世界の背表紙で、君と踊ろう   作:厳冬蜜柑

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差し伸べられた手を握った、その時こそが。
君と僕の世界の、きっと始まり。



[EOS] Let me dance with you (2/2)

 リコリコのみんなとのクリスマスパーティーも、いよいよ後半の山場を迎えようとしていた。

 

 たきなさんたちが用意してくれたケーキの、ブッシュドノエルの傍らにミカさんのコーヒーを添えて、交わされる歓談の声に、カップから立ち上る湯気と香りに、ほっと息をつく。そんなひとときにどこか宴の終わりを予感し始めたところで、当のたきなさんがすっくと立ちあがった。

 彼女が今日、この宴席の中でそういう突拍子もないことをするのは、決まって「次の予定がある」ときだ。今度は何だろうと思ってみていれば、たきなさんは一度バックヤードに引っ込んで、それから直ぐに何かを持って戻ってきた。

 

 見る限り、それは()()()()だった。どちらもそれなりに大きく、そして綺麗にラッピングが施されている。

 それを目にして、さすがの僕も彼女の意図を察した。隣にいる千束もそうなのだろうか、気づけば纏う雰囲気が、確かに浮ついたものを帯び始めている。

 

 そんな僕たちをちらりと見て、たきなさんはすまし顔で宣言した。

 ――それでは、プレゼントの時間にしましょう、と。

 

 

 

 聞けば、どうやらこれこそが今日のパーティーにおける僕と千束の快気祝いの部分らしい。故にと言うか、こちらとして何も返すものを用意できていないことを謝ろうとしたが、かなり頑なに固辞された。

 「プレゼント交換みたいな話じゃないですから」とは、たきなさんの言だ。プレゼント交換という行事の何たるかを彼女が知っているという事実にやや驚きを覚えたが、それは今日の本筋とは特に関係のない話だろう。

 

 ともかくこれは、リコリコの全員から僕と千束に向けての、「おかえりなさい」の意味をも込めた贈り物なのだ。そう僕は理解した。

 胸の中に、俄に温かさのようなものが広がってゆく。現物などなくても、その気持ちだけでも、どうしようもなく感じ入るものがあった。この場所が、みんなが、どれほど得難い存在なのかを、否応なしに意識する。

 

 深い感慨を込めて見つめる先、たきなさんは自らの両手に抱える二つの箱をひとまずカウンターに置いて、そのうちの片方を座敷席へと持ってきた。

 座敷に上がって、正座する。正対したのは千束の方だ。向けられた視線の真っ直ぐさ故にだろうか、彼女もまたガラにもなく畏まっていた。

 そんな相手の振る舞いをちらりと見て、たきなさんが小さく咳払いをする。一度そこで気息を整えてから、徐に箱を掲げた。

 

「まずは、千束です。……メリークリスマス。それと――無事で何よりでした」

 

 言葉と共に差し出されたのは、細長い箱だった。真紅の包装紙で飾り立てられて、プレゼント然とした雰囲気を醸し出している。

 

「うん。ありがとう、たきな。……ね、開けていい?」

 

 受け取って胸に抱きつつ、千束が訊ねる。ぜひ、とたきなさんに促されて、彼女は卓袱台の上にその箱を置いた。

 丁寧にシールとテープをはがし、破らないように気を配りながらも、包装紙を広げていく。そして出てきた紙の箱を開けて――千束は大きく息を呑んだ。

 

 内に覗いたのは、ウール地のマフラーだった。取り出して広げれば、ターコイズブルーの一色染めが鮮やかに映えている。

 千束の普段のファッションにおける色遣いとは、やや趣を異にしているようにも見えるそれには、たきなさんの一つの思いが込められていた。

 

「この間、千束が私にマフラーをくれたことがあったじゃないですか。確か先月。その時もらったのが、千束のつけてたサーモンピンクのマフラーで」

 

 未だ言葉が見つからない様子の千束めがけて、彼女は思うところを語る。

 

「ですから、『千束にプレゼントを』ってなったとき、それと対になるような何かを、お返しにしたいと思って。勉強したんです、色のこと」

 

 その辺りで、僕はたきなさんの意図を理解した。

 サーモンピンクとターコイズブルーは、()()()()()()()()。互いが互いを補い合う、色ごとに一つしかない組み合わせだ。

 そしてそれを、自らと千束に、彼女は重ね合わせた。

 

「だからこれからもそういう関係でいられたらって。そう思って、これを。……どう、でしょうか」

 

 そう、上目遣いに問いかけて、たきなさんは言葉を結ぶ。

 

 千束はそれに、すぐには何も言わなかった。しかしそれは、プレゼントの中身に興味を示さなかったからでは断じてない。

 それから一秒、二秒ほどの沈黙を経て、千束が示した反応は、その顔は、筆舌に尽くしがたいものだった。

 

 あらゆる感情が一度に去来したように、声にならない声を上げる。今にも暴れだしそうな衝動を堪えるように、左腕を右手で強く押さえつけた。

 しかし結局、彼女は抑えきれないとばかりに卓袱台を回り込んで、たきなさんにひっしと抱きついた。

 

 ありがとう。ありがとう。掠れたような声が響く。感極まって震えて、その裏にある狂おしいほどの感情の奔流を、それははっきりと示していた。

 

「ダメだぁ。ちょっと泣いちゃいそう、私。嬉し過ぎて」

 

 言葉通り半分湿ったような声色でそう口にした千束は、埋めていたたきなさんの肩から顔を上げて、幸せそうに笑った。

 

「――でも、ありがとう。たきな」

 

 至近距離からそれを受けて、たきなさんが少しだけたじろぐ。それでもすぐに持ち直して、彼女もまた満更でもなさそうな笑みを、その顔に浮かべた。

 

 ――喜んでもらえて、なによりです。

 そう返したたきなさんのその声色は、少しばかり誇らしげに、僕には聞こえた。

 

 

 

 ここまでが、千束の方の話である。

 ただカウンターにはもう一つプレゼントが置かれていて、それはこれまでの話を考えるに僕のためのものなのだろう。

 果たしてたきなさんからの目配せに応えてその箱を取りに行ったのは、なんと()()()だった。

 

 明らかに小柄な身体で、千束用のプレゼントよりも二回りほど大きな箱をえっちらおっちらと持ってきた彼女が、ほれ、とばかりにそれを差し出してくる。

 

「ほい、これ隼矢のな。メリークリスマス」

 

 たきなさんのそれと比べると、味も素っ気もない。

 でも、それでよかった。クルミとの間には、そういうものは似合わない。

 

「サンキュ。これはみんなで?」

「ん? ああ、そうだぞ」

「そっか。……ありがとね」

 

 受け取って、特に断りを入れることもなく開いていく。

 そこから出てきたのは、思いもよらないものだった。

 

「これは……コーヒーセット?」

 

 僕の問いかけに、クルミではなくミカさんが頷く。

 そしてそのまま、彼はこのプレゼントについて僕に説いた。

 

 曰く、これはミカさんのチョイスなのだという。まあ「そうだろうな」というセレクションだが、実とのころこのセットは相当馬鹿にならない代物だ。

 なんでもこの中には、小ぶりながらも本格派のコーヒーミルに、一人用のサイフォン、さらにペーパードリップ用のドリッパーやドリップポットと、これ一つあれば自宅で()()()コーヒーを淹れることができる道具が一式揃っているらしい。

 何とも本格的である。それを聞いて、千束が横から本気で羨ましがるような声を上げていた。

 

「ぜひ使ってやってくれ」

 

 そう言って穏やかに笑ったミカさんに、深くお辞儀をする。

 どうせならこれを最大限に活用するべく、当のミカさんにコーヒーの淹れ方について師事するのもありかもしれない。そんなことも考えた。

 

 

 

 ともあれ、カウンターにあった二つの箱は今、無事にそれぞれ渡るべき相手の手に渡った。

 ならばプレゼントとしては、これで全部だろうか。そう思っていた僕の袖を、しかし誰かがくいっと引っ張った。

 誰かと言うか、クルミだった。

 

「あ、そうだ。『使ってやってくれ』ってので思い出した」

 

 横から彼女の声がする。どうやら、まだ続きがあるらしい。

 どうしたのかとそちらを向くと、どこか神妙な顔つきでクルミは自らのパーカーのポケットから何かを取り出していた。

 

「ま、『クリスマスプレゼント』と言っていいかは微妙なところなんだが……ほれ」

 

 片手を、僕の方へと向ける。見ればその親指と人差し指に、挟まれているものがある。

 それは、USBフラッシュメモリだった。

 

「これは……?」

「ボク個人からのだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 首を傾げて訊ねた僕に、クルミはあっけらかんとそう言ってのけた。

 

 

 

 思わず、目を瞠っていた。何故ならそれは僕にとっては、と言うよりクルミにとって生命線に等しいもののはずだったからだ。

 大体にして僕たち技術者、特にITセキュリティ関連の技術者は、自作のエクスプロイト用ツールセットを持っているのが普通である。基本的な攻撃オペレーションの自動化ツールや、分析を行うためのデータ整形アプリ、果ては欠落した情報を補完するための機械学習モデルに至るまで、その中身は多岐にわたるが、いずれにせよそれは他人に見せるものではなく、まして共有するものでもない。自分自身の知識と経験、ノウハウの結晶に他ならないのだから、当然のことだろう。

 しかしそれを、クルミは僕に分けてくれるという。

 

「いいのか? これ……」

 

 発した僕の声は、震えていた。

 なんとなれば、それは一部とはいえ天下の「ウォールナット」が持つ分析エンジンなのだ。当然にして、僕が自前で持っているようなツールとはものが違う。次元が違うと言ってもいい。いつぞやの、武器取引に関する写真からの3D構造の復元補完など、クルミのほかに誰ができるというのか。

 しかし僕のその問いに、クルミは笑って答えた。

 

「ま、そろそろいいかと思ってな。……もう、()()だろう? ボクらは」

 

 それに、流石に誰にも渡せないようなツールは外してるぞ、などとなんでもないように続けた彼女の口からは、「ウォールナット」として知り合った時のそれではない、「クルミ」としての彼女個人の信頼のようなものを感じた。

 

 ――仲間。仲間か。彼女のその一言を反芻する。

 今年の春に初めて生身のクルミと知り合ってから凡そ半年、その言葉になんの後ろめたさも抱くことなく、真っすぐにそれを言えるように、そして聞けるようになったことを、僕は今更ながらに実感した。

 それもまた、僕がここにやってきたことの、ここでやってきたことの、価値の一つであるのだろう。

 

「……なら、遠慮なく使わせてもらうよ。ありがとう」

 

 だから僕は、これまでの日々の一つの結実とも言えるそれを、クルミからの贈り物を、押し頂くように受け取った。

 殆ど重さなど感じないはずのUSBメモリに、それでも僕は確かな重みを感じていた。

 

 

 

 

 

 斯くて、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 プレゼント会が終わり、ケーキも含めたすべての料理が平らげられれば、名残惜しくもパーティーはお開きとなった。

 

 時刻は、夜も十時である。卓袱台の上にはもはや宴の残り香すらなく、店はすっかりいつもの景色を取り戻していた。

 ミズキさんはすでに帰宅の途に就いていて、クルミは風呂に入りに奥へと引っ込んで久しい。

 

 そして今、たきなさんもまたリコリス制服に着替えて、この店から出るべく表口に立っていた。

 

「それでは、千束、隼矢さん。店長も、また明日」

 

 いつもの澄ました調子でそう挨拶するたきなさんに、僕の隣に立つ千束が声を上げた。

 

「うん! ……あ、たきな、今日ありがとう! めっちゃ楽しかった!」

 

 満面の笑みを浮かべて、彼女はたきなさんに今日の感謝を伝えている。

 

「僕も。たきなさん、ありがとうね、いろいろ考えてくれて。すごくいいパーティーだった」

 

 僕もそれに同調するようにそうたきなさんに声をかけると、彼女は少しばかりの面映ゆさをその顔に浮かべつつ、どうも、と小さく頭を下げた。

 

「二人ともそう言ってもらえると、私としても嬉しいです。……では、また」

 

 その言葉と共に、彼女は扉を開けて去ってゆく。結わえられた鈴が奏でる小さな音が、たきなさんがいなくなった店内に響いて、そして溶けた。

 

 

 

 とかく、これでこの場に残ったのは、千束とミカさん、そして僕の三人だけになった。

 ならば、僕も帰る準備をしようか。そう思ってバックヤードへと一歩踏み出したと同時に、千束が僕を呼び止める。

 

「あの、隼矢さんさ」

「どうした?」

「その……」

 

 問い返した僕を見て、千束は思わずと言った風情で口ごもる。そのままちらりとカウンター裏に立つミカさんに目をやって、さらに座敷席の襖へと目線を移した。

 彼女の視線の向かう先を、僕もまた目で追う。その末に辿り着いたのは、座敷席の押し入れだった。

 

 そこには、基本的にはボドゲセットをはじめとしたクルミの遊び道具が仕舞われている。あとは客席用の座布団を入れておく場所でもあった。

 ただし今このタイミングにおいてだけは、そこに目を向けるというのは一つ特別な意味を持つ。つまりそれは、僕と千束、二人で交わした一つの約束にまつわるものだった。

 

「二人とも退院出来たら、振袖着たいって言ったじゃん? ……その、今からは、ダメかなって」

 

 そういうことだ。今あの押し入れの中には、千束の()()()()()()()が仕舞われている。

 どことなくもじもじとした様子で、千束は僕にそう問いかけてきた。

 

「いや、僕は全然いいんだけど……でも今もう夜の十時だよ? ちょっと遅くない?」

「そうなんだけど……」

 

 さっきからどうにも煮え切らない様子の彼女だが、しかしそこで一度口ごもったあと、意を決したように僕の目を真っ直ぐに見た。

 

「どうしても、今日がいい。今がいい。隼矢さん、ダメかな」

 

 目つきも声も、真剣そのものに思える。何か彼女の中で、決断するようなことがあったということだろうか。もしそういうことなのであれば、僕自身には否やはない。ただ問題は、この店に残るもう一人だった。

 

「僕は、全く問題ないよ。ただ……ミカさん?」

 

 その意見を確認しようと、カウンター裏のミカさんに声をかける。しかし彼はこちらを向いて、僕が何かを言う前に口を開いた。どうやらというか当然というか、僕と千束のやり取りは彼の耳にも入っていたらしい。

 

「私も、別に構わない。なら、明日の営業は午後からにしようか」

 

 ミカさんが、千束の方を向きつつそう答える。

 その言葉を聞いて、千束は満面の笑みを浮かべた。

 

 

 

 それはまさに、あの日の焼き直しだった。その時とは違って、もうすでに外はすっかり暗くなっているけれども。

 千束は卓袱台の上に載った桐箱を、あの日と全く同じように、その両腕をいっぱいに広げて開いた。

 極彩色が覗く。当然にそれは、全く色褪せることなくそこにあった。一面に広がった錦の帯を少しずらせば、そこには淡黄蘗色の地に型染めされたであろう草花の柄が映える絹織物が見えた。

 

「これは……」

 

 思わず、声が漏れた。全体的に淡めの暖色で構成されているものの、しかしその色彩は恐らく千束の色素の薄い髪色と、陶器のように白く滑らかな肌にとてもよく合うのだろう。千束もまたその織物としての美しさにか言葉を失って、そしてその暫く後に感極まった様子で、横に立つミカさんに飛びついていた。

 

 そこから暫く、千束が己の昂った情動を落ち着かせるまでの間、僕とミカさんは彼女の振る舞いに何も言うことはなかった。自らの身体に取り縋り、しがみつきながら声にならない声を上げる千束の様子を、ミカさんはまさしく「親の情」の暖かみすら感じられる目線で以て、ただ見守っていた。

 

 そして一頻り感情をぶつけ切った彼女がミカさんの身体から離れた辺りで、いよいよ千束がこれ(振袖)を着る頃合いとなったわけだが、しかしそこで僕は一つの懸念に突き当たった。

 

「千束、君着付けって一人でできる?」

 

 僕の言葉に、彼女は首を振る。

 よくよく考えれば、当然のことではあった。リコリコの仕事着である二部式着物は、着付けという意味では全く難しくはない。ほぼ洋服感覚で着れるものだし、その帯にしても前で適当に蝶結びにしているだけだからだ。しかしこういう本格的な着物は違う。特に振袖のような女性の礼服は、一人で着付けできるというだけで立派なスキルだ。慣れていなければ難しい。いや慣れていてもなお難しいだろう。如何なリコリスとて、ファーストリコリスの千束とて、地上のあらゆる物事を漏れなくこなせるというわけではないのだ。

 

「……流石に、ミカさんかなそれは」

 

 僕が目線を向けた先で、ミカさんが頷いた。千束の「父親」としての年季が深く、自らも着物を常時着まわしている彼こそが、千束の着付けに関しては適任だ。僕は女性の着物の着付け補助の経験もなければ知識もないし、そもそも千束のそれを手伝うのはあらゆる意味においてまずい。

 そういうわけで、千束をミカさんに託して、僕はしばらく座敷席で待つことにした。

 

 

 

 その作業には広さが要るということで、更衣室ではなく四畳半の広さを持つ奥間の方で彼女の着付けは行われることになった。

 そしてそれを待つこと二十分あまり、バックヤードへの出入り口の扉が、微かに軋んだ音を立てた。

 反射的にそちらに目を向ければ、程なくしてその扉の向こうからゆっくりと千束が現れる。ミカさんに背中を押されつつも、しずしずとした足取りでこちらに歩いてきていた。

 その姿を見て、僕は完全に言葉を失った。

 

 朱色の長襦袢が襟元から覗き、山吹色を地色とした錦の帯が、ほとんど白に近い淡黄蘗色の振袖の挿し色として、その彩りを際立たせている。一見して全体的に淡さが印象づけられたその色遣いは、やはり彼女の白金の髪色との絶妙な取り合わせを実現していた。

 

 立ち上がって、彼女の方に向き直る。それはほぼ無意識の行動だった。

 大体にして何を着ても似合う彼女ではあるが、この装いは正直、あまりに格別だ。店の灯りに煌々と照らされるその姿に、この空間の中彼女一人だけが浮き上がっているような、そんな錯覚すら懐く。彼女の纏う空気もまた、どこまでも透明に、しかし煌めいて見えた。

 そんな楚々とした態度のままに彼女は僕の前へと進み出て、そして自らの袖を持ち上げ、問うてきた。

 

「おまたせ、隼矢さん。……その、どう、かな」

 

 その声に、僕はしばらく言葉を返せなかった。何か言おうと口を開いても、出てくるのは掠れた空気ばかり。ただそれは千束自身の美しさゆえに、というだけの話では、きっとない。

 今僕の眼前に見える立ち姿を見て胸中に拡がるのは、一つの実感だった。千束との約束は、今ここに果たされた。彼女は生きて今ここにいる。そして新しい人生を、彼女自身の人生を、やっと始めることができるようになった。その事実こそが、僕にとっては何より尊く、愛おしい。

 そのまま言葉が出てこなくなった僕をやや不安そうな目で千束が見てくるようになったあたりで、しかし僕はようやく自分の呼気の中に声を載せられるようになった。振り絞るように、声を上げる。

 

「うん……とっても、似合ってる。本当に、綺麗だよ」

 

 震える口でそう言って、ふらり一歩、彼女に近寄る。

 

「写真に収めるのが、もったいないぐらいに。自分の頭の中だけに、焼き付けておきたいぐらいに」

 

 僕のその言葉に、千束は驚いたかのように目をぱちくりとさせた後に、その表情を緩めた。

 

「そっか。……そっ、か」

 

 そしてそう独り言ちて、しかしカウンターに置いてあった彼女自身のスマホを、僕に渡す。

 

「まあそうは言っても、約束だから。しっかり、可愛く撮ってね」

 

 そして僕に、そう笑いかけた。

 

 

 

 両の袖を持ち上げて、こちらに向けてポーズを取る。その千束をスマホの画面にしっかりと収めて、そしてシャッターを切った。小気味よい音と共に、その風景が切り取られる。

 何回かそれを繰り返し、そのたびにポーズを変えた千束の姿をレンズへと収め、最後にはミカさんも呼び寄せて、「親娘」のツーショットまでも撮った。

 一頻りの撮影会が終わると、千束はこちらに足早に歩み寄ってきた。みせてみせて、と待ち切れないかのように僕に促す。彼女と隣に並んで、そして今しがた撮った十数枚にも及ぶ写真を、一つずつ千束と眺めていった。

 

 初めの方ははしゃいだような様子でスマホの中の自らの姿とにらめっこしていた彼女だが、しかし最後の数枚、ミカさんとのツーショットを見て、俄に静かになった。そしてしばらくそのまま何も言うことなく画面を見ていた彼女が、そこで徐にミカさんの方に目線を送った。僕たちの後ろに立って、同じように写真を眺めていた彼のことを見据える。そして、口を開いた。

 

「先生」

「どうした、千束」

「……ありがとね」

 

 何がだ、とでも言いたげな表情で彼女を見るミカさんに、千束はさらに言葉を重ねる。

 

「名前を付けてくれたこと。私を育ててくれたこと。このお店を開いてくれたこと。私がやりたいって言ったことを、否定しないでいてくれたこと。全部全部、先生が私にしてくれたことだから」

 

 そして、そこで一つ呼吸を入れた。

 

「今回のことがなくても、私はもともとそんなに長くは生きられないって、分かってた。だからいつか、その全部にお礼を言わなくちゃって、思ってたんだ。お別れの日が来る前に」

「千束……」

 

 掠れ声で名前を呼ぶミカさんに、千束はでもね、と首を振った。

 

「私には、時間ができた。たきなの、クルミの、先生の。そして隼矢さんの。ミズキは……ちょっとわかんないけど、でもみんなのおかげで。今私はここに立っていて、来年の話も、再来年の話も。……ううん、十年先の話だって出来るようになった」

 

 だから。そう言って、僕とミカさんを交互に見て、また千束は口を開く。

 

「先生には、今ありがとうを言っておきたいって思ったんだ。今までの私からの、今まで生きてきた私からの『ありがとう』を、伝えなくちゃって」

 

 そしてミカさんの方へと身体ごと向き直った彼女は、そこでばさりと彼に抱き着く。

 ――おい、千束。そう、少しばかり面食らうミカさんのことを、抱き着いたままに真っ直ぐに見つめて、そして彼女は口を開く。噛みしめるように、言葉にした。

 

「先生。私の、『お父さん』。……今までの私を、ありがとう。だから、これからの私も、よろしくね?」

 

 抱き着いたままの姿勢、小首を傾げてそう口にした千束を見据えて、ミカさんはほんの少しの苦笑交じりに、しかし力強く頷いた。

 

「ああ、もちろんだ」

 

 

 

 ミカさんと千束の「親娘」が、お互いに見合って笑い合っている。その二人の姿を横から見るうちに、僕は自らの仕事が終わったことを自覚した。ここに自分がこれ以上残るのは場違いだと、一刻も早くこの空間から立ち去るべく、卓袱台にスマホを置いて一人バックヤードに引っ込もうと立ち上がる。しかしその時、千束が振り返ってこちらを見た。

 

「隼矢さん、どこ行くの」

 

 責めるような声色だった。そんな風に言われる理由が全く以て分からず、僕は戸惑いながらも言葉を返す。

 

「いや、ミカさんと二人にした方がいいかなって、今、ほら」

 

 その僕の返事に、千束はミカさんから離れてこちら側にずいっと進み出てきた。

 

「いや、そうじゃないから。私が今日これを着たいって言った理由、分からない?」

 

 そして、腰に手を当てて詰るように僕に言う。まるで僕が分からず屋の朴念仁のような口ぶりだ。心外だし、彼女の意図が分からない。

 

「……ごめん、さっぱりだ」

 

 僕のその言葉に、彼女は呆れたように溜息をついた。そしてミカさんの方を向いて、言った。

 

「先生、隼矢さんと二人きりで話したいんだけど」

 

 予想外の言葉に僕は完全に固まったが、しかしミカさんは何か悟ったような顔つきだった。そして千束を向いて、頷いた。

 

「わかった。私は一度奥に行っているよ。……しっかりな、千束」

 

 そしてその言葉と共に、本当にバックヤードに歩き去ってしまった。対して僕は、未だに事情が全く掴めない。

 千束の言いたいことをあれだけで理解するあたり、やはり「親娘」の絆は固いということか。そんなことを考えたところで、しかし目の前の千束が露骨な呆れ顔になった。

 

「……なんか、ズレたこと考えてるでしょ」

「いや、……どうしたんだよ、いきなり」

 

 急に途轍もない洞察力を発揮し始めた目の前の彼女に、少しばかり怯む。普段から細やかな気配りのできる女性ではあるが、しかしこんな鋭いナイフのような切り込み方はしないと思っていたのだが、どうしたのだろうか。

 ただ戸惑う僕を前に、千束は一度目を瞑る。息を一つ吐いてから、もう一度目を開いた。

 

 

 

「まずは、お礼を言いたくて。隼矢さん、ありがとう。先生にも言ったけど、私がいまここにこうしていられるのは、やっぱりあなたのおかげ」

 

 始めに出てきたのは、そんな感謝の言葉だった。何に対してかは、さすがに言うまでもない。ただそれは、僕にだけ向けられるべきものではないはずだった。

 

「……それは僕だけの力じゃないよ。たきなさんとか、クルミとか。全員なんだ。それこそ君がさっき、ミカさんに言ってたみたいに。全員が諦めなかった。もちろん、千束、君も含めて。『僕のおかげ』だなんて、『僕だけのおかげ』だなんて、とても言えない」

 

 それに、と言葉を継ぐ。

 

「そうやってみんなが諦めないって、君を助けたいって思ったのは、千束、君の人徳がなしたことだよ。君だから、僕たちは助けたいと思ったんだ。君は、君自身のその在り方があったからこそ、そこにいるんだ」

 

 千束は、ゆるゆると首を振った。

 

「そんな風には、私は思えないよ。けどみんなが頑張ってくれたことは、とってもよく分かってる。だから一人一人、しっかりお礼を言わなくちゃって、思う。……でも」

 

 そして、僕の顔を真っ直ぐに見つめて、真剣な面持ちのままに言葉を続ける。

 

「隼矢さんには、どうしても言わなくちゃいけないって思ったんだ。どうしても、今日、今だからこそ、言わなくちゃって。だって――」

 

 そこまで言って、大きく息を吸った。瞳が閉じられる。逡巡するかのように俯き、視線が外れた。胸に当てた右手が、ぎゅっと握られる。

 そして最後、その末に顔を上げ、目を見開いて、彼女は真っ直ぐに僕を見る。唇が開かれた。

 

「あなたなんだ。私に『生きてほしい』って、『私だからこそ、生きていてほしいんだ』って、そう言ってくれたのは。隼矢さん、あなたが初めてだったんだ」

 

 それは、どこまでも透明な声色と、そして眼差しだった。屈託の一つもなく、誤魔化しの余地もなく。直接に、直線的に、僕に届く。

 

「……それは、でも、みんなそう思ってたよ。生きていてほしいって思ったから、みんな努力したんだ。僕はみんなの総意を伝えただけで。……たきなさんなんて、人生で初めてお出かけの計画を立てて、君に自分の決断を伝えることにしたんだ。選択を。それは並大抵の決意じゃない。そうだろ?」

 

 僕の反駁に、しかし千束は首を振った。

 

「そうだけど、でも違う。だってあの時隼矢さんは、私にもっと踏み込んだ。()()()()()私に、()()()の準備をすることだけを考えていた、私に」

 

 さらに一歩、千束が僕に歩み寄った。

 

「あの時、なんて言ったか覚えてる? 『逃げるな』って言ったんだよ。『生きたい』と思う自分の気持ちから、逃げるなって。それで」

 

 そして、ぐっと強い眼差しのままに、至近距離から僕を見上げた。

 

「『僕のために生きてくれ』。そう言ったんだ。最後の最後、自分の気持ちも分からなくなって、ぐちゃぐちゃの私に。そう、あなたが言ったんだ」

 

 あの時の記憶が、甦る。確かに僕はそう言った。今にも死にに行きそうな、当て所を失った彼女の心を、現世につなぎとめたくて、僕はきっと必死だった。でもそれを今になって思い返せば、それはどれだけ傲慢な物言いだったか。まるで彼女を、僕に縛り付けたいかのような、烏滸がましい台詞じゃないか。

 それは、と掠れた声で言う僕に、千束がポツリと呟く。目を伏せながら。

 

「……それとも、嘘だったの?」

 

 物悲しげな声だった。

 

「それがあって、私は生きたいと思うようになったのに。そこまで私を思ってくれる人が、今目の前にいるんだって。そう思って、生きなくちゃって、思ったのに」

 

 反射的に、口を開いていた。

 

「嘘じゃない。嘘なんかじゃ、ない」

 

 それは本心だった。今の彼女の姿が居た堪れなかったからというだけではない。ここでその気持ちに嘘をつくことは、してはいけないことだと思った。それだけは、やってはいけないことなんだと、そう考えた。

 こちらを見上げた千束に、更に言葉を重ねる。

 

「君に、どうしても生きていてほしくて、死んでほしくなくて。君が生き続けるための理由が見つからないのなら、僕を、僕がそれを望んでいることを、理由にしてほしかった。それでも、なんでもいいから、どうしても君には生きていてほしかったんだ。それは、絶対に嘘なんかじゃない」

 

 だけど。言って、かぶりを振った。

 

「今思えば、傲慢にも程があるよね。まるで僕にそれだけの価値があるみたいな物言いじゃないかって。君の生きるための理由に、僕がなれるなんて、今考えればそれはとんだ思い上がりだった。君を、独占したいみたいな言い方で」

 

 恥ずかしい。穴があったら入りたい。あの時の自分は、それが本心だったのだとしても、きっとどうかしていたんだろう。千束を引き戻すのに必死で、そこまで考えが至っていなかった。顔を覆いたくなるような心境に、視線を逸らしたくなる。

 

 

 

 しかし千束はそんな僕を見ながら、大きく首を横に振った。

 

「それでも。……ううん、()()()()()()()()()()()()()()、私は嬉しかった」

 

 そして開いた口から放たれた言葉は、確固たる声色と、強い断言だった。彼女が、更に一歩踏み出した。気圧されるように、一歩下がる。

 

「最初は、たきなと一緒にDAに行った日の前の日。私のことと、たきなのこと。自分のことでもないのに、気にしてくれて。優しい人なんだって、思った」

 

 彼女が一歩進み、僕は一歩下がる。

 

「押上水族館の時。静かな場所が好きって言った。私と、おんなじ。私の『好き』を分け合えたみたいだって、楽しくなった」

 

 更に、もう一歩。千束が進んで、僕が下がって、それでも少しずつ、距離が詰まってきていた。

 

「真島に最初に襲われた時。あんなに真剣に、私のことを助けようとしてくれた。心配してくれた。私よりも、アイツのことを怒ってた。ちょっとだけくすぐったくて。でも、勇気がもらえた」

 

 彼女は、止まらない。その言葉も、その歩みも。

 

「それよりも、何よりも。DAからの誘いを受けないって言ったときのこと。人の命の方が、時間の方が、物よりもお金よりもずっと大事だって。それが私と一緒で、本当に本当に嬉しくて。……いつか、言ったみたいに」

 

 そしてもう一歩踏み出されたその場所で、僕はとうとう後ろに下がれなくなった。座敷席の上がり框が脛に当たる。重心が大きく後ろにズレて、その姿勢のまま座敷席に尻餅をつくように座りこんだ。

 そこから見上げた視界の中、彼女は未だどこまでも真っ直ぐに、僕を見ていた。

 

「そんなあなただから。そんなあなたから、言われたから。私は諦めないことにしたんだ。生きていたいと、初めて強く思った」

 

 そして、彼女は僕の両肩に手をかけた。

 

「あなたが言ったんだよ? 『逃げるな』って。だったら、隼矢さん。あなただって、逃げないでよ。自分の言ったことから」

 

 その瞳は、潤んだような光を湛えていて――

 

「自分の言葉には、責任を持ってよ。『僕のために生きて』って、そう言ったでしょ」

 

 そのまま優しい手つきで、千束は僕のことを抱きしめた。いつぞやの花の薫りが、染み込んで、焼き付いて、離れない。背中に回された手に力がこもる。ゆっくりと背筋を撫でられて、顔が寄せられた。

 そして僕の耳元で、彼女は囁くように告げた。

 

「覚悟してよ。私にそう思わせて、そこまで思わせておいて、逃げるだなんて許さないから」

 

 背筋が粟立つような感覚に、身体が震えた。そこに少しずつ、体重がかけられていく。少しだけ抵抗するも、結局その重みは支えきれず、後ろに倒れた。

 天窓のステンドグラスが一瞬だけ目に入って、しかしすぐに千束の顔で覆われる。逆光に翳った表情の中、彼女の琥珀の瞳だけが、きらりと輝いて見えた。

 

 

 

 その目の光を見て、ふいにフラッシュバックする。二日前、僕がしばらくの間とはいえ店から離れようとしたときに、千束が見せたあの表情が。そしてそこから今に至る、いやそれより前、僕が病院で目覚めてからの、彼女の振る舞いも。

 

 思えば彼女は、そこからずっと僕に寄り添い続けてくれていた。目を離さないでいてくれていた。僕の、隣にいた。それまで誰かへの、何かへの深入りをどこか厭っていたようにすら見えた彼女が。

 それは或は、僕が負わせてしまった心の傷が故なのかもしれない。喪失への恐怖というものは、そこに確かにあったのだろう。でも今聞かされたその言葉が、その意味が、僕にたった一つの()()を指し示す。

 どうして今日、千束は振袖を着ることを望んだのか。僕と、話をしたいと思ったのか。そこに宿った彼女の選択も、そして決意も、全部全部、同じ願いを礎としているのなら。

 

 僕が彼女に懐いた想いを、今一度心に描く。

 彼女もまたきっと、それと等しい願いを、思いを、今僕に向けてくれている。そう信じられた。その感情に名前を付けることは、無粋でしかないのだとしても。

 

 「一緒にいたい」。

 「さよならなんて考えられない」。

 互いが互いを必要としている。願わくば自らの隣の空間を、その存在で埋め尽くしてしまいたい。或はその、時間でさえも。

 

 ならばきっと、僕の返すべき答えもまた、一つしかありえない。

 

 そのどこまでも尊い生きざまも、得難い存在も、果てない未来も。それを僕だけのものにすることは、絶対にやってはならないことだけれども。

 それでも僕は千束の傍に立っていくことを、横で歩んでいくことを、喜んで選ぼう。それが許される限りにおいて、ずっと。

 

 

 

 意を決して、口を開く。

 

「……わかったよ、僕は逃げない。だから、千束。僕は……」

 

 しばしの逡巡を越えて、震えた唇に、それでも音を載せた。

 

「――君と、一緒に生きたい。これから、ずっと一緒に。……いい、かな」

 

 視線の先、店の灯りをその背に受けて、僕の願いとその問いに、千束が穏やかに笑う。目の端に、涙が光った。そのあとに返ってきたのは、頷きが、ただ一つだけ。

 それでももう僕たちの間に、これ以上の言葉はきっと必要なかった。そのまま彼女は何も言わずに、僕の方へとその身を倒してくる。ゆっくりと、確実に、近づいて。

 

 

 

 

 

 そしてその末に、僕たちの影は重なって、一つになった。

 

 

 

 

 

 

 

 これからの日常も、将来も。この店のみんなとの時間が、いつまで続くか分からなくても。

 僕たちはどんな挑戦でも、乗り越えて見せよう。千束がいて、たきなさんがいて、大人たちもそこにはいて。今日のような明日が、明日のような明後日が、何の保証もなしに続くとは思わなくても、でも僕たちならば、それを勝ち取ることはできる。誰一人欠けることなく、今までそうしてきたように。

 

 日常と非日常の交叉点。平和と動乱の境界線。見るべきものと、見えざるものを跨ぐ場所。

 僕たちの営みが紡ぎ出す、この「世界の背表紙」の。その上に立って、みんなで笑いながら日々を送ろう。憂いを吹き飛ばし、恐れを笑い飛ばして。

 

 

 

 そして何より、今僕の手を取って隣に立つ君との時間を、きっと大事に紡いでいこう。

 この先の未来も、ずっと、ずっと。

 

 

 

 『世界の背表紙で、君と踊ろう』 了




これで本編は完結です。ここまで読んできてくださった皆さんにおかれましては、お付き合いいただきありがとうございました。

(12/25 1:42) 行間の調整、軽微な表現の修正

(12/29 追記) アンケートについて、締め切りました。ご回答いただいた皆様、ありがとうございました。集計結果と方針について、活動報告に書きましたので、ご興味ありましたらご覧ください。

(2024/2/11) 前半部加筆

番外編のご要望はありますか?あるとすればその内容はなんですか? (下へ行くほど自分にとって高難度)

  • 喫茶リコリコ・ハワイ(or宮古島)編
  • 千束視点の振り返り
  • 主人公と楠木との政治的な話(お堅め)
  • ODみたいな日常短編
  • 余りカラミがなかったたきなとの話
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