――私が生きる意味とはなんなのか
答えはいつまでたっても見つからず無機質に4本の足を動かし続ける。
そして、一体どれくらい歩いたのであろうか。体力には少しばかり自信があったが、さすがに限界が近づいていた。
それでも、ただ歩き続けた。まるで、導かれていくかのように。
私は「今の私」になったときから、よく人間や他のポケモンに一目置かれることが多かった。
周りから多くの感動の声が聞こえた。正直、他人に賞賛を貰うということは、悪くはなかった。
しかし……。
私はいつからか、人間に狙われることが起こるようになった。急に攻撃を仕掛けてきては『モンスターボール』と呼ばれしものを投げつけてこようとするのだ。
あれに入ればどうなるかわかる。きっと人間との主従関係が出来上がってしまうのだろう。
私はそんな関係を嫌い、ボールに閉じ込められることを幾度となく回避してきた。
周りの風景を見ていると、人間とポケモンが仲良くしている姿をよく見かけた。中にはこちらが思わず微笑んでしまうような者たちまで……。
しかし、その一方で、ポケモンを乱獲し、悪用している人間がいるとも聞いていた。私はその話を聞いて以来、どうも人間のことを信じられなくなってしまった。
気付けば、あまり人間の通らないような道を無意識に選ぶようにもなっていた。
しかし、常に周りには気を配るようにしていても、いかんせん体が大きいうえに、体色も目立ってしまうことが仇となり、隠れるということが苦手だった。
人間たちと会えば、すぐに逃げてしまうような……そんな臆病な存在となってしまっていた。
人間につかまっていけない理由はもう1つある。
私には家族がいた。私は自分の家族が大好きだった。
私の疲れた心を癒してくれてた、そんな暖かさに包まれていた、家族が。
私はたまに家族の元を離れては、旅をし、そこで経験したのを家族に話していた。旅は危険なことも多いが、悪いことだけでもない。それを楽しそうに聞いてくれる家族を見て、私は嬉しかった。もっともっと、色々な経験をして、それを子供たちに話してあげたかった。そのためにも、私は人間には捕まってはいけなかった。そして、家族にも近づけさせたくはなかった。
私はいつまでも家族と幸せでいたかった。
なのに、なぜ……。
ある日、旅から巣に戻ってみると、家族は誰一人といなかった。食料でも調達しているのかと思い、私は旅の疲れもあり、しばらく眠っていた。
日が暮れる頃、ふと目を覚ました。まだ、周りには誰もいない。
さすがに違和感を覚え、周りを見渡してみると……。
まるで、暴れた後のような痕跡が至る所に見受けられた。
最初は疲労で周りが見えていなかったが、巣の中はぐちゃぐちゃだった。
そして、床には、人間が作ったと思われる道具の破片が。
そこで私は気付いてしまった。
家族はもう帰ってこないのだと。
生きる意味を無くしてしまった私は、何を考えることもなく、巣を出ていった。
まぶしい朝日が昇ろうとも月が地を照らそうとも私は目的もなくただ歩き続けていた。
そして、今に至る。
数日間何も食べてないためか、目まいも襲ってくる。脚もふらつき始め、いよいよ終わりを迎える時が来たのであろうか。
それでも私は歩き続けた。なぜだろう。自分でもわからない。
無意識に歩み続けていると、突然、目の前に霧が立ち込めてきた。
「これは……」
なんだかあまりにも不自然な霧だった。特に不気味というわけではないが、どこか不思議な感覚がする。
普通だったらすぐにでも引き返すところ、今の私は、まるで招かれるように先へ進んでいった。
ただただひたすら、歩き続ける。目の前の風景は一向に変わらない。
体力的にもこれ以上歩き続けるのは無理だ。いっそこのまま倒れて楽になれれば――
「おや、来ましたね。ふふ、待ってましたよ」
「……え?」
どこからか声が聴こえた。まるで透き通るような美しく、そしてどこか優しさを感じる、声。
私は周りを見渡してみる。しかし霧が深いせいか何も見えない。しばらく声の主を探そうと歩いていると、目の前で霧が急に消えた。周りの風景が一気に目に入ってくる。
そこは……圧倒的な自然。まさに自然とはこれのことかと思い知らされるほどだった。
さまざまな色で咲き乱れる花。新鮮な果実が詰まっていそうな木の実。ゆるやかに流れるせせらぎ。
その情景に圧倒されつつ、前に視線に戻してみるといつのまにかポケモンがいた。
身体は大きい。私とほぼ同じ大きさだ。身体の色は、水色と白が目立つ。そして、紫色の鬣や細いベールのようなものが風に乗って揺れている。頭部にある立派なクリスタルのようなものは太陽の光に照らされ輝いていた。
とても綺麗なポケモンだ。
そのポケモンは私に微笑んでくる。
「ようこそ、私たちの森へ。貴方は……ウインディ、ですよね?」
「ああ、はい。そうですけど……ええと……」
私は今の状況が理解できず首を傾げると、相手はすぐに頭を下げてきた。
「あ、申し訳ございません。私、接客とか苦手で……」
「はぁ……」
相変わらずよくわからなかった。私はどうすればいいかもわからなかったため、とりあえず相手の名前を教えてもらうことにした。
「ところで、貴方は……」
「あ、私のこと、存じませんか?」
存じませんか?どういうことなのだろうか……?
確かに見た目もオーラも他と一線を画している気がするが……。
そのポケモンは、一拍おいて、口を開けた。
「……私の名前は、スイクン。この森の住民です」
安定の駄文なことは言うまでもないとして……。
この作品はポケモンが主人公です。
テンポよく話が進むよう頑張ります、よろしくお願いします!