数週間がたったある日のスターリー
「おつかれーす」
バイトに来るとひとりが星歌さんと話していた
「あれ、ひとり?」
「あ、兄さん」
「ちょうどいい。ぼっちちゃん湊の話も聞いてみたらどう?」
「?」
「に、兄さん、じ、実は、」
「なるほどな。文化祭に出るか迷ってると」
聞くと1ヶ月と少し先に文化祭があり結束バンドで出演しようと思っているが失敗して迷惑をかけたくない
2つの感情が混ざり迷っているということだった
「出てもいいんじゃないか?」
「でも、私なんかが出ても...」
「でも出たいって気持ちもあるんだろ?」
「う、うん」
「後悔したくないのか?」
「う、うん。もし失敗しちゃったら虹夏ちゃんたちにも迷惑かかっちゃうし...」
「そうだなー。なら、おれの中学の話をしよう」
「え?」
「あの頃のおれは、自分が1番上手いって思い込んでてメンバーにもよく怒られたもんだ。自信満々にやった結果、失敗した」
「...」
「でもな、楽しかった。だからひとりもやらずに後悔するより、やって後悔してほしい。後悔なんて後からすればいいんだよ。だから出てもいいんじゃないか?」
「兄さん...」
「まぁ、おれの話よりひとりの気持ち次第だ」
「う、うん」
「そんなにビビんなよ。ひとりはおれにとって自慢の幼馴染だからな」
なでなで
「あ、ありがとう。兄さん」
うぅ。兄さん最近スキンシップがすごいような気がする!う、嬉しいけど気を保つのが精一杯だよ〜!
「あいつら付き合ってんのか?」
「さぁ〜?」
星歌とPAがつぶやく
「あれ?また湊くんがぼっちちゃん撫でてる。どうしたの?」
「文化祭のことをうれいているんです」
「文化祭?」
「結束バンドで文化祭出るか迷ってんだってさ」
「文化祭のステージ!いいじゃん出よーよ!」
「え、あ、でも...」
「ライブハウスとは違う良さがあるよ〜」
「虹夏ちゃん出たことあるんですか?」
「うん!中学の時にね〜」
「私もある。マイナーな曲弾いて会場をお通夜にしてやった!」
「なんで誇らしげ?」
「私も、リョウとは出たことないし文化祭ライブやりたいな〜」
「え?そうなんですか?」
「うん。結束バンド組んだの最近だし」
「私もオリジナル曲ここ以外でやりたい」
「確かに宣伝にはなるな」
「うんうん。こういうバンドがいるって知ってもらう良い機会だよ」
「でも、高校の文化祭って青春ロックで盛り上げないと退学なんじゃ...」
「そんな校則ねえよ」
「とはいえぼっちの迷う気持ちもわかる。下手したらというか絶対ここより多い人数の前で演奏する訳だしだからそんな焦って決めることでもないよ」
「リョウさん...」
「正直、お通夜状態だったライブたまに夢に見る...」
「強がりだったのかよ」
リョウの涙ながらの過去を星歌さんがつっこむ
「まぁともかくぼっちちゃんの悔いが残んないのが1番だからさ」
「それは言えてますね」
「わ、わかりました。ちょっと考えてみます」
鳴上宅
「文化祭か...」
湊は過去の文化祭を思い出していた
「ひとりとひろ姉との路上ライブ楽しかったな。またバンドしたいな...」
でも、メンバーのツテなんてないしもう無理か
そう考えその日は眠った
翌日 スターリー
「おい。なんで棺桶にひとりが入ってんだ」
スターリーに来ると絶望した顔をした棺桶に入っているひとりと「私は罪人です。」と書かれてるプラカードをさげる喜多ちゃんの姿があった
「お兄さん、実は、」
聞くとひとりが書いた出演希望の紙を喜多ちゃんが忘れたと勘違いし提出したらしい
「なるほどな。それでこんなになってると」
「ど、どうしよう。私このままじゃ人殺しだ...」
「いや、死んでないから大丈夫だ」
「今からでも参加取りやめればいいじゃん」
「1度出した取り消せないと言われて...でも、明日話してみます」
「ヤホ〜」
聞き覚えのある声がすると思ったらひろ姉がいつもの酔った状態で来やがった
「このクソめんどくせえ時に来やがって...」
「あはは〜湊くんなんで睨んでんの〜?」
「さっさと帰れ酔っ払い」
「ええ〜そんなこと言わないでタダ酒飲ませて〜」
「飲ますか。消えろ」
星歌さんが両断する
「ちょっと〜。きみのお姉ちゃんとマネージャーツン激しすぎない〜?妹ちゃんは私がいると楽しいよね〜?」
虹夏にスリスリしながら言う
「帰ってください。そろそろお店はじまるので」
虹夏が冷たく言う
こいつこんなに冷たく出来るやつだったんだ
「先輩に負けず劣らずの目をするようになったね...」
「ん?ぼっちちゃ〜んどうしたの?」
「文化祭のステージに私が勝手に申し込んでしまって...」
「え?なにライブするってこと?」
「無理です。私には、いつものハコより多い人の前でしかも学校での私を知ってる人の前でライブするのが怖くて...」
まだひとりには難しいか...
「ぼっちちゃんこれあげる。この前のお返しに今日私のバンドライブするのよかったら見に来なよ〜」
「い、いいんですか!?」
「もちろん!君たちもどうぞ〜」
ひろ姉がチケットを渡す
「ありがとうございます」
「あ、じゃあお金」
「いいよ〜あげるあげる」
「無理しないでください!」
「え?君ら私が女子高生から金巻き上げる貧乏バンドマンだとか思ってるの?」
「え?違うんですか?」
「まぁ間違ってはないよなひろ姉」
「クソ〜!先輩焼酎ボトルでー!」
「やるかバカ」
「とーにかく君たち安心しなさい。こう見えてもね私インディーズでは結構人気バンドなんだよ〜。ね?」
「はい。コアなファン多いです」
リョウが答える
「という訳でチケットノルマなんて余裕だし物販でも結構稼いでるんだから」
「じゃあなんでいつも安酒なんですか?」
「え?」
「それにシャワーもウチで借りてくし」
「家賃払え」
虹夏と星歌さんが詰める
「この前の電車賃返してもらってない...」
「うっ!」
「まだ返してなかったのかよ...」
「やっぱり巻き上げてるじゃねえーか!」
「あ、こ、これには深い訳が、泥酔状態でライブするから毎回機材ぶっ壊して全部その弁償に消えてるの...」
「自業自得じゃねぇか」
「デストロイヤーきくり」
「わ〜ん!湊くんが変なあだ名付ける〜!」
「ぼっちちゃん他にこいつから返してもらってないお金ある?」
「あ、いえお姉さんからはもう」
チラ
ひとりがリョウを見る
「クズ共返すの遅くなってごめんなさいって言え」
「「遅くなってごめんなさい」」
リョウとひろ姉がひとりに謝る
「い、いえ」
「湊もこいつらに貸したお金あるんじゃねえのか?」
「ありますけど別にいいですよ」
「なんでだ?」
「貸した時に将来バンドで成功しなかったら毎月1万もらう契約してるんで」
「あの時は、お金がなかったからどうしても...」
「うぅ。自分を恨むよ〜」
「だから返すのはいつでもって感じです」
「お前ってたまに怖いよな」
そうかな?
新宿
ひろ姉に連れられて新宿に向かった
「そういえばあの2人に会うの久しぶりだな」
「あの2人?」
「あぁ。ひろ姉のバンドはスリーピースでな会うのはバンドやめて以来だな」
そうこうしているとひろ姉のホーム新宿FOLTについた
「さぁ入って入って〜」
「スターリーとだいぶ違いますね」
「大丈夫ウチと変わらないよ」
「す、素晴らしいライブをありがとうございました」
「まだ始まってないって!」
「ほら行くぞー」
ひとりを担いで進む
「銀ちゃ〜んおはよ〜」
「あ?」
「お、お姉ちゃんに会いたい...!」
「ついに伊地知先輩まで!」
「この人〜店長の銀ちゃんね〜」
「あ、こんにちは」
「やだ〜随分可愛くてピチピチなお友達がいるのね〜。わたし、よしだぎんじろう37歳で〜す。好きなジャンルはパンクロックよ〜」
「銀さん相変わらずっすね」
「あら〜湊じゃな〜い久しぶりね」
「今日こいつらと見学するんで」
「湊ったらこんなにかわいい子はべらせて罪な男ね〜」
「違いますよ。こいつらのマネージャーですよ」
「あら〜。湊もがんばってるのね」
「おい廣井」
「はい?」
声の方には金髪と黒髪の女性が立っていた
「遅刻するなっていつも言ってるよな」
「もうリハーサル終わっちゃいましたよ〜?」
「ごめ〜ん」
「もしかして結束バンドの人達ですか?」
「あ、はい!えっと」
「久しぶり。しま姉」
「湊、久しぶりドラムはやってるのか?」
「ぼちぼちだよ」
「湊くんこの人は?」
「ひろ姉のメンバーでドラムのしま。おれのドラムの師匠」
「に、兄さんの師匠!」
「湊久しぶりでーす!」
「元気だなイライザ」
「こっちは池田イライザ。日本3年だったけ?ギター担当だ」
「お兄さんって色んな人と知り合いですよね」
「湊。この人達と仲がいいなんて羨ましすぎる」
時間もたち観客がどんどん増えていった
「お客さん多いですね〜」
「もう200人はいるね」
「お姉さんこんなに人気だったんだ」
「まぁ、普段はあんなだけど実力はあるからな」
「そういえばリョウは?」
「さっきまで一緒に、」
「あいつならあそこ」
指をさす方向にはすみの椅子に座るリョウの姿
「あんなとこに座ってる」
「あれは、ライブハウスによくいる手前で盛り上がってるお前らとは違うんだぜ感をだす通ぶりたい客」
「音を聴け、音を」
「痛え奴じゃねえか」
「リョウさん、」
喜多ちゃんたちがリョウの方へ行くと
「なんだよ暴力野郎も来てるのかよ」
聞きたくない声が後ろから聞こえた
振り返ると元メンバーの4人だった
「お前らか」
「お前らかじゃねぇよ。なんでお前がいんだよ?」
「ひろ姉にチケットもらったんだよ。別におれがいようと勝手だろ」
「はぁ〜?お前みたいなやつがいるとライブ楽しめねぇんだよ。さっさと帰れよ」
ちっ。こいつら好き勝手言いやがって
「あの、ウチのマネージャーになんか用ですか?」
虹夏がおれの横に立つ
「はぁ?あんたのバンドのマネージャーこいつなの?」
「そうですけど」
「なんだよ?どうやってなったんだよ?やっぱり暴力で脅したのか?」
「湊くんはそんなことしません。迷惑なのでこれ以上関わらないでください」
「虹夏...」
「そうです!お兄さんはあなた方と違ってとっても優しい人です!勝手なこと言わないでください!」
「うん。湊は優しい。口は悪いかもしれないけどそれは照れ隠し」
リョウのやつ小っ恥ずかしいこと言うなよと思っていると
「に、兄さんをこれ以上傷つけないでください!」
「ひとり...」
「に、兄さんは、私の大切な人で、そ、その、優しい兄さんです!身勝手なことで兄さんを傷つけた、くせに勝手なこと言わないでください!」
「んだと。こいつら調子にのんな!」
ひとりを殴ろうとする
ガシッ!
「こいつらに手を出したら絶対に許さねぇ」
拳を受け止め忠告する
「は、はあ?この野郎!」
もう片方の手で殴ろうとするが、
「はい、そこまでよ」
ある人の声で拳が止まる
その声の正体は銀さんだった
「銀さん」
「あんたたち周り見てみなさいよ」
奴らは周りを見ると嫌な視線で見られていることに気づいた
「こ、これは、」
「はぁ。あんたたちにもうこれ以上勝手なことされるのはうんざりよ。今日をもって出禁よ。ライブもね」
「な、なんで!」
「当たり前じゃない。お客さんに暴力、勝手なライブスケジュール変更、お客さんからのクレーム。その他諸々よ。今日のチケット代も返すから帰りなさい」
「ちっ!行くぞ!」
その4人は帰って行った
「銀さん、いいんですか?」
「良いのよ。あいつらこの辺りのライブハウス出禁になってるとこ多いレベルでウチが最後の砦だったわけ。もう潮時よ。それより、湊カッコよかったわよ?私が惚れちゃいそうになっちゃったわ〜」
「それは遠慮します」
「も〜う釣れないわね〜。じゃあみんなライブ楽しんでね!」
「は、はい!」
「ひとり怪我ないか?」
「う、うん。大丈夫兄さんこそ手、大丈夫?」
「ん?まぁ少し痛いけど」
「じゃ、じゃあ!」
ギュッ!
ひとりが手を握ってきた
「ライブこれで見よ?」
「わ、わかった」
「ぼっちちゃんやるね〜」
「ぼっちナイス」
き、緊張して見れん
ひとりってこんなに積極的だったか?
可愛すぎるだろ...
そしてライブがはじまった
「やっぱりひろ姉すげぇな」
ひとりの方を見ると楽しそうに見ていた
「連れてきてよかったな」
「ぼっちちゃ〜ん私のライブどうだった〜?」
「あ、よかったです」
「ん?」
「すごく良かったです!」
虹夏たちがしま姉やイライザと話す
「ふぅ。やっぱひろ姉はすげぇな」
おれはカウンターに座って銀さんと話している
「日頃の行いがどうにかなればそう言えるんだけどね〜」
「確かに」
「それより湊」
「はい?」
「あんたバンドやらないの?」
「バンドですか...おれ今は、あいつらの結束バンドのマネージャーしてて、でも、未練がない訳じゃないんです。ギターのひとりが文化祭に出るか迷っててそれを聞いて、またバンドしたいなってバンドじゃくてもステージに立ちたいって思ってしまうんです」
「そう。良いんじゃない?迷って」
「え?」
「迷って迷ってそこから自分に何が出来るかを探せばいいわ。あんたなんてまだ高校生なんだから考える時間なんていつでもあるわけだし。あの子たちの力になりたいならそのままでもいい。ステージに立ちたいなら1回限りでもライブやって見ればいい。そこから見える景色で考えが変わるはずよ」
「銀さん...ありがとうございます」
「ただのおっさんのアドバイスよ。さてとあの子たちのとこに行ってくるわ」
銀さんが控え室に行くと
ガシャン!
ひろ姉が壁を凹ませた
「壁の修繕費プラス10万加算しといたから」
「ぼ、ぼっちゃんとの連帯責任で〜!」
「へっ!?」
「やっぱすごくない」
ファミレス
晩御飯がてらにファミレスに寄った
「よ〜しライブ見てテンション上がったし文化祭のセトリ決めちゃおう!」
グゥ〜
「喜多ちゃんによると1バンド持ち時間は15分」
グゥ〜
「だから大体3曲くらいかな」
グゥ〜
リョウのやつどんだけ腹減ってんだ
「あ、あのリョウ先輩に分けちゃだめなんですか?」
「ダメ。ぼっちちゃんにお金返してなかったんだから少しは痛い目見るべき」
「郁代〜」
「うっ!」
喜多ちゃんがリョウに自分のご飯を渡そうとする
「喜多ちゃん。ダメなバンドマンに引っかからないで!彼氏にしちゃダメな3BのBってベーシストベーシストベーシストのことだから!」
それ美容師、バンドマン、バーテンダーじゃなかったけ?
「もう絶対人にお金借りません...」
「じゃあこれだけあげる」
虹夏がポテト1本だけをあげた
「いや少な」
「虹夏優しい好き」
「ちょっとガチで感謝されると胸が痛むじゃーん!もうたくさん食え!」
「リョウほら」
「?」
「おれのもやる」
「良いの?」
「生憎もう腹いっぱいだ」
「ありがとう湊。この恩は必ず」
「期待してないからいい」
「( ´・ω・`)」
「セトリなら決めてある」
「はやいな」
「文化祭出るかもって言われてからずっと考えてた」
リョウが書き始める
「お、いいね〜」
「2曲目にはぼっちのギターソロいれる」
「え?」
「ぼっちの見せ場。ぼっちと郁代の文化祭でしょ?」
「あ、でも、文化祭で全曲オリジナルってちょっと攻めすぎじゃ、」
「いやオリジナルの方がいいと思うぞ。軽音部に所属してない学外のバンドだからな。コピーは他の奴らがやるだろ」
「そうそう!攻めの姿勢で行こうよ!」
「滑っても4人いるから痛みは4等分」
「リョウみんなに同じトラウマ植え付けようとしてる?」
「ギターソロ...」
「湊くんこの曲なんだけどさ、」
「...」
「湊くんどうしたの?」
「あ、いやなんでもない」
「そっか。それでこの曲なんだけど、」
その後、少しセトリについて話して解散した
「クソが!」
ドラム缶を蹴る
「なんで俺たちが出禁なんだよ!?」
「めんどくせぇことになったな」
「どうすんだ?これじゃあおれたちもうライブできるとこないぞ」
「なら、1ついい方法がある」
「なんだよ?」
「湊に復讐だ」
「どうすんだ?」
「あいつの大切なもんをボロボロにしてやる」
スマホには後藤ひとりの写真が表示されていた