朽木家の次期当主   作:赤いUFO

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ちょっと話を戻してアヨン戦。


空座町決戦編

 女の破面三人が右腕を切り落とし、融合する事で生まれたアヨン。

 その禍々しい外見と霊圧に対峙していた松本乱菊と雛森桃の両副隊長はその怪物に気圧されていた。

 ただ空を佇んでいただけかと思われたアヨンが急に二人の方へと駆ける。

 

「灰猫っ!!」

 

 正体不明の敵の攻撃が届く前に乱菊は迎撃に出ようとした。

 しかし。

 次の瞬間、乱菊の腹が半分抉り取られた。

 成す術なく地上へと落ちていく乱菊。

 雛森が彼女を助けようとするが、アヨンが迫る。

 

「っ!?」

 

 刀で受け止めようとするが、その前にアヨンの動きは封じられた。

 

「縛道の六十一・六杖光牢」

 

 援護に駆けつけた朝緋がアヨンの動きを封じる。

 

「朝緋君!」

 

「松本副隊長を早くっ!」

 

 言われて今も落下を続けている乱菊を慌てて追う。

 このままでは地面に頭から衝突しかねない。

 鬼道で乱菊の落下を阻止する。

 朝緋とアヨンの方を見る。

 すぐにでも向かいたいが乱菊をこのまま放置すれば確実に死ぬ。

 急いで治療を開始した。

 

 朝緋の方は縛道で拘束したアヨンがすぐにその鬼道を破壊する。

 

「更木隊長が好みそうな敵ですね」

 

 あの戦闘狂なら、真っ先に斬りかかって行ったかもしれない。

 アヨンが咆哮を上げて突っ込んでくる。

 後の先で斬ろうと朝緋は雷鳥丸を振るう。

 振るってきた拳を真っ二つにしようと振り下ろした。

 しかし。

 

(刃が止まった!)

 

 薄皮一枚斬ったところで雷鳥丸の刃が止まる。

 雷鳥丸の斬れ味には隊長格にも劣らないと自負していた朝緋はそこで判断を迷わせる。

 その隙にアヨンが反対の腕で殴りかかってきた。

 

「くっ!」

 

 瞬歩で距離を取る選択をするのが瞬き一回分遅かった。

 アヨンの拳が胸を庇った腕を穿つ。

 

「がはっ……!?」

 

 僅かに退いて全てを喰らうのは免れたが、殴り飛ばされる事に変わりはない。

 霊子の足場を作り、引きずるような形で空中で着地する。

 

(左腕が折られた! 肋骨にもヒビが────!)

 

 冷静に自分の状態を察して少しでも距離を取ろうと動く。

 しかし視界が暗くなり、顔を上げると太陽を背にしたアヨンが攻撃を繰り出し、強制的に地面へ叩きつけられた。

 

「ゲホッ……!」

 

 血を吐き、呼吸を整える間もなくアヨンが追いついてくる。

 次の一撃を立ち上がる動作と一緒に回避し、攻撃を鬼道へと切り替える。

 

「破道の────」

 

 しかし、アヨンの方が速い。

 

(間に合わ────)

 

 攻撃を喰らうのを覚悟すると、アヨンの腕に黒い鎖が巻き付く。

 

「よく持ち堪えた。後はこっちに任せとけ」

 

「檜佐木副隊長。吉良副隊長……」

 

 九番隊副隊長と三番隊副隊長が並んで助けにきた。

 暗に退がれと言われて朝緋は斬魄刀を構える。

 

「やれます。やらせてください」

 

「……無理はするな。君だって軽い傷じゃないんだ」

 

「それで勝てる相手なら、です」

 

 この化物、下手すれば隊長格並の力を有している可能性がある。

 戦力は多い方がいい。

 左腕は使えないが、鬼道で援護くらいは出来る。

 それにアヨン自身が見逃してくれるとも思えなかった。

 檜佐木が攻撃を仕掛ける。

 

「破道の十一"綴雷電"」

 

 檜佐木の斬魄刀である風死の鎖を伝って電流が流れる。

 効果があったのか、アヨンは苦しむ様子を見せる。

 鬼道が弱点かと判断しつつ朝緋が駄目押しで縛道で縛る。

 

「縛道の六十三"鎖条鎖縛"」

 

 鬼道で作られた大きな鎖でアヨンの動きを完全に封じた。

 

「吉良っ!!」

 

「面を上げろ、侘助!」

 

 斬魄刀を解放し、形を変えた刀身で七度アヨンを斬りつける。

 侘助の能力は斬ったモノの重さを倍々にしていく斬魄刀。

 七度斬りつければ動ける体重ではない。

 完全に動けなくなったアヨンを吉良が首を刈る為に首を填める。

 逆手に持った侘助を引こうとした。しかし────。

 

(首が刈れない!)

 

 あまりの硬さに侘助では首を刈れない。

 驚いていると頭部の一部から眼が開かれ、そこから虚閃(セロ)が放たれる。

 咄嗟に斬魄刀を手放して虚閃を回避する吉良。

 のそりと立ち上がるとアヨンは風死と鎖条鎖縛の鎖を破壊する。

 

「そんな! 動ける重さじゃ────」

 

 驚く間もなくアヨンが跳躍し、吉良に襲いかかる。

 回避しようとするが、増えている筈の重量を感じさせない速度で突っ込んでくる。

 

「くそっ!?」

 

 その巨大な手に掴まれると、吉良はビルの壁に何度も叩きつけられる。

 

「野郎っ!!」

 

 右から鎖を破壊された風死を手にした檜佐木。

 上からは駆けつけた射場が同時に仕掛ける。

 またアヨンの頭部から眼が開き、虚閃が放たれるが、副隊長二人はなんとか回避する。

 

「喰らうかい!」

 

「そいつはもう見てんだよっ!」

 

 吉良から手を放して檜佐木と射場を迎え討とうとするアヨン。

 侘助を拾っていた朝緋が吉良に向かって投げる。

 

「吉良副隊長っ!」

 

「助かるっ!」

 

 まだ動けるなら動けなくなるまで斬りつければいいと侘助を振るう。

 しかし、アヨンはそんな吉良を蹴る。

 侘助によって追加された重量。

 それを扱える膂力を持つ怪物。

 自分で増やした重量の力をそのまま受け、吉良は遠くの高層ビルまで蹴り飛ばされた。

 

「クソがっ!!」

 

 射場が斬魄刀をアヨンの脳天に振り下ろすが、大したダメージは認められず、逆に射場の身体を掴んで地面に叩きつけた。

 

「っ!?」

 

 声も出せずにバウンドする射場をアヨンは踏みつけようとする。

 

「射場さん!? 野郎!!」

 

 左右に持った風死の刃を連続で振るうが薄皮一枚傷付けるのがやっと。

 アヨンが手を伸ばし、檜佐木の両肩を掴む。

 そして、隠れていた大口を開いた。

 檜佐木を喰う為に。

 思考が止まる一瞬、アヨンの口に焼け焦げた朝緋の左腕が押し込まれた。

 

「朝緋、お前っ!!」

 

「檜佐木副隊長! 離れてっ!!」

 

 なにをしようとしている察して、唸り声を上げて全力でアヨンの手を外し、距離を取る。

 同時にアヨンの歯が朝緋の腕を潰す。

 

「戦闘中に折れた腕です。失っても惜しくない……身体の中から焼かれれば、流石に攻撃は通るでしょう?」

 

 準備が整い、朝緋は鬼道を唱えた。

 

「破道の九十六"一刀火葬"」

 

 自分の左腕を犠牲にアヨンを内側から焼き斬る。

 

「つ、あっ!?」

 

 自分の放った鬼道の反動で道路を転がる。

 アヨンの方も流石に内側から九十番台の鬼道を叩き込まれて無事ではなかったらしく、全身が焼かれて死んだ。

 

「やっ────」

 

 安堵も一瞬。

 アヨンを生み出した三人の女性破面が朝緋に襲いかかる。

 その刃は朝緋には届かなかった。

 

「良くやった、朽木五席……後は儂が請け負おう。遅くなってすまなかった」

 

「狛村隊長……」

 

 朝緋を庇うようにして狛村左陣が立つ。

 

「頼みます……流石にもう限界です」

 

 左腕を失い、自分の鬼道で火傷まみれの朝緋にもう戦う力はない。

 

(総隊長を前に出さなかっただけ、良しとしましょう、か……)

 

 吉良が蹴り飛ばされた辺りで山本総隊長が出張ろうとしたのを手で制して止めた。

 あの程度の相手に総隊長の手を煩わせたくなかったから。

 その場で意識を失い、射場に乱菊の治療をしていた雛森のところまで連れてかれたらしい。

 朝緋が目を覚ました時には空座町での戦いは終わり、藍染惣右介は黒崎一護によって止められた。

 彼は現在昏睡状態にあり、目が覚めた頃には死神の力を失っているだろうとの事。

 朝緋の腕は救出された井上織姫によって同じく腕を失った砕蜂共々治して貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 事件後、虚圏から帰還した白哉と朝緋は対面していた。

 ルキアも朝緋の隣に座っていた。

 

「さて。此度の無茶について、申し開きはあるか? 朝緋」

 

「……いいえ」

 

 朽木家の屋敷で朝緋は今回浅慮にも腕を失った事に対して父である白哉に呼び出されていた。

 

(この声っていうか……霊圧、完全に怒ってる時のそれだ……)

 

 冷や汗ダラダラと流しながら朝緋は長い説教にビクビクした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朽木朝緋の霊王宮戦はどっちが良い。

  • ジェラルドと戦闘。
  • ユーハバッハと戦闘。
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