WHITE WITCH(ホワイト ウィッチ)   作:木村仁一

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4話 炸裂

 オーナー室――

 前尾(まえお)はカメラの映像を見てはパソコンの前で叫びながら、バタバタと腕を振っている。

 

「一体どうなっているんだ!? なんであの車に人が乗っている⁉ そしてあれは何だ⁉ あんな奴が仲間にいるなんて聞いてないぞ⁉」

 

 怒りに任せて前尾は自分のノートパソコンのプログラムに今の状況を打ち込んだ。

 しかし、プログラムの返事は〈データ不足です。新しいデータを入れてください〉の文字が出るだけで、何の対策も出てこない。

 

「だー‼」

 

 前尾はそう叫び立ち上がると、ドアの両脇に立っていた組員に向けて命令を出した。

 

「おい! ()()()の準備しておけ!」

 

                 〇

 

 (タケル)はそのまま近くのエスカレーターへ向かおうとしたところ、ホワイトウィッチが武の肩を掴んで止めた。

 

「な、何?」

「ちょっと待ちなさい」

 

 武が昇るはずだったエスカレーター。その先には組員2人がエスカレーター近くの柱の陰に隠れていた。

 2人とも手には銃が握られ、エスカレーターから登って来るだろう武たちを待ち構えていた。

 しかし、なかなか上ってこない。

 エスカレーターに注意が向いている組員たち。その後ろから1本のワイヤーが上へ伸びたのだが、2人は気づいていない。

 そのワイヤーを巻き取って上へ〝スー〟と上って来たのは武だ。

 

「んっ! しまった!」

 

 組員の片割れが武に気づいたが、既に手遅れだ。

 武は組員たちのそれぞれ左肩や右膝を撃ち抜いた。

 

(すげー、組員の待ち伏せまで読んでいたのか……)

 

 そう武が感心した。

 それだけじゃない、初めてのグラッピングフックに、まるでアメコミのヒーローにでもなったような高ぶるものがあった。

 

 バン! バン!

 

 その気持ちをホワイトウィッチが、横たわる組員に拳銃(P99)で止めを刺したことによって、文字通り打ち消された。

 

「あぁー‼ せっかく()かしてたのに‼」

「いいから行くわよ!」

「いや、良くはないだろ! ……あ~もう!」

 

 説教したいところだが、急がないと、という気持ちも交差し、言葉にできない悔しさと怒りがゴチャ混ぜになったまま、武はホワイトウィッチについて行った。

 

 オーナー室がある3階――

 カフェの上にあるガラス壁の部屋が武とホワイトウィッチの目指すオーナー室だ。

 武とホワイトウィッチは組員の待ち伏せを警戒し、再びグラッピングフックガンのワイヤーで3階へ上っていた。

 武とホワイトウィッチが着地したのは、カフェの隣にある眼鏡屋の前だ。

 カフェと眼鏡屋の間にはオーナー室へ続くドアがある。

 

「あそこだな」

 

 武がオーナー室を見ていると、オーナー室への通路から1人、それと同時に眼鏡屋の隣にある小さなカフェからもう1人、拳銃を持った組員が現れた。

 武とホワイトウィッチは2人に挟まれてしまった。

 

「おいよせって!」

 

 武が拳銃(ファイブセブン)を手に取って叫んだ。

 組員たちは迷わず武に向けて引き金を引き、「うわっ!」と2人分の悲鳴が上がった。

 しかし銃弾を受けて悲鳴を上げたのは組員たちだ。もちろん武とホワイトウィッチは何もしていない。

 何故なら武に当たるはずだった銃弾は、武が能力を使って避けたため、互いに当たった――

 つまり相撃ちである。

 

「だから『よせ』って言ったんだよ」

「いや、分かるわけないでしょ……」

 

 やれやれ、と露骨な表情――サングラスとネックフォーマで顔が見えないが――の武を細い目をして呆れるホワイトウィッチ。

 そこへ別の組員が現れリボルバータイプの拳銃を向けた。狙いは武だ。

 

「危ない後ろ!」

 

 ホワイトウィッチがそう叫び、武はホワイトウィッチの視線の先へ向いた。

 

「だから――」

 

 武が言い切る前に組員に向けて拳銃を構える。

 組員の拳銃が火を噴くと同時に武の拳銃も火を噴いた。

 

 ……。

 

 なのに、武も組員も全く外傷が無い。

 組員は再び拳銃を武に向けて撃つ。同時に武の拳銃も火が噴いた。

 やはり2人に外傷は無い。

 組員は残りの弾を続けて武に撃った。

 しかし武も組員に合わせるように銃弾を放つ。

 それを繰り返したことで組員の6発あったシリンダーは空になり、カチカチ、と虚しい音だけが響いた。

 一体どうなっているのか。

 その答えは床の所々に転がる物によって出た。床に転がるそれは、よく見ると本来半楕円形だった弾頭の先端に寸分の狂いもなく食い込んだ……弾頭。

 それは武の拳銃の弾頭。そう、武は飛んで来た銃弾を撃ち落としていたのだ。

 状況を理解した組員の表情が次第に青ざめていく。

 

「こっちはまだ8発あるけど、どうする? 全部喰らってみる?」

 

 脅すわけでもなく普通の口調で話す武に、組員は「ば、化け物が~‼」と言い残し全力疾走で逃げて行った。

 

「酷いなぁ、そりゃ化け物みたいなことやってるけど……」

「化け物だし……っていうかあなた真面目にやってよ⁉」

「すみません……」

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