文々。異聞録 ~Retrospective Holy Grail Wars. 作:悠里@
セイバーのエクスカリバーから放たれた光の奔流。
膨大な魔力は光となり、光は断層となった。
光の断層は、あらゆる対象を焼き尽くし、そして切断する――。
バーサーカーを貫いた光は凍土を焼き払い、アインツベルンの城すらも破壊した。
様々な結界が施された魔術師の不夜城は、もはや瓦礫の山と化している。
これまで、どんな攻撃も届かなかった黒き巨人。
そのバーサーカーの姿は、見る影もなかった。
焼け果てた大地に、横たわるように転がっている巨大な消し炭。
それが、かつて最強のサーヴァントだったもの。
四肢が辛うじて残り、人の形をしてなければ、判断すらできなかっただろう。
これでは、いくら何でも再起不能だ。
バーサーカーの不死性を象徴した『十二の試練』。
それは、セイバーの『エクスカリバー』によって攻略された。
「…………」
その圧倒的な破壊力に、誰もが声を上げず、息を飲んでいた。
聖剣の担い手であるセイバーと、彼女のマスターの遠坂凛を除いて。
「これが……」
これがセイバーの宝具『エクスカリバー』の威力なのか――?
風王結界から解き放たれた抜き身の聖剣は、豪華な意匠は施されていなかった。
言ってしまえば、無骨な大剣だ。
しかし、その剣は誰の目も惹き付けるような美しさがあった。
エクスカリバーの担い手――それは、誰だって知る高名な人物。
古代ブリテンの王にして、円卓の騎士を束ねたという伝説の騎士王。
――アーサー・ペンドラゴン。
あの小柄な少女が、伝説のアーサー王だと言うのか。
……信じられない。
信じられないが、エクスカリバーの存在がそうであると示していた。
「あんたの拠点がこんな森の奥で助かったわ。もし町の中だったら、対城クラスの宝具はとても使えないもの」
エクスカリバーを市街地で使えば、確実に大惨事を招いた。
それは遠坂凛という、気高い少女が許すはずがない。そのため、使える場所が限定されていた。
遠坂は、その威力からセイバーの宝具を持て余していた。
だから俺たちと同様に、リスクを承知して魔術師の根城に乗り込んだのだろう。
「……凄いですね。あれがセイバーの宝具ですか。あんな高出力なのに発動まで大して時間も掛かっていない。可能なら立ち会いたくない相手です」
射命丸文も、手放しでセイバーを賞賛していた。
他者を貶める発言の多い彼女にしては、珍しい態度だった。
だが、こうしてバーサーカーが脱落した今、次の相手は間違いなく俺たちだ。
◇
「………………」
イリヤは俯いたまま、小さな肩を震わせていた。無理もないだろう。
たった一度の宝具で、絶対と信じていたバーサーカーを倒されてしまったのだから。
「……やってくれたわね。バーサーカーの命を一度に7つも奪うなんて。こんな屈辱、生まれて初めてよ」
「は? …………なんだって……?」
イリヤの言葉は、俺の想像を遥かに逸脱したものだった。
それは恐らく、文も遠坂も、バーサーカーを倒したセイバーだって思ったはず。
「な……ッ!?」
「バーサーカー!! いつまで寝ているの!! さっさと起き上がって、殺される前に殺しなさい!!」
イリヤに身体に刻まれた令呪が赤く光り出す。
令呪の力に反応して、消し炭だったはずのバーサーカーが立ち上がった――。
焼け焦げた金色の眼球が光り出し、これまでと変わらない大地を揺らす咆吼を上げる。
『■■■■■■――――ッッッ!!!』
炭化していたはずの体組織が、咆哮とともにボロボロとこぼれ落ちていく。
そこにあったのは、傷ひとつないバーサーカーの姿だった。
更にイリヤの令呪によって、格段に戦闘能力を向上させている。
……あのエクスカリバーを以てしても、バーサーカーを殺しきれないというのか。
そんなふざけた道理があるわけがない。あるはずがない。
だがそんなふざけた事実が、現実のものとして起きてしまっていた。
「……ふざけてる! なんだって言うの、こいつ!?」
「…………!」
遠坂がバーサーカーのデタラメに狼狽えるが、セイバーは冷静だった。
「はあああ――!!」
バーサーカーが無手のうちに、抜き身のエクスカリバーで真っ向から斬り掛かる。
「ぐぅっ……!」
しかし、届かない。
狂化されたバーサーカーが、今までを超える速度で聖剣の腹を殴りつけた。
ギシリと音を立て、聖剣が軋む。
バーサーカーの並外れた力なら、エクスカリバーすらへし折っても不思議じゃない。
巨人は未だ熱を持つ大地から斧剣を拾い上げ、セイバーに叩き付けた。
斧剣は度重なる酷使によって切れ味は失われているが、バーサーカーにとって問題ではない。
己の膂力に耐える強度があれば、剣が切れようが切れまいが関係ない。
眼前にいる敵を、己の持つ最強の力で叩き潰せればいい。
「…………ふっ!」
セイバーは斧剣を受けようとはせずに、距離を広げて回避した。
バーサーカーはセイバーとの間合いを瞬時に縮めると、斧剣を連続して振るう。
セイバーは攻撃を受けようとはせずに、卓越した体捌きだけで躱し続ける。
狂化したバーサーカーの攻撃を一度でも受けてしまえば、そのまま圧し潰されてしまう。
「やあぁぁ――っ!」
セイバーは小さい体躯を活かして、バーサーカーを翻弄しようとした。
だが巨体からは考えられない俊敏さで、それすらも許さない。
セイバーもバーサーカーと同じように、圧倒的な身体能力で相手を叩き潰すタイプだ。
しかしバーサーカーは、遥か上を行く能力を持っている。
障害物のない場所だと、セイバーの体躯もメリットが薄い。
筋力で劣り、敏捷で劣り、耐久で劣り、リーチでも劣る。
城の前の開けた場所では、その差が顕著になってしまった。
セイバーはバーサーカーが相手だと、すべての面で絶対的に相性が悪い。
……いや、俺の知る範囲で相性が良いサーヴァントなんて、ただの一体もいない。
この剣の少女だけが、こうしてバーサーカーと渡り合える唯一の存在だ。
「クスクスクス。逃げ回るだけじゃ、わたしのバーサーカーには勝てないわよ」
崩壊した城の瓦礫に座るイリヤが、セイバーを挑発する。
戦闘中に腰を下ろす行為は、彼女の余裕の表れか。
仮にバーサーカーを無視して、イリヤを狙おうとしても不可能だ。
敏捷で勝るバーサーカーから少しでも目を離したら、その瞬間にやられてしまう。
『■■■■■■――――!!』
戦況は、堂々巡りだった。
バーサーカーは斧剣を振り回し、セイバーがそれを後退して避ける。
逃げの一手だけでは、セイバーがバーサーカーの懐へ斬り込むのは難しい。
……この状況を打開するにはどうしたらいいか。
遠坂の魔術では、バーサーカーに通用しないだろう。
かつて巨人の頭を破壊した宝石を複数持っているとは思えない。あるならとっくに使っているはず。
もし俺が割って入っても、バーサーカーに太刀打ちできるわけがない。
「ふむ。いよいよ大詰めかしらね」
隣で傍観している文は動かないだろう。彼女に遠坂たちを助けるメリットはない。
俺の思いつく限り、戦況を翻す手段は一つしか残されていなかった。
セイバーには、『十二の試練』を一度で7回殺した宝具がある。
それだけが、バーサーカーを唯一倒し切る方法――。
「――凛、宝具をもう一度使います! 発動の許可を!」
俺の思考と同じタイミングで、セイバーは二度目となる宝具の使用を求めた。
今だってセイバーは、斧剣を振るうバーサーカーから目を離さない。
たった一度の会話ですら、バーサーカーが相手だと命取りになる。
「駄目よ! 二日で三回も使用したら魔力が尽きてしまうわ!」
遠坂の魔力量があっても、エクスカリバーは頻繁に使えるものではなかった。
あれだけの破壊力。莫大な魔力を消費するのも当然だ。
サーヴァントはマスターの魔力によって、存在を保てている。
魔力切れを起こしたサーヴァントを待つもの――それは緩やかな死でしかない。
「ですが、このままでは千日手になる。……いいえ、悔しいが私ではバーサーカーに接近戦では勝てない」
今は会話をする余裕も何とか作れるが、それだって時間の問題だ。
セイバーは、敵愾心とは別の感情でバーサーカーを睨んでいる。
「くっ……!」
咬牙切歯。
歯を砕けるほど噛み絞め、堪え切れない悔しさを何とか飲み込もうとしている。
当然それは、パートナーである遠坂にも伝わっただろう。
「……わかった。でもその代わり確実にバーサーカーを仕留めなさい」
「はい――ありがとう、凛。必ずやバーサーカーを打倒して、マスターに勝利を捧げます」
セイバーは、マスターからの注文に力強く答えた。
風王結界から解かれているエクスカリバーであれば、解放に時間はさして必要としない。
だが、バーサーカーは数秒もあればセイバーをミンチにできる。剣の少女もそれを理解しているはず。
『束ねるは星の息吹──』
それでも、セイバーは目を閉じてエクスカリバーを眼前に掲げた。
聖剣に魔力が急速に収束していく。
『■■■■■■―――!!』
そんな真名解放のなか、バーサーカーが斧剣を薙ぎ払う。
セイバーのプレートを砕いて、血を撒き散らした。
『輝ける命の奔流──』
セイバーは、決して軽くないダメージを受けても、宝具解放を止めなかった。
僅かに身体を横にずらして致命傷だけは避けている。
バーサーカーに次ぐ耐久力を持ったセイバーのみに許された無茶だった。
『受けるがいい!
そして、二度目となる光の奔流が発生する。
しかも今回は、バーサーカーはセイバーの剣の届く範囲にいる。
一切の威力減衰もなく、ゼロ距離からのエクスカリバー。
一度目以上の火力──。バーサーカーは、間違いなく焼き尽くされる。
同じフィルムを再生するように、バーサーカーが魔力を持った光に飲み込まれた。
2メートル50センチの巨体が一瞬で見えなくなる。
……そんな中にあって、イリヤはセイバーと遠坂のやり取りを見ているだけだった。
ただ黙って、瓦礫に座ったまま何もせず傍観していた。
「……へえ」
そこにあるのは、表情筋が緩むのを耐えようとする底意地の悪い顔。
イリヤスフィールは、バーサーカーを単純に妄信しているわけではない。
バーサーカーには飛び抜けた実力があり、その能力を状況に応じて披露してきた。
今の笑いを堪えようとしているイリヤだって――。
根拠のない信頼ではなく、『何か裏付けがあるのでは』と考えてしまった。
結論から言うと――。
バーサーカーは、無傷で立っていた。
バーサーカーの全身から煙が上っていたが、ダメージを負っているようには見えない。
宝具の不発ではなかった。
その証拠に巨人の背後にあった森は焼き払われて、先の見えない道が作られていた。
モーゼの海割りのような奇跡は、エクスカリバー以外では再現不可能だ。
信じ難かったが、セイバーの宝具はバーサーカーに効果が無かったとしか思えなかった。
『■■■■■■――――ッッ!!』
バーサーカーは何事もなかったように再び斧剣を振るった。
絶望によって彩られた剣戟が再開された。
「馬鹿な――!?」
セイバーは茫然とした様子だったが、振り下ろされた斧剣を辛うじて対応する。
「くう……!!」
しかし、セイバーの動きは精彩さを欠いており、息すらも切らせていた。
「あれ? もう魔力切れなの? セイバーって、そんなちっちゃな身体なのに随分と燃費が悪いのね。それともリンの魔力が少ないのかしら。……まあ、そんなのどうでもいいわ。だって、二人ともここで死んじゃうんだから! あははは!」
イリヤが堪えていた感情を、全て吐き出すように笑いだす。
無邪気な子供が笑うようだったが、そこには身の毛がよだつ残虐性も含まれていた。
「どうして……? なんで、こんな……?」
絶望的な状況に遠坂ですら、弱音を呟いてしまう。
常に勝気で気丈であった、遠坂凛とは思えない姿だった。
「クスクス。いい反応よ、リン。何も知らないで死んじゃうのはちょっと可哀想だから、教えてあげるね。バーサーカーの『十二の試練』は11の命のストックだけの宝具じゃないの」
それだけではなく、イリヤは『神秘を打倒するにはそれ以上の神秘が必要』とも言っていた。
アサシンの物干し竿では、最後までバーサーカーに傷を付けられなかった。
「――もう一つの特性。バーサーカーは、一度でも受けた攻撃は二度と通用しない。だから、二回目のエクスカリバーは、ただの魔力の無駄遣いに終わったわけ。それを知ってたから、もう笑いを堪えるのが大変だったわよ。あははは――!」
そして、イリヤが勝ち誇るように再び哄笑を上げた。
「はあ、はあ……」
セイバーは、バーサーカーの攻撃を避けていたが、傍から見ても限界だった。
宝具発動直前に受けた傷と、魔力切れの影響があまりにも大きい。
目は弱々しく、剣を構える腕も力がない。立っているのだって、やっとに見える。
騎士王としての矜持なのか、バーサーカーの攻撃は未だ命中していない。
それは体捌きというより、未来予知めいた直感だけで何とか命を繋いでるようだった。
数秒先に潰されていても、何ら不思議ではない状態だ。
『■■■■■■――――ッ!』
そして一分もしないうちに、セイバーはバーサーカーの右薙ぎを腹部に受けてしまう。
「ぐぅ……はっ――!!」
斧剣が魔力で編まれた甲冑を容易に貫通して、横腹を抉り潰す。
その先端に、セイバーの肉片がこびり付いていた。
斧剣の切れ味の悪さが、セイバーに必要以上の苦痛を与えていた。
「不覚……でした……」
それでも――セイバーは倒れない。
崩れ落ちそうな体を剣で支えて、マスターの遠坂を庇うように立ち塞がっている。
「……セイバー!!」
遠坂がセイバーの名前を、ただ叫んだ。これではもう――。
「あーあ。これはバーサーカーの勝ちか。……参りましたね。セイバーのほうがまだ勝算があったんですけど」
天狗の少女が、これまで考えないようにしていた現実を告げる。そこには一欠片だって情がない。
セイバーはこれ以上、バーサーカーの攻撃には耐えられない。確実に命を落とす。
だったら、俺のやるべきことは一つだけ――。
頭が真っ白になって、身体が自然に動き出した。
だが――。
「おっと。行かせませんよ」
俺の腕を文が掴んだ。
外見からは想像できない握力によって、腕が音を立てている。痛みを感じないで済む、ギリギリのライン。
彼女が本気になれば、俺の腕など容易く握り潰せる。
「……文、放してくれ」
「絶っ対、駄目。ここでむざむざ士郎さんに死なれたら、何もかも興ざめですから。…………それと、念のため言っておきますけど、私はもう彼女たちを助けませんよ」
口にはいつもの薄い笑みがあったが、その赤い目は本気だった。
こいつは、本気でセイバーを見捨てる。
「だったら、今すぐその手を放せ!!」
大きな感情に飲み込まれて、声を荒げてしまう。そんな俺に、文は少し呆れたように肩を竦めた。
「……何を言っても無駄かも知れませんが、今あそこに行って何ができますか? 向こう見ずもいいところ。……そうやって思考を極端にしてはいけない。私は士郎さんにもっともっと悩んでほしい」
「ふざけるな!! 悩んでいる暇なんてあるか!! それに、行ってみなきゃわからないだろ!!」
残った理性ではわかっていた。
だが衛宮士郎という存在は、ここにいる事実に耐えられなかった。
「……士郎さん、あなたはバーサーカーにしたら路傍の石にも足り得ません。……その程度の存在が困っている人間を助けたい? はははは、笑わせてくれますね」
そして、烏天狗の貌が大きく変わった。もう笑みすら浮かべていない。
「力を持たない雑魚の分際で烏滸がましい。その態度、鼻につくわ」
俺を見る天狗の双眸が、一瞬のうちに白けてしまう。
それはかつて、学園の屋上で見せた顔だった。
その時の顔に言葉が伴うと、心臓が掴まれたような痛みがあった。
恐怖だけで、人は殺せるのだと実感する。
淡白な赤い瞳に映る俺の顔は、どれだけ情けなく引きつっているのか。
この腕は、どうやっても振りほどけそうもない。
俺にはもう文から視線を逸らすように、セイバーを見るしかなかった。
「……あ、うあああ!!!」
その時には、朦朧と立ち尽くしたセイバーの頭に。
バーサーカーの斧剣が触れようとした。
セイバーが終わる。たった一つの命が終わってしまう――。
俺は目を逸らさず、少女の最期を見届けるしかできなかった。
◇
「…………?」
しかし、セイバーの姿が消えていた。
どこかに移動したわけでもなく、跡形すらもなく、バーサーカーの前から忽然と消失していた。
標的を失った斧剣が大地に刺さり、衝撃によって小さなクレーターが生まれる。
何が…………起こった?
空間転移なんて大魔術は、騎士であるセイバーには不可能。
優秀な魔術師でしかない遠坂にも無理だ。だとするとそれは――。
「――ッ! 令呪ね!」
いち早く理解したイリヤが叫ぶと、瓦礫の上から立ち上がる。
そして遠坂のいる方角を忌々しそうに睨んだ。
そこには、遠坂の姿もなかった。セイバーのように消えていた。
「あいつ……! バーサーカー!! リンはまだこの辺りにいるわ! 今すぐに追いかけて殺しなさい!!」
アインツベルンの森を管理するイリヤには、遠坂の居場所がわかる。
令呪の効力はサーヴァントだけであって、マスターには及ばない。
遠坂はセイバーをどこかに転移させた直後、自分の脚で戦場から離脱したのだ。
しかし、相手はバーサーカー。
アインツベルンのフィールドで遠坂凛が逃げ切れる確率は、ゼロに等しい。
「あんな雑魚――放って置いたらどう?」
遠坂を追跡しようとするバーサーカーを遮ったのは、射命丸文だった。
いつの間にか俺の隣から消えて、最強の巨人と対峙していた。
文の周囲には暴風が立ち上り、砂塵を撒き散らしていく。
「アヤ……?」
イリヤは当然の文の登場にきょとんとしたが、それも一瞬のこと。
すぐに嬉しそうな笑みに表情を作り替える。
「……ええ、その通りね。リンとの鬼ごっこなんかで、お兄ちゃんたちをこれ以上待たせるのも悪いもの。……いいわ。私と楽しく遊びましょう? もっとも、朝になってもおうちには帰れないけどね!」
「そういうこと。さあさあ! 掛かってきなさいな!」
翼を大きく広げて、臨戦態勢を取る。
微笑は浮かべているが、そこにいつもの慢心は含まれていない。
『■■■■■■――――ッッ!!』
バーサーカーも文を敵性存在と判断したのか咆吼を上げて、大気を震わせた。
「…………文」
そして、俺にできることは何もなく、二体のサーヴァントをじっと見るだけ。
………文に掴まれた腕から、ジンジンとした熱い痛みを感じた。