1週間後
「に、兄さん!お願いついてきて!」
ずるずる
「だからなんでおれが一緒に謝らないといけないんだよ!作詞してなかったのかよ!」
話を聞くと作詞が思ったようにできず呼ばれたから一緒に謝ってほしいと言われた
「だ、だって兄さんのことで、そ、その、」
「よくわかんねえけどあいつらそんなことで怒ったりしないだろ」
「で、でも呼ばれてるし、わ、わたしを吊し上げる会じゃ?」
「お前のメンバーは殺し屋なのかよ」
下北沢
「結局こうなるのかよ」
「だ、だって」
「そんなひどい会じゃないだろ」
「あ、おーいぼっちちゃん!」
「ど、どうも」
「よう」
「あ、お兄さんも!」
「湊。どうしたの?」
「こいつに聞け」
「ゆ、ゆ許してください!」
ひとりは変なプラカードをぶらさげて土下座した
「ご、後藤さん!?」
「えっ?なになにどうした?」
「調子に乗ったくせに全然歌詞を書き上げてこない私を呼び出して吊し上げる会では?」
「そんな外道なことしないよ」
「へ?じゃ、じゃあ今日は?」
「この前思いつかなかったけどまだあったんだよバンドらしいこと」
伊地知は写真を撮るポーズをした
「なるほどアー写か」
「そうそう湊くんわかってるね」
「アー写?」
「アーティスト写真だって」
「今ある結束バンドのアーティスト写真にはぼっちちゃん写ってないからね」
「今ある?」
「見る?この前ライブ出るために撮った」
写真は伊地知とリョウが写って喜多ちゃんが欠席者みたいになってた
「ほら喜多ちゃん逃げちゃったから」
「ごめんなさい!」
(こんなひどいアー写はじめてみた(ぞ))
「そんなわけで今日は天気もいいしみんなの予定も合ったからアー写撮ろうって」
「そ、外で撮るんですか!?」
「スタジオで撮るのはお金ないから無理」
ひとりが横でブルブルしてる
またひとりがひとりの世界に入ってるな
大方、下北沢で調子に乗れないとでも思ってるんだろうな
「スターリーでもいいけどアー写ってバンドの方向性を伝える大事なものだからね」
「じゃあそういうことでおれは帰る」
「ま、待ってよ湊くん〜」
「なんだよ」
「いや〜ここまで来たのも何かの縁だし今日は写真撮ってほしいな〜」
「三脚くらいあるだろ」
「でもせっかくいるなら撮ってもらった方が色んな写真が撮れるでしょ?」
「お兄さんお願いします!」
「湊。撮ってくれたらご飯奢る」
「年中金欠が何言ってんだ」
「湊くん私からもお願い!ほらぼっちちゃんも」
「あ、あの兄さん写真撮って?」
「お前らそんなキラキラした視線を向けるな。はぁ、わかったよ」
「やっぱり湊くんはぼっちちゃんに弱い、と」
「ふむふむ。メモメモ」
「メモすんな」
色んな場所を周り候補を見つけた
「今日、楽器持ってくれば良かったわね」
喜多ちゃんがひとりに言う
「あ、あぁ確かに楽器持ってた方が更にカッコよくなりそうですけど」
「あぁそれだとギターとベースしか目立たないんだよ」
「湊くんその通り!絵になるのはギターとベースだけでドラムは可哀想なことになるんだよ?手に持つのはドラムスティックだけだよ?」
「カワイイじゃん」
「じゃあ今日だけ楽器交換しよ〜」
「カッコ悪いからヤダ」
「ぬぅーーーー!」
伊地知がリョウを追いかけ回す
「何やってんだか」
するの喜多ちゃんが古びたポスターの貼られた建物を見つけた
「こことかどうですか?たくさんポスター貼ってあって下北沢っぽいですよ」
「そこ前によく行ってたCDショップだった」
「え?」
「レコードショップもライブハウスもどんどん無くなるね〜」
「確かに昔から続く店は少ないよな」
「昔ながらの店がどんどん無くなっていく」
「あ、あのなんだかごめんなさい」
「リョウ新しい本屋できて喜んでたじゃん」
「うん。B&C好き」
「喜多ちゃんリョウに振り回されないでね。その場のノリで言ってること9割だから」
「でも先輩にならむしろ振り回されたい!」
「なんでだよ。あれそういえばひとりは」
くいっ
ひとりが裾を掴んだ
「おう。ひとりどうした?」
「あっちに良さげな壁があったから」
「おお!出かしたぼっちちゃん!」
「じゃあ撮るぞー」
パシャ
「ひとりーお前だけ見切れてるし下向くな」
「だ、だって」
「湊くん今の見せて」
「ほら」
「う〜ん。メンバーのキャラは出てるけどいまいちバンド感が。バンドっぽさを感じる要素がほしいなー」
「バンドっぽさねー。同じポーズするとか?」
「確かにそれは一理あるね」
「バンドマンのお手本たる存在こと私の表情を真似してみて」
「お前のその自身はどっから来るんだよ」
「でも先輩の言う通りにすれば間違いないですよ。ねっ後藤さん!」
「あっはい」
「イエスマンになるな」
「はぁわかったよ。撮るぞー」
パシャ
またひとりのやつ下向いて
「なんかお通夜みたい」
「ですね」
「にしても喜多ちゃんはどの写真も可愛いね〜」
「そんなことないですよ」
「あるある。なんか写真慣れしてるっていうか」
「あぁ。それはよくイソスタに写真あげるから。ほら」
「おおーさすがはSNS大臣」
「お兄さんもフォローしてくださいよ!」
「いいの?」
「もちろんですよ!お世話になってますから」
「じゃあしとくよ」
「ぬっ!」
バタッ
「ん?」
「はわあわはわあわはあ」
「ぼっちちゃんが瀕死状態に!?」
「後藤さんどうしたの!死なないで!やだすごいピクピクしてる!」
(兄さんと以外写真取ったことない。だって友達いなかったから。家族と兄さん以外と撮った写真はクラスの集合写真くらい)
「み、湊くんこの場合どうすればいいの?」
「バグってるだけだからほっとけば治る」
「ほっといていいの!?」
(大方。おれと家族以外と写真撮ったことないって思ってんだろーなー)
「私が、私が下北沢のツチノコです」
「後藤さんが変なこと言ってる!」
「いつもこんなんだよ」
「うん」
「ぼっちちゃんもイソスタはじめてみれば?ね。大臣もそう思うでしょ?」
バチバチ
「ぜひ!友達になりましょ?バンド活動するならメンバー個人のアカウントがあった方がいいと思うし。ほらお兄さんもやってるから」
バチバチ
「あーそれ以上は」
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
「後藤さん!?」
「おおーこのバグり方は、はじめて見た」
「湊くん冷静すぎない!?」
(大方、ただでさえ根暗なのにバンドやって人気者になろうとしてる拗らせ人間なのに。そんなものはじめたら承認欲求モンスターになるって考えてるんだろうな)
「おーいひとりー」
ペチペチ
顔を叩くと起きた
「あっ!」
「お前な知らない人から見たらただのヤバい奴だぞ」
「だ、だって」
「あのなーお前は普通に可愛いんだからもっと自信持て」
「ひえ!?に、に、兄さんな、何言って」
「なぁ喜多ちゃんもそう思うだろ?」
「そうよ!後藤さん可愛いんだから自信持って!」
「ぷしゅ〜」
「あ、また気絶した」
「もう湊くん!」
「えっおれのせい?」
ガシッ
「湊。ロックだね」
「やかましい」
「それにしても中々いいの決まんないねえ」
「あっジャンプとかどうですか?」
「ジャンプ?」
「絵になるしみんなの素の感じも出そうですけど」
「それいい喜多ちゃん天才!」
「有識者が言っていた。オープニングでジャンプするアニメは神アニメだと」
「え?」
「つまりアー写でジャンプすれば神バンドになるのでは?」
(何がつまりなんだろう)
「まぁいい感じにはなるかもな」
「全然意味わかんないんだどとりあえずやってみよう!湊くんお願いね!」
「はいはい撮るぞー。5.4.3.2.1」
パシャ
「あっ。ぼっちのパンツが写った」
「湊くんは見ちゃダメ!」
「いやそれおれのスマホ!」
「とんでもない写真撮れちゃったな〜」
「無価値な物を写してすみません。消してください」
「もっと可愛い反応を期待してたんだけど」
「もう1回撮るぞー」
パシャ
「いい感じに撮れたぞ」
「どれどれー。おお!良いね〜」
なんとかアー写が決まった
「じゃあアー写も決まったし今日は解散しよっか。湊くん今日はありがとね」
「湊。助かった」
「お兄さんありがとうございました!」
「兄さんありがとう」
「手伝えることは手伝えるって言ったのはおれだ。また何かあったら言ってくれよ」
「おおー頼りになるね〜」
「湊聞きたいことがある」
「なんだよ」
いつもふざけているリョウが真剣に聞いてきた
「この前の楽器屋の、」
「あれーまたどっかの湊くんじゃん。今日はたくさん女の子連れて四股か〜?」
振り返ると今1番会いたくない奴らだった
「またお前らか。しつこいぞ」
「そんな邪険にしないでくれよ〜元メンバーだろ?」
「元メンバー?」
喜多ちゃんが不思議そうに聞く
「ちっ」
「ねぇ。あなた達誰なの?」
伊地知が少し怒り気味に聞く
「おれたちはそこの鳴上湊に暴力をふるわれた被害者だよ」
「暴力?」
リョウが疑問を持ちながら聞く
「に、兄さんが暴力?」
「あぁそうだよ?一方的にやられてそりゃー痛かったよ。ほんと酷い奴だよ」
「そ、そんなこと、ない」
「あ?」
「に、兄さんはそんなことしない!」
「ぼっちちゃん...」
「ひとり...」
「うん。そうだね湊くんは確かに口は少し悪いけどほんとは優しくて友達想いな子だもんね」
「うん。湊は私と同じで優しい」
「お前なぁ。まぁいいか」
「お兄さんはいつも私たちを応援してくれてますからね!」
「ちっ。でもおれたち全員こいつに殴られたのは事実だからな。それを忘れんなよ。行こうぜ」
奴らは立ち去った
「余計な捨て台詞しやがって」
「に、兄さん嘘だよね?兄さんが暴力なんて」
「いや本当だ」
「ま、またまた〜湊くんたら」
「湊。本当なの?」
「お兄さん嘘ですよね?」
「だから本当だって。失望したろ?おれは優しくなんかないんだ。今日のやることは終わりだろ。じゃあおれは帰るから」
湊は静かに去った
スターリー
ガチャ
「はぁ」
「湊。今日は休みだろ」
星歌さんが隣に座った
「実は、」
先程のことを話した
「お前この前のおつかいの時も会ったろ」
「バレました?」
「お前が中学生の時から知ってるからな。考えてる事はわかる」
「そりゃどうも」
「お前のこと話さないのか?」
「話したらここにいられないですよ」
「そうか。あいつらはお前のこと好きだから付き合いは切るなよ」
「わかってますよ。じゃあ帰ります」
ガチャ
ドアにもたれかかる
「わかってるよ、そんなこと...」