何故か筆が進まない、私はただほんの少しポケモン厳選をしているだけなのに...
1963年10月
パラパラ、使い終わった薬莢の残りたちが炎上する街中に向けて落ちて行く。時々光る爆発音が夜ということを示すように炎より明るく街を照らす。この街はほんの少し前まではインド連邦の首都にして、そして今はネウロイと人類の最前線とも言える場所。
その上空では、この街を守る為にエステルやネフィの二人がネウロイとの空戦を繰り広げていた。
エステルはその身を超える機関砲から、カキンッ、と30mmの大口径を誇る機関砲から火傷を負うことも構うことなく排出口に引っかかった薬莢を素手ではじき出すと装填レバーを引き薬室内に弾薬を装填する。そして地上で四足の陸戦型ネウロイに向けて大口径の弾丸を放ち白い破片へと変える。しかし続々と無数のネウロイが現われ更に先へと進んでいく。
「もう、一体どれほどの数がいるのかしらきりが無いわ」
彼女の表情は魔法力の酷使した極度の疲労が現われており、既に相当長く戦闘を続けていることが伺え得た。
「……エステル、これ以上は無理だよ。魔法力もほとんど残ってない」
普段は戦闘中でも面倒くさがりなネフィは真剣な表情を崩さずにエステルに向かって言葉を投げかける。それの意味を理解しているエステルは、いまの戦況のどうしようもない現実に苦悶の表情を浮かべる。
「でも…でもでも!? ……ここで私たちが退いたら避難してる人たちが」
「エステル!……もうこの街に居るのはネウロイ、だけだよ」
現実を伝えるように見せるように、ネフィの指さす先には、都市の中央に撃ち込まれた巨大な塔。そこからは人が生身では生きていけない毒ガスが垂れ流され、街の殆どに広がっていた。
数百万を誇る人口の街は火の手が上がり、毒によって人の気配さえ感じられない。既にこの街はネウロイの手中に落ちていた。
この街で暮らし戦ってきた、いつか戦争が終わればさらに活気が溢れたかもしれない、エステルは怒りと悲しみに呑み込まれてしまいたい感情に、必死で抗う。側には危険を承知でいまも一生に居てくれるネフィがいる。だから逃げることを、選択した。
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炎上する街から撤退を選んだ二人は、友軍の撤退先の基地に向けて夜の空を飛行していた。既に魔法力の殆どを感情任せに使い切ったエステルをネフィが支えながら、背後には小さくなった燃える街が刻々と輝いていた。
「ねえ、ネフィ……デリー燃えちゃったね」
暗い内の感情がエステルの口から吐き出すように漏れ出した。
「昨日さ、街のみんな笑って果物を分けてくれたんだ」
ネフィは静かにそれをしっかりと受け止めるように聞く。
「いつも、街を守ってくれてるお礼だって……ネフィの好きなオレンジの果物だって沢山、たくさん渡して、くれたんだ」
「うん」
「小さな女の子が私に憧れてて、ウィッチになるって」
肩を震わせ、歯を食いしばり、頬を滴が流れていく。
「…うん」
「わだ、わたじ、みんなを、ひぐっ、守れなかっだあ」
ダムが決壊するようにエステルからは溢れんばかりの悲しみが涙となって溢れ出す、ネフィは強く、強くエステルを支え、拳を震わせ、必死に耐える。
街から遠くなるほどそれは躊躇に現われた......
勝者がいれば敗者もいる。
この日、インド北部の要衝であったデリーが僅か半日で、陥落する。この結果いくつかの国では政変が起き、本格的なネウロイとの戦いへと動き出した。
しかし余りにも遅すぎたのだった。
次も恐らく来月。ああ夏が終わる