グランドライブIF   作:223系新快速

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第1話 2人のシンボリ

日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園。ここではトゥインクル・シリーズを始めとした数多くのレースに挑むために、日本全国や世界から選ばれたウマ娘達が日夜研鑽を重ねている。その学園の生徒会長が、皇帝という二つ名を持つシンボリルドルフである。

 

ルドルフ「今日の仕事ももうすぐ終わりだな、エアグルーヴ。」

グルーヴ「珍しくナリタブライアンが真面目にやっていますからね。後、邪魔する者がいないのも大きいかと。」

ブライアン「テイオーはトレーニング、シリウスシンボリは後輩の指導、姉貴はレースのシミュレーションだからな。」

 

暫くして仕事が全て終わる。

 

ルドルフ「さてと、仕事も済んだし、少し散歩してくるよ。」

グルーヴ「お伴しますか。」

ルドルフ「いや、大丈夫だ。」

グルーヴ「そうですか。」

 

 

その頃、トレセン学園のとある練習場では、シリウスシンボリが後輩達の面倒を見ていた。

 

シリウス「よし、良いタイミングだ。もう一本。」

シリウスの取り巻きA「シ、シリウス様、今日も疲れましたー。」

シリウスの取り巻きB「同じくー。」

シリウス「そうか、なら、今日はもう上がっていろ。」

「「はい。」」

シリウスの取り巻きC「シリウス様は?」

シリウス「私は少し用があるのでここを離れる。私が作成したメニューをこなせたら、後は自主練するなり、あがるなりして良いぞ。」

「「「はい。」」」

 

シリウスは、歩きながら独りごちる。内容は取り巻き達の練習態度である。

 

シリウス「全く、幾らそれぞれに事情があるとはいえ、あの程度で音を上げていたら、何時まで経っても上には行けないってのに。だからってルドルフの奴に頼むのも癪だしな。」

 

シリウスは、同じシンボリ家のルドルフと目指す先は同じだが、やり方は正反対だ。ルドルフは生徒会長として率先して規範を示し、権力でもってウマ娘の幸福を実現しようとする。対してシリウスは、自分が積極的に関わることで全体の底上げを図る。だが、思うように行かないのが現状である。

 

タッタッタッ

 

ダートコースで誰かが一人で練習をしている。ピンク色の髪をしたウマ娘だ。

 

シリウス「ん?あいつは確か、ハルウララだったな。タイムは遅いが、根性は人一倍あるな。」

 

タイムは、シリウスの取り巻き達よりも遅く、100回やって1回勝つかどうかだろう。だが、転んでもへこたれないその姿勢に、シリウスは見入るものがあった。

 

シリウス「どれだけ負けてもめげずに練習に励む姿、他の者達も見習って欲しいものだな。」

ルドルフ「君もそう思うかい、シリウス。」

シリウス「と、皇帝サマじゃねえか。何の用だ?」

ルドルフ「何、仕事も終わったし、気分転換で外を見て回ろうと思ってね。」

シリウス「ハッ、そういうところ、きざったらしくて好きじゃねえな。」

ルドルフ「そういう君こそ、後輩達の面倒はどうしたんだい。」

シリウス「ハルウララの様子を見ていると、今日はやる気が失せた。あいつと比較すると、どうも物足りない。」

ルドルフ「彼女のひたむきさは、学園一だからね。あれも立派な才能のうちだよ。」

 

 

翌日、取り巻きの一人が学園を去ることになる。

 

シリウス「そうか、お前もここを去るのか。」

シリウスの取り巻きD「はい、トップスピードの高さを見込まれましたが、それを維持するスタミナがなくて…。」

シリウス「そうか、転校しても、めげずに頑張るんだぞ。」

シリウスの取り巻きD「はい…。」

 

俯きながら去るのを見て、取り巻きの一人が話しかける。

 

シリウスの取り巻きA「今月に入って3人目ですね。」

シリウス「ああ。この前の奴は競り合いになったときの勝負弱さ、更にその前は展開毎の適応力の無さ。誰も彼も、一皮が剥けずにここを去ることになった。」

シリウスの取り巻きA「勝負の世界ですからね。私やシリウス様だって、もし怪我をして再起不能になったら、同じ事が言えますし。ただ…、」

シリウス「ただ、何だ?」

シリウスの取り巻きA「自分が何も残せずにこの学園を去るというのは嫌だな、そう思いました。」

シリウス「確かに、この学園に入った時点で、選ばれし者だからな。自分がいたという証拠を残したくなるのは当然か。」

 

勿論書類上は在籍した記録は残るが、誰かの記憶に残りたいと思うのは当然の話である。

 

 

その日の練習終了後、シリウスは図書館に来ていた。

 

シリウス「ゼンノロブロイ、少し良いか?」

ロブロイ「は、はい。」

シリウス「トレセン学園で、過去に開催されていたレースやライブを纏めた資料はあるか?」

ロブロイ「ちょっと待ってください。ええと、この列ですね。」

シリウス「ありがとう。さてと、使えそうなのはこれとこれだな。」

ロブロイ「?シリウスさん、何かするのですか?」

シリウス「ああ、ちょっとな。」

 

シリウスは借りた資料を自室へと持って行き、読みふける。

 

シリウス「なんだ、答えはあるじゃないか。」

 

年に1度トレセン学園に所属するウマ娘全員で踊るグランドライブ、これがかつて開催されていたのである。もっともトゥインクル・シリーズが盛り上がるにつれて、生徒達が片手間にやるには無理があり、またレース直後に行われる、勝者を称えるウイニングライブが人気を博したこともあって、置き換えられる形で廃れたのであるが…。

 

シリウス「私の手で、これを復活させれば良いだけの話だ。ルドルフの奴、こんな事にも気付かないとはな。精々玉座に座っていろ。気付くのは私にお株を奪われて朽ち果てた後だ。」

ナカヤマ「どうしたシリウス、随分にやついているな。」

シリウス「何、ルドルフのお株を奪うような事を見つけただけだ。一か八かの勝負事ではないから安心しろ。寧ろその対極だ。」

ナカヤマ「そうか、なら私には関係ないな。」

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