グングニルと呼ばれたウィッチ   作:夜かな

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第8話 ボルネオ島北部 上陸戦 説明的な編

 

~リオ少尉~

 

 リオはふと思い出したようにシアの隣に並ぶように近づいた。

 

「そういえば、シア。今日の作戦珍しく、扶桑海軍が参加するよね。確か空母が二隻」

「ん、出雲と三雲、元はリベリオンの後期型エセックス級空母」

 

エラ准尉とエヴィ准尉も会話に入ってくる。

 

「確か、扶桑が保有していた空母のジェット機対応への改修コストが高すぎて、リベリオンから購入したのがその二隻でしたね」

「ああ、新聞にも載ってたよね、扶桑海軍、空母天城の改修費が戦艦大和の建造費に匹敵! ってさ」

 

扶桑海軍というか、扶桑の人間は物を大事にし過ぎる癖がある。

 

「それで、その空母が何でこの作戦に参加してるの?」

「えっと、シア少尉、リオ少尉に説明したんですよね」

「ん、一言一句間違えなく」

「え~と、ね。半分くらい聞き流しちゃったかも?てへぺろ」

 

 シアやエラ、エヴィ、さらには話を無線越しで聞いていたアウストラリスのキャンベラのパイロット達は呆れかえる。

 

「仕方ない、もう一度説明する」

「......お願いします」

 

 シアは仕方ない、と言いつつも嬉しそうにする。反対にリオは頬を掻きながら苦笑いする。

 

「まず、今回の作戦目標は何か覚えてる?」

「ボルネオ島の北部の奪還とバラバク海峡の安全確保だよね」

「ん、そう、あと海峡を抑える上陸部隊の援護と制空権の確保。そのとき、扶桑の航空隊も加わる」

 

 普段以上に喋って一息シアが入れたタイミングでエヴィが続けていう。

 

「ただし、扶桑の艦隊もボルネオ島北部の沿岸部を押さえたら、バラバク海峡を越えてハイフォンの、それもネウロイの巣に攻撃を仕掛けるんだ。ハノイからインドシナ連邦軍の撤退を援護するためにね」

 

 続いてエラが、

 

「なので、この作戦の最終的な目的はインドシナ連邦軍の撤退支援のために行なわれるものなんです」

「そうなんだ」

「……重要なところ、エヴィとエラに、言われた」

 

二人に言いたかったことを先に言われて不機嫌になったシア。ハッとなってそれに気づいたエラは慌ててフォローに回ろうとするが時既に遅し。

 

 「あ、あのその、これはですね、シア少尉……」

 

しばらくの間、シアのご機嫌を取り直すのにそれなりに時間がかかった。

 

~空母出雲~

 

アングルデッキを備えた空母の甲板上では、蒸気カタパルトから、F-8Dが次々と射出されている。

 

「艦長、発艦は順調だな」

「はっ、まもなく作戦参加機の全機の発艦が完了します」

「うむ結構、これは始まりに過ぎん、奴らには、“扶桑”の力をしっかりと見せつけてようぞ」

 

出雲の艦橋には、似つかわしくない、小綺麗な軍服と少将の階級をつけた男がいた。

男は、華族で士官学校を何とかコネで卒業し、後方勤務でそれなりに手柄を出し続け、やっとのことで、艦隊司令官に上り詰めた。

 

誰もがやりたがらない、東南アジア支援艦隊の司令官になった自信満々な男だが、慎重な面もあり、ネウロイの襲撃が多くなる大陸側ルートを避け、遠回りではあるが、比較的襲撃が少なくなる、バラバク海峡を通るルートを選び、早急な行動を取るべきとする本土の意見に反対してでも、今回の作戦に参加した。

 

事実、ネウロイは対艦用ミサイルを搭載した中型ネウロイ多数をもって、扶桑海で空母数隻を大破ないし中破させており、徐々に対艦用ミサイルの破壊力も増していたため、地上からの支援が受けにくく、襲撃が多い大陸側を選ぶことはある意味自殺行為であった。

 

「しかし、ウィッチを本当に出さないのですか」

「何度もいわせるな航空参謀、ウィッチは切り札だ、例え士気が上がるからとそうそう、切っていいものではない、ましてや、コタ・バルのレーダーにギリギリまで、写らなかったという、謎のネウロイについて分かっていないのに、艦隊の守りを疎かにするわけにはいかんのだ」

 

 慎重な面は時に、選択肢を自ら減らしてしまう危険性があった。しかし、この男の慎重さがいつも、自身の命を守ってきたものであり、分かってはいても変えられるものでもなかった。

 

~空母三雲~

 

「あ~あつい、もう船の上、あきたんだけど」

「うっぷ、この揺れ嫌いです」

「そういうな、この暑さも揺れも慣れるといいものだぞ」

 

服の襟元をばたつかせる、黒髪ショートヘアの少女と、船の揺れによって中身が出る寸前の同じく黒髪の三つ編みの少女、そして、少し茶色が混ざった髪を結んで前に垂らしている元気過ぎる少女、この三人は空母三雲の所属ウィッチである。

 

「呉田さんは、よくこの暑さ、平気ですよね、頭おかしいです」

「うっぷ、う、同意です、この揺れ平気とかどうかしています」

「やれやれ、普段の鍛錬が足らんようだ、よし、今日は甲板が空いているから、好きなだけ走り放題だぞ、さあ、立て、走れば何とかなる」

 

気温30度超える中、さらに熱い何かを燃やす呉田大尉に、

 

「う~、やだあ、この人本気でやる気だよ」

「う、頭おかしいです、頭おかしいです」

 

呉田大尉は、死にかけている二人にとどめを刺すため灼熱の甲板に二人を引きずって行くのだった。ちなみに使い魔の補正なしで、二人を引っ張っている素の怪力である。

 




追記:続きは、来月に、逃げ因子集め徹夜中。(過去編とプロットの制作に時間を投資しています。なので、少し貯めた上で投稿します。後編は内容をできるだけ厚めにしたいので)
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