数週間後
あれから数週間がたち時間もたち季節は夏
結束バンドは日々練習をして頑張っている
おれはそんな結束バンドを影から支えている
いわゆるマネージャーのようなものだ
結束バンドがでかくなるまでの
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後藤家
翌日が休みのためまたおれはお呼ばれしていた
「へへ。父、母、妹、犬」
「だからふたりとジミヘンは無理だろ」
「で、でももしかしたら」
「ねえよ」
「え〜つまんな〜い」
ふたりがおれの膝の上でぼやく
「こわいとこなんだぞ〜」
「ふたりこわくないもん!」
ひとりがフリーズしてる
変な世界行ってるな
「お母さんの友達呼ぼうか?」
「お姉ちゃん誰もお友達いないもんね。わっ!」
ひとりがふたりの肩をつかむ
「お姉ちゃん話さないだけで学校にたーくさん友達いるんだよ?」
「え〜嘘だ〜」
「冗談でもそんなこと言っちゃダメだよ?人の痛みがわかる子になりなさい」
「ご、ごめんなさい」
ペシッ
「あぅ」
「ふたりを怖がらすな」
「お母さん友達に声かけるね」
「だ、だ大丈夫!ライブ楽しみにしててー!」
ひとりは階段を駆け上がっていった
「湊くん。あれ本当?」
「いや嘘です」
「だよねぇ」
翌日
「で?どうするんだノルマ」
「うぅ。あの時見栄なんかはるんじゃなかった...どうしよう兄さん!」
「おれに言われても。その日はお前らが出るからバイト出ないとまわらないし。おれの知り合いも難そうだし」
「うぅ。どうすればあと3枚売れるのかな...」
「それは?」
ひとりの横にある紙の束を見つける
「け、結束バンドの手作りフライヤー」
「どれどれ」
じーっ
「ど、どうかな」
「ひとり、お前のことは忘れない」
「ひ、ひどい!」
ピロン
結束バンドのグループロインの通知だ
「喜多ちゃんたちだ」
お友達きてくれるみたいです!よかったー!
なんか売れた
ぼっちちゃんはどうかな?今日の自主練くる?
新曲も合わせたいし
「うぅ。みんな順調そう。ど、どうしよう」
「あ、またひとりの世界に入ってる」
「はっ!なんで私、お母さんにあんな強がりを〜」
「うあ」
バタッ
「ひっ!へ?」
「ひ、人が倒れてるど、どうしよういや救急車!?」
「とりあえず落ち着け。ってどっかで見たことあるなこの人」
「み、水」
「あっはい!」
「それと酔い止めあとしじみのお味噌汁」
「いや注文多すぎだろ」
ひとりが全部を買ってきた
「いや〜ほんとに買ってくれるなんてありがとね」
「い、いえ」
「あれー?そっちの男の子どっかで見たことあるな〜。うーん。あっ湊くんじゃ〜ん久しぶり〜」
「やっぱひろ姉か」
「に、兄さんの知り合い?」
「廣井きくり。おれがバンドやってた時に世話になってた。うーんただの酔っ払い?」
「ただの酔っ払いとはなんだ〜これでも湊くんのこと弟のようにかわいがってたんだぞ〜」
そう言いながらおれを横から抱きしめる
「酔っ払うとくっつく癖はなくなってないな。むしろ悪化してる」
(ま、まさかのライバル!)
「ひとりどうした?」
「あ、あ、べ、別に」
「あれ?湊くんそっちの子は〜?」
「あっ後藤ひとりです。に、兄さんの幼馴染です」
「んー?兄さん?湊くんの妹?」
「いや兄さんて呼ばれてるだけ」
「あ〜そうなのか〜」
ぐびぐび
「ぷはぁ!」
「てかなんでひろ姉はここにいるんだよ」
「昨日の〜ライブの打ち上げして〜目ェ覚めたらここにいたの。あれー?ひとりちゃんのそれギター?」
「あ、えと、はい」
「へぇ〜弾けるの?」
「あ、いやこれかっ買ったはいいんですけど1日で挫折して今から質屋さんに行くとこだったんです」
「へ?」
「もっと相応しい人にこのギターを使ってもらって大空に羽ばたいてほしくて全然弾けません。すみませんあ〜何円で売れるかな今日は焼肉だ〜!」
「ペラペラと嘘つくな」
ペシッ
「あぅ!」
「へ?すごいすらすら嘘つくね」
「おおー良いギター大事にしてるんだね」
「あ、はい」
「私はベース弾いてるんだ〜。お酒とベースは私の命より大事なものだから毎日肌身離さず持ってるの」
「ひろ姉」
「なに〜?」
「そのベースは?」
「居酒屋に置きっぱなしだ。取りに行くよひとりちゃん!湊くん!」
ひろ姉はおれとひとりを子供のように引っ張る
「引っ張んな!」
(命が軽い)
「じゃ〜ん私のmyベース」
「はぁ。ほんと変わってないなひろ姉は」
「それほどでも〜」
「ほめてねぇよ!」
(じょ、状況が謎すぎる)
「カッコイイでしょ〜?」
「あっはい。カッコイイです」
「昨日のライブも大活躍だったんだよ〜。で、打ち上げで飲みすぎちゃってさ気づいたら日昇ってるし全然知らないここに来てたんだよね〜」
「よく事故らねぇな」
「な、何時間飲んでたんですか?」
「どうせ記憶ないだろ」
「あはは〜ピンポーン!」
「お、お酒好きなんですね」
「うん!だってお酒飲んだら嫌なこと忘れらるし。ほら将来のこととか?私はこれを幸せスパイラルって呼んでるんだ〜真似していいよ」
「ひとりに変なこと教えんな」
ボカッ!
「いたっ!?もーう昔みたいなことしないでよ〜」
「む、昔?」
「いや〜湊くん昔から私をこうやって止めてくれてたんだよね〜。まぁ2人も大人になったらわかるよ〜」
(どんなだろう。お酒に溺れる私)
「ひとりー?」
ダメだまたひとりの世界に入ってる
「ぎゃああああ!」
「あっ戻った」
「あははキミもしかしてやばい人?」
「あんたが言うな」
「それに〜いざとなったら湊くんがもらってくれるって〜」
「に、兄さんが!?」
チラ
「ん?はいはいそうだね〜」
「テキトーすぎる!?」
「そういえば2人は何してたの?」
「あぁそれは」
かくかくしかじかまるまるうまうま
「うぅなるほどひとりちゃんは悲劇の少女だったわけか〜」
(す、すごく同情してくれてる!)
(酒入ってるからなんでも泣けるとは言わないでおこう)
「チケット売るの大変だよね。私も最初の頃苦労したな〜」
「そ、そうなんですね」
「よーし命の恩人のために人肌脱いであげよう」
そう言いながらひろ姉は上着を地面に落とした
「何する気だよ」
「そりゃあ見たらわかるよ。さっ準備して」
「は、へ?」
「私とキミで今からここで路上ライブをするんだよ〜」
「えぇ?」
(なるほど。路上ライブでファン獲得を狙うってか。ひろ姉酔っててもこういうとこには昔から勘が鋭いんだよな)
「良いじゃんひとりやってみろよ」
「兄さんまで!?」
「そうそう。ビラもあるし路上ライブでチケット買ってもらうのが1番良いって〜」
「で、でも」
「今日この辺でお祭りやるっぽくて人も多いし路上ライブ日和だよ〜」
周りには浴衣を着た人が多数いた
「良いと思うけどひろ姉アンプとか機材ないぞ」
「あちゃ〜」
「じゃ、じゃあ残念ですが別の機会に」
「こんなこともあろうかとひとりの機材を持ってきといた」
ドサッ
「兄さんなんで!?準備良すぎるよ!」
「うーん。勘?」
「兄さん私の事知りすぎだよぉ」
「あ〜でも私の機材ないから持ってきてもらうね〜。あ〜もしもし〜私〜生きてま〜す。今から路上ライブするんだけど機材持ってきてくれない?うん機材だけでいいから」
(ど、どうしよう。話が進んでいく!)
ひとりの肩に手を置く
「兄さん?」
「死ぬなよ」
「うぅ。こわい〜」
「あっははは!湊くんやっぱり面白いね〜」
数分後
「なぁひろ姉」
「なに〜?」
「アンプはわかる」
「うん」
「おれの気のせいならいいけど目の前にドラムセットが見えるんだが?」
おれの目の前には路上ライブ用の持ち運べる簡易ドラムセットがあった
「湊くんもやるんだよ?」
「なんでだよ!?ひろ姉だけでいいだろ!」
「え〜だってせっかく湊くんいるしさ〜。ひとりちゃんも湊くんいたら安心でしょ?何よりドラムだしいたらやりやすいじゃん?」
「は、はい。兄さんがいれば安心です」
「はぁ。おれは、結束バンドじゃねえぞ」
「まぁ細かいことはいいじゃーん!後から説明すれば!」
「持ってきてもらったのに使わないのは申し訳ないし。やるしかないか...」
(やった!兄さんとはじめて合わせられる!ここで良いとこ見せてもっと兄さんに褒めてもらおう!)
「なんか嬉しそうだなひとり」
「へっ!?あ、いやそんなことは、い、いや兄さんと合わせるのが嬉しくないわけじゃなくて、その、」
「なになに〜?2人は良い感じなの〜?」
「そうともいえるし、そうともいえない」
「なんだそりゃ〜」
「うぅ。そうと言ってほしかった」(小声)
「さてそろそろはじめよっか!」
「みなさ〜ん」
ひろ姉が路上ライブの説明をする
「あ、でも私、外でギターを弾いたことがなくて...」
「そんなに怖いなら目瞑って弾くとか?なーんて人見知りなんだね〜」
(で、できるかも。いつも暗い中で弾いてたから。うん。大丈夫)
「でも一応言っとくけど。今君の前にいる人たちは戦う相手じゃないからね。敵を見誤るなよ?」
「えっ?」
(なるほど。ひとり、ひろ姉の言葉の意味わかるか?)
ひとりと目が合うがきょとんとしている
ピリリ
スマホに着信がくる
「ん?虹夏から?もしもし?」
「あっ湊くん。今大丈夫かな?」
「あぁ。どうした?」
「ぼっちちゃんチケット大丈夫かな〜って思って。返事もないから」
「みんなにも伝えてくれ。ひとりはひとりの力でチケットを売るって」
「えっ?それってどういう」
「じゃあな!」
「あれ?切れた」
「虹夏。湊なんて?」
「ぼっちちゃんチケット売れるって」
「ついにお兄さんまで現実逃避を...」
「湊くんに限ってそれはないと思うけど...大丈夫かな〜」
「それじゃあはじめますね〜!曲はこの子のバンド結束バンドのオリジナル曲で〜す。パチパチパチ」
「ほら、ひとりちゃん」
「ひとりやるぞ」
「う、うん」
ひとりが目を瞑りながらギターを弾く
きくりもそれに合わせベースを弾く
湊もそれに合わせリズムを刻む
(この人、即興なのに音に全く迷いがない。すごく自信のある演奏。私の演奏を確実に支えているんだ。音だけでわかる。楽しんでるって。それに兄さんも虹夏ちゃんのドラムとは違うけどブレずに正確だけどどこか好きなように叩いてる。それに比べて私は、)
(気づいたなひとり。さぁどうする)
(お客さんに笑われてないか顔を上げるのが怖い...)
「がんばれー!」
「っ!」
「ちょっとあんた何言ってるの?」
「なんかギターの人不安そうだったから。つい」
ひとりは目を開け何かに気づいた顔をした
(演奏が安定した。ひとりの奴気づいたな。さぁ見せてみろ後藤ひとり!)
チラッ
きくりと目が合う
(ひとりちゃんやるじゃん!)
(ひろ姉も気づいたな。当たり前だなんせこいつは後藤ひとりだからな!)
そして演奏が終わった
パチパチパチ!
(この短時間でよく欠点を克服したね。この子絶対上がってくる!私の勘は当たるんだ!)
「よかったよーひとりちゃん!」
「あぁ。よくやったひとり」
「う、うん!ありがとう兄さん。廣井さん」
(よ、よかった。バレてない片目しか開けてないの)
「どした?」
「う、ううん!なんでもない」
「あのー」
「は、はい!」
「このライブのチケット買ってもいいですか?」
「2枚ください!」
浴衣を着た女性2人がひとりに声をかける
「へ?」
「よかったね〜ひとりちゃん!あれ?フリーズ?」
バタッ
「えー1枚1500円なんで2枚で3000円になります」
封筒を用意する
「湊くん準備はや!」
「結束バンドのマネージャーだからな」
「あ、あの本当に良いんですか!買っていただいて」
「ひとり。この人達はお前の演奏を聴いて買いたいって言ったんだ。なら黙って買ってもらうのが筋だ」
「だ、だって」
「ひとりちゃんここは素直になるところだよ?」
「ふ、2人がそう言うなら」
「はじめて路上ライブ見たけどすごく良かったです!」
「今度のライブも頑張ってくださいね」
「は、はい。頑張ります」
ひとりはチケットを差し出した
「さっきの曲もやります?」
「は、はい!やります」
「楽しみにしてますね!」
「こんなきらきらした時代が私にもあったんだ〜。うぅ今夜はヤケ酒だ〜」
「な、なんで泣いてるんですか?」
「ほっとけ。いつもあんなんだから」
その後、警察官に注意され片付けた
時間はすっかり夜
「ど、どうしよう兄さん。まだあと1枚残ってるよ〜」
「そう泣くなって。4枚も売れたんだ上出来だ。それに、ひろ姉買うだろ?」
「あれ?バレちゃった?」
「あんな目でひとり見てたらなぁ」
「あははは!ほんと湊くんは人の心読むのが上手いなぁ〜」
「うん!ひとりちゃん最後の1枚私が買うよ」
「い、良いんですか?」
「うん。ひとりちゃんのバンド見たくなったし。私、新宿拠点にしてるから近いし。このライブハウスも知ってるから」
「あ、ありがとうございます」
「鬼ころ5本分以上のライブ期待してるからね」
「は、はい!頑張ります!」
「また一緒にライブしようね〜。湊くんも新宿来なよ〜バイバーイ2人とも〜」
ひろ姉は駅に向かった
「相変わらず変なバンドマンだ」
「不思議な人だけどやっぱりバンドマンってカッコイイね」
「あっチケット買ったらお金なくなっちゃった〜電車賃貸して〜ライブ行った時に返しますから〜」
「どっかのベーシストを思い出す」
スターリー
「くちゅん!」
「リョウ風邪?」
「誰かが私を噂している。噂されるということは私が1番知られているということ」
「その自信はどこから来てるの?」
ピロン
「あれ?ぼっちちゃんからだ」
今日練習行かなくてすみませんでした。あとチケット全部売れました。
「ぼっちちゃん絶対嘘ついてるよね」
「だね」
「よーし。おれたちも帰るか」
「うん。あっ」
「どうしたひとり」
「き、緊張がとけて疲れが一気にきちゃった」
「まぁはじめての外での演奏だったからな疲れるのは仕方ない。ほら背負ってやるから」
「で、でもギターもあるし」
「いいから」
「う、うん」
ひとりは背中に乗った
「わかってたけど重い」
「ぎ、ギターがらあるからだよね!?」
「行くぞー」
「もぅ」
少し歩くとひとりはすぐに眠ってしまった
すぅすぅ
「よほど疲れたのか」
「に、兄さん」
「ん?起こしたか?」
すぅすぅ
「寝言か」
「に、兄さんありがとう」
「はいはい。おれもひとりに感謝してるよ」
ひとりの顔は赤かった