探索者の幻想   作:ナチュラル7l72

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呪文等はクトゥルフ神話trpgを元に描写されます。一部原作通りのもの、というよりtrpgと原作で効果が違うものとかはだいたい原作通りにしています




男は森に立っていた。

 

いや、森に立っている。の方が文法上適切であるかもしれない。なぜなら過去形というものは現在より過去に起こった出来事に対して使われる時制を伴った動詞として使われ、もう一つ現在とは乖離した状況を指して使われることが多い。英語をたしなんでいればそれがよくわかる。

 

正しく男の行動をまとめれば「男は森に現在立っており、先ほどまで男は宗教団体の施設にいた。」である。先ほどというのはわずか十秒前のことだった。

 

「…」

 

男は神父を追って「門」に入ったが、気づけば目的の対象である男はおらず帰りの「箱」もない。行き、もしくは何かを招来させることだけを目的としていたのか?あの神父が人間の強度そのままで入っていくのを目撃したから私も入ったのだが。

 

あの門の目的として、前者なら問題はないが、もし後者ならこの地は非常に危険である。あの神父が苦し紛れに入った愚策でなければいいのだが。

 

男はとりあえず目的である神父の殺害を優先し、神父を探すことにした。帰り用にPOWやMPを残しておきたいので呪文を使ったりはしない。ただでさえ教会の破棄や闇をさまようものを殺すために正気を削ったのだ。人の手でできることなどに使いたくはない。男はそう考えた。

 

すると前方に座り込んでいる女、いや少女を男は発見した。男の見慣れのない服、髪色などからしてこの地の原住民であろうか。

 

背しか見ていないが近くで見ても非常に華奢で見るものを不快にさせないその姿は脅威には思えない。故に男はその少女に話かけてみることにした。

 

「もし、そこのお嬢さん。」

 

座り込んで何かをして下を向いていたその少女はこちらを見てその赤く濡れた口元をこちらに向けながら呟いた。

 

 

 

 

「なあに人間さん。なにか用?」

 

その足元には元神父であった肉の塊が鎮座していた。人間の皮膚は剥かれてそこらに捨てられ、腕の肉はもう食べられたらしく骨しか残っていない。顔の肉は皮膚がなくともわかる程に苦悶に満ちていた。

 

そしてそれは男がよく目にしているものだった。人間の死ぬ瞬間なんぞそんなものだ。

 

「あなたは食べれる人類?」

 

少し動悸が早くなるが、落ち着かせる。なにもそこまで慌てるものでもない。ただ少女が目的の神父を食べていただけだ。

神父の殺害は達成されたしこの地に詳しい者にも出会えたのだ。一石二鳥というものだ。一つ問題があるとすれば一石二鳥はこの少女にも言えることだということだ。神父と私で二つもたべられる。

 

男は意図を考える。質問というものは相手の目線を考えられる能力がなければできない言動である。そこらの言語能力もどきを持っただけの怪物とは違う。

 

「いいえ、違います。」

 

男は少女が話した言語でしっかりと否定した。男は他の言語を話すぎて活舌が悪いとは日本語を不自由にしているわけではない。しっかりと伝わったはずである。

 

「そーなのかー」

 

伝わった。食人生物ではなくただのカニバリズムだったことが判明して男はひどく安心した。

しかし一抹の不安もある。この地を案内してくれるだろうか。できれば「門」を使わずに帰りたいのだが。

 

 




カニバリズム とは

人間が人間を食べること。

主人公は妖力なんて非日常的なものは感じ取れません
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