スイッチ・メダル・トリガー   作:空ボトル

16 / 17

脳内補完をお願いします



敵の姿を確認

 

 

「助けて──」

 

 

 

 こんどこそアリエスの能力で深い眠りに落としたのは間違いない。

 それでも最後にこぼれたその声を聞いて、何も思わないほど僕は人間をやめたワケでもないので、なんというか……その……迷った。

 

ここでやらかした4つの出来事

1つ、根が小市民の僕はその言葉を聞いて僅かに判断を迷った

2つ、周りに人は居ないからと油断しきっていたこと

3つ、ヤミーのことが完全に意識から抜けていたこと

そして4つ、

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 キエェェェェ!! 

 

「ガッッ!?」

 

 攻撃する前に声を出すな、と言ってやりたいが完全に不意打ち。タカヤミーからの攻撃を背中にくらってしまった。

 

 は? なんで? 

 

 反射的に杖で殴りつけてから距離をとったが……暴走か? ヤミーは余程押さえつけていない限り言うことを聞くはずなのに。これじゃあ剣士の恥じゃないか。

 どうでもいいことを考えているうちにヤミーは那須に近づいた。

 

 よくわからんが連れ去られてたまるか! レオ・ゾディアーツに転身して引き離す! 

 純粋な身体能力ならホロスコープス最強のレオなら力負けすることはまず無い。ヤミーが暴走してしまったら大人しくメダルに還せないので那須から離れたところを叩く算段だ。

 

離れろや! 

 貫いたら危ないので爪を収めて殴る。その時に気づいた。

那須がいない。

 ヤミーがこちらに背を向けて影になっていたので気づかなかった。まさか、コイツ取り込みやがった!? 

 

 突如大きくなるヤミーの体。仕方がないので切りつけて見るがどう見ても焼け石に水。巨大化は止められない。

 メダルが広がり輪郭がハッキリした。どこか歪さを感じさせる巨大なワシの頭部。しなやかでありながら獰猛さ隠しきれないライオンの胴体。ワシの頭部から流れるように繋がっている大きな翼。

 現実にはありえない合体したような動物の姿。

 幻想の動物、グリフォンだった。

 

 

 

 

「紫じゃねぇだろ!」

 

 

 

 情報が混雑をおこして処理しきれていないが、叫んだのはそれだった。

 取り込まれた那須の欲望をよく見ると赤と黄が混在しておりオレンジのように見える。間違っても紫ではない。いつの間にか合成ヤミーになっていたようだ。……どのタイミングで? 

 恐らくタカとライオンの合成ヤミー、紫に所属しそうだが見た目は偶然のようだ。ビックリさせやがって。

 那須が中にいるため大技で一気に仕留められないが、少し見づらくともラプラスの瞳で姿を捉えられる。

 

「巨大なヤミーの誕生ハッピィバースデイ!! お前との出会いにケーキを送ろう」

 

「だが、あいにく準備がないもんでな。タイマン張らせてもらうぜ!」

 

 まずは引っ張り出す。これは長期戦だな。

 

「うぉっ」

 

 ワシ頭から放たれる挨拶代わりの火炎弾。

 着弾した場所から爆煙が上がるが問題なし。この程度ならば避けられるし爪で切り裂ける。

 くらったところでダメージはそこまでないので土煙を直進。一気に距離を詰める。

 そこで仮称グリフォンヤミー(ヤツ)は翼で周囲を吹き飛ばしながら空へと飛び上がった。

 

 被害を広げたくないから空中戦は嫌なんだけどな……

 流れ弾が飛ばないようにするためにもさっさと突き落とす。

 手持ちの中で自由に飛べるヴァルゴのスイッチを取り出したところで驚いた。

 

 

 

 

 

 

グリフォンヤミーはにげだした!
 

 

 

 

 

 はっや。ライオン(の胴体)のくせに脱兎のごとく逃げ出すんじゃない。

 というかお約束を破るんじゃない。ここは決着がつくまで戦うところだろう。

 しかも結構な速さだ。あれじゃあヴァルゴじゃ追いつけないな。

 

 変身を解いてベルトを装着しながら走り出す。

 

キィンキィン、キィンキィン

 

3・2・1……

 

「変身っ!」

 

 レバーを引いて変身完了。急いでいるので以下省略。

 

ロケット ON

 

 モジュールを展開して一気に飛ぶ。

 ロケットの名は伊達じゃない。距離がどんどん縮まっていく。

 疲れるまで飛んでやってもいいが、グリフォンヤミーが飛んでいる方向が非っ常にまずい。

 

 このままだと海上にでてしまう。

 道路上ならともかく、空を一直線となると三門市から海は割と近い。しかもこの速さ、並ぶ頃にはギリギリと言ったところか。

 海中戦にしろ海上戦にしろどちらもフォーゼじゃきつい。オーズなら一戦の余地ありだが、今ベルトを変えると逃げられる。

 

 どうにか誘導できないもんかと円を描くように動いてみるが効果なし。時々エネルギー弾が飛んでくるぐらいで進行方向が変わることもなし。

 このまま世界の果てまで飛んでいきそうだ。

 

「やるしか……ないか……!」

 

 そうこうしているうちに距離も詰まってきた。

 とにかく那須()を引っ張り出せば状況は変わるはず。

 

ドリル ON

 

 勝負は一瞬、狙うは一点、那須がいる場所……の隣ぐらい! 

 

「ライダーロケットドリルキィイィック!!」

 

 リミットブレイクまではしないがな! 

 

「うぉぉおおおおおおおおおおおお!!」

 

 姿勢制御がキッつい! その場所から動いてくれるなよ! 

 弾丸よろしくヤミーの身体を貫き進むドリル。この時ばかりは手についてないことが悔やまれる。

 

 

 

動くな動くな動くな動くな

 

 

 

 

動くな動くな動くな動くな動くな動くな動くな

 

 

 

 

 

「よっしャァァ!!」

 

 奪取成功。

 と同時にヤミーの身体を突き破る。舞い散るメダルが血しぶきのようだ。

 

キェェェエエエエェエエ!!! 

 

 流石にこたえたようで墜落していくグリフォンヤミー。

 海に落ちていくことなく人気のない海岸に不時着した。かなりギリギリだったようだが間に合ったようだ。

 

「ここで決める」

 

 まだ立ち直れてないようで飛びかかる様子すらない。

 それに夜空が徐々に明るくなってきている。そろそろ仕留めないとマズイ。

 

 割って……挿す! 

 

N Magnet

 

S Magnet

 

N S マグネット ON

NS マグネット ON

 

 磁力のエフェクトと共に装着される両肩の砲台。灰色の金属光沢をもつシールデッドガーメント覆われ赤と青のラインの入った身体。

 

 フォーゼ:マグネットステイツ

 

 うぉ~肩が動かねェ──

 フォーゼのシステムで姿勢制御がされているが、電磁砲の反動が凄まじいため上半身の盛り方が凄いことになっている。

 マジで肩の可動域が狭い。手甲のメタルバックフィストくんたちが仕事をする日が来るのだろうか? 

 だが固定砲台の威力はハンパじゃない! 

 

 右肩のNマグネットキャノンと左肩のSマグネットキャノンを合体。

 合わせてNSマグネットキャノン! 

 

 狙いはデカブツ、照準よし! 

 出番は少ないがトドメは持ってけ! 

 リミットイグネイター、ON! 

 

カチッ

 

リミット ブレイク

 

「ライダー超電磁ボンバー!!!!」

 

 マグネットキャノンの先端からN()の力とS()の力を束ねて放たれる紫の閃光。

 苦し紛れの火炎弾が飛ばされるが競り合うまでもなく打ち消し突き進む。

 

ギ……エ……

 

 ヤミーに直撃した光弾はその磁力の力で体をねじ曲げ圧縮。ヤミーの悲痛な声が抵抗の虚しさを表している。ほぼ球の形になって、それでも抑えられない力が光となって集まり

──爆発。

 

 

 エッッグ……

 ヤミーに血が通ってなくてよかった。メダルじゃなかったらグロ確定なことだろう。撃破したのに後味が悪いわ。

 

 ここに来るまでセルメダルをだいぶ撒き散らしちゃったしなぁ。これはカンドロイド総動員でも徹夜確定です。明日(今日)の学校は無理だな。

 余談だが、NSマグフォンはカンドロイドやマシンマッシグラー、パワーダイザー等の呼び出しに使っている。今どきゴツイガラケーはちょっとね……

 これでカンドロイドたちを一声で呼び出せる。

 

 那須は……まだ気を失っているようだ。

 長い追走劇になってしまったし早く家に返そう。いや、病院か? 

 念の為アリエスで診ておくか……なッ!? 

 

 

 ●✖▲■

 

 

 目を開けるとそこには見慣れていて、もう見ることはないと思っていた天井だった。

 いつもお世話になってる病院。いくつもの点滴。

 

「玲っ! よかった……」

 

 お母さんが私が起きたことに気づいたようで手を握る。安堵した顔だけど疲れが見える、ずっとここに居たのかもしれない。

 

 最後に見た光景は……()()()()()

 

 

 

 

……ョキン ジョキン ジョキン

 

 身体の奥底から冷えていくようなハサミの裂く音で気がついた。そして身体が動かせないことも。

 

「いやー、溢れんばかりの生命エネルギーには驚かされたもんだが意外と何とかなるもんだ」

「小分けに取り出すのはちょっとばかしコツが必要だったがなァ」

 

 キャンサーさまさまだ。とケラケラ笑っているその声は間違いない、ガモウだ。

 私を治したのは嘘だったのか。何故ここにいるのか。私に何をしたのか。

 聞きたいことは尽きないのに、口どころか指先一つ動かせない。

 

「とりあえず救急車を呼ぶかな……っと。あっやべ」

 

 みるみるうちに身体から熱が逃げていく。

 やっと自由に歩ける力が手に入ったのに! 

 みんなと同じになれたのに! 

 私の希望を奪わないで! 

 

「すみません。間違えてかけちゃったんですよ……はい……ではまた……えっ? スナイパーの? たしか3番目の……はい……ではまた()()()()で」

 

 どれだけ私が心の中で叫ぼうが呪おうが、関係ないとばかりに電話をしている。

 悔しい。

 今、問い詰めるべきヒトが目の前にいるというのに私には力がない。

 

「夜勤でも元気だなあの人。よーし集まれお前らー」

「ちょっ、一気に来すっ」

 

 さざ波のように広がる銀色のメダル。

 うーわっ落としすぎ、と多くの変な機械ともに銀色のメダルを集めるガモウ。

 呑気に拾っているであろうその背中を突き飛ばしてやりたいのに、目の前の目立つ赤いメダルを睨むことしかできない私の無力さが口惜しい。

 

「いつの間にか落としてたか、危ない危ない」

 

 そのメダルもガモウが手をのばして拾う。

 

「メダルは全部……揃ってるな」

 

「さて、余の都合ではあるが契約を勝手に切らせてもらって申し訳ない。だが、お前は良き縁に恵まれることだろう」

「これまでのことはまぁ、夢だったと思え」

 

 ふざけないで

 

 声にならない言葉と同時に最後、強烈な眠気に流された。

 

 

 

 

 ああ、覚えてる。覚えてるとも。

 私に希望を見せて取り上げられた恨みを忘れてなるものか。

 ボーダー。赤いメダル。銀色のメダル。動物を模した小型の機械。

 直接的な手がかりは全くない。

 だけど必ず見つけだす。

 

 

「お母さん、私ボーダーに入りたい」

 

 

 

 

 

 

 私の希望を取り上げたこと

 必ず後悔させてやる

 

 

 

 

 

 

 

 





戦闘描写の表現の限界で首が締まりそう。臨場感ってなんだ…?
なっとるやろがいの精神で書いてます。
美人に執着されるのはええなぁー、ただし傍から見るに限る。
原作の那須の供給が足りない…もっともっと出番増えて欲しいノーネ…

うぉぉおおおおお!!!
輝け俺の中のエミュ力ッッ!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。