グングニルと呼ばれたウィッチ   作:夜かな

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第31話 春季攻勢 後篇

 

 

「居た、ネウロイ目視二時の下方」

「ん、5000ftぐらい、爆撃型6輸送型14小型20」

「中型と護衛の小型の上陸部隊かな」

 

 ネウロイたちより私たちのほうが僅かに高度有利の立場にいた。そこで

 

「背後に回って仕掛ける、目の前のデカい雲に紛れて行こう」

「ん、分かった」

 

 ネウロイの背後に見つからないよう、遠回りで厚い雲の中に突入する。こういった雲の中の飛行は私よりシアの方が上手いので先頭をシアに譲りその後ろにピッタリとくっついて飛ぶ。

 

「多分もう直ぐ雲を抜ける」

「分かった、抜けたら一気に仕掛けるよ」

「ん」

 

 シアの的確な先導でネウロイの集団の背後に回り込むと、ジャベリン戦闘脚に固定されたミサイルで先制攻撃を仕掛ける。ジャベリンのミサイルは発射後の誘導が不要なため、護衛の小型ネウロイに放ったらすぐさま爆撃型に攻撃を仕掛けた。

 

「まずは1機…!」

 

バルトランド製の84mm無反動砲を肩で支えながら200mの距離で放つ。弾は対戦車榴弾

で命中した瞬間炸裂しその爆発的な力でもってネウロイのコアまで達し破壊して見せた。

 

 ブリタニア本国からの物資の中に数十門の無反動砲が送られてきたとき、新型ユニットじゃなかったことに私は外れだと思っていたけど、

 

「これ結構使えるね、シア」

 

 これはとても良いものだ、背後に振り返ったときシアも同じく爆撃型を1機撃墜していた。

 

「ん、威力は悪くない」

 

シアも私も威力十分な新たな武器に満足ではあったが、ネウロイはいまだ数で勝り不利であるのには変わらない。装填に手間取る無反動砲は投げ捨て背中に背負っていたL7汎用機関銃に持ち替える。

 

「シア、小型は任せた!先に中型を仕留める」

「ん」

 

背後をシアに任せ、爆撃型と輸送型の群の中に突入する。有利な高度を利用して得た速度を生かしビームの弾幕を晒しながら輸送型の1機に7.62mmの弾をばら撒きコアを破壊、更に続けて同型を撃墜していき、1機ずつ確実に撃墜していった。

 

 

 

~呉田大尉~

 

 私とシアが北西のネウロイの集団と接敵した同時刻、スールー海の艦隊より飛び立った扶桑航空隊はリベリオンの航空隊と別れ、南西より接近するネウロイの集団に向っていた。

 

「呉田さん、見えました11時の方向、敵機です」

 

高度を高くとりながら周囲を見渡していた二千花軍曹がネウロイの発見を伝えた。

 

「うむ、報告より僅かに少ないが、パラワン島に向っていた集団だろう。各機攻撃用意だ、先ほど言ったように中型の鈍足は戦闘機隊に任せる、護衛の小型はウィッチ隊でやるぞ」

 

 呉田大尉の指示で扶桑の航空隊は二手に分かれた。戦闘機隊はF-4とF-8の混成24機で高度を上げつつネウロイの集団の上方を取るように動く。対して呉田大尉率いるウィッチ隊は戦闘機隊より先に先行し接敵した。

 

「護衛の小型28のうち20が接近」

「僅かに残ったか、さすがに全部は無理か」

「呉田さんそれでも十分すぎる数ですよ」

 

 残念がるようにいう呉田大尉の発言に呆れつつ二千花軍曹は突っ込みを入れた。続くように、日和軍曹が後ろを振り向きながら言う

 

「同意、新入りたちにとっては地獄のような難易度です、庇いながら戦うには多すぎるくらい」

 

呉田大尉達の後ろには編隊を組むのもやっとな3人のウィッチたちがいた。

 

「ほう、少し前までは同じくらい新米だったお前たちが言うようになったな、だが新入りたちは個々の技量は低いわけじゃない、実戦経験も乏しいがそこを担うのがお前たちの役目だ、先達を気取るならこれぐらい簡単にこなせないと、な」

 

「それって結局のところ実戦で学べっていう精神論じゃないですか…」

「同意、無理無謀」

 

「うむ、まあなんとかなる、ウィッチは根性だ」

 

「「結局いつも通りです(か)ね」」

 

呉田大尉の無茶振りに呆れつつも軍曹たちはネウロイとの戦闘に突入していくのだった。

 

 

 

~ルティ・ラウフェイ大佐~

 

パラワン島基地ではルティ・ラウフェイ大佐が接敵の報告を受けていた。

 

「予定通り、各隊はネウロイの集団と接敵、交戦に入りました」

「そうか、接敵に成功したか」

 

ルティ・ラウフェイ大佐は机の地図上に書かれたマークを見ながら戦況を確認していた。側に居た中尉が、パラワン島基地を中心に北西、南西に友軍と敵軍が接敵したことを示すマークを書く。

 

「これですべてのネウロイの迎撃に成功しましたね」

「いや、まだ接敵しただけだ。殲滅できた訳じゃない、それに増援がないとも限らない」

 

指先で地図を撫でながら思案する大佐。

 

「何か気になることがあるので?」

「……ああ」

 

二人がインドシナからフィリピンまでの範囲の地図を眺めている時だった。

 

「報告します!緊急の電文です……」

 

大急ぎで来たのだろう通信員が息を荒立てながら、一呼吸、大きく息を吸い吐き出しながら、

 

「報告、東南アジア方面全体に緊急で、ハイフォンのネウロイの巣が……

 

「巣がどうした?ハッキリと言え」

 

通信員は動揺を隠さず、言葉を繰り出した。

 

「ハイフォンの巣がサイゴンに向けて移動を開始した模様、すでに大規模なネウロイの大群によってフエは陥落、沿岸部の主要都市も攻撃を受けつつあり」

 

その場にいた全員が驚愕することになった。このとき初めてこの攻撃が全体のほんの一部に過ぎなかったことに気付いたからだ。

 

第二次ネウロイ戦役より実に25年、軍の近代化が進み情報がいち早く伝わるようになったとは言え同時多発的に攻撃を仕掛けられたとき、それが圧倒的な物量と速さによって行なわれたならば、奇襲となんら変わりないものとなる。

 

戦局はこの日、大きく動き出す。

 

 




続きは気分次第によって来月か来年かもしくは来週になります
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