ?」

「五河士道。お前らが《チェンソーマン》って呼ぶ、ただの人間だよ」

 

お前のような人間がいるか。

狂三はそうツッコミそうになったものの、今の士道から溢れ出す霊力から口をつぐむ。

相当怒っているのだろう。

士道の唇から覗く歯は、チェンソーマンのものと遜色ないほどに鋭くなっていた。

対するウェストコットはと言うと、士道の名前を反芻し、くっ、くっ、と喉を鳴らした。

 

「滑稽じゃないか…!

結局、全ては『あの女』の掌の上だったというわけだ…!」

「何をごちゃごちゃ言って…」

「シドー!近づくな!!」

 

いつの間にやら、目覚めていた十香の叫び声がガラス越しに響く。

ソレによって何事かを察した士道は、美九と狂三の体を奥へと押し飛ばす。

瞬間。幾重にも重なった爆炎が、士道の身を焦がし、抉った。

 

「士道さん…!?」

「な、なんで…!?」

 

爆煙が霧散すると、四肢どころか腹部すら失った士道の残骸が転がっているのが見えた。

どう考えても死んでいる。

だと言うのに、その瞳には光が宿り、真っ直ぐにウェストコットを睨め付けていた。

 

「すまないね、イツカシドウ。

私としても《チェンソーマン》の力は魅力的なんだ。

君の心臓は有用に使ってあげよう」

「や、やめろ…!シドーに近づくな!!やめろ、やめろ!やめてくれ!

頼む、頼むから…!私から、シドーを奪わないでくれ…!」

 

喉が焼け爛れ、悪態を吐くことすら出来ない士道を前に、十香が叫ぶ。

このままでは士道が死んでしまう。

ポチタのように、士道を死の淵から救う力は、自分にはない。

士道を救う力が欲しい。ポチタのように、あらゆる事象を容易く切り裂くような力が。

天地がひっくり返るような絶望を前に、十香は咆哮し、力を求めた。

 

「……十香、ごめんな…。

『助けて、チェンソーマン』…!!」

 

と。咆哮に隠れるように、そんな士道の掠れた声が響く。

間に合わなかったものは仕方ない。

今は、この男に何もさせないのが先決だ。

士道が不敵な笑みを浮かべると共に、激しい唸り声が部屋に響いた。

 

「ギャアーハッハハハハッ!!」

「っ!?!?」

 

そんな嘲りと共に、ウェストコットの腕が見るも無惨に裁断される。

激痛が走る腕を抑え、ウェストコットは愕然とした瞳で地面から飛び出た異形を見た。

全身を包み込む黒の装甲。突き出たはらわたをマフラーのように巻き、チェンソーが伸びる四つの腕を構えた怪物。

これこそ、本来のチェンソーマン。

地獄を阿鼻叫喚の渦に叩き落とした絶対強者が、人間に向けて殺気を放った。

 

「グッドアフタヌーン!百回死ね!!」

 

下品な笑い混じりにチェンソーを唸らせ、ウェストコットの体を裁断していくチェンソーマン。

ぼたぼたと落ちる血液を飲み、回復した士道が立ち上がり、二亜が施した永遠の悪魔の能力で再生するウェストコットを見下す。

 

「で?誰を有用に使うって?」

「声帯と肺は傷つけないでやる。

存分にほえろ、ゴミ」

 

以前、狂三に使った戦法である。

予め士道はポチタを心臓から引き抜き、二手に分かれていたのだ。

ザザザ、と凄まじい勢いで切り裂かれているというのに、ウェストコットは笑みを崩さず、笑い声を上げる。

 

「……く、くく、くくく…!!

素晴らしい力だ、チェンソーマン!!

是非、我がものとしたい…!!」

「ギャハハハハ!雑魚が何か吠えてるな!

小さくて全ッ然聞こえんぞ!」

「君も、その力を持て余してるんだろう?

私と共に来てくれないか?私と共に世界を覆そうではないか!!」

「バーカ!ツラのいい女を殺すようなクソ野郎につく男がいるか!」

「女が欲しいのか!?

なら、いくらでも用意しよう!」

「お前の用意したモノなどいらん!

私はシドーが大好きで!それを殺そうとしたお前が宇宙で一番大ッ嫌いなんだよ!!」

 

殺しても殺しても折れない精神は、見上げたものなのだろうか。

あまりに容赦ない蹂躙を前に、士道が表情を引き攣らせていると。

突如として襲いかかってきた一撃を前に、その軌道上にいた美九へと駆けた。

 

「美九、伏せろ!!」

「はぇ…?」

 

急なことに反応できず、美九は士道の方を見やる。

と。自分の首目掛け、横薙ぎに放たれた斬撃が迫るのが見えた。

天使を出す暇もない。美九は咄嗟に目を瞑り、恐怖から目を逸らす。

数秒、もしくは数分だろうか。

いつまでも来ない衝撃を怪訝に思い、美九はゆっくりと目を開く。

 

「いっ…、てぇええ…!!」

 

そこには、腹が裂かれ、落ちた臓物の中に倒れ伏す士道がいた。

どう見ても痛いで済まない傷を堪え、治癒の炎を放つ。

軈て傷口が塞がると、士道は美九に目を向けた。

 

「無事か!?」

「……は、はい…」

「ならよし!狂三、美九は任せた!」

「はいはい、わかりましたわよ」

 

狂三に連れられ、離れていく美九から、士道は視線を斬撃の発生源へと向ける。

 

「貴様ら、煩わしいぞ」

 

そこには、以前と様子が違う十香が、自らを見下ろしていた。




永遠の悪魔:レプリカ…めちゃくちゃ頑張りました。「心がへし折れた状態で残りの人生生きて欲しい」という二亜の要望に頑張って応えた。モノホンよりメンタル弱いし良識あるから、「殺したくないとかいう慈悲ない時点で相当ヤベェよ…」とドン引きしてる。

銃の悪魔:レプリカ…バチクソ強い。下手すりゃシェルターも崩壊させるので、フラクシナスの全員で守ってもらってる。尚、二亜にはまだ切り札がたくさんある模様。

アイザック・ウェストコット…この作品で最も敵に回しちゃいけない奴らを敵に回した男。数百回は殺されたが、全然心は折れてない模様。お前、デビルハンターに向いてるよ。

偽ポチタ…ウェストコット微塵切りを楽しんでたが、反転十香の暴走で手を止める。その隙をつかれ、エレンが割って入ったことで不完全燃焼。今度はキンタマ蹴り倒してやると画策中。

五河士道/精霊の悪魔…コイツいつも死にかけてるな。
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