ネウロイの拠点と思われるドーム状の霧に突入した私たちはしばらく霧の中を進むと大きな広い空間に入る。
「霧の先には空間、何というかテンプレを感じる」
「テンプレ? えっと確かに空間ですね、って下に何かいます!」
エヴィ准尉の声で、空間の下に視界を向けると、確かに何かいる。まるで戦艦のような形をしたそいつはネウロイが苦手とする水上に堂々と居座っており、船首甲板と思われる部分には巨大な16インチ級の三連主砲が二基見える。船尾にも同様の物が一基あり、其方は砲身を仰角60度まであげて先ほど発射されていた何かを発射していた。
「……もしかして、放棄された戦艦ってあれのこと、だったり」
「ん、ノースカロライナ級戦艦、16インチ三連三基、速力27ノット、15インチ級の主砲に耐える事ができるバランスの良い攻守が特徴の戦艦」
16インチの主砲、そして“15インチ級に耐える”と聞いてエヴィ准尉が呟く。
「あのそれって、アーカンソーの主砲で貫けるのでしょうか」
「……ん、12インチ主砲だと舷側を貫くのは無理、遠距離から曲射を描いて甲板を貫けるかどうか、多分射程に入る前に撃沈されるのが落ち」
それを聞いてエヴィ准尉は黙る。
「ありゃりゃ、つまりネウロイは強力な装甲と火力を手に入れた訳だ。なら話は早いね、奴の主砲を、攻撃手段を奪った上で味方の戦艦に甲板を壊して貰って、奴のコアを破壊すれば良いってことだね」
「ん、そうなる」
「でもリオ少尉、主砲を壊す手段はどうするんだい、主砲となれば当然装甲も厚いはずだよ」
エラ准尉にエヴィ准尉が頷くように同意する
「確かに今回の私たちの武装はL7汎用機関銃と25mmt対物ライフルだけですし、火力に欠けますね、とてもあの装甲は貫くのは、魔法力を限界まで込めても難しいです」
火力の不足を問題視する二人に私はあることを伝える。
「ね、シアあれって確かアマリス曹長に持たせていたよね」
「ん、そう」
「「あれ?」」
エラ准尉とエヴィ准尉の二人は首を傾げる。
~ダバオ港 上空 迂回チーム~
正面突破チームがドーム状の中に突入している頃、迂回チームもダバオ港の上空に到達した。
「ぐう、しつこい! 日和さん早くやって!」
「肯定、撃破」
二千花軍曹と日和軍曹は小型ネウロイを連携して撃破していく。
「呉田大尉! 撃墜しました!」
「よくやったアマリス曹長、だが油断するな、背後の警戒も怠るな」
呉田大尉はアマリス曹長に着実経験を積ませながら、アマリス曹長の背後を狙う小型ネウロイを複数撃破していた。
「そろそろ、ダバオ港直上だ、雲を抜けて降下するぞ」
「「「了解!」」」
呉田大尉の合図で迂回チームは、灰色の雲を抜けてダバオ港に降下していった。
しばらく雲海の中を呉田大尉を先導に通り抜ける。
そして視界が開けて正面突破チームが突入したドーム状の霧を見つける。
「凄いでかい霧ですね」
「肯定、ダバオ港の殆どを覆う規模と思われる」
「はえ~ネウロイってあんなのも作れるんですね」
三者三様の感想を漏らす
「ふむ、アマリス曹長、渡した荷物はしっかり持っているな」
「はっはい、あのこれ何ですか、結構重たいのですが」
アマリス曹長の背中には自身の身長より少し長く直径は10インチ以上はある大きな箱が背負われていた。
「うむ、まあなんだ実際に使うときに教える、切り札みたいなものだ」
「は、はあ」
呉田大尉は少し視線を泳がし、何か言いよどむ。アマリス曹長は少し気になるものの、大事な物と聞いてしっかり背負うように力を入れる。
「さてと、見た感じ正面突破チームは見当たらないが、あのドーム状の中に突入するぞ」
「「えっ」」
呉田大尉は躊躇もせず突入を決める。
二人の軍曹は上官の即決に唖然とするが、
「了解です!大尉」
「「えっ」」
アマリス曹長は元気の良い戦場には、似合わない返事をする彼女に二人の軍曹は二回目の驚きに包まれる。というかコイツ227kgを背負いながら空戦してドーム状の霧に突っ込むのを躊躇しないのは馬鹿なのか? と
「いやいや、さすがに考えましょうよ、大尉」
「肯定、慎重に動くべき」
すぐさま大尉の考えを否定する二人、ところが直後ドーム状の霧から飛び出すように赤い閃光が打ち上げられる。
「うむ、どうやら正面突破チームは中に居るようだ、つまり問題ないな突入するぞ」
「はい!」
「「ああやっぱりこうなるのかあ」」
渋々二人の軍曹は奇しくも二人の准尉と同じくドーム状の中に諦観した瞳で突入することになった。
新人ウィッチのアマリス曹長、彼女が背負う切り札とは、
次回、第23話ミンダナオ島血戦 ダバオ港突入編
ノースカロライナ級ネウロイに魔王が微笑む