~パラワン島北部連合軍臨時基地 司令官室~
「なに?リオ少尉たちと連絡が取れないだと」
『は、定時報告もなく、こちらから呼びかけているのですが…それと』
「それと、なんだ」
『バラバク島からの、定時報告もありません』
ルティ大佐はそれを聞いて、座っていた椅子から勢いよく立ち上がり、机に拳を激しく叩きつけた。
「なぜそれを先に言わん!?直ちに、南部の駐留部隊に連絡を取るんだ!」
『は、はい!直ぐに』
「(さすがにリオたちがやられたとは思わないが何かトラブルがあったか、だが、バラバク島が落ちたのは確実だろう、最近のネウロイには可笑しな動きが多い。ただ不味いな、島への上陸拠点を作られたようなものだ。民間人の避難や部隊の派遣を急がねばなるまい。)」
ルティ大佐は次に行なうべき行動に向けて、司令官室をあとにする。
~リオ少尉~
「シア、大丈夫」
「問題なし」
潮風漂う、小さな砂浜で私とシアは寝転がっていた。なぜこうなったのか、それについてはたいしたことではない。
あのとき、殺気のようなものを感じた私は一度近くの駐屯地に移動することにした。しかし、駐屯地があるバラバク島まであと少しというところで、異変が起きた。異常な霧が発生し突然広がった。それ対してシアも私も警戒して高度を上げるために上昇しようとした。
ところが突然ジャベリンの出力が不安定になり、さらにいやなタイミングで現われた大型ネウロイと交戦することになった。大型ではあったがビームパネルは少ないし動きも遅い、ただでかいだけの的で、苦戦らしい苦戦はなく、あっけなく撃破に成功した。
しかし、不調だったジャベリンは限界だったのかそのまま墜落、なぜかシアも一緒に墜落。さらにさらに運が悪いことに通信機は不調なのか基地と連絡も取れない。
それが、いまの状況である。
「シア、これからどうしたらいいかな、お腹減ってきたし」
「…リオ、とりあえずバナナとココナッツとその葉、そこに生えてるの取ってきて、葉は若いのがいい」
「お~、わかった」
どうやらシアは、何か作ってくれるらしい
「まずは、リオはとりあえず砂浜を日当たりのいいところ掘って、できるだけ浅く深く」
「砂浜を?うん、まあ、わかった」
とりあえす手で砂浜を掘りながらシアのほうをみる。シアはまず、葉を手に取り茎の部分を青か赤で確認してわけていく。全部分けたら赤い物は、捨てる。
次に集めたそれなりの石をユニットの一部を利用して起こした火でしばらく熱してそのあと私が掘った穴に置いていき、そのあとにバナナの葉と分けた葉で隙間無く並べていく。
そしたら、並べ終わったところで。今度はココナッツ縦にしてをユニットの壊れた破片(ナイフ相当)でバッサリ綺麗に上の部分を切り、中身のココナッツミルクを半分ぐらいの量で葉を敷いた穴に入れる。残ったものはそのままに切った部分から肉質な部分を取り分けてまた穴にいれる。さらにバナナも皮をそれは丁寧に剥いて力強く切り分けていく。半分に分けたバナナたちを砂浜の葉を敷いた穴に入れて、さいごに分けた葉で入れた物をそれぞれ包んでいく。最後にバナナの葉で周りを包む。
「ん、砂でとじて」
「えっ、とじるの」
「うん」
言われた通りに砂で埋める。それからしばらくココナッツミルクを飲んだり肉質な部分を食べたりしながら待つ。
そしたら埋めたところを掘り出し、葉を慎重に取り出した。
「おお、暖かい、というかココナッツミルクがなんか固まっているような」
「そう、ならもう食べれる」
バナナで包んだ葉を一つ開くと、茶色葉に包まれて固まったココナッツミルクから漂う美味しそうな匂いが使い魔も気になるほどに嗅覚を刺激する。
「やばい、すっごく食べたい」
「ふ、いいよ、リオ食べて」
「うん、いただきまーす」
口に含んだ瞬間、私の脳裏に南国の島で、シアと楽しく遊び回る光景が広がっていく。
「すごいよこれ」
「へへ、バナナもおいしいよ」
シアに言われて、バナナを口に含む。するとバナナの甘さと焼けた食感が合わさりこれは普段食べるそのままのバナナよりさらに美味しくなっている。さらにバナナの風味が口全体に広がっていく。
「飲み物には、ココナッツの身とバナナを使った南国のホットティ、どうぞ」
「シア、しあ、大好き、シアがいないと私いきてけないよ!」
「ふふん」
このまま私たちはとりあえず夕食を楽しみながら一晩を暮らしたのだった。
~ラモス島守備隊 司令部~
ラモス島、バラバク島とは浅瀬で接するこの島には扶桑の兵士で構成された守備隊が配備されている。その規模は一個中隊に満たない数しかおらず、大した武装もなかった。一番火力がある武器は旧式の47mm対戦車砲だけだ。
「大尉、バラバク島からのネウロイの砲撃が激しく、さらに浅瀬を渡ってさらに陸戦ネウロイが上陸してきています、いつまでも砂浜でとどめることは出来ません!」
「…くそ、とにかく、南部駐留部隊から扶桑の陸戦隊が来るまで持ちこたえるんだ」
「しかし、旧式の47mmでは殆ど効果はなくていつまで持ち堪えられるか」
彼らの背後では、放たれた47mmの砲声が何度も響いてはいるが効いていないのか、悲痛な叫びが同じだけあるだけだった。
「だがそれでも増援が来るまではあと一日は砂浜でとどめるひつようがある」
扶桑の若い士官と軍曹はあまりにも絶望的な戦況に、もはや玉砕の覚悟を決めざる終えない。それ程までに時間がなかった。