やっちまった。
大規模侵攻を終えて思ったのはこれだった。
怒りのあまりゾディアーツに変身するなんて……フォーゼを使いもしないなんて……
パッと手に取ったのがホロスコープスの方だというのがまずい。
こっちの方が長く使っていたとはいえ、気づかない内にスイッチの力に飲み込まれているのだろうか。制御できてると思ってたんだけどなー。
あと超新星。こいつのせいもある。
取り込んだあと気分が上がって、他のホロスコープにもバンバン変身したあげく、調子に乗ってノヴァ状態にもなってしまった。
途中で我に返ったから良かったものの、人を巻き込みかねなかった。申し訳程度にアリエスの力で傷を癒す雨を降らせたから許されないかな……
十分使いこなせているはずだから、ホロスコープスに変身するのはひかえておこう。
僕は仮面ライダー……仮面ライダーフォーゼなんだぁ……
……本当に気をつけよう。
□□□
住んでいた家がない。
粉々になった家屋の破片のなかに、見覚えがある物が混ざっているのが余計に感じさせる。……片付けが終わっていなかったのに。
周りの様子を観察してみたところ、どうやら家のすぐそばでゲートが開いて近界民が出てきたようだ。
……いやどないせいと?
気を抜いていたというのは確かにあるが、どおりで吹っ飛ばされる訳だ。
偶然とはいえ、自分の運の無さに笑ってしまいそうだ。クソっ。
バガミールが両親の最期を撮っていた。いや映ってしまっていた。
気絶しなかった両親は僕を助けようとしていたフードロイドたちを見て一緒にに掘り出そうとしていた。
そこへバムスターが現れて……
ポテチョキンがハサミを振り回しても、ソフトーニャが冷気をだしても、無駄だった。
この時に目が覚めていれば……
こころなしかフードロイドたちは申し訳なさそうだ。
いいんだよ、気にすんな。仕方がないことなんだ。しかたない、しかたない……
家にあった物は大した思い出がないとはいえ、ほとんどがダメになってしまっている。
雨のせいでもっと酷い。降らせない方が良かったか?
被害者の数は原作とあまり変わりなく、減らせた感じがしない。参戦するのが遅かったのもあるとは思うが。
あれだけ暴れたから迅さんに見られたと思ったが、リアクションが全然ない。
もしかしたら抹殺の可能性があったので警戒していたのだが、あまりにも無さすぎる。
もしかして見られてない? 素顔じゃないと反応しない感じ?
……しばらくは気をつけるとして、この世界の流れは原作と同じと考えて良いかもしれない。
僕が原作の流れを変えようとするならボーダー基地を消し飛ばすぐらいのことをしないと変わらなそうだ。しないけど。
ライダーの力をもらって使いこなそうと努力して、その結果得られたのは未来は変わらないという事実。
最悪(原作以上の被害)じゃない分マシだが、くるものがある。
駆け抜け過ぎたせいか、舞い上がっていたせいか、その結果がこれだ。
あーあ、家もこんなになっちゃってー。
敷地と道路の境目すらわかんなく……?
綺麗に包装されていたであろう箱が落ちていた。
入っていたのは手紙と、黒に青いラインが入ったケース、見たことがあるバックル。
手紙を読むと両親から僕へのプレゼントだった。
会えるのが年に数回とはいえ両親は憧れで、楽しそうに話をしてくれる姿は輝いていた。
前世が一人暮らしには慣れていたものの、それでも寂しさがあったように思う。僕じゃなかったら育児放棄だと思うけど(祖母にも怒られていた)。
今思うと、ゲートスイッチをもらってからラビットハッチで夢中になっていたのはそのせいだったからかもしれない。
殺されと知った時は怒ったし、悲しんだ。
怒りは近界民にぶつけてしまったせいか、両親が亡くなったことにはただただ虚しさしかない。
と思っていたんだけどな……
手紙を読んでから涙が止まらない。
このご時世に珍しく書く人だった母の最期の手紙。
面倒な土産はやめろと言っているのに、なぜか始まる父の土産話。
もう二度と2人から話を聞くことはできない。
……あなた達からスイッチをもらったからこそ嬉しかった。
もう1つ望んでいたライダー、
それを得る代償のように両親を奪うなんて酷いじゃないか……
□□□
仮説住宅に移ってから日が経つが学校はまだ再開しない。あれだけ大きな被害がでたら当然か。
葬儀に片付けといったことは終えて、1人にさせてもらっているがモヤモヤと考えながら空虚に過ごしている。
燃えつきた。今の僕を表すのはその言葉だ。
オーズの力を試してすらいない。
以前なら飛び上がって解析に取りかかっていたと思う。
どんな風に動けるのかのか気にはなっている。
なのに身体を動かす気力がない。立ち上がれず、まぁいっかと過ごしてしまう。
思えばどうしてフォーゼのシステムの時はあんなに頑張れたのだろう……
未来は変えられない……何もしなくていいんじゃないか……祖母のところへ引っ越そうかな……
ドンドンドン! ドンドンドン!
扉は薄く音がよく響く。
留守でーす。誰もいませーん。
ドンドンドン!
……ガララララ
は? 鍵を閉めてなかっとはいえ窓から入って来たのか?
強盗かよ。締めあげてや──
「ボーダーあんたも入りなさい」
香取さん? 不法侵入で訴えていいですか?
主人公のうじうじタイムは最初で最後です。