スイッチ・メダル・トリガー   作:空ボトル

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閑古鳥

 

 僕が担当しているエンジニア室は1人で使う分には結構な広さで割と広め。色んな機材や机があってもそこまで窮屈さを感じない。

 まぁそれでも

 

「人こねぇ~」

 

 トリガーの構成を変えようとする客人の来訪はほとんどない。鳴きそうな閑古鳥が近くにいたらそいつで遊びたいぐらいには暇だ。

 2~3人1グループ1部屋で担当しているが僕以外は全員ボーダー所属の本職、それに現状1人でも回せるので先輩たちはトリガー開発に勤しんでいる。

 だからと言って空けておく訳にはいかないのがなー。体感的には保健室の主になったような気分だ。テレビを置かせてもらえないかな? ゲームでも可。

 

 やんわりとした強さのランキングとして個人ポイントがあるものの、チーム対抗のランク戦はまだ始まっていない。始まったら編成とか考えつつトリガー構成の試行錯誤でもうちょっと忙しくなりそうなのに。

 

 防衛任務についている正規隊員もほとんど来ることがない。

 ネイバーとの戦闘ではバムスター程度ならだいたい1人で処理できるし、多少厄介なヤツが出ても射手(シューター)銃手(ガンナー)で足を止めて攻撃手(アタッカー)狙撃手(スナイパー)でトドメを刺す流れが主流のようだ。

 メテオラを使った時に攻撃手が巻き込まれるという悲しい事故が起きてからは通常弾(アステロイド)追尾弾(ハウンド)がよく使われている。

 

 手堅い戦法であるのは分かるが戦略の1本化が見られるあたり、ランク戦を開催する意義が見えたのは新たな発見だ。

 手を替え品を替え、っていうのは相手のバリエーションが多くなければやらないもんな。

 

 コソッとトリガーを付け替えちゃえばアステロイドが打てるんじゃ!? と適当なトリガーを試し打ちしようと思ったのだがダメだった。

 非戦闘員用のトリガーでは試し打ち用のシミュレーションルームに対応しておらず入れなかった。

 そもそも中身を開けないしね。

 そんなー

 

 トリオン体には僅かな身体能力の強化ぐらいしかないのだから通行証でしかないのがよくわかる。あまり変身した実感が湧かないものだから飲み食いのし過ぎでデブデブにならないように気をつけたい。

 毎日変身しての戦闘訓練をしているから大丈夫だよね……? 

 

 思わずフォークが止まる。思えばここに来る度ケーキを食べている気がする。

 ……帰ったら体重計に乗ろ

 

 趣味でやっているケーキ作りなんだが、衝動でやっているため向こう見ずな頻度になってしまっている。

 先輩達とかにおすそ分けをしてもなかなか会わないしな……でもやるならホールで作りたいし……。

 とりあえず食うかー

 

 とフォークを向けたところでエンジニア室のトビラが開いた。

 

「長月いるか?」

 

「太刀川さん」

 

 来客の1人は攻撃手1位の戦闘バカこと太刀川慶がいた。

 ちょっとこの人には苦手意識がある。

 以前、僕が担当している時にも来たことがあるのだがそれはもう注文が多かった。

 シンプルなデザインとはいえ孤月は多少の調整ができる。そこでやってきたようなのだが振っては重くして、振っては少し長くして、振ってはやっぱり短くしてと4時間ぶっ続けの調整は流石にキツい。

 この時ばかりは細かく調整できるようにしたボーダーのエンジニアを恨んだ。

 それはそれとして太刀川隊の隊服じゃない太刀川の姿は激レアだったので適当な理由をつけて写真を撮らせてもらった。

 

「ここに来るなんて珍しいですね」

 

「暇だったからこいつの案内も兼ねてな」

 

 と促されてもさもさの男前が出てきた。

 

「烏丸です。よろしくお願いします」

 

 未来の玉狛第一のオールラウンダー烏丸京介。

 白じゃないからもう正規隊員なのだろう。一般の隊服でもイケメンが着るとブランド物のようだ。

 

「もしかしてトリガーの設定? ちょっと待って少し片付けるから」

 

 食べかけのショートケーキを食べきって直ぐに準備にかかる。

 

「またケーキ食ってんのか。餅食えよモチ」

 

 餅はなー。ケーキに入れるにはちょっとなー。

 

「さて、どんなトリガーを使いたいとかある? やりたいポジションがあったら適当にいれてみるのもありだけど」

 

「近接は……大丈夫そうなんで銃手(ガンナー)の人が使っている銃をいれてもらっていいですか?」

 

「突撃銃かな? 銃にも色んな種類があるけど試し打ちしてみる?」

 

「お願いします」

 

 シミュレーターを起動してちょこっと設定。

 烏丸がいろんな銃を的に向かって打っている。

 気にいったのがあったら言ってねー

 

「行かなくていいんですか?」

 

「銃のことはさっぱりだからな」

 

 孤月があればいいし、とのことだった

 

「正規隊員になりたてっぽいのによく見つけましたね。やっぱり切りがいがありそうだったんで?」

 

「いや、迅にちょうどいい奴を紹介してもらった」

 

 あっ⋯⋯(察し)

 

「それに、長くいるつもりはないからいいんだよ。このあと隊室を見に行くしな」

 

「隊室?」

 

「あぁ、忍田さんに言われて部隊を作ったんだ。烏丸の予定も合ったし結成記念も兼ねてゲームをしようぜ国近がな」

 

 なん……だと……

 まだ先だと思われていた部隊の結成がすでに始まっていた……? 

 エンジニア室に拘束されがちだったとはいえ気づかなかったとは不覚ッ! 

 しかも結成記念だってぇ? それってつまりよぉ

 

 

 誕生日ってことじゃねぇか!!!! 

 

 

「……太刀川さん……隊室ってどこですか」

 

「え? 個人ランク戦のところの近くだけど」

 

「わかりました! この長月英士、全力で取り組まさせてもらいます!!!」

 

 聞いた感じだと残された時間は少ない。

 だがこの瞬間を祝わない訳にはいかないッ! 

 1分1秒が惜しい、全速力で作成に向かわせていただくッ! 

 

「長月さん大丈夫で……長月さんは?」

 

「知らん。どっかに走っていった」

 

 

(制作時間にしては)会心の出来のケーキは太刀川隊のメンバーに喜んでもらえた。

 あとシフトをブッチしたので上司からしこたま怒られた。

 




原作で言ってないだけで迅さんはそういうことする

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