偽ポチタ「助けてやるから、女のおっぱいを揉め」士道「ふぁっ!?」   作:鳩胸な鴨

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七罪ちゃんの面倒臭いレベルって、支配の悪魔に比べたらミジンコレベルなんだよなぁ…。


七罪、瀕死になる。

「くそっ、七罪のヤツ…!

的確に嫌なところばかり突いてくるな…!」

『飢餓のヤツに似てるな。陰湿だ。

どうひん曲がれば、あの陰険悪魔と同じような作戦を取るんだ?』

「大半お前のせいですが!?」

 

七罪を追いかける最中、やらかしにやらかしまくったくせに自分を棚に上げるポチタに、士道が怒鳴り声を上げる。

というのも、七罪の本来の姿を暴いた次の日、封印済みの精霊、および折紙が幼児化してしまう事件が発生したのである。

結果。幼稚園に負けず劣らずの喧騒に包まれながら、士道は1日を過ごす羽目になった。

途中、七罪の悪戯として完全に違法な性風俗店を模した空間が繰り広げられたり、幼児化した皆が際どい格好になったりと多くのハプニングがあったが、なんとか口先八丁で乗り切ったのだ。

大体の原因であるにも関わらず、これっぽっちも反省した素振りを見せないポチタに、士道は呆れたため息を吐き出す。

 

「普通に口説いた方が早かったんじゃ…」

『変にあの姿を肯定してみろ。

余計に拗らせて面倒なことになるぞ』

「そ、そういうもんか…?」

『コンプレックスを持つほど利口ではないアッパラパーのお前にはわからん話か』

 

ポチタの皮肉に、士道は反論することもできず、乾いた笑みを浮かべるほかなかった。

と。突如として突風が士道の体を襲った。

 

「…っ、なんだ?」

『代われ。この気配、クソアマだ』

 

ヴゥン、とエンジンを蒸し、チェンソーマンへと変身する士道。

意識を入れ替えたポチタは、建造物に刃を立てないように飛び上がり、突風の発生源へと急ぐ。

と、建物を登っている最中、その牙に自分のものではない血液が付着した。

 

「……ナツミのものだ。ここまで落ちてくるとは、かなり出血してるな」

『なっ…、おい急げ!!』

「わかってる。鮫、足になれ」

「はァい!!」

 

ずっ、と壁面から、鮫の悪魔:レプリカのヒレが突き出す。

ポチタはソレにチェーンをかけると、人差し指でトン、トン、と叩いた。

瞬間。骨が軋むほどのGがかかり、鮫の悪魔:レプリカが笑い声を上げながら建物を駆け上がっていった。

 

「キャハハハハーハッハハハハァ!!」

「その速度のまま飛び出せ!」

 

ポチタは士道の体に蓄積した霊力を用い、風を巻き起こす。

ガァンっ、と音を立ててフェンスが天高く打ち上げられると共に、鮫の悪魔:レプリカの体が天高く舞い上がった。

 

「は、は?え、ぇ…?鮫…!?」

「《チェンソーマン》…!?」

 

『空飛ぶ鮫』という常識では考えられない光景を前に、胸元からとめどなく血を流す七罪や、ソレを取り囲んだ魔術師たちの目が丸くなる。

ポチタはエレンを指さすと、落下していく鮫の悪魔:レプリカにささやいた。

 

「おい、鮫。アレには手を出すな。

ソレ以外で遊べ。…加減はしろよ。

食うなら四肢だけにしとけ」

「やったー!食いほうだーーーいっ!!」

 

食えればなんでもいいらしい。

子供のように声を上げ、肉が見えないほどに牙が並んだ顎門を開く鮫の悪魔:レプリカ。

その先には、随意領域を展開した男性の魔術師が立っていた。

 

「そ、そんな攻撃で…」

 

DEM本社に授けられた最新鋭の装備で舞い上がっていたのだろうか。

随意領域の中に篭ることで身を守りながら、嘲笑を浮かべ、銃器を向ける男性。

しかし、鮫の悪魔:レプリカの牙は容易く緑色の膜を食い破り、手に持った銃器ごと男の腕を食いちぎった。

 

「……は?はぁ、あ、ぁああああっ!?」

「うまっ!うまっ!うまーーーいっ!!」

 

ばり、ばり、と骨を噛み砕く音と共に、歓喜の雄叫びを上げる鮫の悪魔:レプリカ。

仲間が腕を失い、痛みに悶絶する光景を前に、魔術師たちは絶句する。

と。そんな彼らに、幾つも並んだ鮫の悪魔:レプリカの瞳が向けられた。

 

「たくさん!たくさん!食い放題!!」

「勢い余って殺すなよ。シドーが怒る」

 

鮫の悪魔:レプリカが笑い声と共に、魔術師たちの踊り食いを開始する。

ポチタは最低限釘だけ刺すと、七罪を抱え上げ、凄まじい速度で飛び去っていくエレンへと目を向ける。

 

「シドー。足だけ『ベルセルク』にしろ」

『そんなこと出来るのか?』

「お前の体でもあるんだぞ?精霊の悪魔としての力も使えるに決まってるだろ」

『わかった、やってみる』

 

士道が足に意識を向けると、ふくらはぎの肉を裂いて、金属質の翼が展開される。

ポチタは屋上の地面に足跡が刻まれるほどに強く踏み込み、思いっきり飛び出した。

先ほどとは比べ物にならない程の衝撃が骨を砕くが、ポチタは即座に再生させながら、眼前まで迫ったエレンの背に刃を振るう。

 

「ギャハハハハッ!!」

「なっ…!?」

 

追いつかれるとは思ってなかったのだろう。

エレンは咄嗟に身を翻すも、振るった刃から伸びたチェーンが七罪の体に巻きつく。

ポチタはソレを引くことで七罪を奪い返し、刃を引っ込めて片腕で抱き止める。

その衝撃で呻き声を上げ、微かに目を開いた七罪は口を開いた。

 

「し、士道…?…いや、ポチタ…?」

「シドーだ」

『ポチタ!?』

 

七罪に嘘を吐き、ポチタはエレンの刃を装甲が覆う足で受け止める。

ギャギャギャ、と悲鳴のような音が響く中、ポチタはツノのように伸びたチェンソーをエレンの脳天目掛けて振り下ろす。

エレンは刃を随意領域で受け止めると、距離を置き、それを爆破させる。

が。ポチタもソレを読んでいたようで、爆炎に隠れた状態でエレンに向けてチェーンを放つ。

 

「っ、そんなものが当たると思われているのなら、心外です…!」

 

咄嗟にソレを避け、悪態を吐くエレン。

チェーンは虚しく空を切り、その背後にあったショッピングモールの立体駐車場に突き刺さる。

ソレに対し、ポチタは嘲りを込め、鼻で笑った。

 

「バカめ!私からのプレゼントだ!!」

「は…がぁああっ!?」

 

ポチタがチェーンを引くと共に、誰のものかもわからない小さな車が凄まじい勢いでエレンを轢き飛ばす。

そう。ポチタは最初から、立体駐車場の車を狙っていたのである。

ぼちゃん、と音を立て、車と共に川に落ちたエレンを見下ろし、ポチタは笑みを浮かべた。

 

「一部のクソみたいな女は、車を渡すと喜ぶと聞いたことがあるからな。

あの阿婆擦れには似合いのプレゼントだったろう?」

『…お前さぁ』

「どうせ直るんだ、別にいいだろ」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「七罪の容態だけど、かなり深刻だよ。

ポチタの口説き文句への動揺で、エレンの幼児化が半端だったのが悪かったらしい。

心臓の損傷が酷かったんだが…、どうやって応急処置をしたんだい?」

 

フラクシナスにて。

治療を受けている七罪の様子を見に来た士道に、令音が問いかけた。

士道は少し息を吐くと、右腕の袖をまくる。

と。抉れて肉が剥き出しになった前腕があらわになった。

 

「精霊の悪魔としての俺の肉を千切って、傷を塞いだんです。

ポチタと同化する時、そうしてたんで。

契約じゃないんで、応急処置なんですけど」

「…今の君は、人間なのかい?」

「俺はそのつもりです。

ちょっと力を入れるだけでこうなりますが」

 

士道は言うと、バキバキと肉が裂け、骨が折れる音と共に前腕部を耶倶矢と夕弦の天使…《颶風騎士》によく似た弓矢に変貌させる。

令音は少しばかり目を細めると、長いため息を吐いた。

 

「…痛みはないのかい?」

「あるかどうかすらもわかりません。

そのくらい痛みに慣れたんで…」

「シン。それは間違っても精霊たちの前で言わない方がいいよ」

「あー…。ソレに関しては前科が…」

 

無神経に磨きがかかってるのだろうか。

そんなことを思いつつ、士道は腕をドロドロに溶かし、元に戻す。

戻った腕をよく見ると、七罪の傷を塞ぐために千切った肉も治癒していた。

 

「便利な体になったな…」

「それを便利と思ったらおしまいよー?」

 

士道の呟きを咎める声が響く。

士道がそちらを見ると、ロングコートを羽織った真那を横に控えさせた二亜が、こちらに手を振っていた。

 

「二亜…?なんでフラクシナスに…?」

「真那ちゃんに連れてきてもらった」

「兄様からもなんか言ってくだせぇ。

コイツ、人のことを都合のいいパシリとしか思ってねーんですけど」

「『心臓をあげる代わりに、なんでも言うこと聞く』って言ったよね?」

「永続だとは思わねーですって」

「ご褒美あげてるじゃん」

「ああ言えばこう言う…」

 

はぁ、と息を吐き、項垂れる真那。

士道は乾いた笑いをこぼし、意気揚々と治療室へと入ろうとする二亜を見やる。

と。士道が止めるよりも先に、令音が二亜の細腕を掴んだ。

 

「何をするつもりだい?」

「治すつもりだけど?」

「…それは、悪魔の心臓を用いた治療か?」

「当たり前っしょ?

こうやって治療が長引いてんのも、心臓の損傷が激しいからじゃにゃーの?」

「だが、時間をかければ治る可能性は…」

「治らないって出てんのよ。

いいから通して」

 

止めようとする令音の手を振り払い、治療室に入ろうとする二亜。

無理をして《囁告篇帙》を開いたのだろう。

七罪に関する受け入れ難い現実を直視してしまったらしい。

口を結び、何かを覚悟したかのような神妙な面持ちを前に、士道は思わず声をかけた。

 

「二亜。俺が契約して傷口を…」

「やめて。絶対」

「な、なんで?」

「少年が下手な契約したら、ポチタみたいなことになるよ?」

「………わかった」

 

そう言われては仕方ない。

二亜はいつものように締まりのない笑みを浮かべ、「じゃ、やるね」と治療室へと入っていった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「……んゔ」

 

七罪は小さく呻き、薄く目を開く。

混濁する頭で記憶が整理されていく中、ぼーっ、と虚空を見つめる。

と。二亜の顔が眼前に迫った。

 

「ぁ、え…?」

「お。少年、起きたよー。

ちょっと困惑してるみたいだけど」

「…大丈夫なんだろうな?」

「完治はしてないね。

琴里ちゃんみたく、抜けた血が即補填されるみたいな精霊じゃないし。

ま、死ぬよかマシよ。死にかけた私が言うんだから違いない」

 

そんな会話が、右から左へ抜けていく。

いまだに掠れた視界で自身を取り巻く空間を見渡すと、いけ好かない顔が心配そうにこちらを見つめているのがわかった。

理解と共に一気に意識が覚醒し、七罪はベッドから降りてその下に隠れる。

 

「な、なによ、アンタたち…!

私に何する気なの…!?」

「何するってか、もうしたってか」

「な…!?ま、まさか…」

 

顔を青くし、咄嗟に下腹部に手を当てる。

気のせいと言われればそれまでだろうが、違和感がある気がする。

純潔を奪われたかもしれない。

そんな不安に涙を溜め、目尻を吊り上げて士道を睨め付ける。

と。士道と意識を入れ替えたポチタは、何の臆面もなく口を開いた。

 

「私に睡姦趣味はない。

反応もないセックスの何が楽しいんだ」

「きゃーーーーっ!?」

「セックスの単語でいちいち騒ぐな。

変身しているとはいえ、あんな振る舞いが出来る時点で相応に性欲はあるんだろうが」

「なっ…、あんたと一緒にしないでよ変態っ!ドスケベっ!!」

「それがどうした」

 

変態の自覚も、ドスケベの自覚もある。

最低な開き直りを前に、どうやっても舌戦で勝てないことを悟った七罪は、「ゔぅうう」と唸り声を上げるばかりだった。

身を隠すには心許ない治療用ベッドの骨組みに囲まれ、身を抱く七罪。

そんな彼女を覗き込むように、ポチタは顔を近づける。

 

「…ふむ。やはり手入れがなってないな。

このままでも抱けんことはないが、すっぴんを見るのは化粧姿を知ってからの方がいい。ムードがある」

「は、は…ぁ…?こ、この際、抱くとか…、その、せっく…、とかは、いいけどさ。

そんなんしたって、こんな見窄らしいちんちくりんがどうこうなるわけがないでしょ」

 

自信満々にネガティブなことを言って見せる七罪に、ポチタは眉を顰める。

確かに、見た目は人間社会における第一印象である。

だがしかし、「元が悪いから」と言って化粧を怠るなど論外である。

全世界に生きる女性への侮辱に他ならない。

加えて、七罪は卑下するほど壊滅的な容姿をしていると言うわけでもない。

ポチタは深いため息を吐くと、士道に告げた。

 

「おい、シドー。

かなり気は進まんが、シオリを出せ。

この際だ。トーカやミクたちも呼ぶぞ。

餅は餅屋と言うだろう?」

『……え?俺、やらなきゃダメ?』

「ダメに決まってるだろうが。

ニア。お前も手伝え」

「あーいよっ」

 

治療用ベッドを片手で持ち上げ、七罪を引き摺り出すポチタ。

七罪はぎゃーぎゃーと喚いていたが、抵抗が無意味だと悟ったのか、二亜の脇に挟まれ、連行された。




七罪…原作と違って、ストレートな賛美にめちゃくちゃ戸惑っていたので、エレンの幼児化が中途半端に終わってしまった。そのため、顕現装置でも完治が困難な致命傷を受ける。二亜によって■■の悪魔:レプリカの心臓を移植された。興味はあるが、セックスの単語を口にできないくらいにはウブ。

エレン・M・メイザース…腰が逝った。直撃したのはコベニカーと同じ車種。その程度で済む時点で割と化け物。

五河士道/精霊の悪魔…痛覚が機能しなくなってきた。厳密に言うと痛みは感じるけど、瞬きみたいな感じでそんなに気にならないだけ。

偽ポチタ…自己評価低い女に特攻持ち。というのも、前世ではカップルメーカーとして名を馳せたので、女の面倒なポイントは大体わかってる。お前、なんで童貞だったんだ?支配の悪魔は自分の思想、行動すらも縛り付けてくるので嫌い。
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