偽ポチタ「助けてやるから、女のおっぱいを揉め」士道「ふぁっ!?」   作:鳩胸な鴨

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名前だけだけど、オリジナル悪魔出しちゃった。


偽ポチタ、不信を語る

『なぜ、同棲している間に抱かなかった?

だからお前は肝心なところでヘタレなんだ、このスケコマシめ』

「……」

 

ポチタの愚痴に、士道はため息を吐く気にすらならないのか、遠い目で路傍を見つめる。

こうなったのにも理由がある。

四糸乃を封印して数日。

封印した精霊たちのための集団住宅が完成したことにより、十香の住まいが士道の家からそちらへと移動と相成ったのだ。

それにより、ポチタの機嫌は急落。

暇さえあれば「なぜ抱かなかった?」と、士道を攻め立てるためだけに存在するbotのような悪魔になってしまった。

これではbotの悪魔である。

事あるごとに愚痴を吐かれては、士道としても溜まったものではない。

士道は契約更新のために訪れた本条宅の扉を開け、二亜の名を呼んだ。

 

「二亜、聞いてくれよ。ポチタが…」

「だずげでぇぇええっ!!」

「ぐほぉっ!?」

 

瞬間。可憐さをかなぐり捨てたダミ声と共に、士道の腹に頭突きが決まった。

士道はその場に倒れ込むと共に、がん、と柵に頭を打つ。

これで死ぬほどヤワな体ではないが、痛いことには変わりない。

「ぐぉおお…っ!」と患部を抑えて悶絶していると、抱きついた家主…二亜が顔中をよくわからない液体で塗れさせ、彼に迫る。

 

「新キャラの性格が固まらないの!!

ポチえもんの地獄パワーで助けてよぉ!!」

「知るか」

「うぇぇええんっ!

チェンソーマンをヒーローとして描いてやるぅうううっ!!」

「やめろ!イカれポンチが飛んでくるだろうが!!」

 

好かれるのは好きだが、キャラクターとして消費されるのだけはごめんらしい。

ポチタが追い詰められた二亜とくだらない口喧嘩をすること数分。

ようやく落ち着いたのか、ティッシュで顔を拭いた二亜は、士道の腕を引いて、彼を起こした。

 

「…さっき聞いたっしょ?もうぜーんぜん固まんないの。

ポチタくんの知ってる悪魔でぶっ飛んだ奴いたら、教えてほしいかなーって」

「二亜がポチタに頼るって、結構難産だな」

「あら、嬉しい事言ってくれんじゃん」

「いや。いつもは俺に頼るし…」

「そりゃあねぇ。

いっちばん痛い頃の君の妄想に付き合ってあげてたんだし、使えるように仕込むに決まってっしょ?」

「お前諸共爆散してやる」

「冗談。冗談だから」

 

世界一みっともない心中である。

ポチタという特殊な要素もあってか、直視が困難なほど痛々しい厨二病に罹患した経験のある士道。

当時は楽しかったのだが、いざ高校に進学して正気に戻ると、あの時の自分をチェンソーでぶった切りたくなった。

士道はため息を吐き、二亜の家へと足を踏み入れる。

と。いくつもの没案が眠っているのであろう、くしゃくしゃになった紙の大群が、士道のつま先を絶えず刺激した。

 

「『締切の悪魔』いたら最強じゃねって、最近思うんだよねー。

ポチタくん、そういう悪魔っていた?」

「いたが、そこまで強くなかったぞ。

イカれポンチに犬にされてたな」

「支配の悪魔ちゃん強すぎだからノーカン」

 

締切も支配の一種か。

そんなことを思いつつ、意識を表面に出したポチタは椅子に腰掛けた。

 

「で。立場は?」

「ざっくり言うと敵ね。大ボスの性格は固まったんだけど、部下のがね…」

「……『革命の悪魔』だな。

イカれポンチの犬なのだが、主人にも噛み付く狂犬だ。

名の通り、常々下克上を狙っているが、力量差など全く考慮しないくらいには馬鹿だな。

あとは…ゴマスリが上手いな。誰彼構わず下手に出るし、取り入ろうとする見境ナシだ。『革命』という名の通り、往来の上昇志向のせいで取り入った相手も殺そうとする。

…イカれポンチに秒で看破されて殺されるまでがワンパターンすぎて、寸劇としてあまり面白くはないが」

「ほむほむ…。なーるほど…」

 

ポチタの言葉を一言一句逃さず、二亜はスラスラとペンを走らせる。

ある程度聞き終えた二亜は、ふぅ、と息を吐き、肩を鳴らした。

 

「概念系存在はいいね。性格分かりやすいし、漫画にも使える」

「アイツらが知ったら、真っ先にお前を殺しにかかるだろうな」

「望むとこぉ!アカシックレコード好き勝手に弄れるチート様舐めんなよ〜?」

「闇の悪魔に遭遇したら詰むな、お前」

「ソレはナシで」

 

遭遇した時点で、強制的に腕がもがれるような怪物を相手に出来るものか。

二亜はそんなことを思いつつ、鉛筆を激しく紙の上で踊らせる。

 

「…少年。いつものお礼にいいニュースと悪いニュースがあるよ」

「礼っていうんなら、いいニュースだけにしてくれ」

「しゃーないじゃん、入ってきたんだし」

 

入れ替わった士道の苦言に、二亜はため息を吐く。

どうやら、本人も意図せず仕入れた情報だったらしい。

二亜は机から手を離すと、体を背もたれに預けた。

 

「じゃあ、悪いニュースね。

士道くんの情報が《囁告篇帙》から4割くらい消えちゃいましたー」

「…えっと、つまり?」

「存在の4割、悪魔になってるみたいだね」

 

《囁告篇帙》。精霊が顕現する武器…天使の一つであり、本の形をした二亜の矛。

あらゆる事象が記載されたアカシックレコードのようなものであり、二亜はこれにより情報を仕入れ、ある程度世界に干渉することができる。

…ノイズが酷いのは玉に瑕だが。

そこに記載されていないということは、ポチタの一例から『この世界に存在しないはずの存在』であることを意味している。

ソレすなわち、「五河士道の存在の4割は、アカシックレコード外の存在…悪魔である」ということなのだ。

士道はあまり実感がないのか、首を傾げた。

 

「検査じゃ普通だったぞ?

別に体もなんとも…」

「『なんともない』って思ってるだけ。

…自覚が薄いようだから言うけどさ。

少年は『精霊よりも、もっと悲しい存在』になろうとしてるんだよ。

もっと自分のことを心配してほしい。

少なくとも、君に惚れた私は並々ならぬ衝撃を受けちゃったからさ」

 

悪魔は死んでも、すぐに蘇る。

ポチタ曰く、どんな世界にいたとしても、必ずや地獄で生まれ変わるという。

つまり、このまま悪魔化が進めば、士道の命は暴力と退屈が支配する最低な世界…地獄に囚われてしまう。

その結論に至った二亜は、ソレを直接伝えることはしなかった。

単純に、彼女にはその勇気がなかったのだ。

 

「……はいっ!悪いニュース終わり!

次はいいニュースでーす!」

 

重々しくなった空気を払うように、ぱん、と二亜が手を合わせる。

恐らくは空元気なのだろうが、ソレを指摘する気になれず、士道は棒読みで「楽しみー」と二亜をおだてた。

 

「新しい精霊が君のクラスに来るよー!」

「どこがいいニュースだバカ!!」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「私、精霊ですのよ」

 

うん知ってる。

などと言えるわけもなく、士道は自己紹介を終えた転校生…時崎狂三に向け、なんとも言えない表情を浮かべた。

儚げな印象を受ける彼女の肢体を見つめ、ポチタが恒例の採点を始める。

 

『2点』

「……天変地異が起きるな」

『勘違いするな。これは総合点数だぞ。

体だけ見れば、十香と同じ満点だ』

「最低すぎるけど、一応理由を聞こうか」

 

予想外に低い点数に戦慄きながらも、士道はいたって冷静に問いかける。

度を超えた若づくりや、体力がとんでもなく低いなど、余程のことがなければポチタの採点は甘い。

テスト返却時、単語を強引に修正したことに気づきながらも、「しょうがないなぁ」と点数をあげるアルティメットダメ教師レベルで駄々甘なのである。

そんなポチタが、時崎狂三のような美少女に訳もなく減点するわけがない。

クソ童貞の尺度を理解できるようになってきた自分に辟易しながらも、士道はポチタの言葉に耳を傾けた。

 

『血の匂いが濃すぎる。

…ふむ。1万と少しか』

「っ!?」

 

がたた、と士道は戦慄のあまり、椅子から転げ落ちた。

大量殺人犯どころではない。

災害に匹敵する被害者数である。

 

「五河くん、大丈夫ですかぁ?」

「あ、いや、その…。なんでもないです…」

 

担任教師の心配を流し、座り直す士道。

転校生が人殺しです…などと正直に言えたのなら、どれだけ良かったか。

こちらに笑みを浮かべる狂三に、士道は引き攣った笑みを返した。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

『どう考えてもお前が狙いだな。

イカれポンチに似た女がまた現れるとは…。

この世界は地獄か?』

「地獄出身の悪魔に言われちゃ、いよいよおしまいだよな…。

…しっかし、俺の何が目的なんだか…」

『ソレに関しては懸念材料が多すぎる。

お前はただ、「クルミがなにか思惑を持って接触している」とだけ認識しておけ』

 

狂三に学校案内をした後の帰路にて。

カミングアウトに加え、進んで士道への接触を図った彼女に、互いに疑念を吐き出す士道とポチタ。

手に提げたエコバッグからは、ネギやらが飛び出しており、買い物帰りであることが第三者からでもわかるだろう。

その少し先には、夕飯がハンバーグと聞いて上機嫌に鼻歌を歌う十香がいた。

士道はスキップする十香の揺れる髪を見つめ、決意を固める。

 

「…でも、やるしかないんだよな」

『やるやらないはお前次第だ。

「救いたくないやつまで救わなければならない」などということは決してない。

義務ではないということを忘れるな』

 

相手は一万もの人間を殺した精霊。

気が進まないという気持ちは、正直ある。

だがしかし。もしかすれば、それにも理由があるかもしれない。

士道がポチタに言葉を返そうとするも、彼はソレを遮り、続けた。

 

『それにだ。ラタトスクはやたらとお前を制御下に置きたがる。

お前を利用して何かを企んでいる、と頭に置いておけよ』

「は…!?おまっ、そんな話一度も…!?」

 

ここで飛び出したラタトスクへの不信に、士道は面食らい、口をぱくぱくと動かす。

丘に上がった鯉のようである。

戦慄く士道に、ポチタは深くため息を吐いた。

 

『こんなアホらしいことに力を貸す組織だぞ?まともなワケがないだろ。

それに、二亜がラタトスクとの接触を避けているのも不信が理由だ。

ラタトスクは信用に値せん。

信じるなら、コトリだけを信じろ』

「……わかった」

 

確かに、共に育った妹なら、信用に値する。

ラタトスクへの不信感を胸に抱きつつ、訝しげにこちらを振り向いた十香に駆け寄る。

と。スニーカーでアスファルトを削るような音が響き、士道はそちらを見やった。

 

「………?」

 

そこに立っているのは、見覚えのない少女。

士道のものと似た色合いの髪をポニーテールに纏め、目の下の泣き黒子が特徴的だ。

クソ童貞の採点が始まらないあたり、何かあるのだろうか。

そんなことを思っていると、驚愕に目を見開いていた少女がこちらに駆けてくる。

 

「は、え、ちょっ…」

 

避けようとするも間に合わず、その体が士道の体に抱きつく。

珍しく反応しない股ぐらを不思議に思いながらも、士道と十香は困惑を露わにした。

 

「兄様……っ!!」

 

爆弾を前に、士道と十香、そして上空にて様子を見ていたであろう琴里の叫びが轟いた。




革命の悪魔…マキマさんが従えてそうな悪魔って何だろうと思って、「従いながらも下克上狙ってたらおもろいな」という作者の思いつきによって生まれた悪魔。漫画で言うと早川家に二話で殺されるくらいの強さ。何度か偽ポチタチェンソーマンにも殺されてる。

五河士道/■■の悪魔…存在の4割が悪魔になった。精霊を封印すればするほどに悪魔に近づく。童貞の悪魔だとかいう風評被害が感想欄にて多発しているくらいにはクソ童貞の道を歩んでる。流石はガッツリスケベのくせに据え膳食わぬ男の恥である。チェンソーマンとしての力も一部使えるから、地獄にいたら上澄レベルで強い。元厨二病患者設定は原作通り。多分、原作より重症だった。

本条二亜…ポチタのことを面白いネタが出てくる秘密道具かなにかだと思ってる。過去に血の悪魔をモデルにしたキャラを連載してる漫画で出したところ、人気投票で一位を取って複雑な気持ちになった。自分でも泣きながらエグい展開で殺し、読者を阿鼻叫喚の渦に巻き込んだパスの者。死亡回が公開された当日、SNSにて「○○○ちゃん、嘘だと言って」と投稿し、読者から「うん!お前が殺したんだわ!」と総ツッコミを食らった。命日にはその死を悼むファンレターが山のように届く。

偽ポチタ…新たなイカれポンチに辟易してる。狂三の採点が厳しかったのは、血の匂いが濃すぎて悪魔を思い出すという理由。一方で、真那を採点しなかったのは、士道の血縁だと気づいていたから。

時崎狂三…2点のイカれポンチ。女が相手なら誰でもフル勃起するクソ童貞から酷評されるくらいに血の匂いがするらしい。偽ポチタからすれば、ニャーコとそのへんの大自然で暮らしてたパワーちゃん並みに臭い。デアラの中でも人気キャラなのに可哀想に…。

崇宮真那…士道の実妹。血縁だから偽ポチタに採点すらされなかった。採点したとしても、狂三を殺しまくっているので2点になる。
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