「ルキアねえさま……」
久しぶりに屋敷に戻ると朝緋が泣きながら近付いてきた。
「ど、どうしたのだ! 朝緋っ!?」
赤子の頃から面倒を見ている甥が泣いているのに動揺する。
朝緋は両の掌で包んでいた中を見せていた。
「ねえさまぁ……チカが……チカが……」
掌に包まれていたのは、朝緋が飼っている小鳥だった。
鳴き声がとても美しい鳥で、籠に入れず放し飼いにしても鳥笛で呼べば必ず朝緋の傍まで飛んで来る程に懐いていた。
「他の鳥にやられたのか」
チカと名付けられた小鳥は血を流してピクリとも動かない。
「ねえさま……チカを、チカを助けてください! お願いします!」
以前、転んだ朝緋が額を擦りむいた事がある。
その時に回道で治癒した事があり、だから私を頼っているのだろう。
だが────。
「朝緋。残念だが、もうこの子は……」
「いやですっ!!」
珍しく朝緋がいやいやと首を横に振る。
「だって! 朝にはちゃんと元気に飛んでいたんです! ご飯も食べて! 鳴き声を聴かせてくれて! だから! だからまだきっとっ!!」
朝緋自身、もう手遅れなのを理解しているのだろう。
それでも認めたくなくて駄々をこねている。
こんな時に自分の言葉で慰められない不甲斐なさに苛まれるが、それでも何も言わないよりはいい。
「……朝緋。心は何処にあると思う?」
「え?」
少し前に海燕殿に言われた事を思い出す。
「私も朝緋も。そしてチカも。この身体は霊子で出来ている。いつかはこの身体は霊子に還り、戸魂界の糧となる。なら、心は何処にある?」
「……わかりません」
私の言っている事が理解できずに首を振る。
まぁ、私も全てを理解しているとは言えないが。
「心は、私達の間にあるモノだ。朝緋がチカを想う限り、その心はずっとお前の中にある。ずっと覚えていてやるんだ。そうすれば、チカはお前の中で存在し続ける」
「チカが、私の中で……」
理解はしていないだろう。それでも私の言葉を理解しようと努めている。
「ルキアねえさま。一緒にチカのお墓を建ててくれますか?」
「あぁ。丁重に弔ってやろう」
「はい」
最後に流した雫が小鳥の羽を濡らすと、朝緋は大事そうに胸の位置にチカを抱えた。
「いったぁ……」
朝緋は今回、阿散井恋次と共に罪人だった朽木ルキアと現世へ逃亡した件について山本総隊長からキツイ拳骨を喰らって退出したところだった。
藍染の裏切りが原因とはいえ、それはそれ。これはこれである。
席官としてあるまじき行動に叱られたのだ。
「ハハ。山爺の拳骨を喰らったみたいだねぇ。アレは痛いだろう?」
「京楽隊長……」
話しかけてきたのは、八番隊の隊長である京楽春水だった。
「久し振りだねぇ、朝緋君。今回巻き込んだのこっちだからね。大して罰せられなかったみたいで良かったよ」
「はい。京楽隊長も今回はありがとうございます。私を覚えて下さってたのですね。八番隊に所属していた期間は二年もなかったのに」
「朽木隊長のご子息で将来有望な若手を知らなかったら隊長なんてやってられないよ」
冗談めかして答える京楽。
「まぁ、怒られている内が華さ。期待されてると思って甘んじて受けなさい」
「はい……」
朝緋自身、総隊長の拳骨を受けるのは二度目だったりする。
五席に着任したばかりの頃に十二番隊への転属願を提出したら、上位席官がうろうろするなと拳骨を喰らった。
頭を撫でていた手を離して、ルキア、恋次と共に現世へ逃亡しようとした時の事を思い出す。
「京楽隊長。逃げていた時に山本総隊長の霊圧を感じてました。アレが、総隊長の始解なんですね……とても大きくて重い。今の私が相対しても、斬られた事にすら気付けそうにありません」
初めて感じた総隊長の霊圧。
遠くにいる筈なのに、目の前に居るのでは錯覚する程の。
その様子を見て京楽は笠を被り直す。
(こりゃ、折れちゃったかな?)
総隊長の圧倒的な力を感じて身の程を知る事は珍しくない。
(前に浮竹が、朝緋君は総隊長になるのが夢だって言ってたのを嬉しそうに話してたから期待してたんだけだねぇ)
だがそれを軟弱者とは思わない。
総隊長の力を感じれば十人中十人が心を折られる。
それでも折れないのは自殺志願者と同等の命知らずな者だけだ。
仕方ないと思いつつ朝緋の顔を見る。
そこに浮かんでいた表情は諦め自身に対する失望ではなく。
「でも、稽古を続けていれば
強がりではなく、未来を見据えた顔で朝緋はそれを口にした。
今は届かなくても、いつか必ず山本総隊長の居る頂に辿り着くのだと。
「いつか、私は山本総隊長からその座をブン取るのです」
例えそれが百年。もしくは千年かかったとしても。
それを聞いて京楽は瞬きしてから吹き出す。
「君は見掛けに依らず野心家だよねぇ。なら早く強くなって、山爺を楽隠居させてあげてよ」
「はい! それでは失礼します。今回の件で浮竹隊長にもお礼を言いたいので!」
「あぁ。浮竹ならまた具合を悪くしちゃったよ。今日会うのは無理だろうねぇ」
浮竹の容態を知り、残念そうに肩を落とす。
「そうですか。残念です」
一礼してから去っていく朝緋。
手を振った後に京楽は一番隊の隊長室に入室した。
「聞いてたかい? 山爺もそろそろ、本当に隠居を考えても良いんじゃない?」
自分の肩を揉んでいた山本総隊長はふん、と鼻を鳴らす。
「まだまだ。あんな赤子に任せるつもりはないわい」
言葉と裏腹に、その声は少しだけ期待で楽しそうだと京楽には感じた。
「おー。朝緋坊。もう怪我は良いのか?」
ルキアを探して歩いていると二番隊の隊長である砕蜂と一緒にいる褐色肌の女性に話しかけられた。
「え、と……失礼ですか、どちら様ですか?」
「貴様……!」
砕蜂が睨みを利かせてくるが褐色の女性が手で制す。
「冷たいのぉ。数日前に少しばかりだが可愛がってやったのに。儂の肌を傷物にまでしておいて」
砕蜂に見えないようにニヤニヤと笑う女性。
その言葉に後ろに居た砕蜂の殺気が増す。
「夜一様に何をした……」
帯刀は許されていないのに、喉元に切っ先を突き付けられた気分だった。
朝緋は夜一、という名前とその容姿に思い至る。
「もしかして四楓院家の?」
百年前に姿を消したと言われていた四大貴族であり。当時の四楓院家当主で、二番隊の隊長と隠密機動を束ねた死神。
「ですが、私とお会いした事はありませんよね?」
「気付かぬか? お主の斬魄刀の能力で前足と後ろ足を火傷させられたのだぞ? もう治ったがの」
手足ではなく、前足と後ろ足という表現に思い至る。
「もしやあの時の黒猫が!?」
「ようやく気付いたか」
「でも、声まで……えぇ?」
「そっちの方が面白いじゃろう?」
混乱している朝緋に夜一がイタズラに成功した子供のような顔で返す。
「しかし顔はそっくりじゃが、子供の頃の白哉坊とは性格が正反対じゃな」
朝緋の顔を見て懐かしむように呟く夜一。
それに朝緋が興味を示した。
「父様の子供時代、ですか。あまり聞いた事がありません」
白哉はあまり過去を語らない。というよりも、朝緋の記憶では鍛練か四大貴族としての振る舞いを学ぶ時以外で顔を合わせる事は殆んど無い。
そんな朝緋に夜一は内心でイタズラ心がむくむくと顔を出す。
「そうか。昔、儂がまだ隊長をやっていた頃にはよく白哉坊と鬼事で遊んでやってなぁ。あやつは儂の後ろを必死に追いかけてきたモノじゃ」
懐かしむように語る夜一。
これだけ聞くと白哉と夜一が仲の良い姉弟のような関係に聞こえるが、そんな事はなく、夜一が暇潰しに白哉をからかい、同人頭に血が昇り易かった白哉がムキなって挑発に乗っていただけである。
夜一の話を信じ込む朝緋を見て、これは色々と教えてやろうと決めた。
「詳しく聞きたければ後で二番隊まで聞きに来い。儂らもしばらくは瀞霊廷に留まる故」
「はい! ありがとうございます! 失礼します!」
ペコペコと頭を下げた後に離れて行くのを見送った夜一は何を話してやろうかと悪い笑みを浮かべた。
朝緋がルキアを見つけたのは、夜一と別れて程なくしてだった。
旅禍の男女と一緒に居て話をしていた。
ルキアが朝緋に気付いて瞬きをする。
「朝緋!? もう体はいいのか!」
「はい。自分でも驚くくらいに」
両腕を斬られて、肋骨を折られた朝緋。
本来なら今も四番隊の世話になっていてもおかしくない。
ルキアが織姫に礼を言う。
「井上、朝緋を治してくれてありがとう。ほら朝緋。お前もお礼を言え。井上がお前を治療をしてくれたのだ」
「ありがとうございます、井上織姫さん。お陰で命拾いしました」
「ううん。ちゃんと治せてよかったぁ……!」
握手をする二人。
そしてもう一人のオレンジ頭の少年の方を向く。
「黒崎苺さん、ですよね? 可愛らしい名前ですね」
「苺じゃねぇ! 一護だ! 一番の一に護廷の護で一護! おいルキアも笑ってんじゃねぇ!」
朝緋の微妙な勘違いが面白かったのか、顔を背けて吹き出す。
そこで朝緋が頭を下げる。
「今回、ルキア姉様を助けて頂いてありがとうございます」
「朝緋……」
「ルキア姉様の処刑で父様は静観するつもりで姉様本人は覚悟を決めてる感じだったので。私は結局、大した事は出来ませんでしたから」
自分の不甲斐なさを恥じるように息を吐く朝緋。
その態度に一護が調子が狂う様子で頭を掻く。
「お前本当に白哉の息子かよ。調子狂うぜ」
「父とは顔立ちがよく似ていると周りに言われますが。似てませんか?」
「いや。顔は似てんだけど……その、雰囲気が全然違うじゃねぇか」
「あぁ。ほら。私まで父様みたいな仏頂面を続けてたら、
一護の言わんとする事を理解して朝緋はあははと笑ってそう返す。
そこでルキアが朝緋に問いかける。
「おい。ちょっと待て。なんだそれは」
「息苦しかったでしょう? ずっと」
「む……」
確かに自分の存在意義が分からない朽木家で過ごす時間はいつも気を張り詰めていたように思う。
もしかしたら朝緋なりにずっと気を使っていたのかもしれない。
そこで一護が疑問を口にする。
「しっかし。朝緋が白哉の息子なら、白哉の妹のルキアは姉じゃなくて叔母────ぐえっ!?」
禁句を言おうとした一護の鳩尾に拳を打ち込む。
「テ、テメェ……ルキア……」
「そこから先を言ったら許さんぞ、一護」
「霊力が戻ってきましたね」
ルキアの動きを見て霊力が回復してきている事を察する朝緋。
そこでさてと、と朝緋がルキアの肩に手を置く。
「ルキア姉様をお借りしますね」
人気の無い通路を歩く。
ルキアの処刑が決まった時は、こんなにも穏やかな気持ちでルキアと一緒に居られるとは思わなかった。
「卯ノ花隊長から聞きました。父様がルキア姉様を引き取った本当の理由を」
「あぁ」
その話をしている時には既に朝緋は意識を失っていた為、卯ノ花烈から診察の時に聞いたのだ
最期に妻である緋真が妹であるルキアと保護して兄妹になって欲しいと頼まれていたこと。
妻を亡くした翌年に霊術院で見かけたルキアを引き取ったこと。
しかし、緋真とルキア。流魂界の血を貴族の中に入れる事は掟に反しており、以後、二度と掟を破らないと誓った事が、今回白哉の動きに繋がったこと。
「姉様はどう思われましたか?」
「情けない話だが、まだ心の整理がつかないのが本音だ」
今までずっと朽木家所在無さげにしていたのだ。
白哉なりに想われていた事を知って戸惑う気持ちの方が強かった。
「そうですね。でも私は、母様を通じてルキア姉様と繋がりが在るのだと知って、嬉しかったです」
別に血の繋がりが在ろうが無かろうが、ルキアへの態度を変えるつもりはないが、それでも後押しする何かがあるのは嬉しい。
それに今回の件で停滞していた白哉とルキアの関係も良い意味で変化が起きるだろう。
「これから少しずつ父様の事を理解してあげてください。父様は口下手だから、苦労するかも知れませんが。でもあれで意外と父様は天然で面白い人なんですよ」
「は?」
ニコニコと笑いながらとんでもない事を口にする朝緋。
言いたい事は言ったとばかりに伸びをする。
「それじゃあ、私はこれから父様のお見舞いに向かいますね」
「それなら私も」
「すみません。今回は二人っきりで話がしたいので」
「失礼します」
父である白哉が入院している個室に入る。
「朝緋か……」
「はい。お見舞いに来ました」
寝台の横の椅子に座る朝緋。
「母様とルキア姉様の事をお聞きしました」
「そうか」
特に驚いた様子もなく返す白哉。
「もっと早く話してくだされば良かったのに」
「緋真との約束があった」
「それなら、でっち上げでも良いので姉様が安心出来る理由でも言ってくださいよ。だからルキア姉様はずっと朽木家に馴染めなかったんですよ」
引き取った本人がまともに相手もせずに放置状態。
これでは仲良くしようがない。
「済まぬ」
今回の件で色々と思うところがあるのか、そう謝罪してきた。
仕方ないと朝緋が息を吐く。
「父様。退院したら、久しぶりに稽古をつけてください。今なら父様から一本取れる気がします」
朝緋の申し出に白哉は一瞬驚いた後にフッと笑う。
「そうか。だが、私から一本取るにはまだ早いと教えてやろう」
それから、少しだけ時が流れ────。
破面と呼ばれる死神の力を手にした虚。
反逆者である藍染総右助が率いる十刃と呼ばれる精鋭の一から三の番号がその配下と共に現世の空座町へと進行してくる。
しかし護廷十三隊は空座町を偽物と入れ換えるという手段で隊長格を含めて万全に戦えるように準備していた。
重要になるのは立てられた四本の柱。
それらが本物と偽物の空座町を入れ換えた要である。
故に、敵もそこを狙わない訳もなく、十刃の一人であるバラガンが配下の虚を向かわせた。
「莫迦者め。そんな大事な場所に、誰も配備せん訳があると思うか?」
バラガンが柱に向かわせた虚達が斬り伏せられる。
「ちゃんと腕利きを用意しておる」
山本総隊長の言葉と共に柱の守護者達が姿を現した。
三番隊副隊長・吉良イズル。
九番隊副隊長・檜佐木修兵。
十一番隊三席・斑目一角。
そして、一番隊五席・朽木朝緋の姿がそこにあった。
先に向かわせた虚が殺された事で、今度はバラガン直属の従属官が新手としてやって来た。
蟻を踏み潰す四体の竜と称して。
朽木朝緋の相手は────。
「はいはいは~いっ!! ちゅうも~~~~くっ! バラガン陛下の第一の従属官! シャルロッテ・クールホーンちゃんが来ましたよ~~~~っ!!」
パーマのかかった黒髪に厳つい顔の破面を前にして朝緋は斬魄刀を構える。
「護廷十三隊、一番隊五席……朽木朝緋」
朝緋の名乗りを聞いて、ふーん、と肩を上下させる。
「五席。副隊長ですらないってことね。これはあたしは当たりと見るべきかしら」
「そうですね。確かに私は副隊長ではありません。ですが、関係のないことです」
「ん?」
「当たりだろうと外れだろうと、貴方が私に斬られる事には変わりない」
「言ってくれるじゃない!」
一拍の間を置いてから同時に動き、手にしている斬魄刀をぶつけ合う。
クールホーンの剣筋を受け流し、隙を見て弾くと同時に胸に向けて剣を突き刺す。
しかし、朝緋の刀はクールホーンの体に刺さらずに弾かれた。
「つっ!?」
逆に手が痺れて、眉を顰める。
「硬い……」
「当然よ。貴方程度じゃ、あたしの鋼皮を破ることは出来ないわ」
刃が当たった胸をトントンと指で叩きながら余裕の表情を見せる。
「さてと……今度はこちらの番かしらっ!!」
必殺と言った後にやたらと長い名前を呟きながら縦回転して向かってくる。
「ギロチンアタックッ!!」
斬白昼刀がぶつかる瞬間に後ろに下がって威力を削ぐ。
しかしその馬鹿馬鹿しい前振りとは違い、完全には防ぎ切れずに吹き飛ばされる。
空中で体勢を立て直すと同時に斬魄刀を解放する。
「囀ずれ、雷鳥丸!」
電撃を纏った斬魄刀を手に瞬歩で接近する。
「刀がピーチクパーチク鳴ったからって、何が違うのかしら!」
斬魄刀ではなく拳を突き出してくるのを朝緋は刃を盾にして防ごうとする。
すると、クールホーンの指の半分に刃が食い込むとそこで拳を引く。
「なるほと。斬魄刀を解放しただけあるって事ね。いいわぁ。貴方をあたしのライバルと認めてあげる」
クールホーンの空気がさっきまでとは一変する。
その意味を察して朝緋は警戒を高めた。
「煌めけ!
破面の斬魄刀が解放する。
霊圧による爆煙が収まると、先程とは姿が変化していた。
雷鳥丸の刃で傷つけられた指は治り、服装が女性の水着を思わせる鎧に変化している。
「あまりの美しさに言葉も出ないようね。そう、あたしの解放は────」
と、何やら自分の浸りながら解説をしてくるクールホーンに指を突き出す。
「縛道の六十一"六杖光牢"」
突然鬼道に拘束されて驚くクールホーン。
「散在する獣の骨。尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪。動けば風。止まれば空。槍打つ音色が虚城に満ちる!」
「ちょっと貴方っ!? 話はまだ終わってないでしょうがぁっ!!」
「破道の六十三"雷吼炮"!」
雷の砲撃がクールホーンに襲いかかった。
爆煙が晴れると、クールホーンが引きつった笑みを浮かべる。
「容赦が無いわね~。人の話は最後まで聞きましょうって教わらなかったのかしら?」
「私は、死神としてここに立っています。そして私が今やるべきことは、あの柱を貴方から守ることです」
「ふ~~ん? つまり、貴方にとってあたしは任務の障害というわけね。そういう仕事に誠実な子は嫌いじゃないわ! だからとっても残念だわ。貴女のような可愛い子をあたしの手で摘むことになるのが、ねっ!!」
瞬歩に似た、破面は響転と呼ぶ高速移動法で横を取られる。
クールホーンに殴り飛ばされた朝緋はビルの一つを通過して反対側までぶっ飛んだ。
(速度も威力もさっきまでとは段違い!)
相手の力が上がったことに歯噛みする。
体勢立て直す前に追撃してきたクールホーンが蹴りを叩き込もうとするが、その前に鬼道を使う。
「破道の三十三"蒼火墜"!」
「こんなのが、なんなのかしらっ!」
僅かな時間稼ぎに空中で霊子を固めて着地し、追撃してくるクールホーンを迎え撃つ。
しかし刀を振るおうとする前にクールホーンは心臓の位置でハートマークを作るとその中心から虚閃が放たれた。
虚閃が朝緋を捉え、通過する。
「哀しいモノね。美しい者をこの手で消さしてしまうのは」
朝緋を倒した事を確証したクールホーンは柱を破壊しようと動く。
「あっ……?」
胸から電撃を帯びた斬魄刀が生えてきた。
背後を振り返ると、そこにほ朽木朝緋がクールホーンの胸を貫いていた。
「貴方……!」
「閃花……回転をかけた特殊な瞬歩で相手の背後に移動し、突き刺す技です。戦い始めてから私はずっと、私は貴方の背後を取る為に動いていました。その為に、ずっとそれ以外は正面から挑んでいたんです。背後を取らないと思わせる為に」
斬魄刀を引き抜く朝緋。
「貴方の鎖結と魄動。そして心臓を居抜きました。さようなら、シャルロッテ・クールホーン。貴方は確かに、私がこれまで戦った中で、一番強い虚でした」
「クソ……」
悔しそうなそれでもどこか満足そうな声で地上へ落ちてゆくクールホーン。
それを見届けると朝緋は斬魄刀を鞘に納めた。
朽木朝緋の霊王宮戦はどっちが良い。
-
ジェラルドと戦闘。
-
ユーハバッハと戦闘。