滅却師達による瀞霊廷への侵入。
それにより死神達は多大な犠牲を出してしまった。
特に、護挺十三隊総隊長である山本元柳斎重國を失ったのは痛手という言葉では到底足りない喪失だった。
戦力としても心の支えとしても。
今、千年の時を越えて死神達にも変革が迫られていた。
「私を副隊長に?」
山本総隊長が亡くなり、急遽元八番隊隊長の京楽春水と副隊長の伊勢七緒が一番隊を引き継ぐ形となった。
当然八番隊の頭が空席となってしまったが、今は十三隊を纏める総隊長を決めるのが先決と瀞霊廷の司法を司る四十六室の判断だった。
そして京楽総隊長の着任早々に呼び出された朽木朝緋五席は突然の副隊長就任要請に困惑していた。
「京楽隊長が一番隊に就任するにあたり、長年補佐をしていた伊勢副隊長。そして一番隊の仕事を補佐する為に副隊長を二人制にするのは理解しました。でもそれなら、沖牙三席が繰り上がるのが妥当では?」
はっきり言って百も生きていない朝緋は死神としては若輩も良いところだ。
一番隊業務を補佐するなら、長い間雀部前副隊長と共に山本前総隊長を補佐していた沖牙三席が順当だろう。
副隊長としての実力も申し分ない筈だ。
朝緋の疑問に京楽は頷いた後に説明。
「ボクも、最初はそうしようと思っていたんだけどね。沖牙三席に断られちゃったのさ」
「は?」
沖牙三席が副隊長の話を断ったという事実に目を丸くする朝緋。
あの生真面目な沖牙三席が護挺十三隊の立て直しが必要な状況だと理解出来ない筈はないのだが。
「そこで代わりに君を推薦してきた。これからの護挺十三隊は自分みたいな古い人間じゃなく、若く将来性のある者を積極的に採用すべきだって。もちろん三席として出来ることは手伝ってくれるってさ」
「沖牙三席……」
京楽が笑みを深めて話を続ける。
「それに君――――」
続いた言葉に朝緋が瞬きする。
「これを受け取ってくれるかい?」
差し出される一番隊副隊長の腕章。
朽木朝緋は一礼してそれを受け取った。
第二の滅却師による侵攻。
それは、瀞霊廷と滅却師の世界が入れ替わるという予想外の形でやってきた。
「隊舎を離れてる間に……!」
滅却師の世界を移動しながら朝緋は霊圧を探って戦況を調べる。
「死神の霊圧がどんどん消えていってる」
先の侵攻と同様――――いや、滅却師達の拠点へと変わった事で、死神は前回以上に不意打ちを喰らった形となった。
副隊長として総隊長の下へ戻るか、それとも劣勢を強いられる仲間を助けて回るか思考する。
そこで攻撃を察知して瞬歩で回避した。
「あん?避けやがったか。やるじゃん」
現れたのは、これまで見てきた滅却師の者達に比べても露出の多い女性だった。
刀を抜いて戦闘体勢に入る朝緋。
「前回はサボり気味だったから今回はちっとは戦果を挙げねーと陛下にドヤされると思ってチョロチョロ跳んでたお前を一撃で仕留めてやろうとおもったのによぉ。バンビエッタの奴じゃねーんだ。イケメン殺すのは趣味じゃねーってのに」
そこで朝緋が瞬歩で滅却師に近づき、斬魄刀を振るうと女が腕でガードした。
「見た目より交戦的じゃねーか!名前教えろよ。殺すまでの間は覚えておいてやる!あたしは
「……一番隊副隊長朽木朝緋」
名前を聞いてキャンディスが目を大きく開く。
「なんだお前。ドリスコールの奴に卍解奪われて殺された副隊長の後釜か?卍解も使えねぇ副隊長程度が!あたしの相手になるかよ!」
至近距離で矢を射るキャンディスに瞬歩で距離を取る。
弓を向けたままキャンディスは嘲笑する
「それに朽木ってことは、エス・ノトにぶっ殺された朽木白哉の身内だろ?」
「囀れ、雷鳥丸」
斬魄刀を解放する朝緋。
それを見たキャンディスが笑みを深める。
「その斬魄刀の能力は電撃か?あたしと相性が良さそうで一撃で殺しちまうのが勿体ねぇな!ガルヴァノブラスト!!」
雷撃を伴った滅却師の矢が朝緋に直撃し、視界が一時的に塞がる。
「5ギガジュールの
一撃で敵を討った爽快感と物足りなさに口元を歪めるキャンディス。
しかし塞がっていた視界が晴れると、そこには無傷で佇んでいる朝緋がいた。
「な……っ!?」
朝緋は雷鳥丸の感触を確めるように軽く振るう。
「確かに私は今、卍解が使えません。ですが、貴女を斬ることは出来そうです。私達、相性が良さそうですから」
余裕そうにしている朝緋に今度はキャンディスの口元が歪んだ。
「言うじゃねぇか!あたしの小技を防いだ程度で、よっ!!」
キャンディスが矢を連射する。
瞬歩で回避する朝緋。
「どうしたどうしたぁ!!手も足も出ねーじゃねぇかよ!!」
回避を続けていた朝緋は建物へと着地した。
その隙に雷撃の矢が雨のように降ってくる。
矢によって建物は破壊され、崩れていく。
巻き上がった砂埃。
それが晴れるとそこには――――。
「嘘、だろ……」
無傷の朝緋が立っていた。
「雷鳥丸の能力は霊圧を雷に変換し、刃の切断力を上げる斬魄刀。ですが、もうひとつ。雷撃に依る攻撃を吸収し、斬れ味を更に増すことが出来る。雀部副隊長に稽古をつけて頂いて判ったことです。だから言ったでしょう?私達は相性が良いと」
涼しい顔で説明する朝緋にキャンディスが悔しげに唇を噛む。
「だから、小技を防いだ程度で、イキってんじゃねぇよっ!!」
キャンディスの背中から、その髪色に似た六枚の光の翼が生える。
「クソがっ!副隊長程度に煩わせやがって!テメェは処刑確定だ!」
背中の翼から両手分を剣にして突っ込んできた。
振るわれる刃を受け止めると、それも雷鳥丸に吸収された。
「テッメ!」
「翼や剣として固定しようが、それが雷である以上、雷鳥丸の餌に変わりない」
首を斬ろうと斬魄刀を振るうが、キャンディスが回避行動を取った為に髪が僅かに斬り落とす程度だった。
髪を傷つけられたキャンディスの眼の色が変わり、朝緋を蹴り飛ばす。
「もう許さねぇぞ!毎日みんなより何時間早起きして髪巻いてると思ってんだ、クソがぁっ!!」
膨大な霊圧を感知し、防御の姿勢を取る朝緋。
「そういう顔は、その
朝緋の身体を呑み込み程に巨大な電撃の柱が迫ってくる。
それに対して朝緋は真正面から突きの姿勢で飛び込んだ。
「馬鹿がっ!!そんなんでどうこう出来るわけ――――っ!?」
電撃の柱に朝緋が通れるくらいの穴が空き、そのままキャンディスの居る場所まで突っ切ってきた。
心臓に刃が突き刺さる。
「貴女が、私の相手で良かった。おかけで私でも、敵を討ち取れる」
「ク、ソが……!」
腕を掴んできたが、それを払うと地上へと落ちていくキャンディス。
それを見届けてから朝緋は斬魄刀を鞘に納めた。
死神と滅却師の戦いは後に浦原喜助が開発した死神を一時的に虚化させる事で奪われた卍解を取り戻し、また奪われる心配も無くなった。
それでも死神側の不利は変わらず、隊長格が相討ちや重症を負う事態となっていた。
そして。
卍解を発動させ、星十字騎士団のひとりだったエス・ノトを討った朽木ルキア。
その手が罅割れようとしている。
「ゆっくり解け。ルキア。ゆっくりだ」
白哉の助言を聞いて、真っ白だったルキアの肉体が少しずつ本来の色を取り戻していく。
「素晴らしい卍解だった。だが難しい卍解だ。半歩の誤ちで命を落とす、危うい卍解だ。心して扱え。決して逸るな。命を捨てて振るう刃に、護れるものなど無いと知れ」
その助言と同時にルキアの卍解が完全に解かれる。
「父様!ルキア姉様!」
そこで、朝緋が現れる。
「朝緋!無事だったか!」
「はい!お二人の霊圧を感じて飛んできました!怪我が治って本当に良かったです」
安堵の息を吐く朝緋。
言われてみれば、ここまで連絡をまったくしてなかったのだ。
朝緋側からしたら、気が気でなかっただろう。
「あぁ。心配かけたな。朝――――」
そこで、鉄と鉄がぶつかる音がした。
白哉がルキアに向けられた刃を弾く。
「なんのつもりだ、朝緋」
ルキアも白哉が護ってくれなければ、朝緋の刀で斬られていた事を察する。
完全な不意打ちだった。
白哉に剣を弾かれた後も構わず此方を攻撃してくる朝緋。
「朝緋、なにを……!」
「敵が姿を偽っているのか。それとも操られているのか」
これだけ多種多様な能力を持つ滅却師だ。
どちらの能力もあり得る。
「私は本物です!操られてもいません!私はただ単純に、ペペ様の為に……!」
朝緋が斬りかかってくる。
しかし、霊王宮で修業し、格段に実力を上げた二人に通じる訳もない。
取り押さえようとする白哉とルキアに朝緋が距離を取る。
「朝緋っ!!」
「ペペ様の為に二人を殺さなきゃ……だから……」
朝緋が刃を前に突き出す。
そこで信じられない事を口にした。
「卍解――――」
朽木朝緋の霊王宮戦はどっちが良い。
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ジェラルドと戦闘。
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ユーハバッハと戦闘。